『三好in山本五十子の決断』リメイク   作:零戦

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第十五話 還送と戦況に潜水艦の状況

 

 

 

 

 

 

 伴天連歴1941年(葦原歴光文16年)12月12日、将和はオアフ島にて入港してくる輸送船団を元ヴィンランド太平洋艦隊司令部から見ていた。

 

「ほぅ、仕事が早いな清……」

 

 それは海上護衛総隊司令長官である長谷川大将自らが指揮する輸送船団であった。

 

 

 

 還送輸送船団

 指揮官 長谷川清大将

 旗艦『龍田』

 第一護衛隊

 『神風』『野風』『沼風』『波風』

 1TL型タンカー19隻

 1TM型タンカー11隻

 2TL型タンカー8隻

 

 2TL型タンカーは史実のような「轟沈型」とまで揶揄された第二次戦時標準船ではなく、第一次戦時標準船のブロック工法を本格化させた代物である。その為、就役したばかりのタンカーも船団に組み込ませてトラック諸島経由でのオアフ島入りであったのだ。なお、帰りは上陸船団を護衛していた海防艦も護衛に付くので安全はより増す事になる。

 

「よぅ将和。ハワイ作戦は一先ずは成功に収めたな」

「何とかな。空母の鹵獲も効いたな」

 

 カウアイ海峡海戦(葦原側呼称)で葦原海軍は降伏したヴィンランド太平洋艦隊の艦艇を多数鹵獲していた。戦艦は『メリーランド』に『ウェストバージニア』空母は『エンタープライズ』であり巡洋艦は『フェニックス』『ホノルル』『セントルイス』等であり鹵獲した殆どの艦艇は15日に出港、道中で合流予定のウェーク島攻略部隊に護衛されながら内地へ送られる予定だった。

 

「どれくらいの輸送になりそうだ?」

「タンカーの数によるが……最低でも10回の還送は見込んでおけよ。南方作戦の事もあるから大船団は組めないしな」

「まぁ、船の数によりけりだからそれくらいになるわな」

「あぁ。真珠湾の燃料は根刮ぎ頂くからな。トラック諸島にも分配するけど、タンクの量は大丈夫か?」

「トラックには燃料タンクが開戦前に完成したからな。まぁ少しは大丈夫だろ」

 

 トラック諸島は戦前、燃料タンクは3万トン用の燃料タンクが一つしかなかったが、何とか開戦前にもう一つの燃料タンクが完成したので復路では2TL型タンカーがトラック諸島の燃料タンクに補充する予定だったのだ。なお、更に2つの3万トン用の燃料タンクが建設中であった。

 

「ま、何とか頼むよ」

「おぅ、何とかしてみるさ」

 

 そう話す二人だったが廊下が慌ただしくなりガチャリと扉が開かれた。

 

「アドミラル・ミヨシ!! 『エンタープライズ』を返しなさい!!」

「……また君か。だから『エンタープライズ』は葦原海軍が鹵獲したんだ。どうこうするのは君が言う事ではないだろ」

「おい、誰だこの娘?」

「……第8任務部隊司令官のハルゼイ中将だ。捕虜にはなったが五十子は将官くらいはと……ある程度の自由にさせてやってる」

「プッ、マジか? マジのハルゼーかよ……」

 

 将和の言葉に清は苦笑してしまう。清もあの世界でのハルゼーは知っていたので今はこんなちんまい娘がハルゼーとは思いもよらなかったのだ。

 そしてその言葉がハルゼイが気に食わなかった。

 

「ちょっと何よアンタ!!」

「ククッ、いや悪い悪い。そうか、君がブル・ハルゼー……ハルゼイか」

「ッ。葦原のサルにしては綺麗なヴィンランド語を使うわね」

「まぁな。ちょっとした昔取った杵柄でな」

「ッ、まさかアンタもラ・メール症状を……ッ」

「あぁ。俺と清は抗体があるという事になっている」

 

 捕虜になったハルゼーやキンメルも当初は将和がラ・メール症状に耐えれる男とは信じなかったが将和が『加賀』の艦尾から海面に向かって飛び降りて耐えれる事を証明してからはある程度は認めざるを得なかったのだ。

 

「つかおチビちゃん。一応は捕虜なんだから無理な願いはやめといた方が良いぞ」

「誰がおチビちゃんよ!!」

「いや、身長が小さいお前だぞ」

「指指すな!!」

「フヒヒヒ、サーセンwww」

「ムキーッ!!」

(初対面なのにあっという間に仲良いなコイツら……)

 

 ある意味じゃれ合う清とハルゼーにそう思う将和であった。ちなみに、その後も清が17日に内地に出港する時までは言い争う二人だったが、旗艦『龍田』が出港する時には寂しそうに見送るハルゼーを見て、たまたまいたキンメルに驚愕されるのである。

 それはさておき、オアフ島からの燃料を強奪する中で南方作戦は順調だった。『1208計画』と同時に動く事になっていたウェーク島、此処は伴天連歴1941年の12月18日には完全占領となっていた。特に初戦で第24航空戦隊の千歳空の96式陸攻隊の爆撃によりウェーク島の航空戦力を大きく半減(僅か4機まで低下)させた。

 その後、ウェーク島支援の高須中将の第一艦隊がウェーク島に接近してきた時に4機のF4Fは爆撃したが全て航空戦艦に改装された『伊勢』『日向』から発艦した零戦隊によって撃墜された。

 

「準備宜し!!」

「砲撃始めェッ!!」

「撃ェッ!!」

 

そして『陸奥』はウェーク島に対し艦砲射撃を開始、遅れて『伊勢』『日向』も砲撃を開始しウェーク島も一時間後には降伏の証である白旗が各所で掲げられたのである。

 ウェーク島を片付けた葦原海軍はそのまま南方作戦に戦力を注入する事が出来たのである。それが小澤の第二航空艦隊である。

 小澤の第二航空艦隊は開戦劈頭にシンガポールを奇襲攻撃し停泊していたブリトンの東洋艦隊を軍港内で撃滅、大破着底させる事に成功する。

 特に停泊していた戦艦『POW』『レパルス』を叩き大破着底させる事は大きい事だった。後にこの2隻を含む東洋艦隊の艦艇はシンガポール攻略時に接収されるのである。

 また、第二航空艦隊はマレー半島に展開するブリトン空軍の航空基地を叩き陸軍の上陸支援にも大きく貢献し後に小澤中将は陸軍から感謝状が送られる事になる。

 その中での同日のオアフ島、ヴィンランド太平洋艦隊司令部から布哇地区艦隊司令部に名称が変えられた司令部で将和は五十子達と新たなる作戦会議を開始していた。

 

「今のところ、南方作戦は上手くいっている。有り難い事にな」

「はい。それを維持出来るかは我々に掛かっていると思いますわ」

「これに乗じて西海岸での潜水艦による通商破壊作戦を行いたいね……」

「まぁ……無理ダナ(・✕・)」

「ですよねぇ……」

 

 将和の言葉に五十子もアハハハと苦笑する。葦原海軍は開戦の前年から旧式になっていた伊1型潜水艦や呂号潜水艦等の退役を行い、防振ゴムを装備した伊15型潜水艦や伊16型、伊40型等の巡潜型の整備を行っていた。

 他にも海大型も廃止されており開戦時の伊号潜水艦は僅か42隻しかおらずそれも殆どは南方作戦に投入されていた。なお、葦原海軍は日本海軍が大戦末期に開発していた伊201型潜水艦とナチスドイツ海軍のUボートXXI型に興味を示しており開発が進められていたのである。

 

「せめて水中速度を強化した伊54型が配備されるまでは本格的な通商破壊作戦は出来んだろうな」

 

 伊54型は艦本式ディーゼルを搭載しているが、前型の伊40型に比べ25号ディーゼルを搭載しており更には特E型1,250馬力電動機が4基搭載されており速度も15ノットは出るという水中高速性能も遥かに向上していたのである。しかしながら最大潜航深度は100mのままであったので更なる研究は必要だったりする。

 

「ま、第六艦隊は改編途中だからあまり無理はさせられんよ」

「そうですね……」

 

 そう言ってお茶を飲む将和に五十子も頷くのである。

 

「ところでよ三好長官……ほんとにこんなに持って帰らせるつもりか?」

 

 宇垣が書類を見ながら呆れたように呟く。その言葉を聞いた将和はニンマリと笑みを浮かべる。

 

「勿論だ。オアフ島及びハワイ諸島にあるヴィンランド軍関連のモノは『全て』葦原の内地に持って帰る」

 

 それは偽りでは無かった。将和が持って帰ろうとしたのは鹵獲した艦艇や航空機だけではなく、破壊された破片や部品等も含めて持って帰るつもりだった。それは将和から見れば宝の山である。破壊された部品の中には無傷であろうケーブル等もあり、無傷で手に入るならそれはそれはとても貴重な宝物である。

 だからこそ将和はヴィンランド軍のは根刮ぎ持って帰るつもりであった。後にヴィンランド軍がオアフ島を再占領した際、軍事施設関連のモノはほぼ持って行かれている事には流石のセシリア・ニミッツ海軍大将も唖然とするしかなかったのである。

 

「……まぁ良いけど、それは海賊か?」

「フフッ、ブリトン海軍を模範としたのだよ」

「ハハハッ成る程。それは良いや」

 

 将和のジョークに宇垣も笑みを零すのであった。

 

 

 

 

 




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