「さてさて……機動部隊が出てきたら御の字だが……」
「しかし……豪州まで行くのは本当なのかい?」
「ポートモレスビーを占領しても豪州には待機している航空機は500機は下らん。なら大元まで絶つしかない」
5月2日、ラバウル沖を航行する第一航空艦隊の旗艦『加賀』の艦橋で将和らはそう話していた。
「向こうは来るでしょうか……?」
「第一航空艦隊という餌は撒いてるから来る筈だがな………」
将和はそう言う。なお、艦隊は以下の編成であった。
第一航空艦隊
司令長官 三好将和大将
参謀長 草鹿峰少将
副官 嶋野夕華少佐
第一航空戦隊
『加賀』(旗艦)
【零戦22型54機 九九式艦爆27機 九七式艦攻27機 彩雲12機】
『土佐』
【零戦27機 九九式艦爆18機 九七式艦攻27機 彩雲6機】
『赤城』
【零戦27機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機 彩雲6機】
第五航空戦隊
『翔鶴』
【零戦27機 九九式艦爆18機 九七式艦攻27機 彩雲6機】
『瑞鶴』
【同上】
第三戦隊
『比叡』『霧島』
第五戦隊
『妙高』『羽黒』
第八戦隊
『利根』『筑摩』
第一護衛戦隊
『五十鈴』『名取』
第一水雷戦隊
『阿武隈』
第十七駆逐隊
『谷風』『浦風』『浜風』『磯風』
第十八駆逐隊
『陽炎』『不知火』『霞』『霰』
第三十一駆逐隊
『長波』『巻波』『高波』『大波』
第六十一駆逐隊
『秋月』『照月』『涼月』『初月』
第六十二駆逐隊
『新月』『若月』
MO攻略部隊
司令官 五藤亜里実少将(六戦隊司令官)
第一防空戦隊
『祥鳳』
【零戦22型27機 九七式艦攻3機】
『瑞鳳』
【同上】
第二防空戦隊
『龍鳳』
【同上】
第十一戦隊
『三河』(元『POW』)『周防』(元『レパルス』)
第六戦隊
『青葉』『衣笠』『古鷹』『加古』
第六水雷戦隊
『阿賀野』
第二十九駆逐隊
『涼波』『藤波』『早波』『浜波』
第三十駆逐隊
『沖波』『岸波』『朝霜』『早霜』
派遣駆逐隊
第二駆逐隊
『村雨』『五月雨』『夕立』『春雨』
第四駆逐隊
『嵐』『舞風』『野分』『萩風』
参加陸軍部隊
【南海混成旅団】
【歩兵第41連隊】
【歩兵第144連隊】
【2個戦車中隊】
上陸用輸送船21隻
第『一号』型輸送艦5隻
第『二百一号』型輸送艦6隻
史実では歩兵第144連隊の他に呉海軍特別陸戦隊も参加していたが、当初から2個歩兵連隊が参加する事になっていた。
そして5月4日の早朝、ソロモン諸島のツラギ島に停泊していた『第一号』型輸送艦の『第五号』輸送艦は13号対空電探が接近してくる敵攻撃隊を探知したのである。
「全艦に対空戦闘用意!! 水戦隊は直ちに離水!!」
ツラギ攻略部隊司令官の志摩清美少将は旗艦『沖島』の艦橋で吠える。
(全く……三好長官様々ね。これであの3隻がいなかったら奇襲を喰らっての大損害だったわ……)
航空主義者ではなかった志摩だが対空電探の性能を間近で見せつけられた。ツラギの砂浜では揚水していた『強風』12機、一式水戦18機にパイロット達が乗り込んで直ちに離水を開始していた。他にも九七式飛行艇も順次退避のために発動機を回しており各艦艇も高角砲に対空機銃の砲身銃身を上空に向けていた。
「さぁ来なさいよヴィンランド海軍……奇襲と思った攻撃が待ち伏せをされていたらどう思うかしらね……?」
ニヤリと笑う志摩であった。そしてそれは現実となる。ツラギに接近していたヴィンランド海軍第一次攻撃隊は水戦『強風』と一式水戦30機の奇襲攻撃を受けたのである。
『水上機ですって!?』
『コイツら、戦闘機にフロートを付けているんだわ!?』
『み、味方の戦闘機は何をしている——ギャッ!!』
『ミリィがやられたわ!!』
『退避よ退避!!』
第一次攻撃隊は這々の体で逃げ回り、逃げ帰る事が出来たのは僅か戦闘機8機、艦爆11機、艦攻2機であった。
「馬鹿な……壊滅じゃないのよ……」
第17任務部隊司令官のジェニファー・フレッチャー少将は攻撃隊からの報告に愕然とした。航空偵察でツラギ島の葦原軍は空母を保有していなかったので攻撃隊を出したらまさかのフロートを付けた水上戦闘機で迎撃されたの事であった。
「航空戦力が擦り減ってしまった……これでは……これでは戦えないわ……」
第17任務部隊は正規空母『ヨークタウン』と大西洋から回航した正規空母『ワスプ』の2隻にて編成されていた。しかしツラギ島攻撃に参加した『ヨークタウン』飛行隊は壊滅的打撃を受け、ニューカレドニアに一時的な後退を余儀なくされるのである。
空母が1隻になってしまった第17任務部隊であるがそれでもポートモレスビー防衛の為に珊瑚海を遊弋するが、5月5日に第一航空艦隊から索敵の為発艦した『彩雲』が第17任務部隊を発見したのである。
「敵空母が1隻だと?」
「まさか敵は空母を分散させたと……?」
「いや、ヴィンランド海軍がそんなヘマをしないだろ、葦原やウチの旧軍じゃあるまいし……」
思わず旧軍をディスる将和であるが草鹿らはそんな事は気にしていなかった。
「だが敵は何故空母を分散させたかだ。豪州方面には敵空母が2隻というのは確実だった筈だ」
「そこなんだよなぁ……」
草鹿の指摘に将和は首を傾げつつ豪州方面の地図を見ていたら『ツラギ島』の文字を見つけ「あっ」と小さく呟いた。それを嶋野は聞いていた。
「長官、何かありましたの?」
「いや……確証は無いが奴等は空母を下げたのかもしれない」
「下げた?」
「あぁ。ツラギ島の迎撃で奴等は攻撃隊が壊滅的な打撃を受けたので空母を後退させた……それなら辻褄は合う」
「確かにそうですわね……」
「けど、そう簡単にヴィンランドは後退するのか? 長官らの世界のアメリカとやらはそうではなかったのだろ?」
「それは真珠湾で空母2隻を叩いていないからだ。史実でも取り逃し、俺の世界でも取り逃していた。だが、この世界では『エンタープライズ』は鹵獲、『レキシントン』は撃沈している。奴等が艦隊保全主義に移行するのも頷ける」
「む、そう言われると確かに……」
「ですが長官、此処は白黒ハッキリさせた方が良いのでは? 少なくとも敵空母1隻は攻撃圏内です。先に攻撃を行うべきですわ」
「そうだな。長官、少なくともこの敵空母は沈めるべきだ」
「ん……各空母に発光信号!! 第一次攻撃隊の発艦準備を急がせろ!! 第二次攻撃隊は状況次第とする!!」
斯くして第一航空艦隊の行動は決まった。直ちに五空母から第一次攻撃隊が準備出来次第、発艦を開始したのである。
第一次攻撃隊
空中総指揮官 淵田未央中佐
『加賀』隊
零戦18機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機 『彩雲』3機
『赤城』隊
零戦9機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機 『彩雲』1機
『土佐』隊
零戦9機 九九式艦爆18機 九七式艦攻18機 『彩雲』1機
『翔鶴』隊
零戦9機
『瑞鶴』隊
零戦9機
(まぁこれだけいるのなら少なくとも撃退する事は可能か……)
発艦していく第一次攻撃隊を敬礼で見送りつつ将和はそう思う。将和は全力攻撃は控え、第一次攻撃隊で様子を見る事にした。ヒットアンドアウェイを警戒しての事であった。敵にはオアフ島で解放したフレンダ・ハルゼイ中将もまだ現役だった事もあり葦原の戦術を看破されている事も考慮したのだ。
「さて、どれだけの粘りを見せてくれるかな……?」
将和はそう呟くのであった。
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