最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
その代わり一気に吹っ飛んだ原作中の消えた半年の中を少しずつ書いていくんですけど
年度が変わり4月、学生とは言ったものの俺様は相変わらず通信制高校な為特段変わった事というものは無い……学生レベルではの話だが。
というのも、姫川に話題を持ってかれたにせよ世界的知名度のあるランク2位の式典で主演男優賞総合最優秀賞を獲得したのだから当然と言えば当然だがめちゃくちゃ仕事が増えた。
朝から晩までドラマに映画に引っ張りだこ、空き時間でAtoZに出演したりバラエティ番組に食レポも出演、俺様がドラマ主演、AtoZが主題歌を歌うという構成のドラマもあったか。
食レポは色々と気を回す場面も多くて疲れたがその分良い成果も取れたな。
……バラエティと言うと直近では著名な芸能人が寺で煩悩を祓ってもらう番組でAtoZが出演したっけ。
「んでそこの坊さん、テレビで見た感じより生で見た時のがやっぱ威圧感みたいなの? あったわ、背低いけど圧倒されたってーかな」
「和也が一番叩かれてたよね、一番叩かれないと思ってたけどそういや一番叩かれるのは当然だったな〜と」
「どうしてそうなる!? 確かに人付き合いでの多大な煩悩と言われはしたものの心当たりは」
「はいかなちゃん」
「それしか無いよね」
「……い、いくら幼馴染と言ってもそんな」
「四六時中頭ン中かなちゃんだらけだろどうせ」
「家族の事だし微笑ましいっちゃ微笑ましいけど……」
YouTubeの生放送でも今話のタネになってるこれが、その件の話だ。
ロケが帰国2週間後、オンエアが今から3日前でかなりウケが良かったのでこうして裏話みたいな事を話している。
「なんだ何が言いたい?」
「幼馴染にしちゃ毎度距離近いよな……それはそれで楽しそうで何よりなんだがな、うん」
「叩かれてたの、その時点で10日丸っきり会えてなかったのが原因としか思えなかったよね」
「まるで俺様が心底かなの事を好きでいるみたいじゃないか」
「実際そうとしか思えんだろ〜、ぶはは!」
「というか女の子とのプライベートな付き合いある程度公開して叩かれてない男性アイドル世界で和也ただ一人だと思うよ……しかもお相手現役女性アイドルだし」
「小さい頃から何するにしても一緒だったのは俺も知ってるしな」
裏話だったはず……なんだがな、何故か話が俺様とかなの話にシフトチェンジしている。
チャット欄でも『この2人は寧ろ一緒にいてもらわないとしっくり来ねえ』『最初「何この女!?」ってアンチになり掛けてたけど今じゃすっかり和かな教です❤』『和かな最強!』『最近報告上がらないけどもしかしてあそこからずっと会ってないの?』等有難いやら苦笑いするやらで。
だが一つ返したいコメントが見えていた。
「そうだな、最近はめっきり会ってない。それこそあの寺に行く10日前が最後に会った日だ」
そう、あれからというもののかなには全く会えていない、それこそファーストステージから東ブレオファーの間までもあんまり会えていなかったがそれとは違う、本当に会った回数が0なのだ。
ああ言った手前、俺様がかなの邪魔をしてアクアとの距離が縮まらないとかやらかしたら首吊る覚悟があるくらいだからな。
徹底的に会わない様にしている、かなには仕事とか収録とか言ってかわし続けているがそろそろ保たないと思う、主に俺様のメンタルが。
「マジ? 和也って定期的にかなちゃんと会わないと消滅すると思ってたわ」
「ノブにとって俺様はどういう扱いになってんだよ」
「え? 傍から見ればラブラブカップル」
「慣れてる人間からしたら『いつもの事』だけど、初めて見た人間からしたらあれは火力高過ぎるよ……」
「解せん、一般的な幼馴染は膝枕とかあーんとかしないものか? ……待てよ、クリスマスデートもしないのか?」
「普通の異性の幼馴染は成長するに連れて距離感掴みかねるもんだし普通のデートもしないよ……」
「誰かブラックコーヒー持ってきて?」
「馬鹿な……!?」
それはさておくとして、俺様は今驚愕の真実を知ってしまった。
幼馴染は膝枕もあーんもクリスマスデートも普通のデートもしないらしい、おかしいそんなはずは……今まで何も言われてこなかったのに……
コメント欄も『なんで驚いてるんだよw』『かーくんとかなちゃんだから許されてるイチャイチャだってのは自覚しようね?』『恋人でもないのにそれはもう少女漫画の世界だよ……』『かーくんみたいな幼馴染欲しかった』『このカップリングを見守るだけの壁になりたかった』『尊い……!このカップリングマジ尊い……!』と盛り上がっているが……馬鹿な、本当に俺様の認識が間違っていたのか……!?
「俺様がおかしいのか……?」
「ま、でもそれでかなちゃんが幸せそうなら良いんじゃね? 事実幸せそうな顔してるしさ」
「あんなに楽しそうにされてたら正直、幼馴染パワーもあって炎上させようにも出来ないね」
「まあ……それなら喜んでおくとしよう」
そう言われると少しアクアと付き合わせようと画策してるのが罪悪感湧いてくるんだがな……難儀な話だ。
世間的には俺様とかなが付き合うのを望んでいるのかも知れないがそこはアイツの気持ちが最優先だからな、俺様は何を犠牲にしてもアイツの幸せを応援するし実現させると決めてるんだ……何度でも言うがそれは自分の気持ちでも、だ。
そんな俺様の気持ちは全く素知らぬ連中は『いつ撮られてても凄く楽しそうにしてるもんね』『かなちゃんがアイドルとして成功してる理由、ムドーのお陰説』『あれだけ可愛い表情出来たらアイドルも出来るよな』『和かなで付き合うなら許す、というかそれ以外私は認めないからね』などと好き勝手にコメントしていたが。
「コメ欄もお前とかなちゃんなら付き合っても許すんだってさ、良かったなー」
「世界で唯一だよ現役男性アイドルと現役女性アイドルのお付き合い認めてる層が9割以上占めてるファン層……」
良いのかお前ら本当にそれで。
一応俺様もかなも現役アイドルなんだぞ、ほらもっとアンチとか来た方がそれっぽくなるだろ絶対。
いや来られても困るんだがこの異様な団結力なんなんだよ。
「お前ら現役アイドル同士の話なのになんでこんなノリ良いんだよ……」
『そりゃおめぇ、子役時代から2人の事見てきてるから当たり前だろ』
『子役時代知らなくても後からエピソード聞いたら普通はこうなるぞ』
『かーくんの王子様っぷりに惚れてファンになったからかなちゃんの事嫌いになんてなるはずない』
『悔しいけどかなちゃんといる時が一番良い顔してるもん』
「スマン、俺様には世間が良く分からないらしいわ」
だからどこまでノリノリなんだお前ら……
この後配信終了まで弄られ続けたのは言うまでもないだろう。
「うぃーす亮介、遊びに来てやったぞー」
「遊びに来るも何もここ実家だろ」
スタジオでの配信が終わり今日のドラマ撮影なんかも片付き夜、最近は自分の家……事務所が持ってる家だが、ではなく亮介のいる実家の方に帰ってる事がある。
隣家が忌々しいあのかなの母親が住んでいた家だから今まであまり帰らないでいたがどうせ今は住んでいないのだから気にする必要も無いだろう。
「つかなんだ、またかなちゃんとしばらく会ってないのかその感じだと」
「……まあな。これもアイツの為だと思ってるから良いんだけど」
「アイツの為、ね……ほんとに会わなくて良いのか? 多忙の和真さんや奏子さんより余程ずっと一緒に過ごしてきたんだろ」
「心配してくれんのは有難いけどな。俺様だってやりたくてやってる訳じゃないし。でも世の中我慢しないと行けない事の方が多い、これもそういうもんだと思ってやってんだよ」
格好良く言えば達観、本音をそのまま垂れ流すなら諦観とすら呼べない大人っぽく言ってるだけの言い訳がましい言葉の羅列。
ゆきちからは「恋愛はワガママなものだからねえ」とかその後には「もっとワガママに求めちゃっても良いんだよ」なんて言われたがそれでかなに嫌われたら元も子も無いからな。
臆病者だと笑いたくば笑えば良いさ、最早俺様はゆきちのアレを通して既に吹っ切れたのだから。
「まあそれなら良いんだけどよ。なんというか、そういう判断して後から後悔して欲しくないんだよ俺としては」
「なんだよヤケに心配するじゃん」
「あー……はあ、仕方ないな……」
しかし何故か亮介の奴は妙に心配してくるな。
心配してくれるのは嬉しいがいつもはここまで気にする事もないだろうに。
「今からちょっとした知り合いの昔話ってのしてやるよ。そいつは後悔を背負って過ごしてる一人の男の話なんだが」
「なんだ、そこまでして変なもんでも食った?」
「うっせぇ! ……ま、とにかくちょっくら聞いてけ」
だがここまで言われて断るのも忍びない、亮介の話だから聞いてやるとしよう。
はてさて何の話が飛び出すやら……
無道和也
最近では女性ファンから『かーくん』と呼ばれ始めた
男女共に大抵は和かなカップリング推しらしい
某レジェンドアイドルの某諸星のかーくんとの関係性は無い