Genshin Impact ~第五の降臨者~   作:三枝愛依

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アンケートお答えありがとうございます!
とりあえず、モンド編が終わるまではそのままにしておきます!!
なので、このアンケートに書かれている要素が仮に入るとしても、恐らくは璃月あたりからになるかなーと思ってます!


暗影の追跡

「ふぅ……あ、そろそろ陽も落ちて暗くなるなぁ。」

 

あれから、ひたすらにモンド内を駆け回っていたが、大した収穫はなかった。

 

「やっぱり、能力が封じられてると不便だなぁ……なんかもう突然、許してあげる! とか言われて残りの六つも鎖を解いてくれないかなぁ……」

 

カルミアは剣を納め、ふかふかの草原の上に寝転ぶ。

 

「早く……『超究極な完璧美少女(元の私)』に戻りたいなぁ。」

 

ボソボソと呟いていたカルミアは今自分の言ったことに少し後悔する。

 

「元の……じゃないね、元だったらまた孤独になっちゃうし。」

 

徐々に紺色に染る空を見て手を伸ばす。

 

「ごめんね、そこでまだ私を恨んでるよね……本当にごめんね、私が我儘だってようやく気付いた。私に大切な存在が出来て、ようやく気付いた……皆、毎日が怖かったよね、私の自由に振り回されて大変だったよね……本当にごめんなさい。」

 

彼女は空に浮かぶ、微かに輝く星々に向けて呟いていた。

 

「──さっ! 約束通り、そろそろあのバーに向かわないとね!!」

 

カルミアは立ち上がって、今日も賑わう美しい風の音を吹かせたモンド城へと帰った。

 

 

 

~~~

 

 

 

「揃ったようだね。」

 

バーに戻る途中で蛍とパイモンに会い、共にバーに入るとそこには約束通り、『ウェンティ』と『ディルック』、そして新たに『ジン』がいた。

 

「ん? 君たちは……旅人とカルミア?」

 

今のカルミア達にとってジンは絶対に会いたくない存在であり、彼女がもし私たちが侵入者だと知っていれば、反省室……いや、牢獄にぶち込まれるかもしれない。

 

「……じ、ジン?」「……ジン! わ、私はあの乳に誓って悪いことなんて!!」

 

ジンは腕を組み、驚きと微笑を顔に浮かべる。

 

「意外だ。『天空のライアー』の話は聞いていたが、まさか君だったとは……」

 

「「(終わった……)」」

 

蛍とカルミアはその場に崩れるように膝をつき、ウェンティに中指を立てる。

 

「な、なんで僕を睨むんだい?!」

 

「ははっ。心配しなくていい、旅人もカルミアもしっかりとした理由があっての事だと聞いている。もう一度、確認するが──ディルックの言ったようにライアーの音で風魔龍が浄化され元に戻るという話は……本当なのか?」

 

なんだよ……ディルックが先に話していてくれたようで、私たちは許されたようだ。

 

「そうだよ! 今、この栄誉騎士旅人と自由の星女カルミアは風魔龍事件を解決するために、最前線で頑張ってる。」

 

私が自由の星女であることを勝手に明かすな、風神だからって許されると思うなよ!

 

「流石は騎士団のスーパールーキーガールズだよ。」

「おい待て、私は騎士団に入ってない! それなのになんで複数形なんだよ!!」

 

「えへへ、面倒だから一括りにしちゃった。」

 

ウェンティはあざとく舌を出してウィンクする。

 

「お前がメスだったら、今頃私に泣いて詫びるところだったよ。」

「お、おい……旅人、カルミアがとんでもない事を言ってるぞ……」

「平常運転だよ、パイモン。」

 

「こほん! 西風守護の東風の龍、トワリン、彼の裏切る理由がどう考えても分からなかった。」

 

ジンは咳払いして話題を戻す。

 

「数年前のモンドを守る戦争で、毒血の侵食を受け……目覚めた後もアビスの魔術師のせいで腐食を受けたのなら、そうなるのも筋が通る……。

──でもこれは『代理団長』の立場としては、絶対に口にできないことだ。」

 

カルミア達が首を傾げていると、ジンは直ぐにその理由を話す。

 

「『ファデュイ』の圧力のせいで、騎士団が公に風魔龍への善意を示すことは難しい。──そんなことをすれば、務めを放棄したと解釈される可能性もある。 だから、私はプライベートという形で行動するしかない。」

 

ジンの理由にディルックは深くため息を吐く。

 

「はぁ……そういうところも、騎士団の嫌いな理由の一つだ。」

 

ディルックは騎士団と何か過去に喧嘩でもしたのか? 彼はやたら騎士団を嫌う傾向がある。

 

「ただ、この正体の分からない異邦人たちをそのまま信じるとは思わなかった……」

 

「『先輩』のような厳しくて慎重な人でも、この旅人を信用してるではないか?」

「だから先輩はやめろ……今回は協力すると決めている。」

 

ジンママの先輩だと?! まさか、き、貴様! ジンママの先輩という立場を利用して、『あんなこと』や『こんなこと』をしてたんじゃないのカイ?!

 

「触れちゃいけない過去があるみたいだな……」

 

パイモン、これはほじくるべきだ! この男はジンママによからぬ事をしていたかもしれない!!

 

「カルミア……? なんとなくあなたが悪いことをしようとしてる気がする、そんなことをしたら、どうなるか分かるよね?」

 

「は、はい……」

 

蛍の勘の鋭さは最早、予知能力に匹敵するのでは?

 

「とにかく、『天空のライアー』については心当たりがある。──氷の神が率いる『ファデュイ』は、風神が残した力を利用しようと企んでいる……」

 

この前のジンとの会話もそうだけど、ファデュイはモンドを支配しようとしているのか?

 

「彼らはモンドの防御を管理するつもり?」

 

ジンは頷き、答える。

 

「そうだ。──もし、風龍を殺す計画を騎士団が止めたとなると……」

 

今のモンド民からすれば、風龍の味方をする騎士団よりは風龍という危険因子を排除しようとする『ファデュイ』の方が正義のヒーローに見えてしまう。

彼らが本当にモンドの平和を願うのなら、正真正銘のヒーローだ。

 

だが、それはモンド民に限った話。モンドという国の中では、トワリンという神の眷属を殺めた、眷属殺しの反逆者たちである。

 

「『天空のライアー』は、彼らが唯一手にすることができる風神の力だ。」

 

ジンの話にディルックが割って入る。

 

「モンドで単独行動している『ファデュイ』のメンバーはいくらでもいる。──既にそいつらから情報を聞き出した。」

 

ディルックの旦那ァ! あんたって人は、仕事が早すぎるんだからッ!!

 

「異邦人たち、出発の準備は出来ているか?」

 

蛍はカルミアの方へ振り向き、「準備大丈夫?」と表情で尋ねてくる。

カルミアは微笑みで返事をして、肩を回す。

 

「何のための一日だったと思ってるのさ! 『ファデュイ』とかいう、あの氷女の配下を潰してあの女を間接的に虐められるならいつでもいけるよ!!」

 

カルミアは、スッキリとした笑みで答えた。

 

「では、行こう。」

 

一同はディルックを先頭に『ファデュイ』の隠れ家に向かった。

 

 

 

~~~

 

 

 

「ここが……ファデュイの隠れ家か?」

 

あれからディルックの案内の元、着いたのは清泉町の少し下に行った辺りの穴、洞窟だった。

それは洞窟とも隠れ家ともかけ離れた、ダンジョンのような場所で目の前には動く床と落ちたら火炙りにされてしまう大きなバーナーが吹いていた。

 

バーナーの影響か、入ってそうそうに熱風が室内に充満しており、全員が既に汗をじんわりとかいている。

 

「暑いね……カルミア、氷元素って使えなかったっけ?」

 

蛍の質問にカルミアは片手の手のひらに氷塊を作って答える。

 

「ほれ、冷たいぞ〜!」

 

氷塊はカルミアの手から勢いよく、蛍の首元めがけて放たれた。

 

「うわ! 冷たッ!! ちょっとカルミア!!」

「ふふん、もっといる?」

 

「いや、一個で十分だよ。」

 

カルミアは暑さに苦しんでいる皆を見て微笑む。

 

「今から私は皆の大英雄さ! 行くよッ!!」

 

カルミアは『黎明の神剣』を横向きに構え、蛍が放つ『元素爆発』と同じ構えでそのまま側方宙返りで大きな淡い蒼の竜巻を放った。

 

風と共に去れッ!(旅の収穫)

 

その竜巻は冷たい風を吹かして、熱風を吸い込み、落とし穴で吹くバーナーの炎を氷の力で止めていく。

 

「お、おぉ! 涼しいぞ!!」「す、凄い……カルミアは旅人と同じ、神の目を持たない元素使いなのか。」「流石は自由の星女だね。」

 

全員が感心しているところにディルックだけがカルミアに疑問をぶつけた。

 

「待ってくれ、いま君は風元素と氷元素の力を使ったのか?」

「そうだよ。私は特殊な力を持ってて、私が扱える程度の力は見たもの全てをコピーして私の力とすることができるんだ。」

 

「な……邪眼じゃなかっただけ安心したが、それはこの世界の法則を覆す、異常な力じゃないか。」

 

「邪眼……ってなんだ?」

 

ディルックは首を左右に振って答える。

 

「君たちは知らなくていい。」

 

氷ついた部屋を氷が溶ける前に全員が素早く渡り、次の部屋へと足を踏み込んだ。

 

~~~

 

そこは先程のギミックなどなく、大きな階段とその前に一人ぽつんと突っ立っている『ファデュイ』らしき仮面の男がいた。

 

「おーい! お前〜!!」

 

パイモンが警戒心の欠片もなく、彼に尋ねると彼は恐怖に声を上げる。

 

「うわっ……た、食べないでくれ! ──んっ、あれ……人間?」

 

カルミア達が化け物ではなく人だと認識すると更に怯え、ひとりでに喋り出す。

 

「ひぃっ! やめてくれ! そうだ、貴重な情報を教えてやるからな! なっ!」

 

一同は彼の怯えっぷりに戸惑うも、彼の話に耳を傾ける。

 

「実はモンドの至宝『天空のライアー』が、この遺跡の奥に隠してあるんだ。──秘宝を保管する場所に入るには『鍵』が必要だ……鍵が欲しいならこの先だ、オレは持ってないから、こっちに来るなよ!」

 

「誰が持ってるの?」

 

「どいつが鍵を持ってるかは知らねぇ……とにかく、部屋の中の奴らに聞け!」

 

「彼は、後ほど捕らえよう。」

「おい、今はプライベートだと言ったのは君だろう?」

 

「っ! そうだった……私としたことが、うっかりだった。」

 

ジンはディルックに指摘され、顔を赤らめながらこめかみに手を当てる。

 

「こいつ、かなりのビビりだなっ!」

 

パイモンが『ファデュイ』らしき仮面の男に指さして笑う。

 

こら、パイモン! 人様を指さして笑わない! あんた、非常食なんだから! いつからそんなに偉くなったの!!

 

「フン……あとは知らねぇからな!」

 

あとは知らないと言われても、君に後なんてないと思うが、まぁそれは言わないでおいてあげよう。

 

「『シニョーラ』様に見つかって目をつけられても、オレは関係ねえからなッ!」

 

『シニョーラ』? 誰だ、それ? 『ファデュイ』という組織の幹部的存在かな? 少なくとも、あの氷女以下の存在ならいずれは叩き潰せるしさほど脅威でもない。

 

男はカルミアたちを突き飛ばしてダンジョンの入口へと走り去っていった。

 

「あっ……さっきさ、『シニョーラ』って言ってたよな? 変わった名前だな。」

 

一同が階段を登りながら、ディルックがパイモンの疑問に答える。

 

「──ファデュイ十一人の執行官、その八人目が『シニョーラ』だ。」

 

やっぱり、幹部的存在だったか……面倒な相手だな。

 

~~~

 

あれから、走り去っていったビビりな男の助言通り、色んな『ファデュイ』らしき仮面の人達に尋ねた。

 

「なぁ、お前は鍵を持ってるか?」

「そんな安直すぎる質問で答えてくれるわけないでしょ、パイモン……」

 

「ガキ、オレを舐めてやがるなぁ!」

「いや、舐めるなら蛍かジンがいいな──」

 

「スネージナヤの意志は氷のように固い!俺は屈しな──」

 

男がそう言葉を続け、武器を抜こうとした刹那、微笑みを浮かべるカルミアの鋭い拳が男の側頭部に炸裂した。

 

「ぐふぅッ?!」

「私が話している最中だろ、人の話を遮るな。」

 

あまりにも理不尽なキレ方に一同は困惑しながらも、気絶した彼のポケットなどに鍵が入っていないかを探した。

 

「こいつは持ってないみたいだな……他の奴らにも聞いてみよう!」

 

~~~

 

「おーい! お前、鍵は持ってるか〜?」

 

パイモン……学ぼうよ?

 

パイモンの声に反応してびくっと身を跳ねた彼は、蛍たちの姿を見て更に身を震わせる。

 

「おい、どうしたんだよ? もしかしてお前もビビりなのか?」

「お、俺だってスネージナヤの一員だ! 俺は屈しないぞッ!」

 

彼も、謎の言葉を吐いて腰の短剣を引き抜いた。

敵対の意思は見えるけど、凄く戦闘を拒んでいるようにも見える。

 

「こいつら、無理やり戦闘してる? やりたくない事をしてるようにしか見えない。」

 

カルミアは素人の隙だらけの突進を躱して短剣を弾き、彼の後ろ首に手刀を放った。

 

「こいつも鍵はおそらく持ってないんじゃないかな?」

「もしかして、誰かが持ってるんじゃなくてどこかに置いてあるとか?」

 

「ここまで来るとその可能性も高くなるだろう。」

 

「じゃあ、僕は棚の上とか探してみるよ。」

「私は地面に落ちていないか探してみよう。」

 

「いや……鍵なんだから雷元素を周囲に放って反応を示した場所に行けば金属だし分かるくない?」

「鍵が金属とは限らないよ?」

 

「古代遺跡の鍵じゃないんだから、流石に金属でしょ? 古代遺跡の鍵だと石版とかありがちだけどさ。」

 

カルミアは『黎明の神剣』に雷を纏わせて、上に掲げると雷の波を部屋全体に放った。

その直後、扉の近くで一箇所だけバチッと音を立てて光る小さな何かが落ちた。

 

「ほら、絶対にあれが鍵でしょ?」

「カルミア……段々とキャラが真面目ちゃんになってない?」

 

蛍が何を言ってるのかは分からないけど、私はいつだってジンママのおっぱいに引っつけるんだよ。今は少し真面目にやってるだけ。

 

「勘違いしないで……私はいつでも、ジンと蛍のお乳を狙ってるんだからね?」

「……いつも通りだった。」

 

蛍たちは音がした光る小さな金属の鍵を拾うと、それを扉の前に置いてある鍵穴に挿入し回した。

あ、挿入ってそういう意味じゃないよ? 私は女の子だもん。

 

施錠が解除された大きな扉はゴゴゴと重みのある音を立ててゆっくりと開いていく。

 

「あの先に『天空のライアー』があるのか?」

「恐らくそうだろね。」

「早く行こう? 僕はもう待ちきれないよ!」

 

待ちきれないってお前、大して仕事してないくせに……風神様なら、一番仕事して一番頼りになってほしいものだけどな!

 

「ネズミ、どこから湧いてきた?」

 

『天空のライアー』が保管されている部屋の中央の台は鋼鉄の檻に囲まれ、目の前に『ファデュイ』の精鋭が現れる。

 

「このような事、『シニョーラ』様が許さないぞ。」

「でも、それ元々はモンドの物だし……ねぇ?」

 

「ねぇ! 早く、僕に返して欲しいよ。」

「いや、あれはいずれ大聖堂に……」

 

「はぁ……君たちは何を喋っているんだ。敵はもう刃を向けているんだぞ。」

「カルミア! 危ないッ!!」

 

精鋭は一歩でカルミアとの間合いを詰め、一瞬にしてその刃を首めがけて振った。

 

「──だから、人が話してる最中に邪魔しないでよ。」

 

カルミアは上半身を曲げることで精鋭の攻撃を華麗に躱し、躱されたことで隙が生まれ、少し前のめりになっていた精鋭の頭頂部めがけてカルミアは踵を勢いよく落とした。

 

「がはッ!!」

 

「私はいい子ちゃんになったけど、自分の自由を遮られるのは今も嫌いだよ? それが知りもしない悪党だなんて、一番不快だから。」

 

地面に叩きつけられ、その反動で少し上へ打ち上がる精鋭の側頭部めがけてカルミアは回し蹴りを炸裂させ、精鋭を鋼鉄の檻に叩きつけるように吹き飛ばした。

 

「おぉ……カルミアはこんなにも戦闘能力が高かったのだな。これは同じ名誉騎士を与えても……」

「だが、彼女はモンド民にセクハラをして回る変態で有名だ。それを騎士団の仲間入りにすれば、今よりも信用は落ちるぞ。」

 

「そうだった……彼女が変態でなければ即決だったのだがな。」

 

カルミアは、ぶつかった衝撃で嗚咽する精鋭の首筋に剣を押し当てて、柄頭から刀身へ、刀身から彼へと流れるように電気を流した。

 

「あがががッ! ──かはッ……」

 

電流で気絶した精鋭は口から泡を吹いて倒れ、それと同時に『天空のライアー』を守っていた鋼鉄の檻も下がって『天空のライアー』が手の届くようになる。

 

「殺めないだけ優しさだよ。」

「いや、殺めたら色々と問題だからね?」

 

カルミアの恐ろしい一言に蛍は微笑みながら頭をぽんと叩く。

そして、その横を通り過ぎるようにウェンティが『天空のライアー』を手にする。

 

「やっと『天空のライアー』を手に入れたな。」

「これで風魔龍……東風の龍・トワリンを浄化できるのか?」

 

「こほッ! くそ、『シニョーラ』様が貴様らに制裁を下す……モンドの詩人は、子供が眠れなくなるほどの悪夢としてそれを詩に残すことだろう!」

 

精鋭は、口元を拭うと幹部様助けてください〜!と負け犬らしい遠吠えをして煙化で姿を消した。

 

「怖そうなこと言って、結局逃げていったな。」

「とりあえず、バーに戻ろうよ。」

 

「そうだね、『天空のライアー』も手に入れたことだし一段落というところかな?」

「わ、私は必要だったか?」

 

ジンの疑問にディルックは肩に手を置いて首を左右に振る。

 

「それは触れない方がいい……。」

 

一同は『天空のライアー』を持って酒場へと戻った。

 

 

 

~~~

 

 

 

「どうだ? それを使ってトワリンを呼べそうか?」

 

酒場に戻ってからウェンティは『天空のライアー』をまじまじと見たり、弦を弾いたりして何かを調べ、ジンの質問に首を左右に振った。

 

「うん……確かに本物の風神の至宝だけど、今はまだ無理だよ。」

 

今はまだ無理……何かが足りないという事か?

トワリンと関連する何か……『天空のライアー』『風神・バルバトス』

 

あぁ、『浄化された涙の結晶』がトワリンを呼び出すのに必要だったりするのだろうか?

 

「とにかく、トワリンと話し合うには、これだとまだまだ足りない……でも、問題はライアーじゃなくて弦の方だ。──」

 

ウェンティはニッと微笑みながら、蛍を見る。

 

「君の出番だよ、異邦人。」

「私は異邦人じゃなくて蛍。それ楽器の修理はできない。」

 

ウェンティは微かに笑いを浮かべて手を左右に振る。

 

「安心して、君に修理してもらうつもりはないからさ。」

 

ウェンティは弦をピンピンと弾いて音を放つ。

 

「『風元素』の濃度が、この弦には全く足りていないんだ。」

 

風元素の濃度……蛍より風神であるウェンティの方が風元素の補填という点では向いてるのでは? 何故、蛍が──

 

「旅人、君はトワリンの涙の結晶をちゃんと保管してるよね?」

 

成程、トワリンの涙の結晶に風元素が込められているのか。

 

「よし、それを天空のライアーの上に落としてみてくれ。」

 

蛍は結晶をライアーの上まで持っていくと、すっと摘んでいた手を離した。

結晶だったそれはライアーに近づくにつれて、液状化していき、確かな涙へと変わってライアーの弦に染み込む。

 

「よし、想像通りだ!」

 

『天空のライアー』は『風神・バルバトス』の至宝、『東風の龍・トワリン』に関する力や物に干渉し改変する力があってもおかしくはない。

だが、実際にその目で見てみると神秘という言葉を体現しており、結晶が近づくだけで涙へと変わる様は不思議な感じだった。

 

「なんだか……どんどん若々しくなっていく感じがする。」

 

ジンママの若い頃も見てみたいものですね……勿論、今も若くて美しいけれど。

 

「団長も一緒にか?」

 

パイモン……君はなんて無礼な人なんだ。

悪気もなく訊ねたパイモンの頭を蛍はぽんっと叩き、わしゃわしゃと髪の毛を乱す。

 

「おわぁ! やめろよ!! 旅人!!」

「……天空のライアーの話だ。」

 

パイモン、違えるなよ! ジンママは今も昔も若い! 美しい! エロい!!

お前は可愛さがEXなら、ジンママは若さ、美しさ、エロさがEXなのだ!

 

「旅人が結晶を浄化してくれたおかげで、何とか『天空のライアー』の『風元素』がこれ以上枯れることを防いだ。」

 

そういえば、『風神・バルバトス』の至宝である『天空のライアー』がトワリンの涙の結晶に干渉して変化を起こすのは分かるけど、外の世界から来たトワリン以前にこの世界とほぼ関わりのない蛍が何故、トワリンの涙の結晶を浄化できるのだろうか?

 

「けど、満タンになるまでまだまだ足りないね。トワリンの涙がもっとあれば……」

 

トワリンを助けるためにトワリンを泣かすのか……本末転倒に思えてくるな。

 

「きっと、トワリンは僕たちが拾った以外にも涙を零している。それを探して浄化しよう。」

 

あぁ、トワリンを泣かしてそれを『天空のライアー』に落とすわけではないのか。

カルミアと蛍は同時に安堵の溜息を吐いた。

 

そして、一同はトワリンの涙の結晶を探しに各自で散らばって結晶集めに出て行った。




EXはFateのパラメーターランクを参考に例えてます!
Fateを見た事がある方やFGOをやってる方はおそらくその意味が分かるかと!つまるところ、作者である僕から見てジン団長の容姿は最早、そんじょそこらのランクじゃ収まりきらない……それこそ、同ランク帯である宝具の『王の財宝』や『全て遠き理想郷』と同じぐらいに凄くランクの高い見た目ということです。
でも、個人的に容姿はEXでも性能はBぐらいだと思ってます。
水着ジンを使いたいけど、風元素は楓原万葉手に入れるとマジで他使わなくなる。ウェンティ、魈、放浪者あたりは使うかもしれないけど。

作中におけるカルミアたちの下ネタや暴言をどこまで許します?

  • ち─こみたいな伏字があるなら許せる。
  • ち○こみたいな伏字があるなら許せる。
  • ────って完全に─で伏せて欲しい。
  • ちんこってもろに言って欲しい。興奮する
  • カルミアは下ネタを言う変態じゃない!
  • カルミアは伏せたら何も残らない!
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