今年最後です。
来年もよろしくお願いします。
それでは、どうぞ。
「うーん……」
「どうしたのだセッケ、訓練場で悩んだ顔をして」
「あぁリックさん、実は新しい魔法の研究中で」
「励んでいるのか、偉いぞセッケ」
「いやあそれが……行き詰ってまして……」
俺、セッケ・ブロンザッザが使う魔法は大きく分けて三つ、自分の周りに防壁としても機能する砲台を展開する『
「どうしてもイメージが掴めないんすよね……」
原作でセッケが使っていた魔法はマスターしたが、それ以外で魔法を作ろうとしても中々うまくいかない。
「イメージか……、まあそう焦ることはないぞ、名実ともに優れたベテランの魔法騎士でさえも魔法の開発には膨大な時間をかけるのだから」
「…それは、そうなんすけどねえ……」
リックさんの助言も嬉しいが、
「なんとかして魔法を作り上げねえとな……
中々にうまくいかない魔法開発。一体どうすれ「ぐぐぐ……」ばいいのか……、「ん?」何か変な音がしたので音の方向である真後ろを向いてみる。
そこにはこの珊瑚の孔雀団の団長であるドロシー・アンズワースが居た。
「うお!びっくりした団長か……お疲れ様です」
「おおドロシー団長、何か御用ですか?」
失礼のないように話しかけるリックとセッケ、しかし―
常に眠り続けている彼女は何も話さず、いびきをかき続けるだけだ。
「……寝ぼけて来ちゃったんですかね」
「こら、失礼だぞセッケ……団長の事だ、何かあってここにきているはずだ」
仮にも魔法騎士団の団長を務める彼女の事である。眠りこけ、呑気にも鼻提灯を膨らましているだけにしか見えない彼女にも何か考えがあるはず……
「……何が…あるんすかね……」
「……むぅ…」
「ん?」
「む?」
眠ったまま徐にある場所を人差し指で示すドロシー、そこには先ほどセッケが射出した青銅の弾が残っていた。
「ああ、的あてで残った球ですね、それが何かあるんですかねってあれ?団長?」
意図が読み取れず、直接聞こうとするセッケ、しかしそこにドロシーは居なかった。
「相変わらず自由なお方だ……しかし、だ。何かをお前に教えたくて助言を与えた、そんなところであろうな」
「俺に助言を……」
「明確な意図は分からんがお前に期待しているのだろう、あのお方は気に入った者しか団に勧誘しない、今年はお前だけであったこともなにかあるのだろう」
「……」
意味深なドロシーの指摘、セッケは良くわからないまま、一週間訓練に励んだ。
現在、魔宮《ダンジョン》でのマルスとの戦いは熾烈を極めていた。
防壁も兼ねた魔砲で牽制をを続けるセッケ、しかし―
その防壁ごと薙ぎ払われる。
「『金色の夜明け』を舐めるなァァァァ!!」
鋼の
「っ、なん……だと……」
「なんて力……」
魔法で作られた分身に阻まれてしまう。
風の刃で攻め立てるユノ―
しかしそれすらもマルスの鉱石魔法に阻まれる。初めこそ拮抗していたこの戦いもマルス側の攻防一体の魔法と際限なく溢れ出る魔力量に気圧され、明らかにセッケ側が劣勢となっていた。
「ハァ…ハァ……」
「クッソ……」
特に前線を買って出たユノとセッケは顕著であり、その体には重傷ではないものの無数の生傷が出来ており、魔力の消費なども相まって肩で息をしていた。
(出来る限り怪我の無いように立ち回っているけど……いつ押し切られるか……、「オイ」それにさっきの『レーヴァテイン』……!なんとか『
「オイ、セッケ!聞いているのか」
「ん?あぁすみませんクラウス先輩、集中しすぎてました」
「……敵についてどう思う」
「……今は何とかしのげていますけど…、防御力が高すぎてこっち側に明確な有効打がないのが苦しいかと」
「そこで、だ」
「?」
「上司として命令だ。ユノとミモザとともに先に宝物殿に行け、私が殿を務める」
「……先輩一人で戦うんですか?失礼ですけど……死にますよ」
「承知の内だ。良いから早く行け、平民出の者に私が任せることなど殆どないのだぞ」
「……ツンデレですか?」
「黙って聞け戯けがァ!……正直に言うが、お前のことを侮っていた。ちゃらんぽらんで不誠実で魔法騎士団に入れたのも運が良いだけだと思っていた」
(そんな風に思われてたのか)
「しかしだ、短い時間だがこうして戦局を共にすることで分かった。お前は飄々としながらも周囲をよく観察し、適切な判断を下している。現に、ミモザはお前に助けられた」
「買い被りですよ」
(そりゃ「知って」いるからな、寧ろ知っていてこれだけしか出来ない)
「そう自分を卑下するな、新人でそこまでの魔法の扱いも中々いない。努力してきたのだろう、騎士団に入るまでから」
「……」
「だからこそ任せるのだ。もう一度言うぞ、宝物殿に向かえ」
「クラウスせんぱ…『ギィン!!』づっ!」
「くっ、早く行け!」
「ここは通さん!」
「ぐっ…!」
(ここまでか……)
(!?、なっ)
クラウスの言葉に反し、魔法で攻撃を食い止めるユノとセッケ。
「クラウス先輩!」
植物魔法でクラウスを持ち上げ、移動させるミモザ。
「何故庇った!?早く宝物殿に向かえ!」
「それはこいつを倒してからですね」
「クラウス先輩を置いていくなんて出来ませんわ」
「今お前らが優先すべきは任務なのだぞ!?」
「いや……」
(さすがユノだわ、一見クールなのに滅茶苦茶熱いのがいいよなぁ……)
「ユノの言う通りです。それに……、そろそろ来ますよ」
「?、誰が来るのですか?」
四人に容赦なく振るわれる煌めきの刃、その凶刃は―
「オイそこの顔色悪いの…、勝手に手ぇだしてんじゃねー…」
黑の刃に斬り飛ばされた。
次回、反撃開始。
皆さま、よいお年をお迎えください。