最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
あとアンケートでノブケンの2人が大健闘してる辺りこの小説でサブレギュラー化させた甲斐があったかもしれないと思う今日この頃
「まさかアイさん主演のドラマに俺様達がゲストとしてオファーが掛かるとはな。しかもアイさんたってのご希望だそうな。……同じ事務所っしょ? なんか知ってる?」
「アタシもちょっと前に知らされたばかりよ、知る訳無いじゃない……」
「というかなんでその流れでアイさんの家に呼ばれてるんだ? 俺様とか確かに共演経験はあるがほぼほぼ接点無いぞ?」
「それはこっちのセリフよ……接点同じ事務所ってくらいであんまり話してないのよ? MEMちょは大ファンだからって「気軽に話し掛けてくれた方が嬉しいかな☆」とか言われたお陰でものすごく仲良くなってるけど」
「確かにそういう話し方するよなあの人」
1月も終わりに近付き寒さも最高潮を迎える季節、クリスマスイブのデートから何だかんだ割り切って近くにいても良いかと思い始めた俺様はすっかり前みたいにかなと話す事も増えた。
とはいえなるべく2人きりは避けているがな……双方アイドルだし。
そんなとある日、俺様達は苺プロダクションの看板女優、ひいては元B小町エースのアイの家に呼ばれていた。
ドラマで共演した流れで
「2人ともちょっと遊びに来ない? その日アクアもルビーも他のみんなもお仕事でちょっと寂しいんだよね☆」
なんて言われて、正直なところこの人が何を考えているのか全く分からなくて困惑した。
確かに話によればいつもはアクルビコンビは昔からアイと仲良いからさておき、めいめいとありぴょんと言った旧B小町の元同僚も良く遊びに来てるそうだが俺様達はそういった関連性が薄いからな。
……アクアとルビーはアイが母親なんじゃないのかってのはこの際面倒だから一旦考えない事にしておく、そうじゃないと俺様は精神汚染されて胃薬をイッキする事になる。
「うぅ、緊張するわ……」
「心配するな。俺様の去年のワールドシアター受賞式典に比べたら屁でも無いから」
「アンタのそれは世界規模だから話が違うのよ。あと今年もノミネートおめでとう」
「ありがとよ。今年は絶対主演男優賞取ってやる」
閑話休題にはなるが、ワールドシアターは毎年ニューヨークで受賞式典が行われる大規模なものだ。
昨年はアクション部門の助演男優賞だったが……今年こそは主演男優賞で俺様が世界一って事を証明してやる。
「さて、少し心持ち余裕が出来たところで行くか」
「……そうね、折角お誘い貰ったんだし」
それはさておき本題だ。
何故誘われたとか思うところはあるが、それはそれとして人の良さは知ってる訳だからそこまで警戒する事も無いだろうとインターフォンを押す。
『はいは〜い……良し、ムドくんと有馬ちゃんだから問題無し! 今開けるね〜』
「あ、どうも」
めちゃくちゃハイテンションだった、いや解釈一致だけども。
『え〜っと鍵どこだっけ〜』なんてインターフォン越しに聞こえた後にガチャリと鍵の開く音がした。
恐ろしく天然なんだろうなこの人と思わずにはいられなかった。
『っと。開いたから入ってきてい〜よ〜』
「ありがとうございます。……うぅ、やっぱ緊張する」
車椅子だから所謂遠隔式なのだろう、扉の向こうに人の気配は感じないが……それでも一人で過ごせるくらいには不便してないというのは事務所の努力の賜物だろう、とこっそり感心しておく。
かなは感心してる余裕なんて無さそうだが。
「お邪魔します」
「お、お邪魔します……」
シンプルで落ち着いた構造、他の家と違うのは家主が車椅子生活だから段差がほぼ無いというところか。
「あ、2人ともこっちこっち〜」
リビングから快活な声が聞こえてくる。
きっと自由に動き回れていたのであればその開いているドアの間から顔を出してひょいひょいと手招きしていたであろう事が容易に想像に付く。
「いや〜ありがとね〜来てくれて」
「それは構いませんよ、折角のお誘いですから」
そして来てみるとなんか器用にソファに座る当人が目の前に。
どう座ったのかは分からんがそういう生活に慣れてると出来るもんなのかも知れない、という事で納得しておこう。
多分それで正解っぽい顔してるし。
という事で俺の言葉に便乗してブンブンと頭を縦に振るかなを見つつ、取り敢えず何故呼ばれたかをストレートに聞いてみる事にした。
遠回しに聞いても分からないとか素で言い出しそうだったからとか、これっぽちも思ってはいない。
「それはそうと、今日は何故俺様とかなを誘ったんです? こう言ってはあれですが、かなはともかくとしても俺様との接点は数度あった共演くらいなものだと思いますが」
「あ〜それね。ほら、最近パパママと有馬ちゃん仲良いって聞いたからここは私も有馬ちゃんと仲を深めてお姉ちゃん呼びしてもらおうと画策していたのです! そしてムドくんは有馬ちゃんと仲良いから一緒に呼んであげたらお姉ちゃんポイントが上がると思ったのです! えっへん☆」
「な、なるほど……?」
「お姉ちゃん……まあ壱護さん達とは最近仲良くなったしお姉ちゃんと呼んでほしいのは確かに説得力あるけど……い、いきなり過ぎないかしら……?」
そう、最近かなは斎藤さんや夫人と仲が良い。
大晦日俺様が一緒に過ごせなかった時夫妻が揃ってかなと過ごしてあげたのをきっかけに良く話す様になったのだ。
「唯一家族と呼べるのは和也だけ」そう言われるのは吝かでは無い、俺様が特別と思われているのは非常に嬉しいのはあるが……やはり両親と呼べる存在を作ってほしいとも思っていたから今の状況には満足している。
だが、だからと言ってアイも参戦してくるのは予想外だった。
ノリと勢いが十代の頃から変わってないとよく言われているがその様をまじまじと目の前で見せつけられた気分だ。
お陰で若い見た目に更に補正が掛かって更に若く見えてしまう、本当に亮介と同年代か……?
「いーのいーの、パパとママが親代わりするなら私だってお姉ちゃんみたいに頼ってほしいな〜って思ってるのは本当なんだし」
「良い……のかしら? あんまりその、他人に頼るって事したの無くて……」
「うん。有馬ちゃんの境遇は聞いたから。なんて言えば良いのかな、言葉が下手だから言い方は気にしないでほしいんだけどね。この子も親から愛されなかったんだ……って悲しくなっちゃって」
「パパとママを本当の親みたいに見られたあの日。初めて『本当のママに見捨てられた』悲しさを実感して泣いちゃった時みたいな悲しみを背負ってる子がこんなに近くにいたんだって思ったらいても立ってもいられなくて」
「アクアやルビーとも話したんだ『この子のお姉ちゃんになりたい』って。2人とも真剣に相談に乗ってくれて……だから、大丈夫だよ」
「アイさんも……そうだったんだ」
言葉の重みというものがここまで感じられたのはいつぶりだろうか。
この人が養子というのは以前斎藤さんに聞かされていたので知っていたし、捨てられたという境遇も聞いた。
だがそんな俺様でもグッと惹き寄せられる様な気持ちになる。
この人が『お姉ちゃんになりたい』そう言ってくれて良かったと思えるくらいには。
「有馬ちゃん……かなちゃんの話を聞いたら私は12歳で引き取られたからまだマシだったのかな、なんて思うくらいだよ。……ムドくんが助けてくれていたんだろうね」
「……大切な幼馴染ですから」
「和也がいなかったら、きっとアタシは壊れていたと思う。誰も彼も敵だと思っていたはずだし味方なんて誰もいなかったと思う。……壱護さんとミヤコさん……アイさんの事ももしかしたらいつか家族と呼べる日が来るのかもしれないけれど、今家族と呼べるのは……和也だけだから」
その言葉を聞いて、アイが満足そうにニコリと微笑む。
それは今まで見てきた天真爛漫な少女そうな笑顔ではなく、明らかに慈愛に満ちた、女神の様な微笑みで。
思わず眩しく感じてしまう程だった。
「そっかぁ。偉いね、大切な人を一人でも守ろうとして、ちゃんと守ってきたなんて。大人でも出来るかどうか分かんないのに」
「コイツには一生笑顔でいてもらいたいんで。笑顔が一番綺麗だから」
「ちょバッ!? な、なに急に言い出してんの恥ずかしい……」
「ふふふ、仲良しさんなんだね。……本当に、かなちゃんの事今まで守ってくれててありがとうね。……なんて、勝手に言っちゃったけど大丈夫だった?」
「え、あ、そ、それは全然っ!」
「こちらとしても、当然の事をしてきただけですがそう言われるのは光栄です」
……この人はきっと、かなに昔の自分を重ねた上でお礼を言ってきたのだろう。
実の親から捨てられた悲しみを本当の意味で知った日の苦しみを知っているから、傍にいてくれてありがとうと言ったのだろう。
それならば、否定なんて出来るはずが無かった。
「あ、じゃあじゃあこれからは『アイお姉ちゃん』って呼んで!」
「……あ、アイ……お姉ちゃん」
「うん、完璧☆ 可愛いよ☆」
それに、家族が増えたみたいで俺様も嬉しいしな。
星野アイ
あかねの名前は間違えていたが(11話参照)かなの名前は間違えなかった
前話でメールを貰った時点で家族だと認識し始めたのが100%原因でありそれまではあかねと同等だった
自分と似た境遇とありアクア、ルビーとは別方向の愛でめちゃくちゃ溺愛し始める
壱護とミヤコの事は実の親同然に大好きな存在
本来は2人の名前もあやふやでB小町ともギスギスし始めていたが、ある日改善した
その鍵となったのは一体…?
アクア&ルビー
実の子としては複雑なところもあるが、それはそれとしてかなの境遇は知ってるから「思うところが全くない訳じゃないけどまあ良いか」となった