煉黒宿す少女   作:光炎の大龍玉

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ちなみにA組21人です。命波ちゃんの影響で同じポイントの子が出来てしまったってことで許して……


個性把握テスト《後編》

───第1種目 50m走

 

《いくよ、グラン》

 

……あぁ

 

最後になった私はスタートラインに立つ前に、靴を脱いで素足になり、グランに頼んでマグマの体液を活性化させる。私でも活性化は出来なくはないけど、限界ギリギリまで引き上げ続けるならグランの方が上手いし、走りにも集中できる。

赤熱した体液が身体を巡り、私を赤く輝かせる。いつ見ても恐ろしい活火山のようで、私はあまりこの姿が良いとは思わなかった。でも……

 

「「「うおぉぉぉ!! かっけぇぇぇぇ!!」」」

 

何故か周りは私の事をキラキラした目で見てくる。どうしてなの……?

……いや、今は目の前の事に集中しよう。

 

「よし、最後に江渡船だ……スタート!」

 

相澤先生の掛け声と共に、私は何も考えずに全力で走る。

凄まじい速度で地面を抉りながら風を切って駆け……ゴールラインを越えた瞬間に踏ん張って減速する。あ、踏ん張ったせいでまた地面が抉れちゃった……

 

「……記録、3秒9」

 

「うぅ、上手く加速できなかった……」

 

蹴りの時、地面へ力を上手く伝えられていない。要改善だな

 

「ギリギリとはいえ3秒台!?」

 

「一体どんな個性なんだ!?」

 

グランの辛口な採点とは反対に、周囲の男子は口々に凄い凄いと持て囃す。

私が実くんの方を見ると、笑顔のままサムズアップして答えてくれた。すごく嬉しい…!

 

 

───第2種目 握力

 

「540kg!? すげぇ! ゴリラかよ!?」

 

「どっちかと言えばタコだよな。それはそれとしてすげぇ……」

 

隣のマスクをつけている子が腕を増やして500kg以上を出していた。実くんが目を輝かせてる。いいなぁ、あの子は腕が多くて……

 

「江渡船、俺はもう終わったから使っていいぞ」

 

マスクの子の沢山ある腕を羨ましそうに見ていた私は、彼に握力計を渡された。

実くんは個性を使っても意味が無いからいつも通り握ってたけど、私は普通に握るだけじゃダメ。

私は意識して筋肉のリミッターを解除する。強引に火事場の馬鹿力を引き出して、自傷する勢いで握力計を握りしめる。

 

「あ…! がぁ……あぁぁぁ!!」

 

手と腕に生まれた傷口からマグマの体液が漏れだしても気にせず、痛みを堪えながら私は尚も握りしめる。まだ、まだいける……!

そのまま握力計を握り続けていたら、突然嫌な音と共に握力計の上がへし折れた。

 

「あ、壊れちゃった……先生、どうしましょうか」

 

鱗の隙間に刺さった破片を取り除きながら、私は相澤先生に判断を仰ぐ。

すると、相澤先生からは壊れたなら測定不能でいいと言われた。えへへ、実くんに褒めてもらえるかなぁ……♡

 

 

───第3種目 走り幅跳び

 

「てやあぁぁ!!」

 

「次、峰田!」

 

私は身体能力を上げて普通に跳んだけど、それでも20mと短かった。やっぱり翼で飛ぶのはおろか、滑空もできないのが痛い。

 

我が翼は大地を生み出すためのもの。もとより大地を生み出す以上、飛ぶ術は不要だったからな。すぐにそのような機能は捨てた

 

グランは大地を生み出す龍だったらしいから、翼は元から不要だったんだって。だから生きてるうちに今の翼に変わったみたい。

……ちょっと不満ではあるけど、今の翼で助かった命があるから文句は言えない。

その後実くんが頭のもぎもぎを飛ぶ寸前に投げて36mも跳ねてた。カエルのような姿の蛙吹 梅雨ちゃんも、蛙跳びでほとんど同じくらい跳んでた。

 

 

───第4種目 反復横跳び

 

これはぶっちぎりで実くんが1番だった。端っこにもぎもぎを置いて、そのまま自分を反発させてを繰り返して……といった感じに高速移動して、200回くらいになっていた。

私が拍手をしたら、周りも釣られるように拍手をしてくれた。実くんは照れながら頭をかいて目を逸らした。あんまり褒められ慣れてないところも可愛いんだよね。

よし、私の番だ。頑張らないと!

 

「……73ですわ」

 

計測役をしてくれた八百万 百ちゃんが私の記録を言って、相澤先生がそれを電子機器に打ち込む。

 

「圧倒的揺れの暴力……!」

 

「視覚的に攻撃するなんて……!」

 

……何故か私が反復横跳びをしている時、実くんを含めた殆どの男子が私を見てくれなかった。女子も直視せずにチラチラと見ていたけど、何だったんだろう……?

 

 

───第5種目 ソフトボール投げ

 

途中、相澤先生に緑谷と呼ばれた男の子の番で一悶着あったけど、それ以降は特に問題なく進んだ。

……緑谷くんの人差し指を見てみると、明らかに人がしちゃいけない色で大きく腫れていた。……見ているだけでも痛くなってしまいそうで、少し心配になる。

 

「よし、江渡船で最後だな」

 

またまた最後になった私はソフトボールを見てある事をやってみようと思い、相澤先生にボールの耐熱加工の有無を聞く。

 

「相澤先生、このボールって耐熱加工はしてありますか?」

 

「あぁ、並大抵の高熱なら溶けねぇぞ」

 

多少熱が加わっても大丈夫みたい。ならやりたい事はできる。

 

「その、危ないので離れてもらうと助かります」

 

私は重翼の噴火口にソフトボールを入れて、体内でマグマの体液を圧縮していく。

四つん這いになって射角を調整しつつ、限界まで重翼に圧縮されたマグマの体液を送り込む。

 

「んっ、ぐぅ……ッ!!!」

 

溜め込んだ力の影響で周囲に熱が漏れだして、私の周りを蜃気楼が包む。

重翼の表面にヒビが入った瞬間、私は凄まじい熱量を込められたそれを……右の重翼だけで解き放った。

 

「…………シグナルロスト。計測不能だ」

 

凄まじい勢いで放出したマグマの体液と共に、ソフトボールは一瞬で見えなくなった。

熱量に耐えきれず溶けてしまったのか、それとも空中分解したのか……詳しくは分からないけど、またもや計測不能だ。

……出した体液は私が責任をもって回収しました。

 

 

───第6種目 上体起こし

 

これは仕方なく免除された。……重翼が邪魔でマットにちゃんと背中がつかないから、ちゃんとした計測ができない…とのこと。

だからせめて役に立たないといけないって思いで、実くんを押さえてあげた。実くんの顔を何度も見れて幸せ……♡

終わった後、実くんは何を想像したのか顔を真っ赤にして悶えていた。どうしてだろう……

 

 

───第7種目 長座体前屈

 

「ん……んんっ……!」

 

「いかにも硬そうな見た目なのにめっちゃ柔らけぇ!?」

 

意外に思われていたのは長座体前屈で、身体が柔らかい私にみんな驚いていた。

本当は猫みたいに丸まって寝れるぐらいには柔らかいけど、胸が邪魔でちょっと記録が伸び悩んだ。

 

 

───第8種目 持久走

 

「たぁぁぁぁぁ!!」

 

「最高速度なら負けないぞ!!」

 

50m走と同様裸足のまま走る。あんまり素の身体能力は良くない私だけど、持久力だけは絶対に自慢できる。どれくらいかと言うと、今まで疲れた事がない正真正銘の疲れ知らず。ちょっとでも吸い込んだ空気が少なかったら息が苦しくなるけど、それも我慢して走り続ける。

ふくらはぎがエンジンになってる男の子と、バイクに乗ってる八百万ちゃんに頑張って食らいつくけど、僅差で2人に負けちゃった。

 

「んじゃパパッと結果発表だ」

 

相澤先生の持ってる電子機器からホログラムが出てきて、順位が発表される。

私は4位だった。1人だけ上体起こしをやってないから仕方ないね……

 

そして最下位は……緑谷くんだった。

ソフトボール投げの時の怪我が祟って、その後の測定は殆ど上手く出来てなかったし……このテストでなにも個性を活かせない透明人間の葉隠ちゃんにすら、僅差とはいえ覆されたのは仕方がないのかもしれない。

 

「あ、除籍の件は嘘だから。君達を本気にさせるための合理的虚偽」

 

八百万ちゃんはあからさまな嘘だって言ってたけど……本当にそうなのかな。

嘘の割には、細かい動きや雰囲気が堂々としすぎてた気がする。

……まぁそんな細かい事はどうでもいい。今は実くんと一緒にいられることの喜びを実くん本人にぶつける。

みんながさっさと解散した中、私は実くんと目を合わせて、喜びを分かち合うために抱き合う。

 

「えへへ……これで一緒だね、実くん♡」

 

「おう! マジでホッとしたぜ!! (はぁぁぁぁ!? 汗だくなのにいつもとは別ないい匂いがするだとぉぉう!? 女の子は汗までいい匂いがするのか!? ずりぃぃぃぃ!! 審判審判審判!!レッドカード! こんなの反則ですよ!!)」

 

「お前ら…一応言っておくが、幾ら雄英が自由な校風だとしても不純異性交友は許されんからな」

 

帰り際、相澤先生に釘を刺されたけど、それくらいは弁えてる。でも……ちょっとくらいはいいよね♡

私は実くんの頭に顔を埋めて汗の匂いを吸う。

 

「はーい、相澤先生。……実くん、汗もいい匂いする♡」

 

「……男の汗なんて臭いだけだろ」

 

「そんな事はないよ♡ ……むしろ大好きな匂いだもん♡」

 

実くんの全てが好き♡ 匂いも、姿も、ドキドキしてる所も…何もかも……♡




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