最愛の幼馴染へ   作:有馬かなを幸せにし隊

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今回はケンゴ×メッさん


『彼女に好きだと言ってもらいたくて』

「……これが俺の気持ち。好きです、貴方の事が」

 

「うう〜ん……ごめんっ! お友達として過ごしたいかな〜って」

 

「あ、うん、だよなあ……」

 

 

 もう一年も前の話、俺がメムに一目惚れして、仲良くなっていって、そしてあっけなくフラれて。

 恋愛リアリティショーだから安易なカップル成立は無いというのは分かっていた、それでも俺は惚れた女の子に少しでも振り向いてもらいたくて、途中から『仕事上でのゆきちゃんへのアピール』から『ガチで好きになったメムへのアピール』になっていた。

 今思えば安易な行動に出てしまったと思っているけれど、それのお陰か今でもメムとは仲良くさせてもらっている。

 食事なんかも共通の友人と行ったり、今ガチメンバーと集まった時も良く話したりしたり。

 

 ……でも、ここまで一度も2人きりでのデートはしていない。

 

 それはそうだ、彼女はだってB小町だ、アイドルだ、しかも今は俺もアイドルになっている。

 なら、ファンを裏切る事は出来ない。

 2人きりで会うなんて無理だ……と、思っていた。

 そう、この案件を貰うまでは。

 

 

「うひゃー、ほんとにここ丸一日貸し切りかよ」

 

「これならファンの目とか気にせずに楽しめるね〜ノブくん」

 

「この企画持ってきたディレクターは正しく神だな、この俺様が断言しよう」

 

 今回企画されたのは『新しくオープンする予定のテーマパークで芸能人が貸し切りで一日遊んでみた』というもの。

 この企画はテーマパーク以外でも行われており、何回か企画されていたんだがディレクターが今ガチのディレクターで

 

『じゃあ丁度企画やるの一年前の一番話題になった今ガチメンバーの収録時期だったし振り返り兼ねて集めちゃおうか 』

 

 となり、今ガチの振り返り企画とコンボで行われる事になった。

 

 つまり、つまりだ。

 

「それじゃあ各々『当時のカップリング』でも良いし男同士女同士遊んでも良いから沢山撮ってきて! あ、ガチカップルのイチャイチャする時とかはカメラに気を付けてね! それじゃ行ってらっしゃい!」

 

 今日だけは、合法でメムと2人きりになっても許される……!

 やっとデートらしいデートが出来る、そう思うと高まってしまう……あの中だと一番女の影が無いなんて言われているがそれは一番デート出来てないだけなんだからな。

 他の連中が羨ましいよ……

 

「あ、ケン〜一緒に回ろぉよぉ〜」

 

「うん、良いよ。どこ回る?」

 

「最初はやっぱり定番のコーヒーカップでしょ」

 

「回し過ぎて目回さない様にね」

 

「はいは〜い」

 

 うん、やっぱりメムは眩しいなあ。

 小柄で天然癒し枠、みんなを朗らかに照らす春の太陽みたいな存在。

 そんな笑顔に一目惚れしたんだもんな。

 

「……ここ、超高速回転ボタンって書いてあるけど」

 

「押したら多分後悔するんじゃないかなそれ」

 

 こういうお茶目なところも、ね。

 

「次はどうしよ」

 

「お化け屋敷行ってみない? ここ確か和風じゃなくてアメリカンなゾンビとかも出てくるみたいだけど」

 

「お化け屋敷の概念に挑戦してるねえそれは……」

 

 ところでメムってお化け屋敷とか怖がるタイプなんだろうか。

 正直なところ想像が付かない、付かないけれど……男なら好きな女の子とお化け屋敷に入りたいと思うのは当然の感情だろう?

 何かアメリカンなゾンビの看板があるのが本当にお化け屋敷なのかっていう一抹の不安を煽るけど……多分、多分大丈夫なはず。

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

「ふぅ、楽しかったわね和也!」

 

「お、俺様はだから和風ホラー要素は苦手だと……」

 

「良いじゃない楽しいんだから! あ、メムに森本くん! 2人もここ?」

 

 先客がいたらしい、肩で息をしながら青ざめる和也とあっけからんと意気揚々に出てくるかなちゃん。

 そう言えば和也はアメリカンホラーは得意だけど和風ホラーは大の苦手だった、AtoZの企画でやったホラーゲームも洋風なら何事も無くクリアしていたのに和風になった途端まともにプレイ出来ていなかった程だった……数字は爆伸びしたけど。

 

「うん、そだよ〜。楽しかった?」

 

「めちゃくちゃ楽しかったわよ! ほんとオススメ」

 

「それはそれは楽しみですな〜ケンさん」

 

「ああ、凄く楽しみだ。……和也はその、ドンマイ」

 

「ふ、ふふ……2人ともこの館をナメるなよ……結構本気でヤバい……」

 

「そ、そんなにか……?」

 

「ああ……本当にヤバい……待てかな今は引っ張られると間違いなく抵抗が出来n」

 

 プルプルとまるで生まれたての小鹿の様になりながら俺とメムに注意喚起をしてきた和也には説得力しかなかった。

 ズルズルとかなちゃんに引っ張られる姿は満更でも無さそうというか凄く本望に見えたから良いんだけど……というかあの2人の雰囲気見てる限り絶対両思いだよね?

 

「……よし、行こっか」

 

「そうだな」

 

 取り敢えず俺達に出来るのは、和也への合掌だけだった。

 気を取り直してお化け屋敷の受付へ行く。

 

「2名様ですねーではこちらのショットガンをお持ちください」

 

「はぁ……はい?」

 

「お化け屋敷なのにショットガン……?」

 

 待て待てなんで受付でショットガンを渡されるんだ。

 ここお化け屋敷って言ったよな、言ってたよな?

 本当にお化け屋敷で良いんだよなここ?

 

「では、逝ってらっしゃいませ!」

 

「何故だかその『いってらっしゃい』に悪意を感じたんだけど気のせいだよね? 大丈夫だよね?」

 

「ううーん、凄く気になるけど仕方ない! なんか楽しみだし!」

 

 メムは順応早いな、流石有名インフルエンサーなだけあって適応能力が高いと感心してしまう。

 俺としてもガンシューティングなんて男子たるもの心踊ってしまうものだし良いんだけどさ。

 

 さて、中はどうなってるやら……

 

 

 

「な、なるほどっ! お化け屋敷の中に突然現れたゾンビだけこのスポンジ弾で撃ち抜けばポイントが入る、と!」

 

「そして手に入ったポイントで割引き券が貰えるんだねぇ~、一日一回挑戦ってこういう事だったのかぁ」

 

「でもっ、結構本格的な難易度じゃない!? 視界もあんまり見えないしゾンビの配置もランダムっぽいし」

 

「分かる〜やりごたえ的な? キッズ難易度みたいなのもあるから子どもでも楽しめそうなのがグッドかも!」

 

 結論から言おう、凄く楽しい。

 お化けの中から突然出てきてエンカウントバトルみたいになるゾンビ、つい熱が入ってしまう。

 オマケに2人で思い切り騒げるからめちゃくちゃ良い、ありがとうこのテーマパーク、ありがとうディレクター。

 こんなデートがしたかったんだ俺……

 なんかお化け屋敷感は全くないし八割ゾンビパニックだしどちらかと言うとゾンビパニックで売り出した方が良いとは思うけどそれはそれとしてありがとう良く分からないお化け屋敷。

 

 

「はー沢山遊んだらお腹空いちゃったね〜、という訳で来たのがこちら!」

 

「ここが一番のウリみたいだけど……って確かにデカいパフェだなこれは」

 

「でしょ〜? こういうの女子の憧れなんだよぉ~はいあーん」

 

「え!? 流石にそれはまずくない!?」

 

「いーのいーの、まだ私口付けてないしスプーンも別だから、ね」

 

「……わ、分かったよ」

 

「美味しい?」

 

「……美味いよ」

 

 そんで出てきたら出てきたで早速割引き券でパフェ買って……あーんはちょっと流石に大胆すぎじゃないかなあなんて思ったりもしたけど……大丈夫って言うなら大丈夫だと思っておこう。

 決して自分の欲に負けたとかでは無い、多分、きっと。

 

 

「ふぃ〜沢山遊んだねえ」

 

「だな」

 

 そうして食後も色んなとこに行ってワイワイと騒いで、そろそろ日も暮れてきた。

 撮影終了時間まで残り1時間も無い、か……

 

「そろそろ最後かな、残り30分くらいはまったりしたいし」

 

「……じゃあ、観覧車行くか」

 

「お、良いねえ」

 

 多分、これが最初で最後のチャンス。

 何年アイドルを続けるか分からない彼女に告白するなら……リベンジするなら……今しか無いはず。

 ゆっくりと回るそのテーマパークを象徴するそれに乗り込む、もう後戻りは出来ないぞ……と撮影終了と保存をしてカメラをカバンに入れる。

 

「およ? カメラ片付けるの?」

 

「……まあね、ちょっと個人的に話したい事あるしさ」

 

「……そっか」

 

「前、さ……話してくれたじゃん、メムのお父さんの話とか年齢の話とか本名の話とか、さ」

 

「したね」

 

 実のところこれの収録数日前、通話で話したい事があると言われて聞いた話はまあ……衝撃的だった。

 まず同年代だと思ってた年齢が7つ上だった事、実のお父さんの話、昔々の幼馴染の話……最初に和也にしていたのも聞かされた時は嫉妬したけれど、アイツは聞き上手だし距離感も上手く取れるから仕方ない。

 

 で、この話を聞いて「和也以外に話すのは今のところケンにだけ」だとよ。

 どういう意味なのかってドギマギしっぱなしに決まってるだろこんなのさ。

 

「……俺に話してくれたのってさ、単なる善意とか?」

 

「それは無いよぉ。だったら先にB小町の2人に話してる。ケンは真面目で優しい子で、信頼もしてる。だから話しても良いって思ったの」

 

「だとしたら照れるな。……俺、本当に嬉しかったんだ。メムから信頼されてるって事、あんなに大切な思い出を話してくれた事」

 

「うん」

 

「――好きな人から、こうやって肩を預ける様に寄りかかってくれる事」

 

「うん……」

 

 こうなったら当たって砕けろ、だ。

 俺の全てをこの子に、好きな人にぶつけるんだ。

 

「俺は、メムの事が好きだ。あの日、今ガチで告白した時も本気だった。今も、それは変わってない」

 

「私もケンの事はカッコよくて真面目で、それでいてちょっとおちゃめで、弾き語りしてる姿が好きだよ……異性として。でも私、もう26のおばさんだよぉ……? 付き合うにしてもすぐ30になっちゃうしさ、ケンならもっと若くて美人さん捕まえられるんじゃない?」

 

「違う、年齢とか美人とか、そういうのじゃない。俺はメムの暖かい太陽の様な笑顔とみんなを元気にしてくれる気遣いや優しさに惚れたんだ。もし嫌じゃなかったら来年のメムの誕生日に籍を入れたい」

 

「ぇ……ぁ……ぅ……その……ほんとに……?」

 

「俺はまだ19の若造だし至らないところも沢山あると思う。もしかしたら困らせる事もあるかも知れないし、君も俺もアイドルだから色んな障害があるかも知れない。それでも、俺はメムを……いや、恵美を幸せに、2人で幸せになりたい」

 

「……そ、その、こんな私で良ければ……もらってやってください……」

 

「ありがとう……めっちゃ嬉しいよ……」

 

 良かった、やっと言えた、そしてこの人を幸せに出来るのだと思うと幸福感が内側から溢れるのを抑えるのも一苦労だ、まだ最後の〆で集まってからの撮影があるから気をつけないとな。

 

「よいしょっ、行こ〜ケン〜!」

 

「おうっ」

 

 でもまあ、今日くらいちょっと浮かれてても許してほしい。

 だってこの日は世界で一番嬉しい日なんだからさ。




無道和也
2話連続でおいたわしい姿が目撃されたが原因はゾンビではなく、普通にお化け屋敷要素の幽霊だった
今回は幸せそうに引きずられていったから多分平気だと思う

森本ケンゴ
一番出遅れてた感あったキャラなのに気付いたら全員ごぼう抜きで告白どころかプロポーズまでやっていた
メッさん翌年27歳だから捨てられると思ってる不安感を払拭する為、森本ケンゴ19歳で覚悟の入籍決意であった

MEMちょ
実は少しずつアタックされてた事には気付いていたものの年齢差で1歩引いていた…が、一気に入籍の話までされて本気度合いを見せつけられて無事ノックアウト、お幸せに
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