廃人が往く!   作:途方も価値のない錆びた偽物の金塊


原作:Elona
タグ:R-15 残酷な描写 elona
あなたはノースティリスの冒険者だ
呪われた帰還の巻物を読んだあなたは、気がつけば見知らぬ街に飛ばされてしまった

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廃人が往く!

 

 あなたはノースティリスの冒険者だ。

 

 ノースティリスを拠点としているが、最近はサウスティリスに足を運ぶ事もしばしばある。そんなあなたは日課である依頼をこなし終え、自宅へ帰還の巻物を使い帰ろうとしていた。

 

 しかし、面倒くさがって鑑定してなかった帰還の巻物を使った所、どうやら呪われていた様だ。

 しかもいつもなら時空の神のイタズラで収容所に飛ばされるが、今回はどこかの街に飛ばされてしまった。

 ノースティリス、サウスティリス共に大陸の隅々まで行き尽くしているあなたは、ココがティリスの街ではないことを理解した。

 目の前の未知にワクワクしながら、あなたは街へ足を踏み出した。

 

 どうやらかなり大きな街らしく、ノースティリスの首都である王都パルミアよりも大きいと感じる。

 そのせいか街の入口ではガードが目を光らせており、街へ入ろうと並んでいる人の中には追い出されている者もいた。

 その様子を遠くから眺めていたあなたは、馬鹿正直に列に並ぶ事を止めた。

何を基準にしているかは分からないが、どうやら街に入れて貰えない人もいるらしい。

 あなたのカルマはおよそ善人とは言えない数値であるため、追い出される恐れがある。なんならそのまま戦闘になったら面倒だ。

 

 あなたはそっとインコグニートの魔法を使い、あなたでは無い誰かに変装した。

 そして人気の無い城壁まで近づき、その壁を掘り始めた。

 

 *カキン*

 無事に掘り終えた。

 どうやら路地裏に繋がったらしく、周りに人気はない。

 あなたはインコグニートが解けたことを確認し、大通りへと出た。

 そこには人が溢れていた。中にはエーテル病か突然変異か、獣のような見た目の人も多く見受けられた。

 

 キョロキョロとおのぼりさんのように周りを見渡していると、ドンと軽い衝撃を胸に受けた。

 見ると小柄で全体的に白と薄水色の配色で整えられた、どこか猫のような要素を持つ女の子が、こちらへと弾き飛ばされて当たってきた。

 どうやら喧嘩でもしてるらしく、3人の男がこの少女に向けてニヤニヤと笑いながら何やら煽り気味に言い放っていた。

 

 少女は足でもくじいたのか、受け止めた腕の中から抜け出そうとしているが足に力がはいらない様子だ。だが目は負けておらず、男たちを挑発する。

 それにカチンときたのか、前蹴り、いわゆるヤクザキックを仕掛けてきた。

 

 それを見たあなたは自身の速度を上げた。

 

 さて、とあなたは改めて状況を確認する。相対的に遅くなった周りでは、少女とその後ろにいるあなたごと蹴り飛ばそうとしている男と、衝撃に備えて目をつぶっている少女と、その他大勢がまるで止まっているかのようにその場に静止していた。

 あなたはいつものように、あなたに襲いかかってきた男に石を投げようとした。当たれば綺麗なザクロが咲くだろう。

 だが、ココが見知らぬ街であることを思い返した。

 ココのガードのレベルが分からない今、無闇に騒ぎを起こすのは良くないかもしれない。負ける気は無いが。

 

 それに、コイツらの喧嘩に巻き込まれて終末武器を持ってるやつがいないとも限らない。

 そうだったらもう最悪だ。あなたはかつての最寄り街(ヴェルニース)の悲劇を思い出した。

 

 ガードに目をつけられない。喧嘩を止める。

 この2つを叶えるために、あなたは懐の少女を抱えどこかへと歩き出した。

 

 速度が戻った時には、まるで風のように少女と男が消え、呆然と立ち尽くす男たちの姿があった。

 

 少し離れた路地の端。足を挫いたと思われる少女をベンチに座らせたあなたは、自身の速度を下げた。

 未だに目をつぶって体を強ばらせていた少女は、衝撃が来ないことを不思議に思い目を開け、困惑していた。

 その様子を見たあなたはミッションコンプリートとし、その場を離れた。

 その際少女が何事かを話しかけてきた気がしたが、聞き流した。

 

 さて、改めての街観光である。

 本当に大きい街なので何から手をつけるか悩むが、まずはトレーナーを見つけたい。もしかしたらまだあなたの知らないスキルが眠っているかもしれない。それを教わるためにも、トレーナーがよくいる酒場やギルドと言った場所を巡る必要がある。

 

 そんなことを考えていると、1つの教会が目に入った。

 あなたの見たことの無いシンボルを掲げたそれは大きな扉を広げ、その奥には祭壇が鎮座していた。

 周りにはシスターや神父と思わしき人達と、礼拝に来たであろう信者がチラホラといる。

 あなたはついでとばかりにその教会へと足を運んだ。

 

 あなたは、まるで通い慣れた通学路を通るように自然に、なんの気負いもなく祭壇への道を歩いている。

 その自然な動作は周りの人もチラと目を向けては直ぐに元の作業に戻る。それほどの敬虔で熱心な信者のそれであった。

 

 確かにあなたは信者である。ただし、頭に狂が付くレベルの。

 そして、その信仰対象はあなたの知らないシンボルを掲げる神などではない。植物の成長を喜び、死を始まりとし輪廻を司る、豊穣の神。『収穫のクミロミ』を絶対としてあなたは今まで生きてきた。

 

 故に、見知らぬ神にかける関心などなく、いつものようにその聖域を我が神のものとせんとその祭壇に手を掛け───

 

 『誰かそこの人止めてぇぇぇぇ!!!!』

 電波を受信した。


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