『三好in山本五十子の決断』リメイク   作:零戦

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第十六話 破竹の勢い

 

 

 

 

 

 

 

 伴天連歴1942年3月、帝政葦原中津国は開戦後からは破竹の勢いであった。開戦時にシンガポールを奇襲攻撃しセレター軍港で停泊していたブリトン東洋艦隊を軒並み大破着底させた小澤中将率いる第二航空艦隊はそのまま年が明けた1月中旬までにはインドネシア等に停泊していたフーランド海軍の艦隊等を攻撃、フィリピンのマニラに拠点を構えていたハート大将のヴィンランド海軍アジア艦隊を攻撃したりして味方への被害を極端に減らす事に成功する。(アジア艦隊の乙巡『ボイシ』等の鹵獲の要因にもなる)

 なお、この攻撃で史実のボルネオ島バリクパパン沖海戦やバリ島沖海戦が発生する事案が消滅したりする。

 その後はスラバヤ沖海戦やバタビア沖海戦を経て3月9日にフーランド軍も降伏する事になり南方作戦は想定より早くに終了する事になる。

 

「いやぁ、南方地帯を早期に抑える事が出来たのは僥倖ですなぁ」

 

 時は少し戻った3月3日の大本営連絡会議にて廣田内閣の商工大臣を勤めている岸信介はケラケラと笑う。なお、会議には特別枠として将和と清も参加している。

 

「問題は此処からです。オアフ島の燃料も根刮ぎ掻っ攫い、同島からは引き揚げました……これからは南方からの輸送になります。そして本土への輸送量は毎年300万トン以上になるでしょう」

 

 将和はそう主張して清に視線を移し清も頷いて立ち上がる。

 

「今、葦原が保有するタンカー船腹は合計して112万トン。各地の造船所で戦時標準船のタンカーを建造させてはいますが……残念ですが到底これでも足りません」

「ならここいらで……戦は打ち止めをしますか? 今ならヴィンランドは元よりブリトンも和平に応じるかもしれませんな」

「ハハハ、それが出来たら初めからヴィンランド相手に戦争をしていませんよ」

「ハハハ、確かにその通りですわな」

 

 肩を竦める将和に岸はそう言ってお茶を啜る。内閣の閣僚達も連合国が今の段階で和平に応じるとは思ってもいなかったのである。

 

「戦時標準船の建造状況はどうなっていますかな?」

「各地の造船所で開戦前から建造はしていますが、現在までに就役したのは貨物船型のA型~K型の計29隻、タンカー型のTL型~TS型の46隻です」

 

 葦原は将和と清の助言を元に戦時標準船の建造を開戦前の伴天連歴1940年から進めていた。

 なお、戦時標準船の諸元は以下の通りである。

 

 

 

 A型(総トン数:9,300、機関:三連成レシプロ、試運転速力:15.0ノット)

 

 B型(総トン数:4,400、機関:三連成レシプロ、試運転速力:14.7ノット)

 

 C型(総トン数:2,700、機関:三連成レシプロ、試運転速力:13.5ノット)

 

 D型(総トン数:1,820、機関:三連成レシプロ、試運転速力:13.2ノット)

 

 E型(総トン数:650、機関:ディーゼル、試運転速力:12.0ノット)

 

 F型(総トン数:490、機関:ディーゼル、試運転速力:12.0ノット)

 

 K型(総トン数:5,250、機関:三連成レシプロ、試運転速力:14.0ノット)五千トン型戦時標準鉱石船

 

 TL型(総トン数:10,000、機関:蒸気タービン、試運転速力:19.0ノット)一万トン型戦時標準油槽船

 

 TM型(総トン数:5,200、機関:蒸気タービン、試運転速力:16.0ノット)五千トン型戦時油槽船

 

 TS型(総トン数:1,000、機関:三連成レシプロ、試運転速力:12.0ノット)千トン型戦時標準油槽船

 

 

「現在はブロック工法等を本格的に取り入れた第二次戦時標準船を進めています。無論、史実のような粗製濫造な造りにはしません」

「分かりました。資源の輸送には欠かせませんからな」

「それに南方作戦で外国船籍の輸送船やタンカーも多数鹵獲しています。これらも輸送船団に組み込んで活用する予定です」

「成る程。有効活用出来るモノは何でも使いませんとなぁ」

 

 南方作戦の過程で葦原は敵船籍の輸送船13隻、タンカー8隻を鹵獲しておりこれらも問答無用で輸送船団に組み込んで運用するのである。

 

「また、海軍としてですが我が一航艦と二航艦を以て一時的に油を優先して輸送を行う予定です」

「まさか……空母を?」

「航空機を空にすればドラム缶を大量に使えますからな。まぁ一時的にですがね」

 

 この時、将和は楠木の二航戦以外の空母は全て輸送に回す腹だった。

 

「二航艦の航空援護のおかげでパレンバンの空挺作戦で製油所は無傷で確保出来た。それによって資源還送は早期に使用は出来るしな。無論、復路の時には内地に戻るタンカー等も護衛して戻るようにするので」

「成る程。それなら問題ありませんな」

 

 一部の者は海軍が油を独り占めする腹と思っていたが将和の言葉で納得したのである。政府側も内地の燃料不足問題はあったので内地に燃料が入れば問題は無かったのだ。

 

「分かりました。それなら頼みます」

「そういえば鹵獲したブリトンの東洋艦隊はどうなっていますかな?」

「『POW』『レパルス』の2隻は内地に回航して修理と改装工事をしていますな」

 

 開戦劈頭にシンガポールに停泊していたブリトンの東洋艦隊の戦艦『POW』と巡戦『レパルス』は二航艦からの航空攻撃で大破着底をしていた。しかし、2月15日にブリトン軍がシンガポールで降伏すると直ぐに工作艦『明石』『三原』『朝日』が入港し24時間態勢での修理により2月27日に完了し1日には内地へ回航してそれぞれ呉、横須賀で本格的な修理と近代化改装を施していた。

 

「配備には時間が掛かりますがまぁ何とかなるでしょう」

「成る程。期待しておりますよ」

 

 それから2日後、将和は機を乗り継いで比島沖を南下している一航艦旗艦『加賀』に着艦したのである。

 

「しかし空母が油輸送とは……」

「不服か?」

「いや……理には敵っている。使える手は何でも使うのが良いと思う」

 

 将和の問いに草鹿はそう答える。草鹿も将和の下に従事してから、将和がどういった人物なのかはある程度分かってきていた。

 

「取り敢えずはシンガポールで油の積み込みがあるし……半舷上陸で良いか」

『ッ!?』

 

 将和のポツリと呟いた言葉は艦橋にいた海軍乙女達の動きを止めさせる事に成功した。

 

「……長官……それは休みという事ですの……?」

 

 嶋野が代表で恐る恐る将和に聞くと将和は何言ってんだお前の表情をする。

 

「そらそうだろ。『休める時には休む』俺の好きな言葉だ」

 

 その言葉を聞いた海軍乙女達はワァッと歓声を上げる。彼女達でも乙女なのだ、休みは誰だって欲しいのだ。信号員の者など勝手に発光信号を全艦に送っている程であるが将和は黙認している。

 将和は史実の日本軍が負けた要因の一つに士気と思っている。だからこそ羽目は外さない程度の宴会等の催しは基本的に黙認しているのだ。昨年の真珠湾作戦でも全艦が内地に帰還後には自身のポケットマネーから酒樽代を出して全艦に提供している程である。カネはあるのかと言われたらこれがあるのだ。

 将和は転移時に『加賀』等の艦艇や兵器を葦原に売却してカネを保有していたからである。(ちなみに億は軽くある)

 その為将和は兵や下士官達の士気低下を防ぐためにポケットマネーを使用する。そしてその行為は兵や下士官達にウケて将和を傾倒する者達が増えたりするのである。

 それはさておき、俄にざわめき出す一航艦は2、3日後にシンガポールに入港する。そして各艦に重油や精製した高オクタン価の航空ガソリンを満載したドラム缶が運ばれる中で将和は半舷上陸を許可し乗組員達は半々になりながらも休暇を楽しむ事になる。その中で将和は残って政務をしようとしたが部屋をノックする音が聞こえた。

 

「やぁ」

「ん、小澤か……ん? 号笛が聞こえんかったな……」

「鳴らさなくていいと言っといたからね。それより……」

 

 小澤はそう言うや否や将和に近寄り、ポフッと身体を将和に預ける。

 

「久しぶりに会ったというのに小澤という呼び方は駄目じゃないかな?」

「……済まん。久しぶり……智里」

「ん、宜しい♪」

 

 将和はそう言って小澤ーー智里の頭を撫でると智里は嬉しそうに頷くのである。

 

「それで今日はどうしたんだ?」

「フフ、半舷上陸と聞いたからな……ビーチで泳ごうじゃないか」

「成る程。智里からデートの誘いじゃ行くしかないな」

「ハハ、それは嬉しいんだが……一人じゃないんだな」

「長官!! 準備万端ですわ!!」

「いつでも行けるぞッ」

 

 バンと部屋に嶋野と草鹿が入ってくる。二人の各々の手にはビーチで必要なパラソルとかが準備されていた。

 

「……用意周到だなぁ……」

 

 こういう方面に関しては男より女の方が一枚上手なのは将和も夕夏達を見て思い出したりする。それはさておき、将和も嶋野達に連れられてビーチでの休みを過ごす事になる。

 

「へぇ、誰もいないのか」

「海軍御用達のプライベートビーチさ。陸軍から感謝状を貰った時に海軍にもとくれたんだ」

 

 砂浜にビーチパラソルを指しながら将和がそう言うと敷物を敷いている智里がそう補足をする。なお、智里は既にビキニの水着に着替えている。

 

「成る程な……(ちょっと刺激が強いんじゃないですかね)」

 

 智里のビキニはオレンジをメインにしているがバックはT字型にカットされている所謂Tバック型のビキニである。(ソング水着)

 

「お待たせしましたわ」

「待たせたね」

 

 そして麦わら帽子を被った嶋野と草鹿がスイカと木のこん棒を携えてやってくる。嶋野と草鹿はそれぞれ青と赤をメインのモノキニであったが二人もそうだが智里もその上ははち切れんばかりの男達の人類の希望がそこにはあった。(所謂巨乳~爆乳だぞ畜生めェッ!! にゃん、オッパイぷるぅんぷるぅん!!)

 

「ちょ、長官。その……」

「どうした?」

「……日焼け止めクリームを塗ってほしいですわ……」

「あ、狡いぞ嶋野さん」

「副官ですから仕方ありませんわ」

「副官は違うする気がするな」

 

 やんやんやと騒ぐ三人に将和はフッと溜め息を吐く。

 

「はいはい、三人ともしてやるから。じゃんけんで決めろよ」

『じゃんけーん……』

 

 なお、最初に勝ったのは草鹿である。

 

「んっ……んんぅっ……」

(変に声を出すなよ……)

 

 草鹿の背中に日焼け止めクリームを塗りながら思う将和である。まぁそれでも全員がリフレッシュしたのは言うまでもなかった。

 そして空母の格納庫は元より艦内の通路等に大量に重油や航空ガソリンを満載した一航艦と二航艦は同じく内地へ帰還する資源や重油等を満載した貨物船6隻、タンカー5隻と共に3月17日に内地へ帰還するのである。

 そして第一航空艦隊の一部と第二航空艦隊は南雲中将の南遣艦隊と共にインド洋作戦に参加する事になる。その中での4月8日、柱島泊地に停泊する戦艦『大和』では海面に漂う一人の男を救助するのであった。

 

 

 

 

 

 




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