『三好in山本五十子の決断』リメイク   作:零戦

8 / 50
互いに頑張ろうフォークロア氏


第七話 ノモンハン後編

 

 

 

 

 

 タムスク爆撃による第二次ノモンハン事件の始まりであった。関東軍司令官の梅津は第23師団にハルハ河を挟んだ防衛戦を展開するよう指示を出す。

 小松原中将は関東軍の方針転換に慌てながらも守勢に移行する。これによりハルハ河を渡河する作戦は無くなった。しかし、ルーシ軍は逆にハルハ河を渡河して第23師団を攻撃するのである。

 だが、第23師団を支えたのは戦線に参加した戦車第三連隊、戦車第四連隊であった。この二個戦車連隊は将和の世界で配備運用されていた九七式中戦車を本部小隊と一個中隊ずつ配備していた事もあり戦車第三連隊長の吉丸大佐、戦車第四連隊長の玉田大佐はチハの長砲身を活かして長距離砲撃で接近してくるBT戦車等を撃破するのである。

 

「この戦車は凄い……ッ」

 

 撃破していくBT戦車群をチハの車内から見ていた玉田大佐は思わずそう呟く程であった。それは吉丸大佐もである。なお、二個戦車連隊は7月11日までの戦闘で戦車114両、装甲車59両を撃破するのである。

 そして7月12日、ノモンハンの後方にある陸軍の飛行戦隊がある飛行場上空では多数の航空機が飛来してきた。

 

「おぉ、海軍さんだ……」

「海軍さんの航空機だ……」

 

 滑走路を見ていた陸軍のパイロット達が次々と着陸してくる航空機を見つつそう言う。どの機体の胴体や主翼には日の丸が描かれていた。

 

「ふぅッ」

 

 1機の九六式艦戦の操縦席から一人のパイロットが出てきた。出てきたのは将和であった。その後方の列機の操縦席からは小澤も出てきた。共に飛行服姿であった。

 

「飛行は何とかやれたな小澤」

「あぁ。これも司令のおかげだよ」

 

 将和の言葉に小澤は苦笑しながら肩を竦める。葦原海軍はノモンハン事件の戦闘を鑑みて航空隊の派遣を葦原陸軍に通達した。陸軍は元より関東軍は葦原海軍の参戦に驚きつつも通達を受け入れ葦原海軍は第一機動部隊の『加賀』『鳳翔』『龍驤』から九六式艦戦45機、九六式艦爆36機、九六式艦攻27機、採用されたばかりの九七式艦攻(三号)18機が派遣されてきたのだ。その派遣航空隊を率いるのが何と将和である。

 何とまぁ呆れる事だが、将和自身が言い出した事でもあり伏見宮や米内らの説得も将和は曲げずに此処まで来たのだ。なお、第一機動部隊の代理は宇垣に任せている。

 

「言われるのは覚悟しているが……近代戦を肌身で実感したいんだよ」

 

 なお、説得しに来た五十子に対し将和はそう言っていた。自身がいた世界で近代戦を経験してはいるがこの世界が経験した世界同様に近代戦なのか将和は経験したかったのだ。だからこそ将和はノモンハンに駆けつけたのである。

 

「司令、陸軍から出撃は明日との事だ」

 

 滑走路で機体を眺めていた将和に司令部に行っていた小澤が駆け寄ってそう告げる。

 

「ん、今日はゆっくり休むよう皆に伝えてくれ」

 

 そして翌日の0700、海軍航空隊の各機は爆装した状態で滑走路に待機していた。滑走路脇では将和が全員を集めている。

 

「今日、我々はノモンハンの空を制圧する。ビビるなよ? 戦闘機隊は命落とさず敵機落とせ!! 艦爆、艦攻隊も命落とさず戦車、野砲を叩け!!」

『オオオォォォォォォォォ!!』

 

 将和の叫びに海軍乙女の女性パイロット達が雄叫びをあげ愛機に乗り込んでいく。

 

「コンターック!!」

 

 将和機のプロペラが回り出し整備兵が左右のチョークを外す。発動機は快調であった。司令部を見ると飛行長が旗を振っていたので将和はブレーキを離す。

 将和の九六式艦戦はスルスルと動き出し滑走路に向かう。滑走路を飛行しそのまま操縦桿を引いて機体はフワリと浮かび上がる。

 攻撃隊は高度3000で集合をするとそのまま編隊を組んでノモンハンの地域へ向かう。ノモンハンの地域は約20分程で到着した。

 

「フム……相変わらず蟻みたいな数だな……」

 

 将和は眼下で戦闘をするルーシ軍を見つつ周辺空域を捜索する。ふと太陽を見ると小さな粒が数個見えた。直ぐに将和は無線を入れた。

 

「制空隊、制空隊。太陽を背に敵機が来るぞ!! 迎撃態勢に移行!!」

『了!!』

 

 制空隊の30機の九六式艦戦は直ぐに燃料タンクを投棄して2機一個小隊単位で迎撃を開始する。

 

「はぐれるなよ小澤!!」

『了!!』

 

 だが、初撃はルーシ軍が先だった。ルーシ軍のI-16戦闘機19機が突っ込んできた。

 

『潜り込まれた!? ダイブして突っ込むのよ!!』

 

 『龍驤』戦闘機隊の南郷茂美大尉が爆撃隊に突っ込む敵I-16戦闘機を追いかける。だが、I-16戦闘機の7.62ミリ弾が爆撃隊を襲う。

 

『指揮官機被弾!!』

 

 艦攻隊の指揮官機が左翼の付け根に機銃弾を叩き込まれ付け根から火を噴く。指揮官機は爆弾を投棄してそのまま離脱していく。

 

「しゃらくせェッ!!」

 

 将和は更に爆撃隊に近づこうとするI-16戦闘機を見つけエンジンを絞りフラップを開いて左旋回しつつ操縦桿を下に倒して降下、I-16戦闘機の後方に躍り出た。直ぐに自身の後方を見て、敵機がいない事を確認しつつ引き金を引いた。

 タタタッと7.7ミリの軽快な音がI-16戦闘機の右翼付け根を叩きつけて火を噴かす。更に主翼から発射された13.2ミリ機銃弾がエンジンを貫いて火を噴かすのである。

 

「1機撃墜!!」

 

 草原に落ちていくI-16戦闘機には目をくれずに将和は新たな敵戦闘機を探すのである。遅ればせながらこの九六式艦戦を今一度、紹介する。

 ノモンハンに参戦した九六式艦戦は改良型の22型である。

 

 

 

 九六式艦上戦闘機22型

 

 全長 7.71m

 全幅 11m

 全高 3.20m

 翼面積 18.00㎡

 自重 1,300kg

 正規自重 1,800kg

 発動機 『瑞星15型』940馬力

 最高速度 507km/h

 航続距離 1600km

 武装 機首7.7ミリ機銃×2

    主翼13.2ミリ機銃×2

    30キロ爆弾×2

 

 

 

 

 発動機は寿から瑞星に変更して主翼に13.2ミリ機銃を搭載し攻撃力を増強させていた。また、推力式排気管を採用しているので速度も固定脚ながら507kmを記録する程であった。更に航空無線機も新型となり(史実三式空一号無線電話機)連携も取りやすかった。

 

「小澤!!」

 

 将和が周囲を見るとフラフラと小澤の九六式艦戦が飛行していた。将和の無茶な機動についていけなかったのだ。将和は周囲を警戒しつつ小澤機の右翼に位置し小澤を安心させる。小澤も将和機が見えた事でホッと一安心したのであった。

 ふと右下方を見ると2機のI-15が飛行しているが方向は逃げようとしていた。

 

「小澤、右下方。あれをやるぞ」

『り、了!!』

 

 小澤は緊張する声を出しつつ将和機に追従、I-15の後方に躍り出た。将和は後方を確認しつつ7.7ミリ機銃弾を発動機に叩き込んで火を起こさせ小澤も左翼付け根に13.2ミリ機銃弾を叩き込んで炎上させた。2機のI-15はそのまま草原に墜落するのである。

 

『や、やった!?』

「後方を確認しろ小澤!!」

『は、はい!!』

 

 初撃墜して浮かれた小澤に将和はそう釘を刺して小澤は慌てて後方を確認して安全を図るのである。

 

「小澤、撃墜したからおめでとうと言いたいが、最後の油断が駄目だな」

『はい……』

 

 将和は駄目だしを食らわせる。生き残らせたい。そう思うがための言葉であり小澤もそれを十分に痛感していた。

 

「さて、攻撃隊も引き上げるだろう。我々も集合して戻るぞ」

『了ッ』

 

 2機は機体を翻して引き上げるのである。葦原海軍航空隊がノモンハンに参戦した事により葦原とルーシの航空戦力は葦原に傾くのであった。

 

 

 

 

 

 




御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。