「それで俺達も緊急の招集って何だ親父?」
「あぁ。淵田達と夜戦している最中に済まないな」
「焚き付けた本人が何を言って……」
「まぁ転生してウハウハしてるんだから役得と思えよ」
「意味分からんわ!?」
「まぁまぁ……淵田達のチョメチョメはさておき……本当に何の緊急招集なんだい長官?」
「関係ありそうな人達……でも五十子さんや源葉さんはいませんわね」
嶋野が呼ばれた全員を見渡すが五十子と洋平はいなかった。
将和に呼ばれた者達
嶋野夕華
小澤智里
草鹿峰
宇垣束
三好将弘
淵田未央
村田少佐
高橋少佐
「その五十子なんだが……どうやら制海錠の服用をしているらしいんだ」
『ッ!?』
将和の言葉に事情を知る淵田達は視線を反らし知らない宇垣達は驚愕の表情を浮かべる。
「そ、それじゃあ山本長官は……」
「まぁ……十中八九、ラ・メール症状を発症しているだろうな」
『…………………』
将和の言葉に宇垣達の表情が暗くなる。それはそうだ、自身達の司令長官がラ・メール症状を発症しているのだ。誰もが苦々しく思っていた………が、将和は苦笑する。
「まぁ落ち着けお前ら」
「けど長官、これが落ち着いて……」
「ラ・メール症状の抗体……ワンチャンあるかもしれないぞ?」
『ッ!?』
将和のその一言で宇垣達は驚愕の表情を浮かべ宇垣が思わず将和の胸ぐらを掴む。
「ほ、本当か長官!? ラ・メール症状の抗体ってどういう事だ!?」
「く、首絞められりゅぅ………」
「暫くそうしとけ。俺を売ったバチが当たったんだ」
「何気に酷いな将弘はん……」
首を絞められる将和に将弘がそう愚痴を溢すのを横にいた淵田が苦笑する。どうにか首を解放してもらった将和は息を整えてから再度口を開いた。
「まだ確信は無いが……俺、清、将弘は確実に抗体を持っているだろう」
「証拠はあるのか親父?」
「証拠は……宇垣達だ」
『はぁ?』
将和の言葉に宇垣達は首を捻る。将和の言葉を理解出来ていなかった。
「よく……話の意図が理解出来ないんだが長官……」
「嶋野」
「は、はい」
「確かお前……制海錠は持っているんだろ?」
「え、えぇ。私の年齢からしていつ発症してもおかしくは無いので常備はしていますが……」
「乗艦してから服用した事あるか?」
「……無いですわね」
「……あ、そうか」
不意に口を開いたのは将弘だった。将弘も何かに勘づいて将和に視線を向ける。
「あー……そういう事……いや確かにそうかもしれないが……でもさ親父、俺ってハワイ沖で浮いていたんだぞ?」
「お前は長時間漂流していたろ? なら抗体があるのは百分かるこった。なら可能性はあるだろ?」
「……まぁ……確かにな……」
「ちょ、二人だけで完結すんのやめぇや。将弘はん、どういう事なんや?」
「ん。まぁ……あれだよ淵田さん。此処に集まっている女性陣……親父や俺と関係を持っている人だよ」
『………………』
将弘の言葉に宇垣達はサッと視線を反らす。バラされた感じになったが将和があっと思い出したように口を開く。
「ちなみに嶋野はまだキスまでだ。宇垣はまだしてないから乙女だな」
「そこの報告はいりますの!?」
「首を締めるぞ長官!?」
「まぁ待て。ちゃんと理由が……って首を締められりゅうゥゥゥゥゥゥ!?」
「……助けんでええの将弘はん?」
「オカンともあんな感じにイチャイチャしていたから心配しなくてもいいよ淵田さん」
またも宇垣に首を絞められる将和を見て淵田にそう告げる将弘であった。
「まぁ長官のコーン関係は後で会議するとして……」
「会議すんの?」
「山本長官の状況だよ。まさか山本長官に対してクリーピングを仕掛けろと洋平君に言うのかい?」
智里はそう言いながら肩を竦める。
「最終的にはそれで良いんじゃないか? 陸(おか)に降りるかフネに乗り続けるのは本人次第だがな。まぁキスで良いんじゃないか」
「キスで抗体になるのかい?」
「あー………医学的にはキスというよりも唾液だな」
「唾液……ですの?」
「あぁ、唾液だ」
首を傾げる嶋野に将和は頷く。
「唾液の構成成分は無機質と有機質になるが有機質は殺菌や抗菌作用を持つ物が含まれているんだ。そして俺や清、将弘はこの世界とは異なる世界の住人だからラ・メール症状への抗菌若しくは抗体を持っていると思われる」
将和はそう言って説明するが宇垣達にはピンと来てない様子でありそこで紙に書いて説明する事にした。
「俺達三人は別の世界の住人だが、この世界には無い抗体や抗菌を持っている所謂未知の存在だ。そして智里、峰は確実に感染している状態だ。だからラ・メール症状が発症するのは低い確率だろう」
「何で智里と峰なんだ?」
『…………………』
宇垣の言葉に二人は顔を赤らめてサッと視線を逸らす。その意味に気付いた宇垣も顔を赤らめて二人からの視線を逸らした。ちなみにその三人を見てニヤニヤしているのは淵田らパイロット達であった。
「まぁ後は嶋野くらいか。ディープなキスもしたし」
「何!? 嶋野さんに先を越された!!」
「それを言う必要あるのですの三好長官!? いやでも言う必要はありますわね……」
将和の呟きにショックを受ける宇垣に自分で納得する嶋野であった。
「後はパイロット組も……だろうな」
将和の言葉に淵田らパイロットもニヒヒヒと苦笑しつつも頬を赤らめていた。なお、将弘は視線を逸らしていたが両耳は真っ赤だったりする。
「まぁそんな感じだな。だから此処にいる……宇垣以外はラ・メール症状の抗体となっていると思う」
「ちょ、俺は………」
「宇垣……長官とキスはしましたの? 夜、共に寝ましたの?」
「………してません」
「ならそれが答えなのではありませんの?」
「………………」
嶋野の言葉に何も言えなかった宇垣である。それはさておき、五十子と洋平の事である。
「源葉に伝えるのか?」
「伝えてもいいがギクシャクするかもな」
「ですが放っておけば五十子さんのラ・メール症状は悪化しますわ」
「そりゃあそうだが……」
「…………………」
「何か案でもあるかい長官?」
「………手っ取り早く荒療治といこうや。それ以外に無いだろ」
「荒療治……と申しますと?」
「二人を呼び出せ」
そして二人を『加賀』の作戦室に呼び出した将和はそのまま二人を作戦室に押し込め、机や椅子等で扉を封鎖し訳の分からない二人に将和は事情を説明した。
「というわけだ。夜戦しろとは言わん、だがキスはしろ。特に唾液交換という名のディープキスは絶対にしろ」
『け、けど三好長官……』
「山本長官、洋平と共に居たいのか? それとも居たくないのか?」
『そ、それは……居たいけど……(ボソボソ)』
「なら……覚悟を示せ山本五十子!!」
『ッ!?』
「愛する者と居たいなら覚悟を示せ!! 示せないのは只の気の流れとしか言わんぞ!!」
『………五十子さん、俺は……五十子さんと居たいよ』
『洋平君……』
そして覚悟を決めたのか、五十子の次の言葉は確りとしていた。
『分かりました三好長官。山本五十子は覚悟を示します!!』
「ん、なら頑張れ。ちなみに効力はどれくらいから効き始めるのか分からないから取り敢えず今から三時間はこのまま閉じ込めておくからな」
『( 'ω')ファッ!?』
二人の驚きの声を聞きながら将和は従兵を残して後にするのである。
(フ、三好将和はクールに去るぜ……てか彼処に残るとめんどいしな)
それからキッカリ三時間後には二人は解放された。解放された二人だが確りとディープキスはしたようで時折視線を交わしては直ぐに顔を赤らめて逸らしたりして恋人繋ぎをする程であった。
「ブラックのコーヒーを飲んでいた筈なのに甘かったよ」
二人の様子を見た智里が思わずパタパタと手を扇ぐ程であった。なお、将和は内地に今回の事を纏めて報告書を挙げるがそれは閣議の時に商工大臣の岸が頭を抱えるも内密に破棄をする事になるのである。
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