『三好in山本五十子の決断』リメイク   作:零戦

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第三十六話 絶対国防圏後編

 

 

 

 

 

「マリアナ諸島の増強はやれているようですな」

 

 光文18年5月5日、大本営政府連絡会議にて岸商工大臣はそう呟く。会議には将和の他にも清、五十子も参加していた。

 

「増強の要となる海上輸送が上手くやれていますからな」

「ホッホッホ。それは何よりですな。ですが、内地への輸送も滞りなく行ってもらいたいです」

「無論です。南方航路を守備する護衛艦隊は私が鍛えたので何れも精強ですので……」

「ホッホッホ、なら問題ありませんよ」

(相変わらず昭和の妖怪は妖怪だな……)

 

 清の言葉に岸はケタケタと笑いお茶を啜る。将和もかつての世界で岸らと幾度となく言葉を交えてきたが背中の冷や汗をかいた事が無い日はなかった。

 

「幸いにして内地へ物資、油を送還する輸送船とタンカーの建造と配備は順調です」

 

 この頃、戦時標準船は第一次戦時標準船から第二次戦時標準船に切り替えられていた。史実だと第二次戦時標準船の耐用年数は「機関1年・船体3年」とされ鋼材の質の低下や舷側鋼板の薄肉化等で強度が低下し座礁しただけで大破沈没する船舶やボイラーの爆発事故等があったりしたが此処では流石にそのような事は行われていなかった。

 それでもブロック工法等は取り入れられているので史実と比べたら雲泥の差である。現在までに第一次と第二次合わせて生産配備されたのは以下の通りである。

 

 

 貨物船

 

 A型(6,500トン 蒸気タービン 15ノット)

 1A型8隻

 2A型49隻

 B型(4,500トン 蒸気タービン 14ノット)

 1B型16隻のみ

 C型(2,700トン 三連成レシプロ 14ノット)

 1C型34隻

 D型(約2,000トン 三連成レシプロ 13ノット)

 1D型12隻

 2D型39隻

 E型(830トン ディーゼル 12ノット)

 1E型14隻

 2E型120隻

 F型(490トン ディーゼル 12ノット)

 1F型20隻

 K型(5,300トン 蒸気タービン 15ノット)

 1K型20隻

 

 タンカー

 

 TL型(10,000トン 蒸気タービン 19ノット)

 1TL型25隻

 2TL型18隻

 TM型(5,200トン 蒸気タービン 15ノット)

 1TM型20隻

 2TM型15隻(2,800トン 蒸気タービン 12ノット)

 TS型(1,000トン 三連成レシプロ 12ノット)

 1TS型14隻

 

 以上の船舶だが、それでも建造はまだ暫くは続けられるのである。そしてそれらを護衛する護衛艦の建造配備も進められていたのであった。

 

 

 

 『松』型護衛艦

 

 満載排水量 1,700トン

 全長 110m

 機関 九五式艦本式重油専焼水管缶×2

    艦本式タービン×2(25,000馬力)

 速度 28ノット

 航続距離 4,200海里

 兵装 97式45口径12.7サンチ単装砲×3

    92式四連装酸素魚雷発射管×1

    1式40ミリ連装機関砲1基

    25ミリ単装機銃16基

    97式爆雷(史実三式爆雷)×80

    97式爆雷投射機×4(史実三式爆雷投射機)

    99式6連装対潜噴進砲×3

    爆雷投下軌条一式

 電探 13号対空電探改1組

    22号対水上電探改四1組

 ソナー 1式水中聴音機2組(史実四式ソナー)

     97式水中探信儀2組(史実三式ソナー)

 

 同型艦 『松』以降143隻(予定)

 

 

 この『松』型が順次就役しているのでもう2個護衛艦隊の創設が間近であったりする。

 

「口酸っぱくになりますが輸送はお願い致します」

「無論です」

 

 岸の言葉に清も頷くのである。そして会議は『絶対国防圏』の話に入った。

 

「目下、マリアナ諸島に敵が侵攻するのは明らかですからな」

「陸軍もサイパン島には予定通りの部隊を送るつもりです」

 

 岸の言葉に杉山はそう答える。そして五十子が立ち上がり発言をする。

 

「海軍としましてはトラック諸島のヤップ島に基地航空の第一航空艦隊を配備しサイパン島に来た敵機動艦隊を基地航空艦隊と第一機動艦隊で攻撃、殲滅します」

 

 それまで空母艦隊としての第一航空艦隊は基地航空艦隊として移行し司令長官には塚原中将が就任していた。

 

 第一航空艦隊

 司令長官 塚原二四実中将

 

 戦闘機

 零戦360機

 『雷電』360機

 『烈風』360機(予定)

 

 艦爆

 九九式艦爆180機

 『彗星』180機

 

 艦攻

 九七式艦攻120機

 『天山』180機

 

 双発爆撃機

 一式陸攻240機

 『銀河』270機

 

 偵察

 『彩雲』120機

 

 水偵

 『瑞雲』120機

 

 以上の合計2490機が勢揃いする予定であった。しかし、懸念事項としてはまだ新型艦上戦闘機の『烈風』はまだ試験飛行が終わっておらず間に合うかどうかであった。

 

(『烈風』は間に合う筈だ……だからこそ俺が此処にいる意味が無い!!)

 

 将和はそう思う。史実では完成しても間に合わなかった幻の戦闘機。将和が逆行した世界でも間に合えず、代わりに陣風が艦上戦闘機として活躍した。だからこそ将和はこの世界で『烈風』を活躍させたかったのである。

 

「三好大将」

「何ですか岸さん?」

「軍事の素人で言うのはアレですが……マリアナで勝ってもヴィンランドは諦めない可能性……ありますかな?」

『ッ』

 

 岸の言葉に杉山や五十子達は表情を変える。幾ら高官だからと言ってそこまで言って良いわけではあるまい。杉山も立ち上がろうとしたが将和はそれを制した。

 

「まぁまぁ杉山さん」

「三好大将ッ!?」

「確かに岸さんの言われる通りです。奴等に諦めるという言葉は無いでしょうな。勝つか負けるしかありません」

 

 将和はそう言って指揮棒を持って地図ーーフィリピンを指す。

 

「マリアナで奴等が諦めないならフィリピンが次の戦場でしょうな。葦原と南方を切り取るならフィリピンを攻略するのが適切ですからね。フィリピンを切り取れば葦原は資源を絶たれる。そう思っているでしょうな」

「成る程」

「まぁフィリピンでも諦めないなら硫黄島……そして沖縄でしょうな」

「沖縄……」

「沖縄は葦原の領土でもあるし、俺も戦後を見据えているからな」

 

 将和はそう言って地図を反対にし大陸側にする。

 

「ほら、沖縄は大陸から出るにとっては台湾と同じく邪魔な存在なんだ。だからヴィンランドは戦後を見据えて沖縄を攻略して大陸を監視したいんだ」

「成る程……その手もありますわな」

 

 将和の言葉に岸は納得する。

 

「だからこそ……最悪の想定は沖縄でしょう」

「……分かりました。沖縄で戦争が終わるならナンボでも協力しましょう」

 

 岸はそう言うのである。そして杉山はならばと将和に聞く。

 

「では三好大将、フィリピンと沖縄にも増援は必要でしょう。少なくともマリアナの増強が終われば直ぐに取り掛かるべきですね」

「分かりました。そのように致しましょう」

 

 斯くしてフィリピンと沖縄にも増援の兵力が送られる事になる。そして議題はインド洋へ移る。というのも将和が新たな作戦案を五十子に提出していたからだ。

 

「それで三好大将、インド洋で何をする気で……」

「大規模な通商破壊作戦です」

 

 将和は指揮棒でインド洋を指差す。

 

「50航戦以外の空母をインド洋に投入してインド洋のブリトンの輸送航路を攻撃、奴等が満載している油、資源を再度根刮ぎ頂くつもりです」

「何とまぁ……」

 

 将和の言葉に岸はケタケタと笑う。

 

「今回もですな。それだと海軍は悪党ですな」

「おや、岸大臣はブリトン海軍の悪行を御存知無いですかな?」

「と言いますと?」

「ブリトン海軍は無理矢理港にいた民間人を徴兵していた悪党じゃありませんか。我々はそれに倣うだけですよ」

「フハハハハハ。成る程、それは面白いッ」

 

 将和の言葉に愉快そうに笑う岸であった。そして将和は吉田に視線を向ける。

 

「吉田さん、ヴィンランドは交渉のテーブルには相変わらず応じないか?」

「駄目ね……スイスの窓口での交渉では葦原に対して全面降伏。これしか認めていないわ」

「それはブリトンもだな?」

「えぇ、その通りね」

 

 将和の問いに吉田はそう答えると将和はニヤリと笑みを浮かべたが全員がそれに気付いた。

 

「まさかインド洋作戦は……」

「それも関連していると言っておこうか。ま、ヴィンランドは『エセックス』級が就役しているから強気か……当然だわな」

 

 この頃、ヴィンランド海軍は『エセックス』級空母を就役させておりハワイで連日の訓練をしていたのである。

 

「キヒヒヒ。良いわねぇ、こいつが来年には20隻も揃うのか。楽しませてくれよ葦原のサルども!!」

 

 空母『エセックス』を視察していたハルゼイはそう笑うのである。だからこそヴィンランドは強気だったのだ。

 

「防空態勢も早期に確立しないとな……」

 

 そう呟く将和であった。その後、インド洋通商破壊作戦ーー作戦名『い号作戦』は8月に実施される事が決定されるのである。

 6月1日、将和は柱島泊地の旗艦『大和』に来ていた。

 

「通商破壊作戦の機動部隊は二つに分ける」

「と言いますと?」

「小澤と楠木に任せる」

「え、そうなると長官は……」

「俺はトラックで『出雲』共々警戒だ。空母を出しても俺がいるという存在感を出す。そうする事で向こうも警戒はする」

「成る程……」

「後、ヴィンランド海軍が使用するであろうVT信管の妨害装置も作らないとな」

「VT信管って確か……」

「葦原名だと近接信管になるな。史実マリアナ沖海戦でも使用されたが撃墜された航空機の大半はレーダー誘導されたF6Fの効果的な迎撃が主な理由だから効果は不明だ。だが不明でも対策はしなければならないしな」

「ですね……」

「ま、それは俺に任せろ。五十子達は通商破壊作戦の編成を急がせてくれ」

「分かりましたッ」

 

 そして対外的にブリトンの息の根を止めるべく『い号作戦』は作成されたのである。

 

 

 

 

 

 『い号作戦』参加艦隊

 

 第二機動部隊

 司令長官 小澤智里中将

 第三航空戦隊(603空)

 『赤城』【零戦27機 彗星18機 天山27機 彩雲3機】

 『土佐』【零戦27機 彗星27機 天山27機 彩雲6機】

 『蓬莱』【零戦27機 彗星18機 天山27機 彩雲3機】

 第五航空戦隊(652空)

 『雲龍』【零戦27機 彗星18機 天山18機 彩雲3機】

 『天城』【同上】

 『葛城』【同上】

 第三戦隊第一小隊

 『金剛』『比叡』

 第七戦隊第一小隊

 『最上』『三隈』

 第八戦隊第一小隊

 『利根』

 第一護衛戦隊

 『五十鈴』『名取』

 第六十一駆逐隊

 『秋月』『照月』『涼月』『初月』

 第六十二駆逐隊

 『新月』『若月』『霜月』『冬月』

 

 

 

 

 

 第三機動部隊

 司令長官 楠多恵中将

 第二航空戦隊(602空)

 『雷龍』【零戦27機 彗星27機 彩雲3機】

 『笠置』【零戦27機 彗星18機 天山18機 彩雲3機】

 第六航空戦隊(653空)

 『阿蘇』【零戦27機 彗星18機 天山18機 彩雲3機】

 『生駒』【同上】

 第三戦隊第二小隊

 『榛名』『霧島』

 第七戦隊第二小隊

 『鈴谷』『熊野』

 第八戦隊第二小隊

 『筑摩』

 第二護衛戦隊

 『九頭竜』『由良』

 第六十三駆逐隊

 『春月』『宵月』『夏月』『満月』

 第六十四駆逐隊

 『花月』『清月』『大月』『葉月』

 

 

 

 

 第二艦隊

 司令長官 近藤伊佐見中将

 旗艦『愛宕』

 第四戦隊

 『高雄』『愛宕』『摩耶』『鳥海』

 第十一戦隊

 『駿河』『筑波』

 第二水雷戦隊

 『神通』以下12隻

 第四水雷戦隊

 『能代』以下12隻

 第五水雷戦隊

 『矢矧』以下12隻

 第三防空戦隊

 『千歳』【零戦27機 彩雲3機】

 『千代田』【同上】

 第十一航空戦隊

 『日進』【瑞雲18機】

 『瑞穂』【瑞雲24機】

 第十二航空戦隊

 『神威』【瑞雲9機】

 『秋津洲』【二式大艇1機】

 第十三航空戦隊

 『君川丸』【瑞雲6機】

 『神川丸』【瑞雲9機】

 第十四航空戦隊

 『國川丸』【瑞雲6機】

 『聖川丸』【瑞雲9機】

 

 

 

 第六艦隊

 司令長官 小松照巳中将

 旗艦『長鯨』

 随付『迅鯨』

 伊号5個潜水隊(伊号潜24隻)

 

 

 

 

 

 




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