突然浮かんできたものを文章にしたものです。

もしかしたら、実際にどこかの世界で起こった事かもしれませんね。

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普段は読み専なので、間違っているところや変なところがあったらすみません。





とある一家にて

 

 

 

 辺鄙な土地にある一家に、旅人が秘術を伝えた。死者に自分の命を吹き込む秘術だ。

 

 

 旅人が去った後、若くして病死した一家の息子に、母が秘術を用いて命を吹き込む。息子は昨日、亡くなったばかりだった。

 

 父は目を開けて起き上がった息子を抱きしめ、涙を流して喜んだが、息子は横たわった母の亡骸を見て悲しんだ。父は母を抱き上げて、寝床まで運んで寝かせ、息子とまる1日言葉を交わした。次の日の朝、父が母に秘術を使うと決まった。

 

 翌朝、父は母に命を吹き込んで床に倒れ込んだ。母は息子の手を借りて、父を寝床に運んで寝かせた。そして父と同じように、息子とまる1日言葉を交わした。次の日のことについては、話さなかった。

 

 

 翌朝、母は父に秘術を使おうとしたが、息子は母を説得した。自分は毎日生きているのに、父と母は1日ごとに死ななければならない。自分も秘術を使えば、家族みんなが3日のうち2日、生きられる。自分以外の2人に、1日ずつ会える。

 

 母はそれでも息子を死なせたくないと反対したが、息子の意思は固く、根負けした。

 

 父は起き上がってすぐ、息子が死んでいることに驚いた。息子を寝床に寝かせると、母と言葉を交わしてから狩りに出かけた。

 

 そうして、1日ずつ交代して命を吹き込み合う家ができた。

 

 

 父と息子は薪を割り、獣を狩った。母は息子に洗濯や炊事などの家事を厳しく叩き込んだ。父と母は夕方から朝まで、片時も離れずに過ごした。

 

 

 しばらくして、前に来たのとは別の旅人が一家に立ち寄った。その時に生きていた父と母は、旅人を暖かく迎え入れて食事を振る舞った。旅人はこの家で一泊し、朝方に出発の支度を整えた。

 

 旅人からもう行くと聞くと、一家の父と母は旅人に頼み込んだ。自分たちの息子に、秘術を使って命を吹き込んで欲しいと。

 

 父と母は旅人に全てを話した。

 

 

 病によって命を落としてしまった息子。その翌日に家を訪ねてきた旅人。他人に命を吹き込む秘術を教えられたこと、その方法。

 

 それから今までずっと、命を吹き込み合いながら暮らしてきたこと。

 

 そして改めて旅人に頭を垂れて頼んだ。1日だけ、父と母と息子の3人で食卓を囲みたいと。

 

 旅人は嫌がったが、朝から昼過ぎまで引き止められ、説得され、ついには折れた。1日だけだと念に念を押してから了承し、その日の晩に一家の息子に命を吹き込んだ。

 

 

 その翌日、旅人は目を覚まさなかった。

 

 翌々日になっても、旅人は目を覚まさなかった。

 

 

 

 

 

 

 小さな墓が立った。


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