最愛の幼馴染へ 作:有馬かなを幸せにし隊
しかし物事は全てそう上手く行く訳無いんだよ
「は? なんで初回放送のコメ欄が妙に荒れてる訳?」
『ホットな話題放送局』は所謂極限まで編集が無い番組だ。
字幕は付けるが後は映しちゃいけない他版権のものやコンプライアンスなものを探してカットやモザイク処理をして、見やすくカット編集をするくらいだ。
後は素材の良さだけで勝負のネット番組ならではの素朴な番組、そんな訳でロケハンは帰って即編集、3日で仕上げて4日目には放映される。
あとオマケでそこから不定期に次の放映が来るまでに未放映のオマケ動画が上がるらしい。
そんな番組は和かなという妙に人気なコンテンツがウケ、ネットを主な生息地とする連中にもネット配信なら手頃だと視聴数は放映数時間後というのに相当なものとなった。
エゴサの際にも良い意見や感想を良く見たのだが……徐々に何故か荒れ始めた、全く理由が分からん。
「なあマネちゃん、これなに?」
「ああ~やっぱり荒れたか……」
「理由知ってんの?」
「知ってるも何も原因はメイヤだよ」
「メイヤ……は? あのちょっと際どいコスプレしてたお姉さん?」
事務所でうんうん唸ってるとマネちゃんが来たから話を聞いてみたところ、心当たりがあるらしい。
どうにもメイヤが関わってるらしいが……確かにあの日深掘れのゲストとして出会ってるが何かあったか?
「そう。あの子のツイート見てみな」
「分かった。どれどれ……」
おいおい何か嫌な予感がするぞこれは。
Twitterとかちょっとした事が火種になる様な場所なんだから発言には気を付けないといけないっつーのに。
下らない事であれと検索し、辿り着いた先には……
『やっぱりテレビって最悪。露出系だからって下にみられてる。
東ブレコスの取材っていうから受けたのに当日になってオリジナルで〜とか言われてレイヤーへのリスペクト一切感じられない。
準備どんだけ大変かわかってんの?正直ショック……しばらくレイヤー活動も控えようと思ってます……』
「全て察したよ!!! 最悪だよ!!! 巻き込まれ事故だよこれ!!!」
最悪……この一言だった。
放映のタイミングと合わせるかのようにされたツイート、その中にある『東京ブレイド』の文字、深掘れ☆ワンチャン!! の方では出来ず急遽変更されたというコスプレ内容、そんで鉢合わせた俺様達はその東ブレのコスプレで全力で遊んでいた。
ここから導き出される答えは……
『自分の発言をバズらせる為に敢えてツイートを控えて
という事になる。
あ、あの女……無関係なこっちまで巻き込んできやがったな……
「確信犯だよ、こっちから問い合わせようにも和かな情報局の方への言及はしてないから99%そうだと分かってても濡れ衣と言われたら寧ろこっちの印象がガタ落ちだ」
「クソ悪どいな……いや待てあの番組どんな通称になってんだよ」
「まあそっちの方が言いやすいからな。んでメイヤだが、前々からそう言った暴露系のツイートが多く、一番バズるタイミングであるなら多少巻き込んででも行うのも確認されてたんだ」
「先に言うとこっちのは編集で全カットされるからって……!」
そう、直接的にこちらへの言及は無い。
無いのだが、頭が良いんだか弱いんだか分からない一部の扇動されやすいゴミみたいな思考した
『なんでこの人は出来てあの人は出来ないんだ』
『きっと原作者に許可取ったのも嘘』
『卑怯』
『不平等』
等とな。
「とにかくこっちで鮫島先生にも連絡取っておくから、取り敢えず下手な事はツイートとかSNSで言わない様に」
「分かってる。こっちはこっちでかなにも連絡取らないといけないからな。ったくなんでこんな事に……」
激怒したい気持ちはある、あるにはあるがそんな事後ででもいくらでもやれる事だ。
まずやるべきはかなへの連絡だ、同じ冠番組でやってる以上かなへの攻撃も必ずあるんだから。
「あ、かなっ。今大丈夫か?」
『うん、今丁度壱護さんと炎上どうするか話してて終わったとこだし』
「そうか。社長さんはなんて?」
『とにかく今はSNS使用は控える事、これ以外は何しても変わらないだろうから普通にって』
「了解、俺様はこの後ディレクターにも連絡入れてちょっと話し込む可能性があるから一緒には帰れん。大丈夫だとは思うが気を付けて帰れよ」
『へーきへーき、大丈夫よ。でもありがと、がんばって』
「おう、んじゃな。おやすみ」
『うん、おやすみー』
かなは大丈夫だと言っていたが、俺様としては一番心配なところだ。
事実として一年前の今ガチではあかねちゃんが炎上して誘拐されている、こんなクソみたいな巻き込まれ事故でも何か無いとは限らないから帰ったらまた電話掛けてやるとするか……
「よし、次はディレクターだな……っと、もしもしディレクターすか?」
『無道君か、本当に申し訳ない……こんな事になるとは』
「謝らないでくださいよ、あっちが勝手に燃やしてきたんだから悪く無いでしょこっちは」
『そうだが、メイヤ氏のあの言葉を聞いていたスタッフが何も警戒していなかった事にもなる……』
「まあ、それはこれからはって事にして今回はスタッフの事許してやってください。それよりもこれからどうするか……」
『そうだな……』
電話に出たディレクターは結構焦燥していた。
それもそうか、一年前あかねちゃんが炎上して誘拐、殺人未遂事件にもなったあの事件の今ガチのディレクターでもあるんだからな。
そう思うとこうなるのも無理は無い。
「取り敢えずウチのマネちゃんが原作者の鮫島先生に連絡を取ってるところですが、番組としては休止とかは」
『それだけは無い。それをすればこちらに直接的な不手際があったと認める事になる。俺だけならまだしも君達やスタッフが叩かれるのはもう……あの時したくないと決めたんだよ』
変わったな、と率直に感じる。
今ガチであの炎上が起きるまでは数字に拘り続ける人だったのに、若い情熱に当てられてすっかり変わっちゃって。
でも、そういう人が芸能界にいるってのは心強い。
何せ闇も光も知ってるならどちらの知識も豊富なんだからな。
「変わりましたね、ディレクター」
『……そうだろうか』
「心外ですか?」
『いいや……悪くないよ。はぁ……よし、ここからは大人の仕事だ。次の収録は来月だけどいけるか?』
「聞くまでも無いでしょ? ディレクターは俺様がかなに弱いの、知ってるでしょ」
『はは、いやそうだったね。それじゃあまた収録を楽しみにしてるよ』
「こちらこそ」
本当は俺様が電話する必要は無かったが、色々と縁があったからな。
こういう人の事はついつい心配しちまうんだよな、余計なお世話と言われればそれまでだが。
「さて、やる事もやったし帰るか」
今日はもう収録も無い、ドッと疲れた身体を解すように肩を回し、深呼吸、スっと少し疲れが抜けた様な気がした。
このまま後は平穏無事に終わってくれたらもう何も言わないんだがな。
しかし、この思いはあっさりと打ち破られる事となる――
「ふぅ、何かいつもより疲れた気がする……」
帰ってきて一通り済ませ簡単にかなが作って渡してくれた作り置きの飯を堪能してソファに身体を預け一息。
こと炎上にはピリピリしがちな俺様だが、これには理由がある。
かなが所謂元いた事務所と母親から見放された時、失敗した時だ。
俺様達の事情を知っていた元より住んでいたネットの民達は叩く事は無かった、寧ろ色々と心配してくれたり励ましてくれた。
問題はあまりそれを知らない連中だった。
声のデカいアンチの言葉に扇動され乗せられ、かなに心無い言葉をぶつけてきた。
後々主犯格となったアンチは開示請求と名誉毀損で葬られたが、そういう事がありずっとかなの絡む炎上には神経質になっていたのだ。
「あ、そういやSNSやるなって言われてたから電源切ってたんだったわ」
スマホを取り出して画面をスライドさせる……とその前に、電源が入ってないのに気が付いた。
発言禁止令が出ている以上やる意味も無いと切っておいたのだった、しかしかなの事は心配だし寝る前に掛けといてやるかな。
電源を付ける。
「……は?」
そこには大量のかなからの着信。
俺様は困惑する前に本能でかなへコールをしようとして……逆にあっちから来た。
「和也!?和也ぁ!!だずげでえええええええ!!」
「は!? いやどうし……分かった、通話は繋いでろ! 今から迎えに行く!」
かなが、泣いていた。
一瞬鼓膜が吹っ飛ぶんじゃないかという勢いで叫んできたので怯みかけたがそれより何より俺様の大切な幼馴染が泣いているという事が思考を冷静にさせた。
理由は分からない、それでもかなが泣いているたったそれだけの事で疲れ切っていた身体に力が入る。
……誰が、何が泣かせたかは分からない。
だが……もしもそんな存在がいたとしたら……
「文字通り殺せば良い」
暗くなった部屋で一人、呟くのだった。
無道和也
最近ギャグ枠になってきているが、かなを傷付ける相手にはどこまでも冷酷で残酷
メイヤ
本編で暴露魔だったヤベー奴
実際にいるお気持ち良くする連中の傾向も研究してメイヤのムーブは描いてたりする