ラブコメのコメ寄りみたいなやつです。
□「小説家になろう」「カクヨム」「ハーメルン」にマルチ投稿しています。

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「君を愛することはない」「私が……見えるんですか?」なんでより複雑な状況を被せてきちゃうんだよ

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「やれやれ。今日も我が領地は終わっているなあ」

 

「領主も終わってますからね」

 

 ある春の日の午後のことだった。

 

 ここはホールグレイ伯爵家の邸宅。花びらが窓から舞い込む美しい書斎の一室で、やたらに高貴な佇まいをした青年――つまり伯爵は美しい憂い顔で、美しくないを通り越してドブのように汚い今年の領地の利益計算表と向き合っていた。

 

「終わって『た』、な。全く、とんだ領地を引き受ける羽目になってしまったものだ。前の横領侯爵もこんな恐ろしい債務を残していくとは……。爆発すればタダでは済まん。とんだ災難だな。私も、それにここの領民たちも」

 

「そうですね。次に来たのもよりによってこんな領主ですから」

 

「もしかすると最新の研究では『怒りは身体に良い』という結果が出ていて、お前は私の健康に気を遣ってそういう言葉を投げかけてくれているのか?」

 

 いいえただの悪ふざけです、とニコリともせずに答えたのは怜悧な顔立ちをした、伯爵と同じく異様に美しい執事だった。このふたりが並んだところを見れば、もしも顔の美しさに応じて建造物が建立されるならまず間違いなく雲を貫く大石塔がそびえたち、神の怒りを買って雷を落とされ、降り注ぐ瓦礫という瓦礫が地表に衝突し、硫酸エアロゾルを形成し、最終的に太陽光を遮り氷河期が到来し恐竜が死に絶えたことだろうという具合で、端的に言ってこの書斎は一枚の絵画のようになっていた。

 

「しかし明るいニュースもありますよ。伯爵」

 

「ほう。どんな」

 

「結婚が決まったそうです」

 

「最近はなかなか『結婚=幸せ』とも言いがたいご時世になってきてしまったところだが……そうか。当人同士が幸せならそれは大変明るいニュースだな。誰なんだ、その結婚する人というのは」

 

「伯爵です」

 

「私次第か……」

 

 一ミリも知らされていなかったんだが、と伯爵は言った。

 一ミリも知らせてみなかった結果……、と執事は応えた。

 

「まあしかし、運命の結婚という言葉もあることだしな。時には抗えない力に押し流されることもある、という点が共通しているわけか」

 

「はい。私がその『抗えない力』です」

 

「部下には欲しくなかったな。それで、私の結婚した相手というのはどこのどなたなんだ」

 

「先ほど隣の部屋にお引越しなされたと噂のジゼル様です」

 

「よし、挨拶に行くか。善も悪もとりあえず急げと言うしな」

 

「あわてんぼうさんの人生訓ですか?」

 

 早速伯爵は立ち上がる。利益計算書を丸めてごみ箱にぶん投げる。執事はそれを空中でキャッチして空中でアイロンをかけて空中で元通りの状態にして机の上に再び置く。あとついでに伯爵の椅子にも座るし、くるくる回る。それを尻目に伯爵は扉を開けて部屋を出て、もう一度扉を開けるまでもなく隣の部屋は開け放たれている。

 

 そこにいたのは、ひとりの美しい女性だった。

 

 どのくらい美しいかというと、恐竜が絶滅するくらい美しかった。

 

「失礼。部屋に入ってもよろしいかな」

 

 早速伯爵は開け放たれたままの戸をノックしてそう語りかける。その仕草は大変美しかったが、流石に恐竜を絶滅させる者同士の邂逅である。美しさだけではどうにもならない領域があるらしく、じっと見つめ返されるだけで質問は無視された。悲しい気持ちになりながら、部屋には入らないように一線を保ちつつ伯爵は言う。

 

「契約結婚にしよう」

 

 それから、この領地を取り囲む事情について彼は語った。かくかくしかじか。

 

「つまり、近いうちにこの領地は財政破綻を起こし、反乱がおき、領主はボコボコにされ、執事は走って逃げる。君がそれに巻き込まれてしまうのも忍びないし、こう、ここにいる間はステップアップのための準備期間だと思って、就職活動をしたり、別の結婚相手を探すのをお勧めする」

 

 ジゼルは応えない。

 

「私とのことなら全く気にしなくて構わない。反乱までのごく短い期間に君を愛することはないし、どうぞ気兼ねなく過ごしてくれ」

 

 全てを言い終えたが、やはりジゼルは応えない。丸い瞳でじっと伯爵を見つめている。伯爵はいたたまれなくなってきた。普通に「こいつ最悪だな」と思われていそうな気がしていたのだ。

 

 おずおず、という様子でそれからようやくジゼルの唇が動く。

 

 そのおずおずっぷりに、どうやら「こいつ最悪だな」ではなく「最悪ですね」程度で済みそうだ、と伯爵は最悪の安堵を覚える。

 

 ジゼルが言う。

 

 

「私が……見えるんですか?」

 

 

 話が一気に複雑化した。

 

 

 

 △

 

 

 ジゼルは伯爵家の令嬢であるが、ついこの間まで普通に無職をやっていた。

 

 それも貴族によくある「それ家の仕事してますよね?」という感じの生易しい無職ではない。経理はしないし社交も拒否。寝るわ食べるわやりたい放題。ガーデニングをライフワークにしようとしてよりにもよって「チョコミントが毎日食べられたら嬉しいから」とミントの苗を買ってきて庭師に両手を挙げて威嚇されて以来、彼女はあらゆることにやる気を失っていた。

 

 彼女の父母は根気強い人たちだった。あれをやってはどうかこれをやってはどうか。その顔面の良さで大気や水質の汚染を浄化してみたらどうか。次々にジゼルに提案をした。しかしその言葉は届かない。

 

 ジゼルはすでにあらゆることが面倒くさくなっていた。

 

 働かずに生きられるならそれに越したことはないという、宇宙の真理に気付いてしまったのだ。

 

 だから全てのことに「気が向いたらやる」とだけ応えて部屋の扉をバタン!と閉めるとドスン!とベッドにダイブ。一生気が向くことはないんだろうなと他人事のように思いながら天を仰ぐ。そして言った。

 

 

「あーあ。

 誰からも見つからない透明人間になれたら、人の家の冷蔵庫の中のものとか勝手に食べて生きていけるのになー」

 

 

 

 

 

「そして次の日の朝、私は透明人間になって誰からも認識されなくなっていたのです……」

 

「やはり強い思いには願いを叶える力があるのだな」

 

「そうですね。愛と勇気が勝つ道理……」

 

 しくしく、とジゼルはハンカチで己の目元を抑えて俯いていた。

 しかし伯爵はこの短時間でジゼルの性格のおおよそのところを見抜いており、どうせ嘘泣きだろうな、と冷静な判断を下していた。

 

「しかし、そこに伯爵! あなたが現れたのです!」

 

 がばっ、とジゼルは両拳を握って立ち上がった。しゅっしゅっ、とその拳でジャブ、フック、ジャブ、フック、ジャブ、ストレートを決めた。当然頬に涙の跡はなかった。

 

「これはもはや運命です! 今すぐ私を愛し、幸せな結婚生活を始めましょう!」

 

「いや……無職の人はちょっと……。せめて社交、それがどうしても苦手なら経理とか人事を手伝ってほしいというか……」

 

「そこを何とか!」

 

「せめて『努力します』くらいのことは言えないか?」

 

 言えません!と元気いっぱいにジゼルは答えた。ちょうどそのとき伯爵の後ろを執事が通りがかり、「うわ、ひとりで話してる」と通り過ぎようとした。その首根っこを伯爵は捕まえた。

 

「なんです。伯爵」

 

「ジゼルさんと私の結婚はどういう経緯で決まったんだ」

 

「ダーツで」

 

 伯爵は抗えない力に自分が押し流されつつあるのを感じた。

 

 行っていいぞ、とその手を放す。ジゼルに向き直る。

 

「百歩譲って私と君の婚姻が成立するとして、だ」

 

「今の録音しました」

 

 ちょっと百歩譲ってみたらこれだよ、と伯爵は思った。執事にもしょっちゅうやられるので、この口癖は止めた方がいいのかもしれないとすら思う。

 

「先ほども言った通り、この領地は大変厳しい状態にある。近いうちに反乱が起きかねないし、そうなれば君も無事では済まないんだ」

 

「己の放つ輝きが一瞬であることを悔やむ流れ星が、一体どこにいるでしょうか」

 

「詩人か?」

 

「というかそもそも私は他の方には見えないので、反乱が起ころうが大したことじゃありません。ひとりだけ無事に生き残り、健気に伯爵のお墓参りを……あ! 私、お墓参りは得意です! 無職はいつも家にいるからお墓参りの経験が豊富なんです!」

 

 意気揚々と、あまり魅力的ではないポイントを彼女はアピールしてきた。伯爵は『お墓参りが得意』という言葉の指すところは『墓場に行くと墓の下から死人が這い出てくるので一緒に踊り出すことができる』とかそんなところだろうかと考えている。この人ならそのくらいはやりそうだ。

 

「しかしだな」

 

 辛抱強く、伯爵は言う。

 

「私が反乱でボコボコにされれば、君のライフラインも途絶える。結婚の意味がないぞ」

 

「…………」

 

「そこは『任せてください! 透明人間の力を活かしてこの領地の経営を上向かせてみせます!』と言うべきところじゃないか?」

 

 言わなかった。ジゼルは、決して。

 

「まあまあ、細かいところは置いておいて」

 

 しかも誤魔化しにかかった。

 

「とりあえず結婚してみましょう。この世に『それからでは遅い』ということはありません!」

 

「ではしっかり話し合ってから結婚するのは?」

 

「それからでは遅い!」

 

「結婚はこの世のものではないのか……」

 

 そういうわけで、ふたりは結婚することになった。

 

 

 

 

2/4

 

 

「おい、汚職記者。仕事だぞ」

 

「だから汚職はしてませんって」

 

「じゃあ何だ」

 

「この時代に合わないジャーナリズムを披露してしまっただけです」

 

 ホールグレイ伯爵家の治める領地にすら、新聞社はある。

 

 一体いつの時代の建築法に合わせて建造されたのか今にも倒壊しそうな社屋。その一室の、ほとんど取材資料で埋め尽くされて生きながら遺跡になりかけた執務室で、指図をしている管理職と指図をされている汚職記者がいた。

 

 ぽい、と管理職が仕事を投げる。

 

 べち、と仕事が床に落ちるのを目でしっかりと追ってから、記者はそれを拾い上げてぺんぺん、と手の甲で埃を払った。

 

「ちゃんとキャッチしろよ……。感じ悪いな……」

 

「仕事を投げる方が感じ悪いでしょ。で、何ですかこれ。伯爵の取材?」

 

 その投げられた仕事は、その別名を『書類』と呼ばれている。

 

 記者は目を細めながら、そこに書かれていることの仔細を読み取った。

 

「ああ。この間のあの異様な結婚式があっただろ。伯爵ひとりきりの。この世ならざる者と結婚したんじゃないかとか言われてるやつ。王都本社からの依頼でこの件を紙面にすることになってな。その取材に行ってきてくれ」

 

「全部口で言うならわざわざ書類を読む意味なんてありました? 私の貴重な時間を返してください」

 

「口やかましいなこいつ……」

 

 こんなんだから王都から左遷されてきたんだろうな、と管理職は言う。

 

 うるせえ!と記者は書類を投げつける。

 

「行けばいいんでしょ行けば! 今行こうと思ってたんでやる気を削ぐようなことしないでもらえます!?」

 

「最近の若者の扱い難しすぎるだろ……」

 

 記者は踵を返すと、バァン!と勢いよく扉を閉めた。

 

 その衝撃が社屋の倒壊の決定的な引き金を引いたことになるわけだが、それはまた別の話。

 

 

 

 

「ここか。幽霊屋敷にしては綺麗だな……」

 

 全ての追っ手を振り切った記者は、花も恥じらう美しい屋敷の前に立っていた。

 

 ここがホールグレイ伯爵邸。ごくり、と生唾を飲む。

 

 中では恐るべき悪事が行われていることだろう。なぜなら権力者というのは常に悪いことをしているものだからだ。適当に決め打ちして取材してみるだけで百件は犯罪行為の証拠が出てくるに違いない。

 

 許せない!

 

 想像上の義憤に燃えて、記者はインターホンを押した。

 

 ぴんぽーん。

 

 ぴぽぴぽぴぽぴぴぴぴぴぴぴんぽーん。

 

 ガチャリ、とドアが開く。

 

 恐竜が絶滅するほど美しい執事が、不機嫌そうな顔で出てきた。

 

「インターホンを連打してはいけないと学校で教わらなかったのですか?」

 

「はい!!!!!!!!!」

 

「じゃあ教育の問題で個人の責任はないか……」

 

 不機嫌そうな顔が消えて、無表情になった。

 

「どちら様で、どういったご用件でしょうか」

 

「記者です! 伯爵の隠された悪事を白日の下に晒しに来ました!」

 

「ほう。なかなか面白くなってきましたね……」

 

 中へどうぞ、と執事は記者を迎え入れてくれた。

 

 これは入邸証です、と首に青いストラップ付きのネームをかけてくれた。熱中症に気を付けて、と大きな水筒と帽子と防犯ブザーをくれた。どうもありがとうございます、と記者は大声で礼を言った。

 

「ようし、まずは執務室に乗り込んで汚職の証拠物件を確保するぞ!」

 

「執務室はこの先を右に曲がってバーッて行ってガーッです」

 

「この先を右に曲がってバーッて行ってガーッですね! ありがとう、親切な執事さん! あなたの勤めるこの悪しき職場は必ずこの敏腕記者がぺんぺん草も残らないくらいに破壊してみせます!」

 

「楽しくなってきたなあ」

 

 記者はこの先を右に曲がってバーッて行ってガーッとした。

 

 すると目の前に、いかにも執務室らしい扉が現れた。ノブを掴む。回らない。鍵穴に針金をぶち込む。

 

 ガチャガチャガチャガチャ!

 

 ガチャ!

 

「もうちょっとピッキングはこっそりやった方がいいんじゃないか?」

 

「あっ、悪い貴族だ!!!!」

 

「結論を出すのが早いな……。前任の所業を考えると理不尽とも言いがたいところだが……」

 

 中から扉が開いて、恐竜が絶滅するほど美しい伯爵が出てきた。

 

 こんにちは!と記者は大きく挨拶をする。こんにちは、と伯爵は返してくる。どうやら挨拶を返す程度の偽善ぶりは備えているらしい。なかなか一筋縄ではいかなそうだ……記者はぶるりと身震いをした。

 

「取材に来ました!」

 

「そうか。もう百件目だからそろそろ簡略化させてもらうが、私が結婚したのはとある伯爵令嬢の方だ。少し珍しい個性があって人の目には映らないんだが、確かに存在している。素性についてはもう少し我が領の運営が安定するまで秘匿させてもらう」

 

「伯爵、話を逸らさないでください! それとあなたの汚職に何の関係があるんですか!」

 

「汚職?」

 

 不思議そうな顔を伯爵はした。

 

 しらばっくれやがって、と記者は思う。そして勝手に棚の資料を漁り始めると、ああそういう、と余裕たっぷりの相槌が返ってきた。

 

 バシーン!と記者はその資料の一点を指差した。

 

「――なんですかこれは! 汚職まみれで終わっていたこの領地の財政が上向いてきています! これは間違いなく――」

 

「ああ。頑張ったんだ」

 

「なんだ、頑張っただけか……。――なんですかこれは! 失職率が著しく下がり、しかも労働環境が改善されて一人当たりのGDPが上がっています! これは間違いなく――」

 

「ああ。頑張ったんだ」

 

「なんだ、頑張っただけか……。――なんですかこれは! 社会保障が充実したことで老後への不安がなくなり消費マインドが促進! 景気だけでなく人々の心も上向いて領民の幸福度がぱんぱかぱんぱん花丸急上昇です!」

 

「ああ。頑張ったんだ!」

 

「すごい頑張ってるなあ! こんなに頑張ってる人がいるってみんなに早く教えてあげなくちゃ! 来たばかりで恐れ入りますけど、すぐさま記事を仕立てるために帰社させていただきますね!」

 

「いやいや。こちらこそ報道の公平性を保つ観点から何のもてなしもできずに申し訳ない」

 

「お構いなく!」

 

 お邪魔しました!と記者は伯爵邸を後にし、倒壊した新聞社に帰還した。

 

 そっちはいいんだよ、とテントを張って飯盒炊爨に取り組んでいた管理職に諭され、カレーを食べてからもう一度伯爵邸の執務室に舞い戻った。

 

「たびたびすみません。別件の取材をさせてもらってもよろしいでしょうか。あんまり興味はないんですが」

 

「なんだか正直すぎて真実以外を決して伝えそうにない高潔な記者だな……。どうぞ」

 

「ひとりきりで結婚式……は、さっき目に映らない方と結婚したって言ってたから解決。それはどんな方……もさっき伯爵令嬢って言ってたし省略。もっと詳しく……は、もうちょっと領地運営が安定してから」

 

 だけど、とそこで記者は目を上げて、

 

「これはなんでですか?」

 

「領地運営に失敗して民衆蜂起が起こったら巻き込まれて可哀想だろう」

 

「我々民衆が結果のひとつまみを以て頑張った人の身内まで巻き込んで晒し首にするような野蛮な人間だという意味ですか!!!!! 許せない!!!!!!!!」

 

「すみません」

 

「謝ってもらえるなら許すか……」

 

 なるほどなるほど、と記者は取材ノートにかわいいくまさんの絵を描きながら頷く。

 

「ちなみに、もしかしてその結婚相手のパートナーの方が領地経営のお手伝いとかをされていたりは」

 

「してないな。経理をするつもりがないそうだ」

 

「なるほど。では社交パーティなどで外部資金を引っ張ったりなど……」

 

「してないな。社交をするつもりがないそうだ」

 

「となると、完全に内向きでお屋敷の仕切りをされているんでしょうか」

 

「してないな。人事をするつもりがないそうだ」

 

「じゃあ何をされてるんですか?」

 

 伯爵は長考に入った。

 

 負けたら死ぬ試合に挑んでいるチェスチャンピオンでもこれほどの真剣さで長考には入るまい、という調子だった。記者は待った。待っている間に執事が「賄賂にならないギリギリの飲み物です」「なんですかこれ」「そのへんの水です」とコップを机の上に置いてきた。さらには「お暇でしょう、この領収書の後ろにゼロを付け足したりして遊んでいてくださって構いませんよ」と棚から資料を持ち出してきて、それを記者は「ジャーナリズムは決して誘惑に屈しない!」と跳ね除けたりした。

 

「強いて言うなら、」

 

 日が暮れる頃になって、ようやく伯爵は言った。

 

 

「生きてる」

 

 

 

 

3/4

 

 

『生きてるだけで愛しくて……。

 花丸急上昇! 清廉なるホールグレイ伯爵の知られざる「見えない恋」』

 

 

 とうとうこの時が来たか、と。

 

 ベッドに寝そべりながら新聞を読んでいたジゼルは、ピキーンと稲妻が走ったような衝撃を受けた。

 

 のっそり起き上がる。服を着替える。化粧を整える。部屋の扉を開けて廊下に出て行く。右に曲がってバーッて行ってガーッとして、執務室の扉をピッキングして開ける。

 

 そっと控えめな花のように、扉の陰から伯爵に微笑みかける。

 

「ぬふふ……」

 

「朝から気味が悪いな……」

 

 しらばっくれちゃってまた。

 

 そそそそそ、と楚々とした動作でジゼルは伯爵に寄っていく。彼の机の上に新聞を広げる。

 

「読みましたよ、もう」

 

「今日の星座占いは最下位か……道理で……」

 

「そこじゃなくて」

 

 ここここ、と指を差す。一番でかでかと書かれているところ。ついでに親切心から音読もしてあげる。

 

「『ホールグレイ伯爵の結婚相手はなんと、目に見えないというのだ。これが先日の奇妙な結婚式の真相……しかし彼はそんなことを歯牙にもかけていない様子。なぜ彼女を傍に。そんな筆者からの不躾な問いかけに、彼はこう答えた。「生きている」ひょっとすると新たにこの地を治めることになったのは、愛の人なのかもしれない』」

 

「それで?」

 

「恥ずかしがっちゃって!」

 

 す、とジゼルは伯爵の頬に唇を寄せた。

 

 アイアンクローで拒否された。

 

「久しぶりにまともな記者が来たと思ったらこれか。やられたな……」

 

「ツンデレになっちゃって! でも大丈夫。私は愛される才能にかけては他に並ぶ者がいませんからね!」

 

「すごいな。おおよその人間の悩みはその才能の欠落に集約されると思うんだが……」

 

「というわけでいつでも私は準備ができています。さあ。今すぐ私を愛し、幸せな結婚生活を始めましょう!」

 

「…………」

 

 三秒の沈黙ののち、伯爵はアイアンクローを解いた。

 

 一応、とジゼルはもう一度顔を寄せてみたが、もう一度アイアンクローをされた。

 

「もう君が来てから、一年近くが経つ」

 

「そんなに? 無職だから時間感覚なくなってました」

 

「だろうな。……その頃に比べれば状況は変わった」

 

 ちょうどこのあたりに書いてあるな、と伯爵は新聞を指差す。

 

 そこには、この領地の経済が非常に上向きで未来は明るい人生は最高踊れwow wow wowというようなことが虹色の字で書かれている。

 

「終わっていた領地だったが、頑張ったら何とかなった」

 

「頑張りってすごいですね。私がこれまでの人生で一度も頑張れなかったのも納得のすごさです」

 

「頑張りにも程度というものが存在し、まずは小さな一歩から踏み出すことが人生への向き合い方としてよく推奨されているんだが……」

 

 まあいい、と伯爵は言う。

 

 重要なのは、と。

 

「もはや民衆の反乱の心配はほとんどしなくてよくなった、ということだ」

 

「そうなると私が巻き込まれる心配もなくなったので最初の契約結婚がどうたらこうたら言っていた建前も消失し、『反乱までのごく短い期間に君を愛することはない』とか言ってたのも一年も経てば流石に短い期間とか言ってる場合じゃないしそろそろ豊かな結婚生活をスタートさせたいと」

 

「なんで急にそこだけ頭の回転が速くなるんだ」

 

 活かせそれを、と伯爵は言う。

 

 無茶を言わないでほしい、とジゼルは思う。活かせるかどうかの問題ではなく、活かしたいと思うかどうかの問題なのだ。

 

 とうとう伯爵はアイアンクローを離した。

 

 もう少し遠慮がちに行ってみるか、ということでジゼルは伯爵の手を取った。ふたりの手がキツネの形を取った。

 

「流石に何かひとつくらいは仕事をしてほしいと思っていたが……」

 

「別に従業員を雇うわけでもないんだし経理も社交も人事もアウトソーシングすればいいだけだと気が付いた?」

 

「そうなると結婚相手に対して何を求めるかと言うと……」

 

「結局いざというときに自分の味方になってくれるなという信頼だったり、何かが上手くいかないときに精神的にマイナスの方向に行かないように繋ぎ止めてくれるような気楽さや全身から放たれるマイナスイオンの量だと気が付いた?」

 

「そして冷蔵庫のプリンにそれぞれの名前を書いておいても……」

 

「あえて相手の名前が書いてある方を食べることこそが『お互いの人生の一部を相手に委ねる』という結婚の本質的な要素だと気が付いた?」

 

「やっぱりお前か」

 

「あだだだだだだ何でそこだけ本気で怒ってるんですか」

 

 指をものすごい形に極められながら、話は続く。

 

「一年も拘束しておいて今更何の就職活動もしていない君を野に放つのも忍びないし……」

 

「あだだだだめちゃくちゃ今束縛されてる束縛彼氏になってる」

 

「最初の頃はちゃんと塩対応という気持ちでやっていたこれも、ただのツンデレ仕草になってきていると自分でも薄々気付き始めているし……」

 

「あだだだだだだツンデレと暴力の組み合わせが許されてるの十五年くらい前まで」

 

 そっと伯爵が指を離す。

 

 するとジゼルは己の肩こりがきれいさっぱり消えていることに気が付いた! いや、元々無職すぎて一切の肩こりが存在していなかった可能性ももちろんあるが……。

 

「しかしだな」

 

「嫌いな言葉ですね。大体その後に正論が続くので」

 

「私は一度口にしてしまうと引っ込みが付かなくなってしまうタイプなので、何かのきっかけが欲しいのだ」

 

「横暴が続いた。珍しいパターンだ……」

 

「というわけでひとつくらい仕事をして何か私にきっかけをくれ」

 

「結果は同じだ……」

 

 何でもいいぞ、と伯爵は言った。

 

 本当に何も期待していないような優しい顔で。

 

「別にそんな、まともな仕事をしろというわけじゃない。ただ……そうだな。ティッシュの箱が空になっていたらクローゼットから代わりのを持ってきてカバーに嵌め込むとか、そういうことでいいんだ」

 

 ジゼルはむっとした。

 

 確かに普段からそういうことができているかといえば全くできていないが、かと言って全く不可能かと言えばそんなことはない。その気になればできる。

 

 その気になればできる程度のことを挙げられるのは、

 

「全く期待されてないみたいでそれはそれで面白くない……」

 

「全く期待してないんだ。あと、人生を面白さ基準で乗り切ろうとしないでくれ」

 

「面白くないのででっかい仕事をさせてもらいます!」

 

 覚悟してろよ! そう言ってジゼルは踵を返して走り出す。

 

 待ってくれ! そう言って伯爵はその手を伸ばす。

 

「さっさと正式に結婚して幸福な新婚生活を送らせてくれ!」

 

「ちょっとくらい我慢しろ! 私だって一年近く我慢したんだから!」

 

「それもそうだな」

 

 手が引っ込んだ。

 

 円満に話がまとまり、ジゼルは駆け出した。十秒くらいで脇腹が痛くなって、身体をくの字に曲げながら瀕死で壁に寄りかかった。

 

 そして考えた。自分にできるでっかいことはなんだろう。

 

 頭に浮かんだ。得意なことと好きなことを組み合わせてみるのはどうだろう。

 

 得意なこと。墓参り。

 

 好きなこと。ミント植え。

 

 

「お墓にミントでも植えるか」

 

 

 

 

4/4

 

 

『「見えない夫人」の真実!

 墓所に咲き乱れるミント、伯爵の愛、花言葉に秘められた意味……』

 

 

 ミントの花言葉ってたぶん『効能』とかだろ墓の下から温泉が湧くとかそういう話か、と。

 

 机に向かって新聞を読んでいた伯爵は、モモーンと怪訝な気持ちを抱えていた。

 

「なんだこの記事は」

 

「何の記事ですか? ……ああ」

 

 これですか、と後ろから覗き込んできた執事が頷く。

 

「最近取材に来ていましたね。墓所のミントの花畑」

 

「『墓所のミントの花畑』って七五調で語感が良いな。……それにしても大丈夫なのか。ミントって繁殖力が高すぎて恐れられてるイメージがあるんだが」

 

「さあ。でも、評判は良いみたいですよ。香りを嫌って虫や獣が寄り付かなくなったそうで。今では人気の観光スポットだそうです」

 

「大丈夫なのか。墓場が人気の観光スポットで」

 

「ろくなもんないですからね、この領地」

 

 そろそろ観光にも力を入れるべきか。心の片隅で伯爵はそんなことを思うけれど、片隅以外の場所は目の前のこの記事にミント畑のごとく埋め尽くされている。執事がそれを音読する。

 

「『見えない夫人と墓所の花。「生きている」という言葉。これらを掛け合わせてしまえばいくらでも邪推はできることだろう。しかし、そうしたことを筆者はここに書き散らしたいとは思わない。伯爵は領民のことも忘れていない。今はただ、それだけでいいのではないだろうか』」

 

「完全に私が幽霊を相手に恋愛をしている人として扱われていないか?」

 

「気のせいでは」

 

 気のせいなわけがない。

 

 しかしそのことはどうこうできる問題でもないので伯爵は気を取り直して、

 

「どうやら彼女も頑張ったらしいな。よし、様子を見に行くか」

 

「死んではいけません、伯爵!」

 

「これ以上話をややこしくしないでくれ」

 

 

 

 

 

 本当に頑張った、と思いながらジゼルはミント畑と化した墓所を見ていた。

 

 たくさんのカップルが訪れている。「厳かだね……」「君の方が厳かだよ……」と愛の言葉を囁き合っている。頑張った甲斐があった、と思う。

 

 ミントを地植えするのは本当に大変なのだ。いや植えることと育てること自体は大して大変ではないのだが、大して大変でないのが大変なのだ。詳しい説明は植物図鑑とか植物の育て方の本とかに譲るが、ご近所トラブルに発展する可能性があるとかで実家の庭師と、あと墓の下に埋まってる死人とかからマジギレされたのだ。

 

 でも頑張った。

 

 そのときに説教された記憶を消さずにおいたおかげで、地中に仕切りを埋め込んだり匂いがきつくなりすぎないように工夫したりなんかこう色々いい感じにそう、なんか霊の助けとかもあった気がするし、あと魔法とかそういうのも使った気がする。なんか上手くいったのだ。

 

 何でもそうだが、上手くいくときというのは自分でもよくわからないまま魔法のように成功する。

 

 人生で初めてのチャレンジだったから、ジゼルはそのことも初めて知った。

 

「おお……。思った以上に賑わっているな」

 

「わ、伯爵」

 

 悦に入っていると、いつの間にか隣に伯爵が立っていた。びっくりしてジゼルは地面から五センチくらい浮き上がってしまう。

 

「大丈夫なんですか、お仕事は」

 

「ああ。ところでびっくりして跳び上がった後は浮遊状態をキープしないで、ちゃんと二秒以内を目安に着地した方がいいぞ。人として」

 

「そんな無茶な」

 

 ざわざわと、辺りが騒がしくなってきた。ジゼルはその声に視線を巡らせて、それで気付く。こんな声が聞こえてくる。

 

「あれが噂の……」

 

「本当だ。何もないところに話しかけてる……」

 

「だから墓に花を……」

 

「私も若くて生きてた頃はああいう時期あったなあ……」

 

「なんかいたぞ今」

 

「肩重くなってきた」

 

 おっとっと、とジゼルは思う。

 

 あんまりこの場で話していたら、伯爵が変に思われてしまう。

 

「伯爵。とりあえず家に帰りましょう」

 

「ああ。その前に着地した方がいいぞ。段々五センチが十センチになってきてるからな」

 

「変なこと言わないください。人間が浮くわけないでしょう」

 

「そうか。もはや俺の身長を超え始めているが、それは君が人間ではないからという認識でいいのかな」

 

 ジゼルは下を見た。

 

 一メートルくらい浮いていた。

 

「伯爵」

 

「なんだ。もう何が来ても驚かんぞ」

 

「高所恐怖症です」

 

「早く言え!!!」

 

 ガバッ、と伯爵がジゼルを抱え込んだ。

 

「す、すごいな伯爵。見えない相手に抱擁をしてるぞ……」

 

「情熱的……」

 

「なんか相手の身長高くないか?」

 

「バスケ強そ~」

 

「うおおおおお全然下がらん! どうなっているんだ君は!!」

 

「多分お墓にミントを植えるのが上手くいきすぎて浮かれてるんだと思います!」

 

「心の動きが物理に影響を及ぼしたらダメだろ!」

 

 そんなことを言われても実際そうなっているのだから仕方がない。

 

 怖いから、ジゼルは目を瞑って下を見ないようにしながら、

 

「落ち込むようなことを言ってください、伯爵! 暴言を吐いて私の心の高度を落としてください!」

 

「無理だ! もう普通に君に好意を抱いているから酷いことは言えない!」

 

「す、すごいな伯爵。見えない相手に愛の告白をしてるぞ……」

 

「情熱的……」

 

「いつものツンデレみたいなやつでいいですから、早く!」

 

「お、お前のことなんか全然好きじゃないんだからねっ!」

 

「す、すごいな伯爵。見えない相手にツンデレをしてるぞ……」

 

「古典的……」

 

「ツンデレソムリエいたな今」

 

 それでもふわふわと浮き上がるような気持ちと体感はジゼルの身体から去っていかない。このまま空に浮き上がって憂鬱になった瞬間に地面に墜落する日々が始まるんだ……。そういう悲しい未来予測をした途端、

 

「許せ!」

 

 思い切りタックルをされた。

 

 どん! ぐるぐるぐるぐる、どんがらばーん! ジゼルは目を瞑ったまま凄まじい勢いで地面の上を回転する。何かに激突して停止する。痛みをこらえる準備をする。

 

 痛くない。

 

 目を開けると、視界いっぱいに伯爵が覆い被さっている。

 

「と……。すまない。だいぶ手荒になったが、怪我はないか」

 

「ないです」

 

 穴の中にいた。

 

 知っている穴だ、とジゼルは思う。ミントを植えるに当たって仕切り板を取り付けるのに、ところどころに大穴を掘ったりしていたのだ。

 

 そのうちのひとつに、伯爵に抱き留められてジゼルはいた。

 

「お」

 

 不思議そうに、伯爵が言う。

 

「気のせいか? 浮き上がる力がなくなったような……」

 

「なくなってると思います」

 

「そうか。重ねて言うが、悪かったな。いきなり土まみれになってテンションも落ちただろう」

 

 いえ、とジゼルは言う。

 

 三分くらいそれを言うべきか言うまいか迷って、結局、

 

「多分、恋に落ちたのでは……」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……自分で言っていて恥ずかしくないのか?」

 

「自分だけツンデレで逃げないでください」

 

 おーい、と上から声が聞こえてきた。

 

 はっ、と弾かれたようにふたりは上を見る。随分深い穴だから、まだ誰が覗き込むこともないけれど、

 

「大丈夫かな、伯爵……」

 

「唐突に世を儚んだのかな……」

 

「言うほど唐突でもなくない?」

 

「突然スポーツに目覚めたんじゃないか?」

 

「バスケ強そ~」

 

 あんまりいると、とジゼルは思った。

 

「みんなが心配しそうですし、上がりましょうか」

 

「ああ。にしても――」

 

 ふふ、と伯爵が笑う。

 

 なんです、とジゼルが訊ねれば彼は、

 

「墓場の穴から這い出てくるのはまるっきり蘇る死者だなと思ってな」

 

「ああ、」

 

 お墓みたいですもんね、と言おうとして。

 

 もっと良い言い方を思い付いたからジゼルは自分を指差して、にんまり笑って、

 

 

「私のことを大事にしてれば、また同じお墓に入れますよ」

 

 

 じっ、と伯爵がジゼルを見つめた。

 

 ふたりの目と目が、近付いていく。

 

 

 

 

 ある春の日の午後のことだった。

 

 ここはホールグレイ伯爵家の邸宅。花びらが窓から舞い込む美しい書斎の一室――ではなく玄関前のポーチ。退屈そうな顔をした異様に美しい執事が棒付きのキャンディを口にくわえて、どこからか迷い込んできた猫を持ち上げて胴を伸ばしている。

 

 足音が聞こえた。

 

 執事はニッと笑うとキャンディを噛み砕いて、スッと立ち上がる。

 

「お帰りなさいませ、伯爵。……そちらの方は」

 

「今帰った。こちらは……」

 

 片方は伯爵。もう片方、手を繋いでいる女性の方に執事が目を遣ると、彼女は自信満々のピースサインで返して、

 

「冷蔵庫の中のものとかを勝手に食べてもいい家を見つけたので、透明人間をやめました!」

 

 はあ、と執事は答えた。

 

 この人の周りはいつも変なことばかりだな、と思いながら。内心で笑ってしまうのを堪えられずに。

 

「とにかくその泥汚れをなんとかしましょうか。お風呂に氷水を張ってきますね」

 

「心臓が止まっちゃうだろ」

 

「冗談です」

 

 熱湯にします、と言いながら執事は玄関の戸を開ける。熱湯にするな、と律儀に指摘してくる伯爵の声を背中で聞きながら、ああ、とひとつだけ。

 

「伯爵」

 

「ん」

 

「明るいニュースでしたか?」

 

 何のことだろう、という顔で隣の自称元透明人間が伯爵を覗き込む。

 

 その視線に追い込まれるように伯爵は顔を逸らす。

 

 でも、結局。

 

 

「…………まあ」

 

 見えるか見えないかギリギリのところで、彼は小さくピースサインを返す。

 

 

 変な人、と執事は笑った。

 

 

(おしまい)


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