「やってくれるじゃないか……纏めて相手をしてやるよ……」
「凄んでいるが……」
「股間を押さえたまま内股で強がってもな……」
「中々見ない光景ですね」
ガイはフラフラと立ち上がりながらベルデ、ナイト、ライアと戦おうとしているが股間を押さえたまま内股でプルプルと震えている。
ライア、ナイト、ベルデの順にコメントが出るが正にその通りであり、過去シリーズを通しても股間を押さえて内股で痛がっている仮面ライダーは居ないだろう。
「ぶっ殺してやんよっ!!」
【STRIKE VENT】
「日向は退がれ!」
「でもっ!」
「お前の相手は俺だ!」
ガイはメタルホーンを召喚し襲い掛かる。ライアは咄嗟にベルデを庇い、ナイトはウイングランサーを構えて迎え打つ。
ベルデ、ライア、ナイトVSガイの構図となったがガイは多勢に無勢の状態でも余裕を見せて戦おうとしていた。これは命を奪う事に抵抗がある者と他人の命はなんとも思わない者の差が出ていると言えるだろう。
◆◇
一方でファミレス内で変身した王蛇、ゾルダ、シザースは近くの廃工場に戦いの場を移していた。
シザースが前に出て王蛇に対して接近戦を挑み、ゾルダが隙を見て発砲する流れが出来ていた。
王蛇はベノサーベルを巧みに使い、シザースのシザースピンチと鍔迫り合いをしたかと思えば、ゾルダの銃弾を切り落とす等の芸当を見せた。
更に王蛇自身の乱暴な蹴りや拳が合間に叩き込まれる。王蛇のスペックと言うよりも浅倉の純粋な戦闘力が伺えた。
「実に厄介ですね。ライダーの力が浅倉との相性が良すぎる……」
「初変身で俺と須藤さんを同時に相手するとかヤバ過ぎでしょ」
「良いな……すっかりイライラが治った。楽しいな、ライダーってのは」
ライダーとなった浅倉に危機感を覚えながらシザースとゾルダはどう戦うかを思案して、対する王蛇はゴキッと首を鳴らす。初戦闘で不利な筈なのだが王蛇にとってはそれすら楽しいと感じている様だ。
「それは何よりですね。その夢見心地のまま敗北しなさい」
「監獄でダメなら地獄に送ってやるよ」
シザースとゾルダはそれぞれ武器を構える。このまま王蛇がライダーバトルに残れば確実に厄介になると本能的に察していた。そしてその予想は正しく、原作において王蛇は最後の障害になり得るのだ。
◇◆
「こ、こんな……俺が負ける訳ないんだ!」
ガイも王蛇と同様に三人ものライダー相手に善戦していた……と言えるのだが当然ながら三対一の劣勢は覆せなかった。
ベルデの撹乱にナイトの斬撃、ライアの援護と苦戦するのは目に見えていた事だが強者の余裕を見せようとしたガイは現実を見なかった。その結果自身が負けそうになっているのだが、それでもガイは認めようとしない。
ベルデは少し可哀想だな……と思いながらも先程押し倒されそうになっただけに同情し辛いのも事実である。
【AD VENT】
「ガァァァァァァァァッッ!」
「何っ!?」
「手塚さん!?キャアッ!」
「手塚、日向!」
「これで……ゲームオーバーだ!」
ガイはアドベントでメタルゲラスを呼び出してライアを突き飛ばさせると持っていたメタルホーンでベルデを殴り飛ばす。そして孤立したナイトに狙いを定めてファイナルベントのカードを手にした。
【FINAL VENT】
「秋山さん!」
「くっ……何っ!?」
「させるかっ!」
「城戸……」
「邪魔しやがって……お前からやってやる!」
ガイのファイナルベントはナイトに直撃し最悪の結果を迎えた……と思われたが突如現れた龍騎がドラグシールドで庇った。
ガイのファイナルベントを防いだ龍騎だったが吹き飛ばされ壁に叩き付けられる。
「真司さん……」
「お待たせ楓ちゃん……もうこれ以上、誰も傷つけさせない!」
「なーに言ってんだか。お前等みたいな雑魚なんかさっさと消えてくんない!」
「城戸……やはりアイツは運命を変えられる事が出来るかもしれない……」
先程ファミレスで女の子と共に気絶して救急車に運ばれていた城戸だったが途中で目を覚まし、変身してこの場に駆けつけたのだった。
ガイは決意を新たにした龍騎に悪態をつきながら襲い掛かる。それを見たライアはナイトの敗北を阻止した龍騎を見て自身の占いの運命を変えられるかも知れないと期待を込めていた。
その頃、王蛇、ゾルダ、シザースも戦いながら場を移動した結果、廃工場の同じ部屋へと集まっていた。相変わらず、王蛇はゾルダ、シザースを相手に互角以上の戦いを繰り広げていた。
「須藤さん……やるよ」
「ふむ……良いでしょう」
【FINAL VENT】
【GUARD VENT】
「あん……?」
ゾルダはファイナルベントを発動させ、マグナギガを召喚した。そしてシザースもシェルディフェンスを装着する。そしてシザースは王蛇から距離を取り、ベルデの方へと走っていた。
実は事前の打ち合わせもあり、ゾルダのファイナルベント発動時にシザースがベルデを庇う事は決まっていた。
「ちっ……!」
「無駄だ!」
「楓さん!」
「えっ、須藤さ……ひゃあ!?」
「「「ウワァァァァァァァァッ!?」」」
シザースが走り出した事に気を取られ反応が遅れた王蛇だったが同様に走り出した王蛇にゾルダはファイナルベントを発動した。
マグナギガから放たれるエンドオブワールドは広範囲に銃撃を放った。シザースはベルデを抱き寄せてガードした。
龍騎、ナイト、ライアは何も知らなかったが故に反応が遅れた為に絨毯爆撃に吹き飛ばされていく。
「こうゆうゴチャゴチャした戦いは好きじゃない」
ファイナルベントを放ち、七人のライダーを纏めて吹っ飛ばしたゾルダはシザースがベルデを庇って無事だった事に安堵しながら、その場を後にした。
裏取引があり須藤と北岡は手を組んでいるが楓に何かあれば須藤がキレるのは目に見えている。今回は事前の打ち合わせがあったが万が一にも楓に被害があればヤバいと思っていたのだが無事を見届けた北岡はクールに去って行った。
「が……あ……うあっ!」
「はん……」
王蛇はエンドオブワールドに被弾する直前でガイを捉えて盾にしていた。大ダメージを負ったガイを王蛇は突き飛ばし、ガイは咄嗟に立ち上がれなかった。
ベルデはその光景を見ながら「うわぁ、王蛇のガードベントだ」と若干引き気味だった。
「お前……俺がゲームを……盛り上げてやったのに……」
「近くにいた……お前が悪い」
苦しみながらの必死の抗議に王蛇は心底楽しそうに吐き捨てた。その言葉を聞いたガイは激昂し王蛇に襲い掛かった。
「このぉ……があっ!?」
「ふん……」
【FINAL VENT】
「キシャァァァァァァァァァァッ!」
殴り掛かったガイだったが王蛇は素早く避けるとカウンター気味にラリアットでガイを殴り飛ばした。そして流れる様に杖型の召喚器ベノバイザーを取り出しカードをセットした。
ベノスネーカーが奇声を上げながらガイへと迫っていく。
「くっ……させるかぁ!」
「楓さん!?」
【FINAL VENT】
それを見たベルデは庇われていたシザースの腕の中から抜け出し、咄嗟にカードを引き抜いてファイナルベントを発動させた。
散々な目に遭わされた相手だが見殺しにするのは忍びないと思ったベルデは考えるよりも先に体が動いていた。
王蛇のファイナルベントであるベノクラッシュがガイに迫る。ガイは大ダメージを負った体でフラフラと立ち上がりながら迫る王蛇を見る事しか出来なかった。
だからこそ王蛇もガイも気付けなかった。王蛇とガイの間に割って入ったベルデの存在に。
「ハァァァァァァァァァッ……何っ!?ガハッ!」
「え、あ……グワッ!?」
「あ……どうしよ……」
王蛇のファイナルベントは空振りに終わった。蹴りが当たる瞬間にベルデはファイナルベントで加速した振り子となりガイを拾い上げていた。
王蛇のファイナルベントでやられそうだったガイだがベルデのファイナルベントで救い出されたかに見えたが忘れてはいけないのはベルデのファイナルベントの仕様である。
ベルデのファイナルベントはバイオグリーザの舌で加速し、振り子となったベルデが対象の足や体の一部を掴み上げ、パイルドライバーかパワーボムでトドメを刺す技である。王蛇のファイナルベントからガイを助けた段階で手を離さなければ地面に叩きつける技なのだ。そして焦っていたベルデは当然ながら手を離していない。
つまりどうなるか……ベルデはファイナルベントを使用してガイの頭部で王蛇の頭にパイルドライバーを叩き込んだのだ。
「プロレスのツープラトンの技みたいだ……」
「容赦無いな……」
「えげつないな」
「流石は楓さんです」
その様子を傍から見ていた龍騎達はドン引きしていた。唯一、シザースだけは賞賛していた。