最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
「……ねえ」
「なんだー?」
「あかねちゃんさ、アタシのファンだったの?」
「つーかお前に憧れて演技の世界入ったんだと。それであそこまでやれるのは憧れ云々抜きに見ても天才だよ」
「ゆきちゃんが言ってた通り努力家なのねえ……」
今日は珍しく昨日から連続してオフの日だった。
逆にノブももっさんも仕事が入ってた為自然とかなと集まり、話はあかねちゃんの事となっていた。
ゆきちの話によればやはり誹謗中傷で心を病んでしまったのか顔色が悪いらしい、学校には行っているらしいが……
「……あの子は真面目過ぎんだよ。だから全ての誹謗中傷を隅々まで見ちまう、全部自分の責任だと背負い込んじまうんだよ」
「学校で虐められてなきゃ……良いんだけど」
「ま、無理だろうな。ネットの反応見ただろ? いつも仕事で学校に来れないだけで陰口……それも特に女子に叩かれてるって苦しそうに語ってたからな」
「酷いもんねぇ。仕事だからって学業疎かにしてる訳でも無いんでしょ?」
「逆だな、めちゃくちゃ頭良い。調べたところ通ってる学校もエリート進学校ならその平均偏差値も軽く超えてる」
「尚更言われる理由が分からないじゃない……」
「俺にはどうする事も出来ないのか……あんな弱ってる人間をどうする事も……」
エリート校と言われていても特に同性からの当たりが強いんじゃ笑いもんだなと内心で舌打ちをする。
いくら天才の俺様でも全てを救う事は出来ない、何も出来ない事が何よりの悔しさを俺に与える。
「あーもう! むしゃくしゃするわね! こうなったら行くわよ!」
「……マジか」
しかしそんな時、かなは俺よりも天才になる。
コイツは本当に困ってる人間がいる時は考えるより先に行動に移す、俺が考えるリスクよりパッと思いついたリターンを優先するからだ。
それでいて成功させるのだから本当に分からん奴だが……
「大マジよ! 一人で抱え込む様な子なら気持ちが少しでも分かる共演者でちょっとは仲良くなったアタシ達がいた方が何とかなるでしょ!」
「全くお前は、だから面白いんだよ」
「で、アンタは行くの? 行かないの? どっち?」
「お前の企みに乗らなかった事があったか?」
「それもそうね、昔からアンタはずっとそうだから気が合うのよ! よし、それじゃ今から行くわよー!」
「……ほんと、善は急げを地で行くなお前は」
子役時代はあんな生意気だった癖に、ほんと面白い奴になったもんだと目の前の幼馴染に笑みを零す。
「どうしたのよ、そんなニヤニヤして」
「いーや、なんでも。それより行くんだろ?」
当たり前でしょ! とまたドヤ顔し出すかなに引っ張られる俺は、相変わらずの笑みを零していた。
ってな訳で早速飛び出してきて家の目の前まで着いた。
あまりにも素早いかなにちょっと引いてしまっているのはここだけの話。
「そういやあかねちゃん、家族には仕事の話進んでしないって言ってたけどその辺も心配になるな」
「いやほんと背負い込み過ぎ……」
そして躊躇無くインターホンを鳴らす。
その話聞いて尚且つそれが出来るのは俺の周りでお前だけだよ。
『はい……どなたでしょうか』
「あ、私今あかねちゃんと共演させてもらっている者でして……そこで仲良くさせてもらっているので心配で来てしまいました」
『共演……あ、ああ……あの子ったら仕事の事何も言わないものだから……もしかしてあの子、何かご迷惑を?』
「いえ、そういう訳では無いんですけど不可抗力の事故がネットで炎上してしまって……今もう一人いる共演者に助けてもらったんですけどやっぱり止まらなくって」
「ある程度のフォローは出来たのですがね……」
『そ、そうなんですか……もう……それなら私にくらい話してくれても良いのに……母親なんだから』
しかしあかねちゃんのお母さん、やはりと言うべきか仕事の話はあまり聞かされていなかったみたいだな。
意図して言わずに危険な世界から遠ざけていたんだろうが、母親ってのは子どもの事は大切に想うもんなんだよ、普通は。
だからあかねちゃんのお母さんみたいな反応が『本来のあるべき母親の姿』なんだよ。
……そう、あんなおぞましい……俺の大切な存在を踏み躙る様な奴を母親だなんて認めてなるものか。
話を戻そう。
様子をわざわざ見に来てくれたのに立ち話もなんだからと、招き入れてくれたご厚意に預かりお邪魔する事になった。
……温厚で優しそうなお母さんじゃないか、あかねちゃんは家庭環境には恵まれているのだと安心してしまう。
「わざわざごめんなさい、押しかけてしまって」
「いえいえ、あかねったら学校でも上手く行ってないのかお友達もゆきちゃんだけで……仲良くなってくれてありがとうね……ええと」
「俺は無道和也と言います」
「アタシは有馬かなって言います」
「和也くんにかなちゃん、本当にありがとう」
頭を下げるお母さんに、二人揃って慌てて頭を下げる。
この人を見ていると、あかねちゃんの人柄の良さや礼儀正しい姿勢はお母さん譲りなんだろうな、と感じてしまう。
と、ここでもう一つインターホンが鳴る。
「あら、今日はお客さんが多いわねぇ」
そうやってインターホンに出ると『あらあらゆきちゃんも来てくれたの?』という声が。
「ゆきちも来るとはな」
「あかねちゃんの一番の理解者って言ってるくらいだし、そんな親友を助けたいって思うのは自然よね」
「だな」
暫くすると当のゆきちも中に通されてきたのかとてとてとやって来る、そして俺達と目が合ってビックリしている。
そりゃそうだろうな。
「カズくんとかなっちも来てたの?」
「何たる偶然、というやつだな。俺様達も今日来たのは突発的な決め事だったからな」
「やっぱり心配よね」
「……毎日顔出さなくても良いってのは分かってるんだけどなあ。どうしても心配になっちゃうのよね」
「みんなありがとうねえ、うちの子の為に。あ、ほら会ってきてあげてくれないかしら……私じゃ仕事の事は疎くて」
「俺達にお任せあれ」
「あかねの一番の理解者はあたしだからね? あかねのマネージャーさんからも託されてるし」
ワイワイと賑やかになってきたところであかねちゃんの部屋まで案内される。
どうにもここ数日は学校にも無理矢理行っていたがその度に顔色がどんどん悪くなっていって、部屋から出る回数も極端に少なくなっていたそうな。
……ったく、ほんと真面目な奴ほど割を食う業界だよ、芸能界ってのは。
「……あかね、大丈夫?」
「ゆき……ご、ごめんね毎日様子見に来てくれて……」
「今日はアタシ達もいるわよ」
「ちょっと心配でね」
「あ、有馬さん!? それに無道さんまで……」
かなり参ってる声色ではあったが、かなに食いつく辺り心が死んでるという事は無さそうだな。
「入っても大丈夫そう?」
「う、うん……」
しかし勢いで来たは良いが、冷静に考えて女子の部屋に入るというのは大丈夫なのだろうか。
かなの部屋にはたまに入ってるがアレは幼馴染だからいつもの事としてお互いそういう認識はしていない。
「本物の有馬さんだ……」
まあ、今は大丈夫という事にしておこう。
「いや共演してるわよねアタシ達?」
「そ、その近づく機会が無くて……」
「そんなの言ってくれたらいくらでも話したのに。ま、今からでも遅くはないけれど」
「ね? 言った通りかなちゃんなら大丈夫だって」
「うん」
俺は出番無さそうだし今は隅にいてやるとしよう。
女性陣の絆を眺めるというのも悪くないものだしな。
「……来て早々言う事じゃないかも知れないんだけど、そうやってたまには好きな事だけ感じるってのも悪くないんじゃない?」
「……良い、んでしょうか。私のせいで炎上してるのに」
「あんなの、過剰に炎上させたい連中が無責任に言ってるだけよ、そんなの見ても意味は無いわ。元ファンとか言ってる奴も信じなくて良い。ネットなんて嘘だらけなんだから、ポジティブな事だけ信じてれば良いのよ」
「有馬さん……ありがとう……ございます。少しだけ、心が救われた気がします」
この後も俺の出番は無かったがまあ良いだろう。
こうしてあかねちゃんが救われたのならば、それで。
俺様は何せ空気も読めるからな。
無道和也
割と真面目なところもある
昔からかなと色んな遊びや企みをしてきている為彼女に多大な影響を与えている
有馬かな
和也と昔から一緒にいた影響で原作比でポジティブ感と直感的行動が多少目立つ
あかねともこの延長で行動したのが幸いし原作より大幅に仲良くなる
黒川あかね
かなと和也の行動により二人の事も好意的に見始め、精神もかなり持ち直す
原作比相当救われている
鷲見ゆき
基本的な性格は等身大のJKだが相変わらず聖母が漏れ出ている
あかねのマネージャー
人畜無害だが有能という程でも無く、フォローが逆に苦しめる結果となっていた
あかねを想う心は本物
劇団ララライ社長
あかねの事務所社長
めちゃくちゃ怖くて厳しいがこの最悪の事態を予見して言っていたというタレント想いな男
星野アクア
心配しなくてもこの後あかねとのフラグは立ちます