ドヤ顔が得意な女剣士は勘違い病が凄まじい   作:nagiayu

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 闇の大地に突如現れた“それ”に対して、周囲の魔族や魔物達が困惑した。  “それ”は、困惑する者達への死を司る悪魔であり、また、魔の者達全ての始祖となる神でもあった。  そんな悪魔でもある神が、困惑する魔族達へと笑みを浮かべた。

 

 

 静寂が包み込んだかと思われた瞬間、そこは地獄絵図と化した。

 

 

 『ぎゃ!!』

 

 

 『ぴぎいっ!』

 

 

 始祖は、目につく全てを殺し尽くした。  突然の強襲に、魔物は勿論、魔族も何が起こったのか分からなかった。  ただ、自分達と同じ種族、いや、根本的な違いがある始祖は、死体の山の中で甲高い笑いを上げた。

 

 

 【あは。  あはは!  あはははは!!】

 

 

 『な、何だあの化け物は!?』

 

 

 『ひっ・・・に、逃げ・・・』

 

 

 『逃げる!?  何処に!?  此処は私達の世界だ!  そこを捨てろって言うの!?』

 

 

 血溜まりと肉の臭いが充満したそこに、始祖は夥しい返り血を浴びていた。  そんな始祖の姿に、周囲の魔族達全てが頭に描いた事がある。  あの姿は、私達が人間達の世界でやってきた事にそっくりだと。  人間達には私達があんな風に見えていたのだと思った。  それが、今度は自分達の身に起きたのだと。 

 

 

 悍ましい表情で笑う始祖に対して、当然、魔族達も黙ってはいない。  数百という魔族達が群がり、悪魔であり神でもある“それ”に向かって行ったが、結末は言うまでも無かった。  そんな中、自身の腕に相当な自信があるのか、空気からしても歴戦の魔族であろう一人が口角を上げた。  

 

 

 『あれが御母様の仰っていた魔族の始祖、という奴?  不気味な空気なだけはあるじゃない』

 

 

 そんな歴戦の魔族に、近くにいた別の魔族が声を張り上げた。  震える唇は、先程までその様を刻み込んだ“それ”の恐怖を物語っていた。

 

 

 『ひ、退きましょう!  あの生物は得たいが知れません!』

 

 

 『退く?  だから貴女達は一人で人間の狩りも出来ないの。  そこの化け物!  私があいて・・・』

 

 

 勇ましく啖呵を切った魔族の一匹だったが、一瞬で頭が吹き飛ばされると、力なくその場で倒れた。  そんな光景を見て、傍にいた魔族が涙目で始祖に助けを求めた。

 

 

 『おお、おねがい・・・!  たすけ』

 

 

 地に頭を擦り付け、助けを求めた魔族が始祖によって頭を踏みつぶされると、そんな始祖の姿と強さに、遂に周囲にいた魔族達が一斉に逃げ出した。  逃げ惑う魔の者達を黙って見ていた始祖だったが、何か別の空気を見たのか、闇の彼方へと目を向けた。

 

 

 逃げ出していた魔族達の足が止まった。  その先には闇から現れる二体の魔族が在った。  空気や佇まいからしてこの世界でも五指に入る程の実力を持った二体の中、美しい蒼髪を靡かせた美女が呆れた声を発した。

 

 

 【御母様のお目覚めまで時間稼ぎも出来ないなんて。  使えない子達ね】

 

 

 【お姉様、相手が“あれ”では仕方がありません】

 

 

 優雅に、そして極上の空気を溢れさせる二匹の魔族は、立ち止まる魔族達をすり抜け、始祖へと歩みを進めた。  そんな極上な二匹を見て、始祖は自身の唇を舐めた。

 

 

 【おいしそうな いろ】

 

 

 【お褒めの言葉、嬉しく思うわ。  御母様が危惧していた魔族の始祖と呼ばれる者に会えるなんて。  光栄だわ】

 

 

 【お姉様、油断なさらぬ様。  全力で行きます】

 

 

 【油断?  私が?  ふふっ。  ベティ、冗談が上手くなったわね】

 

 

 赤い炎を纏といながらプラムベティが警告すると、オルベルスは美しい蒼い髪をかき上げ、怪しい瞳を光らせた。   

 

 

 そんな二対一の魔族同士となる争いが行われる寸前、遠く離れた崖の上に現れた赤い球体から、ベスキュビアが舌打ちしながら現れた。

 

 

 【ちっ、もう始まってるな。  この移動、遅いんじゃないのか】

 

 

 悪態をつくベスキュビアの後に、ウィンクドレスが睨みつけながら現れた。

 

 

 【殺されたいのか?  ん?  オルベルスにベティまで出張ってるのか。  丁度いい、このままあいつ等が死んでくれればいいんだがな】

 

 

 ククッと喉を鳴らすウィンクドレスに対して、ベスキュビアが呆れた顔で口を開いた。

 

 

 【お前達の姉妹喧嘩に巻き込むな。  私はノアを救えればそれでいい。  誰が死のうが知った事ではない】

 

 

 【随分甘くなったものだ。  いや、それが純粋な魔族というもの、か。  で、どうやってノアとやらを救う?  あれはもう始祖として目覚めている】

 

 

 【ノアは確かに存在した。  奴の中にいる筈だ。  それを引き釣り出すしかない】

 

 

 【それをどうやるか聞いている。  あれを殺さずに気絶でもさせるつもりか?  殺らなければ殺られるだけだ。  見ろ、オルベルスとベティの二人でも止められん】

 

 

 そう言うウィンクドレスの目には、オルベルスとプラムベティの二人でも苦戦を強いられている現状が映っていた。  プラムベティによる炎が辺り一面を焼いているが、その中心にいる始祖には焦げ跡一つ無く、高笑いを続けていた。

 

 

 【はぁ・・・こんな生物がいたなんて、嫌になるわね。  全く】

 

 

 【お姉様、腕が】

 

 

 始祖と距離を取り、溜息をつくオルベルスは左腕が無くなっており、残った右腕で髪をかき上げ心底うんざりしていた。  そして、口角を上げる始祖を見据えた。  

 

 

 【どうって事は無いわ。  それよりベティ、貴女の炎でどうにかならないかしら?】

 

 

 【ご覧の通りです。  この炎では焦がす事すら出来ない様です】

 

 

 言いながらプラムベティが赤い炎の玉を飛ばすと、始祖は躱す事も防ぐこともせず、まともに炎に包まれた。  しかし、燃え盛る炎の中から始祖の楽し気な笑い声が響いている事から、ダメージが無い事が誰にでも分かっていた。

 

 

 【ふん。  貴女の灼熱に耐えれる生物がいるとは思わなかったわ。  このまま私達の無様な姿を見せれば、他の子達を不安にさせてしまう。  そろそろ私の力も見せないと失礼かしらね】

 

 

 言いながらオルベルスの髪が逆立って行った。  消失した筈の左腕も既に再生しており、オルベルスを中心に禍々しい空気が溢れ出始めた。  そんなオルベルスを見て、ウィンクドレスが愉しそうに声を鳴らした。

 

 

 【ほお。  オルベルスの奴、力を見せるつもりだ。  くくっ、面白くなってきた】

 

 

 【随分な力だ。  三美凶の長女というだけはあるな】

 

 

 【良く見ておけ。  何れはあいつとも殺り合うだろうからな】

 

 

 爆発的な力が収まると、そこには無数の純白の翼と、蒼い髪があった。  そして、美しさの中に恐怖を宿したオルベルス本来の姿は、歴史的な戦闘である場に残った歴戦の魔族達の目を奪った。  そして、その姿の余りの美しさとその力強さに、息を飲んだ。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 【ベティ。  貴女も力を出しなさい。  可愛い子達を守り、闘う。  それが、力を持つ者の責務よ】

 

 

 【分かっています】

 

 

 (この場に残っているのはそれなりに腕が立つ名付きばかりですか。  少し、間引いておきましょう)

 

 

 心の中の声は誰にも分らない。  そう確信しているプラムベティは青い炎を繰り出すと、触れる物全てを燃やし尽くす青炎を纏い、オルベルスの横に立った。  その時、歴戦の魔族達数人が焼け焦げていった。  当然、プラムベティの青炎に触れてはいない。  しかし、その余りにも凄まじい豪熱はただ近くにいる、それだけでその威力を発揮した。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 触れる事無く、同族を焼き払う青炎を目の当たりにした歴戦の魔族達は、一人残らず一瞬でその場から離れた。  歴戦の魔族達となると、状況の判断も早く、自身の命を一番に考える。  巻き添えは御免だとばかりに逃げ出したのだ。

  

 

 【酷い事を。  命は大切にする物よ?】

 

 

 【お姉様が言うと笑いが出ますね】

 

 

 【うふふ。  変わらず・・・いいえ、前にも増して大した熱ね。  汗をかいてしまうわ。  それにしても、ドレスもベスキュビアも手を貸してくれないかしらね。  楽になるのだけど】

 

 

 言いながらオルベルスはチラリと崖の上に目線を向けた。  遥か遠く離れた位置だが、オルベルスの目には二人が此方を伺っているのがハッキリと目に映っていた。

 

 

 【様子を見ている段階でしょう。  長引けばお力添えをして頂けるかと思います】

 

 

 (ドレスお姉様は兎も角、ベスキュビアは別の理由でしょう。  何にせよ、この始祖と呼ばれる生物。  私達の本来の力を以てしても勝てるかどうか・・・。  オルベルスお姉様の言う通り、此処はドレスお姉様とベスキュビアの力を借りなければ、下手をしたら此方が喰われかねませんね)

 

 

 【くくっ。  見ろ、あれがベティの本来の力だ。  本来の姿のオルベルスすら汗をかいている。  これだけ離れていても大した熱だ】

 

 

 【此処までこれ程の熱を放つベティもそうだが、隣にいて汗だけで済んでいるオルベルスも大概だな】

 

 

 【臆したか?】

 

 

 【ふざけるな。  殺してやるさ。  ノアを救ったその後でな】

 

 

 鋭い目つきで戦況を見るベスキュビアの瞳には、曇りは無かった。  そんな、ベスキュビアの横顔を見て、ウィンクドレスが口角を上げた。

 

 

 【いい答えだ。  さ、て。  オルベルスもベティも此方には気付いているだろうな】

 

 

 【わざと空気を消していないんだ。  此方を当てにしているんだろう】

 

 

 【此処であいつ等が喰われれば、世界の全てはあの始祖に喰らい尽くされる。  残るのは何もない。  無、だ】

 

 

 【ノアを救う。  私はそれだけでいい】

 

 

 【世界がどうなろうが知った事ではない、か?  随分自分勝手な奴だ】

 

 

 【適当に増やして狩りを続ける。  そんな、お前等魔族擬き共が言うと反吐がでる】

 

 

 【くくっ。  違いない】

 

 

 ウィンクドレスはそう言うと、その場から消えた。  しかし、ベスキュビアの目には始祖と殺り合う姉妹の二人と共に、戦場に加わるウィンクドレスが映っていた。

 

 

 周囲を焦土と化し、その中心で笑いながら戦う始祖を見つめながら、ベスキュビアは思う。  魔物にやられ、泣きながら助けを求めるノア。  狩ってやった獲物を美味しそうに食すノア。  無邪気に眠るノア。  楽しそうについてくるノア。  私を・・・親の様に見つめてくるノア。  そんな、ノアの姿が浮かんでいた。

 

 

 【・・・ノア。  戻ってこい。  お前がいないと、私は退屈だ】

 

 

 そう呟くと、ベスキュビアは力を発しながら戦場へと飛び立った。  最後となるであろう友を救う為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・っと!  聞いてるの!?」

 

 

 聞き覚えのある女の声に、ベスキュビアはハッと我に返った。  気づけば辺りは夕暮れになり、美しい朱色に染まっていた。  そんな中、ベスキュビアの前に、呆れた顔でララが溜息をついていた。

 

 

 「あ?  何だ?」

 

 

 「何だじゃないわよ。  私も帰るわよ」

 

 

 「お前、魔族の力はコントロール出来たのか?」

 

 

 「見てたでしょ?  出来ないから今日はもう帰るって言ってるの」

 

 

 「ふざけんな。  おい、私の水はどうした?」

 

 

 ベスキュビアがそう言うと、ララは深い溜息をついてベスキュビアが座っていた岩の傍を指差した。

 

 

 「ルナがそこに置いて行ったわよ。  貴女、何も反応しないんだもん。  失礼ね」

 

 

 「・・・ちっ。  おい、何処に行く。  続きだ」

 

 

 剣を収めたララが背を向けると、ベスキュビアは鋭い目つきと言葉を投げかけた。  しかし、ララは両掌を上に上げると、やれやれといった風に首を振った。

 

 

 「勝手に魔族にしておいて、勝手に練磨し始めて、挙句に上の空って話にならないわよ」

 

 

 ララの言葉にベスキュビアは何も言い返さなかった。  いや、言い返せなかった。

 

 

 「何を物思いに耽ってたか知らないけど、今日は御終い。  帰るわ」

 

 

 言いながらララが村へと歩き出した。  ベスキュビアは罰が悪いのか、自身の頭を掻き毟ると、空を見上げた。

 

 

 (この私が何て様だ。  ノアの事を思うと周りが見えなくなってしまう。  城を抜けた時、随分探したが何処にもノアの姿は無い。  ノア、何処にいるんだ・・・)

 

 

 自身の中で小さく愚痴を吐くベスキュビアの空気を察したのか、歩みを止めたララが振り向いた。  そんなララを、ベスキュビアは何も言わず、ジッと見つめた。  

 

 

 「貴女、今日何処で寝るのよ」

 

 

 「あ?  寝るだと?  そんなもの私には必要無い」

 

 

 「あっそ。  じゃ、ご飯はどうするのよ」

 

 

 「適当にその辺の獲物でも狩るだけだ」

 

 

 その言葉に、ララが眉を顰め、強い口調で口を開いた。

 

 

 「人間じゃないでしょうね」

 

 

 「雑魚を喰った所で腹の足しにもならん。  獣、だ」

 

 

 「ふーん。  じゃあさ、貴女、一緒に来なさいよ」

 

 

 ララの申し出は意外なものだった。  自分を魔族にし、ルナやエルンと折り合いもついていない。  そんな自分を夕食に招くというのだ。  馬鹿な奴としか思えなかった。

 

 

 「お前、馬鹿か?  ルナとかいうカスは知らないが、エルンとかいう中々の奴は私を嫌っているだろう」

 

 

 「ぷっ。  何、貴女そんな事気にする奴だったの?」

 

 

 吹き出すララに、ベスキュビアは眉を顰め、牙を向いた。

 

 

 「殺されたいか?」

 

 

 「はいはい。  いいから来なさいよ。  ルナのご飯の美味しさに驚くわよ」

 

 

 言いながら歩き出すララに対して、ベスキュビアは慌てて言葉を放った。

 

 

 「待て。  私は行くとは言っていない。  そんな下らない家族ごっこ、カス達でやればいい」

 

 

 「カスでも何でもいいけどさ、私、空気を感じる事が出来るから分かるわよ。  村に来た時は凄い殺気だったのに、今はそんなもの感じない。  悪くないわよ、家族ごっこっていうのも」

 

 

 「だから、そんなものお前達で───」

 

 

 その時、振り向いたララの瞳を見て、ベスキュビアは言葉を止めた。  その瞳は、かつて自分に向けられていた瞳だった。  唯一、といっても言い友である、クラリスと、自分が守ってやらなければならいと誓った、ノアの瞳に似ていた。

 

 

 「いいからさ、来なさいよ。  ルナとエルンには私から話をするから」

 

 

 手を差し伸べるララを見て、思う事があったのか、ベスキュビアは小さく笑うと、ララの横を通り過ぎて行った。

 

 

 「何、突っ立ってる?  カスの寝床は何処だ?  案内しろ」

 

 

 「ほんっと、嫌味な女ね」

 

 

 (ドレス、お前が此奴を気に入っている訳が分かった。  お前の言う通り、世界は此奴の一振りで変わるかもしれない) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 とある暗闇の森の中。  一匹の魔族と、一人の人間が地を駆けていた。  魔族の方は少女の様な身長だが、相応の実力があり、人間の方は口元を隠したマスクを身に着け、実力では魔族の少女より上だった。

 

 

 一匹と一人は体中傷を負っており、疲れが目に見えて分かっていた。  そんな中、魔族の一匹が大岩から流れる川を見つけると、駆けていた足を止めた。

 

 

 「はぁはぁ。  丁度いい、ちょっと休憩しよ」

 

 

 「フン。  お前は体力が足リン。  もっと己を鍛えるんダナ」

 

 

 「私は諜報がメインなの。  体力馬鹿のあんたと一緒にしないでよ」 

 

 

 言いながら少女の魔族は流れる水を飲むと、喉を潤し、ドサッとその場に座り込んだ。

 

 

 「あー、美味し。  唯の水が此処まで美味しく感じるなんて、思ってもなかった」

 

 

 「ングッ、ングッ・・・ッハア。  ああ、この川の水は美味イナ」

 

 

 言いながらマスクを外した人間が魔族の隣に座った。  傍から見れば魔族と人間が一緒に休んでいる姿等、有り得ない光景だった。

 

 

 「いつっ!  はあ、もう追っ手は来ないかな?」

 

 

 魔族の少女は自分の腕についた傷を舐めながらそう言うと、人間の方が水で濡らした布を魔族の少女へと投げ渡した。

 

 

 「随分殺したかラナ。  魔女の部下も無限にいる訳ではナイ」

 

 

 「でも、あれから結構経ったけどウィンクドレスは見つからないね」

 

 

 言いながら魔族の少女は濡れた布で傷口を綺麗に拭き取っていった。

 

 

 「空気を消せる方ダ。  牢に来てくださった時に居場所を聞いておくんだッタ」

 

 

 「これだから体力馬鹿は頭が回らない。  それでもオルベルスの側近だったの?」

 

 

 「貴様もあの場にいて何も聞かなかっただロウ?  私一人の責にすルナ」

 

 

 言い合いながらも魔族の少女は懐から取り出した小さな果物を人間に放り渡すと、人間も当然の様にそれを口に入れた。

 

 

 「これが最後の食糧だからね。  後は適当に人間でも───」

 

 

 「それを私が見過ごすと思ウカ?」

 

 

 「はー・・・ほんっと人間って面倒くさい。  ん?」

 

 

 「気づいたか?」

 

 

 人間の方は会話中もずっと一点を凝視していた。  魔族の少女より先に、空気を感じ取っていたのか、崖下にある魔族の空気を見ていた。

 

 

 「落ち着いて見てみたら、あれ、魔族の空気じゃない?  それも、何人かいる」

 

 

 「戦闘しているような空気ではナイ。  集落、カ?」

 

 

 「魔族がその身を寄せ合って暮らしてるって事?  有り得ないでしょ」

 

 

 「イヤ。  魔族の中には戦闘に特化していない者も多イ。  人間の真似事をしてもおかしくないだロウ」

 

 

 人間の言葉に、魔族の少女は思案すると、人間の方へ顔を向けて口を開いた。

 

 

 「行ってみよう。  こんな辺鄙な所にいる魔族なら追っ手って事は無いし、戦闘の力も無いんだよね?」

 

 

 「可能性の一つの話ダ。  どうなるか分からンゾ」

 

 

 「何にせよ、このまま当ても無くウィンクドレスを探しても埒が明かない。  行くよ“ロイネ”」

 

 

 「エルディロイネ、ダ。  “レベルカ”体力はもういいノカ?」

 

 

 「大丈夫。  少しは回復したから」

 

 

 そう言うと、魔族の少女レベルカは崖下へと飛び立ち、人間エルディロイネも後に続いた。  二人の瞳には、小さな灯があった。  それは、物理的な物では無く、心の中の灯だった。

 

 

  

あなたの好きな魔族は?

  • オルベルスネーシア
  • ウィンクドレス
  • プラムベティ
  • ベスキュビア
  • ビクトリア
  • ガデルベルナ
  • ヴァレリアーナ
  • 牡丹
  • ベルビューヌ
  • ルナ
  • エルンヴァイス
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