Genshin Impact ~第五の降臨者~   作:三枝愛依

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無双とまではいきませんが、一応カルミアちゃんは準?最強ぐらいの強さでいきます。



風龍の零す涙。

あれからウェンティの言われた通り、一同はモンド全体に散らばって涙の探索をしていた。

 

「うーん、ないね……パイモン。」

「あの緑は、ひとつはこの辺にあるって言ってたよな?」

 

メンバーは私とパイモン、ジンとディルック、カルミアとウェンティである。

最初はカルミアがジンか私と行きたいと駄々を捏ねていたが、ジンが裏に連れていき何か話をすると戻ってきた時には元気よく頷いて、お利口になっていた。

まぁ、カルミアの事だからどうせ破廉恥な事だと推測できる。

 

「というか、この遺跡っていつもみたいな潜入するタイプの内側にあるんじゃなくて表に出てきてるんだな。名前は……えっと、えっと……」

 

パイモンが名前を思い出そうと首を傾げて顎に手をおく。

 

「千風の神殿だよ。遺跡じゃなくて、神殿。」

「そう! 千風の神殿だ!」

 

パイモンと蛍が辺りの探索を続けていると、柱に背を預け座り込んでいる汚れた大きな人型の機械が、首元に着いている目のような丸い物体を光らせて、ゆっくりとゴゴゴと音をたてて立ち上がる。

 

「ま、まずい! 遺跡守衛だ!! 旅人、ここは逃げよ──」

「──せぇいやッ!」

 

蛍は起き上がった遺跡守衛とタイミングを合わせて、彼の首元の目玉に剣を突き下ろした。

剣は、遺跡守衛のあまりの硬さに容易く弾かれ、勢いのまま流れるように蛍は遺跡守衛の足元に倒れる。

 

「いたた……まずい。」

 

剣を拾い、伏せた状態から立ち上がると自身の地面から陽の光が失われ、徐々に影が広がっていく。

遺跡守衛が倒れている蛍を踏み潰そうとしている証拠だ。

 

「旅人ッ!」

「──風刃ッ!!」

 

蛍は間一髪で遺跡守衛の踏み潰しから、風元素の爆発力を利用して逃れた。

遺跡守衛は避けられた事に驚きもせず、背を向けて両手を地面に突き刺すようにつけると斜め上を向いて背中の数多ある発射口を開く。

 

発射口……? 何かを放つにしても、発射口は数えるだけで六つ以上はある。

その数だけ、何かを放つというのならこの距離だと回避はほぼ不可能。

 

「どうしようかな……あ、いいものがあった。」

 

蛍は遺跡守衛がその何かを放つ前になるべく距離をとって地面が不安定なゴロゴロとした瓦礫の転がる方へと走る。

 

「放つなら放てば?」

 

蛍のその挑発をきっかけに遺跡守衛の背にある発射口からは六つのミサイルを放ち、蛍をめがけて一斉に迫る。

 

「風と共に去れ──」

 

蛍は自身の剣に風の渦を纏わせて、荒れ狂う大きな竜巻へと変えて放つ。

その竜巻は迫るミサイルの半分を呑み込むも、ミサイルは蛍に必中させると言わんばかりに竜巻から抜け出し、弾道を戻してズレながらも六つ全部のミサイルが迫ってくる。

 

「た、旅人ッ!!──」

 

まずは一発目、蛍は自身の足元にあった大きく平べったい瓦礫である石版を蹴り上げてミサイルと衝突させる。すかさず、二発目と三発目が迫っているがミサイルに背を向けて柱の方へと全力疾走し、柱の裏に回るのではなく柱そのものを壁走りの要領で駆け上がり、柱と衝突した二発目三発目の爆発の衝撃を利用して高く、そして前へ飛び出し自身の足元を過ぎようとしていた四発目のミサイルを一瞬だけ踏み、残った五発目と六発目も自分の足場のように踏んで渡ると撃ち終わって立ち上がろうとしている遺跡守衛の目玉めがけてもう一度、『降臨の剣』を突き下ろした。

 

剣は先程よりも速い勢いで下ろされたが、接触したと同時にガキッと音をたててかすり傷だけを残す。

蛍は最後まで足掻こうと自身の『降臨の剣』の刃にありったけの風元素を集め、風の微粒子で目玉を徐々に削っていく。

 

「旅人! 後ろッ!──」

 

パリンと音をたてて遺跡守衛の目玉が割れたと同時に彼は力を失ったように座り込み、怯みの体勢となる。

蛍は後ろから迫り来る足場として避けた三発のミサイルを音で感じて、『降臨の剣』を割れた目玉から抜き出すと遺跡守衛の首を掴んで背中へと隠れた。

 

蛍を狙って追尾する三発のミサイルは直線上の障害物を認識しないのか、それが放った主であっても容赦なく三発のミサイルは怯んだ遺跡守衛の全身と衝突して、大きな爆発を起こした。

 

「きゃッ!──」「旅人ッ!!──」

 

爆風で地面を何度か転がり倒れる蛍にパイモンは心配ですぐそばまで寄った。

 

「お、おい?! 旅人、大丈夫か?! 死んでないよな!! 旅人ッ!!」

 

蛍は倒れてから声も発さず、身のひとつも動かさずに倒れている。

それにパイモンは焦りと恐怖で涙を目に浮かべながら、蛍の背を揺する。

 

「お、おい! 旅び──うわぁッ!」

「──ふふ、ちょっと怪我しただけで生きてるよ。安心して、パイモン。」

 

蛍は微笑みながら、涙を流すパイモンを抱きしめる。

 

「うぅ! お前が死んだら、おいらもカルミアも悲しむんだからな!」

「へへ、やっぱり私に遺跡守衛はまだ早かったかなぁ……?」

 

「そんな事ないぞ! 旅人はとても強かったぞ、遺跡守衛に勝ったじゃないか!!」

「ありがとう、パイモン……あ、あれって──」

 

パイモンと蛍が神殿の真ん中で遺跡守衛の残骸を他所に抱きしめ合っていると、紅い穢れた血の涙が遺跡守衛の残骸から浮かぶように現れた。

 

「あれってトワリンの涙の結晶じゃないか?!」

「そうだね、あれを集めて……って思ったけど、ジンとディルックって見つけても涙の結晶が放つ拒絶反応で触れなくない?」

 

「………本当じゃないか?! 旅人、これを回収したら早く皆と合流するぞ!」

「う、うん!!」

 

蛍は穢れた血の涙の結晶を拾って、『ジン』と『ディルック』のペアの元へと向かった。

 

 

 

~~~

 

 

 

「ここは……『鷹の門』だな。少し入り組んだ秘境になってるが、さほど危険で難しいわけでもない場所だ。」

「代理団長様は物知りだな。」

 

ジンの博識ぶりにディルックは煽るように褒め、ジンは頬を赤らめて俯く。

 

「んん! ま、まぁ先輩がいれば私が出る幕はなさそうだ。」

「先輩はやめろと……それに騎士団は酒場のオーナーを戦線に立たせるのか?」

 

ジンはニッと笑って自信満々に煽り返す。

 

「では、先輩は後輩を戦線に立たせて一人見物するのか?」

「はぁ……もういい、僕も手伝おう。」

 

ディルックは『西風大剣』を片手にジンと共に遺跡の中へと進んだ。

 

「ヒルチャールとスライムか。代理団長様の言う通り、さほど脅威でもなさそうだな。」

「因みに、先輩は風魔龍の涙の結晶は触れるのか?」

 

ジンの質問にディルックはきょとんとした顔で立ち止まる。

 

「僕は触れないぞ……?」

「私も触れないが………」

 

お互いの顔を見て、硬直する二人。

先に反応したのはディルックだった。

 

「はぁ……まぁいい、見つけてから考えよう、とりあえずはここにあると聞いているのだから、涙が『天空のライアー』のように盗まれないうちに探そう。」

 

「リサが言うには、神の目を持つ者に拒絶反応を起こすと言っていたから神の目を持たない人間なら触れるかもしれないしな。」

 

ジンとディルックはお互いにため息を吐きながら、自分の失態を悔いつつも先に進んだ。

 

~~~

 

「判決を……下すッ!」

 

ディルックの大剣から燃え盛る灼熱の不死鳥となって放たれる。

不死鳥はディルックとジンの前に立ちはだかっていたヒルチャールやスライムたちを呑み込んで押し進むと、天井を突き破る勢いで上へと飛翔していった。

 

「先輩は相変わらずだな……」

「どういう意味だ? 僕はネガティブに捉えてしまう節があるからな。」

 

「そうじゃない、相変わらず凄いなという意味だ。」

 

ディルックはふっと笑って、目の前で目玉を光らせる遺跡守衛を指さす。

 

「そういう君はあれを相手にしても足りないんじゃないか?」

「私も一応は女なのだ。私がまるで女をやめた化け物のような言い方はやめて頂きたい。」

 

ディルックと変わってジンが前に出ると、遺跡守衛の背中から射出されるミサイルに向かって駆け出した。

 

「いざ、勝負ッ!」

 

ジンは剣先に風元素を溜め込み、一気に前方へ鋭い突きとして爆発させた。

放たれた六つのミサイルはジンの風の力で、ジンに触れるより先に前方で爆発を起こして消滅した。

 

「あれを化け物と呼ばずしてなんと言うんだ……?」

 

ジンは立ち上がる遺跡守衛の目玉めがけて拳を振り下ろした。

ジンの拳は遺跡守衛の目玉を容赦なく叩き割ると、怯んだ遺跡守衛の割れた目玉の部位に向けて剣を突き刺した。

 

「遺跡守衛は通常、元素を使わない物理攻撃に対する耐性が異常に高い敵なんだがな……」

 

ディルックが呆れながら笑う。ディルックの言う通り、遺跡守衛は物理攻撃に対する耐性が他の魔物と比にならないほどに高いことも特徴の一つなのだ。

その遺跡守衛を相手に拳で破壊してしまうという破天荒っぷりにはディルックも笑うことしか出来なかった。

 

「ふぅ……訓練を怠ったか? ちょっと前の私であれば、遺跡守衛の一体、十秒も掛からなかったのだがな。」

「ふっ……もう君の規格外の強さには何も口にしないよ。それよりも、ここが最後のギミックのようだ。」

 

ジンとディルックは緊張を微塵も感じさせない、強者ならではの余裕の覇気を漂わせながら最後のギミックの部屋へと入った。

 

「ふむ……最後もスライムか、遺跡守衛が十体ぐらい出てくるものだと思ってたが………まぁ遺跡守衛が多ければ多いだけ面倒か、こっちの方が助かる。」

 

ディルックは得をしたという顔で笑いながら、現れた三体の雷スライムを相手に灼熱の炎を纏った大剣を片手に駆け出した。

 

「火炎よ、燃やし尽くせッ!」

 

ディルックは散らばる雷スライムたちに再び、大剣が纏う炎を不死鳥へと変えて放った。

 

「元素爆発をこの短期間で二回も出していることが恐ろしい。」

 

後ろで待機していたジンがボソッと呟き、過負荷反応で吹き飛び、HPが尽きたことで液状化して息絶えた雷スライムを余所にディルックは更に現れた炎のシールドを纏うアビスの魔術師に警戒する。

 

「ここは私の番だな。どうやら、先輩では分が悪いようだ。」

 

警戒しながら構えるディルックの肩を叩き、通り過ぎて腰の西風剣を抜剣しニヤニヤと笑いながら踊り、鼻歌をうたう炎アビスの魔術師に向かって剣先を突き刺すように放った。

 

「砕けッ!!」

 

ジンが放った風元素の突きは遺跡守衛のミサイルだけではなく、炎アビスの魔術師が纏っていたシールドも一撃で破壊してみせた。

 

「避けろッ! 僕に一切の慈悲はないぞッ!!」

 

ディルックは一回りし、勢いをつけると炎を纏う西風大剣を回転させながらシールドを割られ怯んだアビスの魔術師に向けて投げ放った。

 

「ふっ! あのまま私が決めてもよかったのではないか?」

 

間一髪のスレスレで体を捻って避けたジンを通り過ぎ、大剣はアビスの魔術師を一刀両断、回転し燃え盛る炎の刃にアビスの魔術師は一瞬にして灰と化した。

 

「いや、あのアビスの魔術師は君に割られた後、魔法を詠唱する素振りがあった、奴らの詠唱は決まっていてシールドが割られると再構築とその時に発生する炎の柱だ。君のような真面目な人間はありえないと思うが、少しでも奴に時間を与えてしまえば、次は逃げられたかもしれない。」

 

「ふむ……一理ある、それとどうやら先に繋がる門が開いたようだ。」

 

ジンは開いた門の先を指さして言う。

ディルックは常に数多の可能性を考えており、こと戦闘においては自分が不利となる、逆転される可能性は必ず潰しておく生粋の策士だ。

 

「じゃあ進もう。ここに留まっていても何も無いようだからね。」

 

ディルックとジンは武器を納め、門の先にある部屋の宝箱を開けた。

 

「これは……旅人がこの前見せてくれた、浄化される前の風魔龍の涙だ。」

「さて……問題はここからだ、どうする?」

 

ディルックとジンはお互いに顔を見合せ、うぅんと唸り声をあげる。

 

「あ、ディルック! ジン!!」

 

二人が涙の回収方法に困っていると、まるでその為だけに呼ばれたかのように蛍とパイモンが後ろから駆け寄ってきた。

 

「あ、旅人! 良いとこに来てくれた、実は風魔龍の涙が──」

「うん、知ってる。風魔龍の涙が二人は持てないんでしょ?」

 

走ったことで疲れて、膝に手をつきながら、蛍はジンの言葉の先を読んで言う。

 

「流石、旅人だな。」

 

これにはディルックも微笑みながら拍手していた。

蛍は「ありがとう」と一言返して、宝箱の中でふわふわと浮く紅い血の涙を優しく包み込むように両手でそっと拾い、ポケットの中にしまった。

 

「よし、あとは言われた場所でウェンティとカルミアの帰りを待とう!」

「ん? あの二人は風魔龍の涙が持てるのか?」

 

「ウェンティが持てるんだ、そういう体質なんだって。」

「そうなのか……私にもその力が欲しいものだな。」

 

合流した蛍とパイモンを連れてジンとディルックは『鷹の門』を後にした。

 

 

 

~~~

 

 

 

「さて、僕たちはここだよ。」

「ふーん、僕たちというか……ウェンティは戦う気ゼロでしょ?」

 

『カルミア・ウェンティ』のペアはヒルチャールが暮らす、集落に訪れていた。

ここの近くにトワリンの涙の結晶があるとウェンティが言うので、カルミアもウェンティが道案内役となって着いてきていた。

 

「逆に聞くけど、僕が必要かい?」

 

ウェンティの自虐する質問にカルミアはふっと笑い飛ばして首を左右に震る。

 

「道案内だけでいいよ。」「──君は分かっていると思うけど、今の僕は神様としての強さなんてほぼ無いようなものだからね。」

 

そう、ウェンティはかつて相対した時と比べて月とすっぽんのレベルで変わっていた。

例えるなら、猛獣である虎が子猫になるぐらい大きな変化である。

 

「yaya! ika!!」

 

集落への道の真ん中を堂々と歩いてた二人を見た『見回りのヒルチャール』は大きな声を上げて仲間を呼ぶ。

 

「おや? 見つかったみたいだよ?」

「自分の分は自分で対処してね、私は私がターゲットとなってる奴らだけ始末するから。」

 

カルミアは『黎明の神剣』を構えて、迫り来る数多のヒルチャールを見据える。

 

「ガイアの剣術に瞬間移動のようなものがあったっけ……あれは『縮地』か何かかな?」

 

カルミアは迫り来るヒルチャールに向かって駆け出し、お互いに迫り、接触すると思われた刹那──カルミアは姿を消した。

 

「こんな感じ?」

 

姿を消した彼女は瞬時にヒルチャール達の背後へと回り、容赦ない一振りでヒルチャールの背を切り裂く。

 

「まずは一体か。」

「風だぁあッ!!」

 

カルミアが新しい複製の力で得た剣術でヒルチャールを倒していると、その横でブラックホールのような吸引力を持つ風元素の球体が現れる。

 

「うわわッ! このッ! アホタレが!!」

 

カルミアは吸い込まれるヒルチャール達を背に『黎明の神剣』を地面に深く突き刺して何とか耐える。

 

「ふぅ……。」「ふうじゃねぇよ! 私が危うく吸い込まれるところだったわ!」

 

「大丈夫かい? 僕が強すぎたようだね。」

 

ウェンティは閉じた唇の横から舌を出して片目をウィンクする。

 

「えへっ!」

「風神、あなたとはもう一度戦争をしようか?」

 

「わわわ、悪かったよ! 僕が悪かったから許してよ〜!!」

 

ウェンティとカルミアがじゃれ合っていると、倒されたヒルチャールの仇をと奥から新たなヒルチャールが群がってくる。

 

「ウェンティは小さい奴らを、私は大きい暴徒の方を倒す。」

 

カルミアは『黎明の神剣』を片手に走って迫ってくる並のヒルチャール達を頭を足場として踏み越えていき、さらにその後ろから迫ってきている大きな暴徒の斧や盾を持ったヒルチャール達の前に立ち塞がる。

 

「かかってきなよ。」

 

カルミアの挑発に乗った最初の挑戦者は大きな斧を肩に担ぐヒルチャールだった。

ヒルチャールは自慢の戦斧を構えて、カルミアが詰め寄ってくるタイミングを見計らっている。

 

「Uka!」

 

斧ヒルチャールは戦斧を構えて、カルミアを見ながら吠えているが、カルミアはそれにニッと笑って剣を構え直す。

 

「どうせ、そうやって挑発して近寄ってこいって言いたいんでしょ?」

 

彼女はあえて挑発に乗って地面を蹴るように駆け出し、戦斧が振り下ろされるタイミングで──再び、彼女は姿を消した。

 

「ふぅ! 縮地って結構便利だね、ガイアがいい剣術を持っててくれて助かったよ。」

 

予想を遥かに超えるカルミアの行動に斧ヒルチャールは斧を地面に突き刺したまま、背後へと振り返る。

 

「終わりだよ? 風刃(旅の収穫)ッ!!」

 

背後から風元素によって生成された真空の渦で斧ヒルチャールは簡単に息絶え、それを見ていた盾ヒルチャールが自慢の盾をカルミアめがけて投げ飛ばして、自身の肩を向けてカルミアへと突進してくる。

 

「わぁお? ふっ! てぇやぁッ!!」

 

カルミアは飛んでくる盾を真上へ蹴り上げ、突進してくる盾ヒルチャールの頭頂部にちょうど衝突し、彼がカルミアの目の前に辿り着くより先にその場で体勢を崩した。

 

「Upa! yaya!!」

 

盾ヒルチャールは目の前にいるカルミアを手で払うように退けて自慢の盾も相方の斧ヒルチャールも失い、自身の拳を叩き合わせてカルミアめがけてその大きな拳を振り下ろした。

 

「いいよ、実は私も格闘術は得意なんだよ。」

 

振り下ろされた拳を側面から蹴って落下軌道をずらし、カルミアは膝を地面へと落ちていくヒルチャールの顔面へ打ち込んだ。

 

「Hn! hn!」

 

鼻を折られた痛みで退いたヒルチャール暴徒は、怒りを表すように胸のあたりを叩いている。

ゴリラのドラミングに似ているが、彼のドラミングは威嚇ではなく、最早怒りの表現である。

 

「怒っても変わるのはお前の顔面だけだよ。私の勝ちは揺るがない。」

 

ヒルチャール暴徒はゴンゴンと音を鳴らして拳を叩き合わせると地面を抉るように踏み込んで高く跳躍し、カルミアの頭上から拳を振り下ろす。

 

「だから……ふッ!」

 

カルミアは落下地点を読み、地面を蹴って身を横に躱すとヒルチャール暴徒が着地したと同時に、自身の片足を軸にもう片足を回転しながら上げ、勢いのついた鋭い回し蹴りがヒルチャール暴徒の側頭部に直撃する。

 

「Hunnnnn!!!」

 

怒りを爆発させたヒルチャール暴徒はカルミアの蹴りなんてものともせず、彼女の足を掴むと引っ張って頭上でぶんぶんと振り回し始める。

 

「おわぁ?! ちょちょちょ、ふ、服がッ! 服が乱れて見え──お前、ぶっ──ぞ! 私の裸体を見ていいのは蛍だけなんだよぉ!!」

 

カルミアは服を両手で押さえながら、振り回される足の付け根にある手をもう片足で強く蹴り、ヒルチャール暴徒の手を自身の足から手放させる。

 

「ウェンティ、こっち見んなッ! ぶっ──ぞ!」

 

「僕は見てないよ〜!」「──というか、戦闘終わったの?」

 

「うん、僕にかかればヒルチャールの十体ぐらい相手にならないよ。」

 

カルミアは乱れた自身の衣服を整えて、再び迫り来るヒルチャール暴徒に怒りを募らせる。

 

「裁きは炎でも氷でもなく、雷が一番だよね。」

 

カルミアは、肩を前に出して突進してくるヒルチャール暴徒に狙いを定めて片足に雷を纏わせる。

 

「死に晒せ、変態ッ!!」

 

ヒルチャール暴徒がカルミアの間合いに入った瞬間、彼女の雷を纏った片足は容赦なく、ヒルチャール暴徒の肩を抉るように砕き、そのまま側頭部に強烈な雷を放った。

 

「Ugagagaga!!」

 

雷を頭に直で食らったヒルチャール暴徒は全身が麻痺して、勢いのままカルミアとウェンティの背の方へ流れるように倒れた。

 

「しぶといなぁ……これでも咥えときなよ。」

 

カルミアは痺れて仰向けで倒れるヒルチャール暴徒の口に炎の矢を咥えるように狙いを定めて放った。

 

「どっかーん。」

 

矢が纏う炎とヒルチャール暴徒に帯電する雷で起こる、過負荷反応でヒルチャール暴徒は体の内側から小さな爆発を起こして全身を一瞬仰け反らした。

 

「はい、終わり。 宝箱はどこにあるか分かる?」

「トワリンの涙なら僕がもう回収したよ、それにしてもカルミアはなかなかに容赦がないというか、残酷だね?」

 

「あいつが悪い、乙女を素っ裸にさせようとする奴には制裁を。」

 

ウェンティとカルミアはトワリンの涙を回収し、壊滅状態にあるヒルチャールの集落を後にした。

 

 

 

~~~

 

 

 

「おお! 『トワリン保護会』再集結だな!!」

 

あれから、トワリンの涙を三つ集めた一同は『天空のライアー』を取り出してその上に持ってくる。

 

「あ、待って待って! その涙を浄化しないとダメだよ!!」

 

思い出した蛍はパッと涙を取り、そっと優しく両手で包み込む。

トワリンの涙が放つ輝きは深紅から淡い蒼へと変わる。

 

「この目で見ていなければ、とても信じ難いが……」

「面白い。まるで酒の濾過のように、澄み渡っていく。」

 

蛍は浄化されたトワリンの涙をそっと『天空のライアー』の上に持っていく。

 

「これだけ涙があれば十分だ。うん、そのまま次はこの前みたいに、涙を『天空のライアー』に落とそう。」

 

涙の結晶を『天空のライアー』に落とすと、この前のように結晶が『天空のライアー』に近づくにつれて液状化していき、『天空のライアー』の弦に染み渡る。

 

「やった!」

 

涙を吸収した『天空のライアー』は以前の質素な感じからガラッと変わって、薄い黄色をベースとした明るみを取り戻した綺麗なライアーへと変わった。

 

「前とは全く違う感じがする。」

 

ウェンティは『天空のライアー』を手に取り、弦を弾いて風の音を聴く。

 

「『風元素』……活発になってきたね。これなら問題ないはずだ。」

 

ウェンティは微笑み、皆に礼を言う。

 

「皆、ありがとう。」

「どういたしまして。」

 

蛍が律儀に返して、ジンが尋ねる。

 

「それで、どこで風魔龍を呼べばいい?」

 

モンド城は間違いなく不可能だし、清泉町あたりもダメ、人が生息する地域は避けた方がいいだろう。

 

「モンド城内はダメだ。失敗したら、取り返しのつかない事態になる。」

 

ジンの言う通りである。そこでディルックが何かを思い出したという表情で提案を出した。

 

「星落としの湖から東、砂浜の南に山地がある。」

「あっ! この間、旅人とカルミアが寝てた砂浜だよ!」

 

「山の伸びる方向に沿って登ると、『星拾いの崖』というところに着く。──詩人、君が希望する海風と高いところを吹く風も、そこでなら条件を満たせるだろう。」

 

「ふむふむ、星拾いの崖ね……確かにいい所だね。僕の歌声に相応しいよ。」

 

「では、準備して星拾いの崖に集合しよう。──皆、遅刻しないように。」

 

ジンママは先生の属性も兼ね備えているとは……流石はママだ。

私はジンママと行く! 道中でジンママを……えへ、えへへ。

 

「カルミアは私たちと行くけど、少しモンド城に戻ってから行くね。」

「え? いや、私はジンと──」

 

蛍はニッコニコで微笑みながら、カルミアの襟首を掴んでモンド城へと戻って行った。




ちょっと最近、書き方が雑になってて申し訳ないです。
学校とか部活終わりとか色んな時間の合間に書き進めてるので、物語を繋ぎ繋ぎで書いてて雑になるんですよね。
一気に時間を取れよ!と言われたらそうなんですが、中々それが難しくて……夏休み入りますけど、夏休み中もほぼ全部部活ですから、執筆も難しいですし。

因みにモンド編の魔神任務が終わった後は璃月に直行して魔神任務に進むか、少しオリジナルストーリーでモンドの他のキャラと絡みを持たせてから行くか迷ってます。
良いストーリーが出来たらオリジナルストーリー絡ませたいと思います。

作中におけるカルミアたちの下ネタや暴言をどこまで許します?

  • ち─こみたいな伏字があるなら許せる。
  • ち○こみたいな伏字があるなら許せる。
  • ────って完全に─で伏せて欲しい。
  • ちんこってもろに言って欲しい。興奮する
  • カルミアは下ネタを言う変態じゃない!
  • カルミアは伏せたら何も残らない!
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