銀髪美少女なAIロボットちゃんはヤンデレ過ぎて僕を殺したい   作:崖の上のジェントルメン

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前書き

ご無沙汰してます。
読者の皆さんには大変申し訳ないのですが、今回この作品は、一から作り直すことにしました。
正直、書き直すのはむちゃくちゃ負担がかかるし、読者の方にもご迷惑がかかるのは重々分かっているのですが、前よりもっと面白い作品にしますので、それだけを信じて読んでみてください。
「読んでよかった!」と思ってもらえるよう、これからも尽力して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


1.KANZAKI AI

 

 

 

「はあ、あっついなあ……」

 

2030年9月1日。僕は手で汗だくになっている顔を扇ぎながら、窓の外を見ていた。

 

耳をつんざくほどにやかましく鳴る蝉時雨が、窓の外から聞こえてくる。

 

真っ白なグラウンドは、暑さのあまりぼんやりと滲んで見える。たぶん、僕の目の前に湯気が立っているからだろう。

 

「なあなあ!(さとる)!」

 

蝉時雨よりもやかましい声で話しかけてきたのは、友人の純一(じゅんいち)くんだった。

 

彼はいつの間にか、空席である僕の隣に座っていて、「今日だぞ!今日!」と、興奮冷めやらぬ様子だった。

 

「ついに今日!“あの子”がやって来るぞ!悟!」

 

「……うん、そうだね。楽しみだよ」

 

「なんだあ!?お前、楽しみなわりにはテンション低いなあ!」

 

「いや……暑すぎてさ。ちょっとダウン気味なんだ」

 

「かー!体力ねえなあ悟よお!ほれ!もっと熱くなれよ悟!心が熱くなりゃ、この日差しも逆に涼しくなるってもんだ!」

 

「なんのこっちゃ……」

 

純一くんの暑苦しい、理屈とも言えない理屈を聞いて、余計に気分が悪くなってきた僕は、額に浮かぶ汗を手の甲でぬぐった。

 

「それにしても!どんな子なんだろうなあ!めちゃくちゃ楽しみだぜ!」

 

純一くんは相変わらずウキウキしている。確かに、僕も純一くんほどではないにしろ、今日僕らのクラスへやって来る“彼女”については……とても興味があった。

 

(……仲良く、なれるだろうか?)

 

いや、そもそも“仲良くなる”という概念が、彼女には存在するのだろうか?

 

分からない。ただ、ひとつだけ言えることは、彼女はこの茹だるような暑さを……まるで“感じないだろう”ということだ。

 

「……それは、ちょっとだけ羨ましいかな」

 

そんな僕の独り言は、蝉時雨の中に溶けていった。

 

 

 

 

 

 

「皆様、おはようございます。RH-2型アンドロイドのNo.237と申します」

 

教卓の前に立ち、僕たちクラスメイトを見渡す“彼女”は、薄く微笑みを浮かべながらそう言った。

 

彼女の顔は、その言葉通り、まさに人間離れしていた。

 

銀髪のショートヘアが、左眼に少しかかっており、青い瞳はまるで空のように澄んでいる。

 

人から前もって言われなければ、絶対に人間と間違うほどに、彼女は精巧だった。精巧かつ、あまりにも美しかった。

 

「このクラスでは、『神崎(かんざき)(あい)』と名乗るよう命令を受けています。皆様、どうぞよろしくお願いいたします」

 

そう言って、彼女は僕らへ笑いかけた。

 

彼女……神崎さんが動く際、少しだけ普通の人間よりも瞬きが遅い。人間が0.1秒で瞬きをしているとすれば、彼女は0.2秒ほど……ワンテンポ人間よりも遅くなっている。

 

それが唯一、彼女がアンドロイドだと想わせる動きだった。

 

「みんな、一応もう一回お話しておくね」

 

担任の青柳先生が神崎さんの横に立ち、僕らへ説明した。

 

「神崎さんは、実験段階の最新型AIを搭載していて、人の感情について学習できるかを実験しているの。ここでのみんなの暮らしが、そのまま勉強になるという訳ね」

 

神崎さんは先生の説明を聴きながら、うんうんと頷いている。そして、先生の言葉に代わって自分で自分のことを説明し始めた。

 

「世界的に、鬱病などの精神疾患が増加傾向にあります。それに伴い、どの国も精神科医が足りなくなっているのが現状です。日本は特に10代の自殺率が高く、国としても早急に対応が必要なところです。そこで、我々AIロボットの活躍が期待されます。事実、AIチャットに悩みを相談し、心を救われたという事例はここ最近増えてきております。皆様と共に勉学に励み、共同作業をこなしていくことで、人間の精神についての解像度を高めていければと考えています。実験期間は、この二学期の間だけになりますが、どうぞよろしくお願いいたします」

 

アナウンサーのように滑らかな口調ですらすらと話し終えると、彼女はぺこりと頭を下げた。 青柳先生は満足げな表情を浮かべて、「自己紹介ありがとう、神崎さん」と言った。

 

「まあ、ちょっと特殊な境遇だけど、大事なクラスメイトには変わりないから、みんな仲良くしてね」

 

最後にそう付け加えた先生は、彼女を席まで案内する。 それは、僕の隣だった。

 

一番後ろの窓際が僕で……その隣が彼女だった。

 

「どうぞ、よろしくね」

 

僕がそう言うと、神崎さんは口角を上げて、目尻を下げた。

 

それが僕と彼女の、初めての接触だった。

 

 

 

 

 

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