最愛の幼馴染へ   作:有馬かなを幸せにし隊

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どこからでも助けに入るのは別に和也側からに限らないんですよ
だって和かなは『最愛の幼馴染』ですからね


『やはり幼馴染には勝てないのかも知れない』

『……い、今……な、何してるのよ、アンタ』

 

「は、ははは……一体何の事言ってるのか分からないなー俺様分からないなー」

 

 一度ババアを便利屋連中に預けて屋上から出て再び話す。

 あくまでも冷静さは失っちゃならない。

 

 かなが幼児退行を何とか押さえ込んで電話を掛けてきてる時点で確実に俺様の脳内警報がバリバリに鳴り響いていた。

 寂しいだけならわざわざ苦しむ様に幼児退行を押し込む必要は無い、そのまま甘えてきてくれればそれで良い。

 だがこれの場合話が違う、対等な立場で話がしたい、しなければならないという覚悟を持って通話を掛けてきている。

 ともすれば少なくとも『こういう事』をしない様に言ってくる可能性、最悪は既に勘付かれてる可能性も視野に入れて話をしないとならない……これだけは避けたかったのにどうしてバレるのかねえ。

 

 あーなんかちょっと前面白い話してた美人なカメラマンのお姉さんの話思い出すわ……「学生時代は夫と良く頭脳戦して色んな駆け引きしてた」って……中でも恋愛頭脳戦の話は面白かったが、なに?もしかして今そういう感じ?駆け引き始まってる?

 めっちゃニコニコしながら俺様に話してたけど今俺様にそんな余裕無いよ?助けてカメラマンのお姉さん。

 

『えっ、と……』

 

「あー、まあ何か言いたい事あんならまずは深呼吸してみろ。大丈夫、かなならちゃんと言えるはずだから」

 

『う、うん……ありがと……』

 

 すまん頭脳戦になんねえやこれ。

 何せ俺様がかなに甘過ぎて強引に突っぱねるとか言いくるめるとか無理だもん、いつもは『どっちが年上だよ』なんてツッコミ入れられる事もあるがいつだってこういう肝心な時はかなの方がちゃんと年上になってくるの知ってるんだよ。

 だから嫌なんだよ、こういう時のコイツ相手にすんのは。

 勝てる気がしねえ。

 

『ふぅ……よ、よし。だ、大丈夫、そう……ね、ねえ……変な事とか……してないわよね……? 帰ってくるの、お、遅いから心配……してる、から……』

 

「あーね、まあ……仕事相手と話し込んでたんだよ。ちょっと色々とスケジュール確認とかしないとなんないからさ。でもそろそろ終わるしちゃんと帰ってくるから、心配しなくても良いよ。でもありがとう。そう言ってくれるのすげえ嬉しいよ」

 

『それなら……い、良いんだけど。……和也、ほんとに変な気は……お、起こさないでね。アタシ心配なんだから……』

 

「分かった。変な気は起こさない、約束する」

 

 あーあもうこんな約束しちゃってさあ俺様は。

 こんなん言われたら俺様の手であのクソ野郎どうにかするなんてやる気削がれまくっててどうしようかってなっちゃってるもん。

 なに?これが惚れた弱みなの?

 

『わ、分かった……ほんとに、早く、ね……』

 

「おう」

 

『……ね、ねえ』

 

「ん?なんだ?」

 

『アタシ……和也の事……大好きだから。その……い、異性として』

 

「………………え待って今なんて」

 

『あ、後はかかか、帰ってきてからっ! ままま待ってるからっ!』

 

「あちょっとほんとに待っ……嘘でしょ?」

 

 え、いやほんとにちょっと待って?

 今告白されなかったっけ俺様、幻聴?それともこれ全部幻で死に際の走馬灯でも見てるとかある?

 嘘だろだって告白にしても唐突過ぎる上にシチュエーションとか雰囲気もあったもんじゃないんだぞ!?かながそんな事するとは到底思えないんだが……でもしてきたんだよな……うわ、これどういう事だ?

 

「どうしよこれ」

 

 取り敢えず上で放置されてるアレ、どうしよう……ってところから始まるんだよなまずは。

 かなにあんな事言われてチョロいと言われるかも知れないんだけどさ、惚れてる女、それも弱りきってる幼馴染に『心配してる』とか縋る様に言われてノックアウトされない男っていると思う?俺様はいないと思うよ。

 

 しかも告白までされて完全に思考恋愛脳に切り替わっちまったよ、なんか霧が晴れた様な気がするしスッキリしてきたしもう何かどうでも良くなってきたわ。

 今までのシリアス何だったんだろ、まあ金払っちゃったからにはそれなりの事はしてもらった訳だけどこれから本当にどうしようかね。

 

 

 

「あースマンね、ちょっと野暮用だった」

 

「構いませんよ。それで『コレ』どうします?」

 

「なんか興醒めしちゃったし適当に警察突き出しておいて。証拠は俺様が渡した資料あるしどうにでもなるから」

 

「良いんですか?」

 

「まあ、ね……はぁ……ちょっといくらなんでも法律上まだ人間になる様な奴を殺すのは流石に早まったかもな」

 

「……幼馴染さんから何か言われましたか?」

 

「うっせ、バレちゃいねーから心配しなくて良い。気が変わったってだけだ、良いな?」

 

「分かりました、そう言われるのでしたらこちらで処分しておきますよ」

 

 なんでほぼほぼ関わりの無いコイツらにすら察されてるんだよ、意味分かんねえよほんとによ……そんなに毒気抜かれたみたいな表情でもしてんのかね今の俺様は。

 しかしさっきも言ったが本当にチョロいな、さっきまではどうやって殺そうかと思ってたのに今では殺さなくて良かったと思ってるなんて我ながらどうなんだと苦笑してしまう。

 まるで今まではそれこそが正義と思わされる悪い呪いにでも掛かってたみたいで気持ち悪くなる。

 取り敢えずクソババアは縛られたまま、便利屋の部下に担がれている。

 ここで別れたら恐らく今生の別れか……何せクソババアを豚箱ぶち込んだ後は出て来るまでに黒幕ひっ捕らえて強引にでもこの世界の修正力?とやらをねじ伏せてやるんだからな。

 

 ……ちょっとだけ話しておくか、どうせ最後だし。

 

「その前に、ちょっとだけ話させてもらっても良いか?」

 

「ええ、ご自由に」

 

「どうも」

 

 身体中ロープとガムテープでぐるぐる巻きにされ芋虫の如く動くしかないそいつの目元のガムテープだけ剥がしてヤンキー座りを決め心底見下したような笑みを浮かべる。

 

「よう、気が変わったから殺さないでおいてやるよ。……そうだよ、かなに間接的に止められたんだ、それで色々と興ざめしちまってなぁ……だから殺すのは辞めた。どうだ今の気持ち、散々金づるとしてしか見てこなかった娘に間接的に情けを掛けられて警察に突き出される事になった気持ちはよ」

 

「悔しいよなあ~、だって売れないなら自分の子どもとしての価値が無いなんて思ってるアンタがちょっと欲を出して再ブレイクした実子に近付いただけで人生ご破算だぜ? 俺様だったらそんな立場に立たされたら悔しくて悔しくて惨めで情けなくて生きる事辞めちまうわ」

 

「だからアンタは凄いよ、そんなでもバカみたいに生きようとして模索してんだから。ま、精々余生は豚箱の中で過ごすんだな……これが今までの報いだ」

 

 それでも尚ギロリと睨みつけてくるのはまだ諦めていないのか、それとも最後の足掻きとしてせめてもの抵抗としての行動か、まあどちらにせよこの女にもう『次』なんて存在しないのだからどうでも良いが。

 

「あ、流石に怪しまれない様に警察に渡す時は手だけ縛るくらいにしとけよー。どうせもう逃げられないんだし」

 

「それは勿論。偽装工作はお手の物ですから」

 

「まあそうだったな。んじゃーな、100万は1週間以内に事務所行って渡すからヨロシク」

 

「分かりました、ではスマホの回収もその時で」

 

「あいよー」

 

 ヒラヒラと手を振りその場を後にする。

 この後またコンビニでさっき別れた奴と合流して荷物回収しないといけないが……その面倒臭さよりも取り敢えずなんでこのタイミングで告白してきたとか、そっちの方が脳内を巡ってて一人恋愛頭脳戦だった。

 やっぱり助けてくんねえかなカメラマンのお姉さん……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ほ、本当はやりたくなかったけれど……告白ももう少し先……にするはずだったけど……た、多分……こうでもしないと和也は……止まってくれなかった……から。こ、これで良かった……のよね、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、これが証拠と」

 

「ええ、依頼主からお預かりした証拠になります。くれぐれもご内密に。では我々はこれで」

 

「分かった。……しかし芸能人のストーカーには困ったものだ、しかもそれが一度実子を見捨てて逃げた実母ともなればあまりにも溜め息を吐きたくなる」

 

 後ろ手を縛られ顔面蒼白……以上にどこか虚ろな目をしているグロッキーな状態で持ってこられた女を見て、警察官はため息を掃出す。

 彼も彼で偶々B小町になる前からずっと有馬かなのファンであった為この顔を見た瞬間全てを察してしまったからだ。

 

 だがそれはそれとしてさっさと連れて行くべきだろうというのも事実、色々な想いが駆け巡るがそれくらい後でも良い、と彼は結論付け本部に連絡を入れ警察車両に容疑者を詰め込み夜道を走る。

 そこまでは良かった、少し彼の感情を考えるなら複雑ではあるがそれくらいで済む。

 

 だが世界の修正力はそれを許さなかった。

 

「は!? なんだよあのトラック!? なんで赤信号なのにこっちに爆走してきてんだよ!? ヒィッ!!」

 

 

 

 

 後の調べで突っ込んできたトラックはブレーキの故障という事が判明、警官は間一髪車外に飛び出し難を逃れていた。

 この事故による死者は一名、しかしそれは『とある事情』により公開される事は無かったという――




カメラマンのお姉さん
アクアに似た髪色の夫がいる黒髪美人なお姉さん
学生時代は現夫に振り向いてもらうために恋愛頭脳戦を繰り返していたとかいなかったとか
姓は『白銀』らしい

無道和也
和也の背負う代償のブレイク方法:かなからの告白
霧が晴れた様な気がするんじゃなくて本当に霧が晴れてるんですわ

かなの母親
真性のドクズオブドクズ
冠番組を手に入れて再度売れ出してきたからって何とかして母親として再度居座ろうとしていたらしい
大型トラックに轢かれミンチになるという最期を辿ったがかなは知らないし知る事も無い
シークレット代償『?????→?????』→『アイストーカーの死亡→かなストーカーの死亡』

有馬かな
意訳:告白の返事を言いたいなら早く帰ってこい
圧倒的力技で和也の脳内をギャグと恋愛で埋めつくさせたMVP

便利屋の皆さん
一応仕事仲間である事に間違いは無い

代償一覧
・星野アイの殺害→有馬かなの殺害 ブレイク
・星野アクアの実父への憎悪→和也の有馬母への憎悪 ブレイク
・亮介のアイへの殺意→和也のストーカーへの殺意 ブレイク
・亮介のストーカー行為→有馬母のかなへのストーカー行為 ブレイク
・アイストーカーの死亡→かなストーカーの死亡 完遂
・黒幕カミキヒカル→黒幕?????

Q.代償ってこれだけ?
A.増えるかもしれないしこのままかもしれない(by推定邪神ネキ)
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