最愛の幼馴染へ   作:有馬かなを幸せにし隊

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『正義感は狂気な凶器』

「あ……アクアくんっ、カズくん……それにケンに……ノブくんまで……」

 

「警察に連絡はしたし捜索もしてくれるらしいけどさ、まあ我慢出来ないからって俺達でも探す事になった。という訳で今日オフの男手もっさんとゆきちの精神安定剤ノブも招集したワケ」

 

「ご、ごめんなさい! あたしが呑気にコンビニなんて行かなければこんな事には……」

 

「鷲見、お前は悪くない」

 

 ここに来る道中、警察には通報を入れ捜索する事となったがいつ見つかるとも分からないのに待っているだけなど不可能だとなりマネちゃんにも強引に協力してもらい連絡した男手二人を加えながらここまで来た。

 もっさんは単純な男手戦力だが……ノブは違う。

 きっと責任を感じてるだろうゆきちを任せられるのはこの男しかいないと断言出来る。

 そういった意味で呼んだのだ。

 

「そ、悪いのはゆきちじゃなくて何があっても世間だし。てーか悪いが刻一刻を争う事態だからさっさと手分けするぞ。アクアともっさん、俺とマネちゃんで別れる。アクア組は足使って車が行けないとこ頼む、俺達はその分広範囲探すから」

 

「頼まれた」

 

「任せといて」

 

「お、俺は?」

 

「ノブはゆきちを頼む。……ノブにしか頼めない、今のゆきちを落ち着かせられるのは」

 

「分かった……任された」

 

 どうせアクアは口下手だろうから俺がさっさと指示を出す。

 元より乗りかかった船だ、全力で漕いで助けてやる。

 

「良し……悪いなマネちゃんも、巻き込んでさ」

 

 本当なら断っててもおかしくない、ここにいるマネージャーにも頭を下げる。

 こういう時大人ってのには感謝しないといけない。

 

「ホントだよ……でも、こんな理不尽な世の中に丁度腹立ってたとこだしな。何より大人にしか出来ない事で子どもをサポートすんのが大人の役目、だろ?」

 

 だが、笑って受け流してくれる。

 このマネちゃんは、これだから俺はこの人をどこまでも信頼してるんだよ。

 

「……サンキュ、マネちゃん。んじゃ行きますか!」

 

「何なら誘拐じゃなくて笑い話になってりゃ良いんだけどね!」

 

 上品そうな高級外車の見た目とは裏腹に、アクセルが豪快に踏まれる。

 

「取り敢えず一旦2時間後にまたここに集まるぞ! あ、ノブはゆきちの傍にいるならそのまま帰って集まらんくても良いから!」

 

「了解」

 

「え、あ、おう!」

 

 頷き、各々飛び出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗い暗い廃倉庫。

 中には軽自動車のライトが照明代わりに灯っているだけであり、その奥には古びた椅子に座らせられ手足を縛り付けられたあかねがいた。

 そしてその周りには三人の女、全員若くそして下衆な笑みを浮かべていた。

 

「まさかコイツがノコノコと外に出てくるとはねえ」

 

「やっぱりバカなんでしょ、アハハ!」

 

「ねー、なんでアンタが捕まってるか分かるー?」

 

「わかんない……わかんないよ……私のした事ってここまでされないと行けないの……?」

 

 何も分からないままに捕まって、目を開ければ椅子に縛り付けられ。

 やっと少しずつ平穏を感じていた彼女の心は再び絶望へと落とされていた。

 

「だってさー、バカだよねえ」

 

「言ってあげなよー、このバカに」

 

「仕方ないわねえ。まずゆきちゃんと付き合いがあるのが鬱陶しかったのよね、アンタは地味で何の魅力も無いのにキラキラした子に媚び売ってさぁ」

 

「こ……媚びじゃ、ないよ……ゆきは……親友、だよ……!」

 

「はぁ? 無い無い、アンタみたいな何の魅力も無い女と付き合うメリット無いじゃない。てゆーか? 一番はそんなゆきちゃんを傷付けた癖に笑ってるのが許せなかったのよ……モデルにとって顔は命、それに傷を付けて良くもぬけぬけと……だからアタシ達が分からせてやるのよ。アンタのした事がどれだけの罪か、アタシ達で断罪するのよ」

 

「ひっ……」

 

 鷲見ゆきは若者、それも女性に人気のある今一番人気のカリスマファッションモデルだ。

 ファンの規模も相当数なのはあかねも分かっている。

 そしてその分、清濁入り交じっている事も。

 だがそれでもこの女達はあまりにも狂気じみているとあかねは恐怖していた。

 自分のやる事全てを正義と信じて疑わない、自分が敵と思った人間全てを悪と断定するその目に恐怖していた。

 そういった人間は一切の躊躇をしない、人を傷付ける事も、最悪の場合殺害すら。

 

 少し冷静になる事さえ出来れば、こんな些細な事で身勝手な正義を振りかざし人を傷付ける事が馬鹿げているのなんて小学生でも分かる話だ。

 しかし呑まれた人間というのは、帰って来れない。

 それこそ『キッカケ』が無ければ、永遠に。

 

「アッハハ! 黒川あかねも無様ね〜、呑気に笑顔なんて浮かべて外出歩くなんて……暴力女が、死んじゃいなよ〜」

 

「たす、け、て……っクア……く、ん……」

 

「ギャハハ!! アクアくんだってさ〜!」

 

「ほんと笑っちゃうわよね〜、たかが共演者が助けに来る訳無いでしょ」

 

 可能性としては確かにそうだった。

 彼女達は元よりあかねを嫌っており、内々で計画していたのだ。

 どこがバレにくいか、どうやって捕まえるか……作戦を練っていたのだ。

 

 

「誰が……助けに来る訳無いって?」

 

 

「……は?」

 

 

 ――但しそれは、彼女達素人による『無い頭』でだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、ごめんねあかねえええええええ!!」

 

「ゆきは悪くないよ……来てくれてありがとう……ありがとう……うぅ……怖かったよぉ……」

 

「……ふぅ、取り敢えずは一件落着かね」

 

 捜索開始から一時間半が経った頃、アクアから『見つけた』と場所の地図を貰い警察と共に急行。

 廃倉庫に入った時には握っていたであろう小型ナイフを殴り落とされたのか無造作に落ちている小型ナイフ、手を抑え怯える主犯、無表情でそれを見つめ詰め寄っていくアクアがいた。

 

 ちなみに俺達が来た事で錯乱して逃げようとした為全員警察に取り押さえられお縄になった。

 身勝手な正義を振りかざした誘拐、銃刀法違反、多少とはいえ怪我もしていた為傷害罪も適用され五年は檻の向こうだろう。

 

「クソッ!! アタシ達はッ!! 正義を執行しようとしただけなのに!!」

 

 未だ暴れる、連行直前の主犯を哀れな人間を見るような目で見る。

 

「裁判官でも無い第三者が誰かを裁く? 馬鹿馬鹿しいね」

 

「アンタに何が……」

 

「分からないねぇ、馬鹿の脳みそなんて。自分の考えを盲信して、少し考えれば下らない行いだと分かってる事をして、誰かを傷付ける事しかしない。そんな価値の無い人間の事なんて、分かりたくも無いさ」

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙クソがクソがクソが!!!」

 

 最後まで無様だったそいつが連行されていく様を見て、一息付く。

 あまりにも呆気ないと思わざるを得なかった。

 それだけ無力なただの一般人が動いたというのも、少しは重く受け止めねばならないだろうな。

 

「……お前の指示のお陰で迅速に見つける事が出来た。ありがとう」

 

 ……そして、目の前にいる星野アクアに対しても、ここは素直に気持ちを受け止めておかねばならない。

 嫌いな相手にも必要な時の礼儀は欠かしてはならないからな。

 

「それを言うなら見つけたお前が今日のMVPだろ。ま、何にせよあかねちゃんの事気に掛けてくれた事には感謝してやるよ。……ありがとな」

 

 泣きながら抱き着いているゆきちとあかねちゃんを見れば、今日くらいは良いだろうと思える。

 

 ……結局家には帰らず現場に向かわせてほしいと言ってきたゆきちを連れてきて正解だったな。

 

「良かった良かったーって帰りたいとこなんだけどさ、今から事情聴取あるよねえ俺達」

 

「仕方ないよ。それに和也やアクア、ゆきの方が長くなるだろうし俺達はまだ良い方だ」

 

 ゾロゾロとワゴン車や……警察車両に乗せてもらう事になりこのまま事情聴取か、面倒だが仕方ないだろう。

 

 それに、問題が新しく出来たからそんな些細な事で面倒がってる余裕が無い。

 それも特大の問題が、今ここで。

 

「あ……アクアくん。ちょっと……袖、握らせて……?」

 

「うん、まあ良いけど……」

 

 オイこのタラシを誰か捕まえろ。

 さもなくばウチのかなの脳みそが破壊される。

 




無道和也
土壇場でのリーダーシップがある
アクアの本当のヤバさに気付き始めた

星野アクア
やってる事は超絶イケメンな無自覚タラシ
誰かこのタラシも一緒に連行しろ

黒川あかね
自殺未遂を行わない代わりに暴走した世間の被害に遭ってしまった
死ぬかもしれないって時に救ってくれたアクアを見ればそりゃあ…ねえ

鷲見ゆき
自責の念に駆られるもノブユキのメンタルケアで持ち直した
ゆきあか尊い…

熊野ノブユキ
ひっそり有能仕事をしてみせた

有馬かなとMEMちょ
数少ない呼ばれなかった勢
危ないから当事者じゃない女性陣は男性陣が意図して遠ざけていた
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