煉黒宿す少女 作:光炎の大龍玉
「実くん…ど、どうかな……?」
「命波か? ……おぉ! 似合ってるぜ! (なんだその露出してる太ももとオッパイはぁぁぁ!!! エロォォォイ説明不要ッ!! ……ハッ!! もしや、これがチラ見せエロスってやつなのか……!!?? )」
しっかりと着替え終えた私は早速グラウンドβに向かい、実くんにコスチュームを見せる。思ったよりも好評で良かった。実くんも独特なデザインだけど、すごくしっくりくる。
私から剥がれ落ちた黒鱗や燃殼を使った鎧のようなコスチュームは、胸元と腰の辺りにあるマグマの体液が集まる部分であるコアが露出している。ここを開けておかないと、活性化時に熱が篭もりすぎて制御が難しいから開けてもらった。
スカートになっている鎧には腰のコア周辺を保護する役割があって、非常に広い範囲を守ってくれる。
コスチュームの役割としては、私の外側にある、黒鱗だけの比較的脆い部位を燃殼で出来たコスチュームでカバーする感じ。それと……
「にしても命波、コスチュームに盾なんて珍しいな。大抵の奴はサポートアイテム持ってないのに……」
「うん。でもこれだけは絶対に欲しかったの」
実くんが私の左腕にある大きな盾を指差して珍しそうに見る。
私は絶対外せない要望として、このとてつもなく大きな盾を挙げた。
グランの顔を模した大盾の裏側には、腕にある3つの噴火口に接続できる穴がある。そこを通して体液を盾に送り、盾そのものを熱するのだ。鎧にも同じような機能があって、漏れ出てしまった体液を鎧の中で循環させる役割がある。これで漏れ出た体液の処理がある程度省ける。
単に攻撃から誰かを守ったり相手をこの見た目で威嚇する効果もあるけど、ちょっとした照明やヒーターのような役割も兼ねてる。
周りを見渡すと、皆個性的なコスチュームを身にまとっている。……手袋とブーツしか身につけてない葉隠ちゃんだけそのベクトルが違う気がするけど。
「いいじゃないか、似合ってるぜ有精卵共!」
オールマイトからも私達のコスチュームは好評なようで、サムズアップをしながら褒めてくれた。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
フルフェイスヘルメットを被った男の子……声からして飯田かな?
彼がコスチュームをガシャンと音を立てながら、手を挙げて質問をした。やっぱり飯田くんは真面目な人だなぁ。
「いや!今回はもう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練だ!!ヴィラン退治は大抵屋外で見られるが、統計によると屋内の方が凶悪な
「基礎も無しにやるのですか?」
「いい質問だ蛙吹少女! この訓練はその基礎を学ぶためのもの! 入試の時みたいにただロボットを壊すのと違って、人を相手しなきゃいけない! 大怪我をさせない為にも加減を覚えさせるのが今回の目的! そして、こういうのは言葉で伝えるよりも実際にやってみた方が早いのさ!」
コスチュームまでカエルっぽい梅雨ちゃんが質問すると、オールマイトはこの訓練自体が基礎を学ぶためのものだと言った。……確かに、私みたいに簡単に大怪我をさせられる子がヒーローになるなら、まず第一に加減を覚えないといけない。
ヒーローは人殺しをしちゃいけないからね。
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスかァ?」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんでしょうか……?」
「分かれるとはどの様な分かれ方をすればよろしいのですか!」
「1人余るんですけどそれはどうすれば……?」
「このマントヤバくない?」
みんなが次々に質問をするものだから、オールマイトがプルプルと震えて答えに困っている。
「ンンン〜聖徳太子ィ!!」
……そうだよね。オールマイトだからといって、聖徳太子みたいに一斉に質問を聞き分けるのは難しいもの。
オールマイトはちっちゃい紙切れを取り出して、順番に説明していく。……ちょっとギャップがあって可愛いと思った。
「状況設定としては、
設定がかなり現実離れしてる要な気がするけど、やるべき事は結構シンプルだった。普通に相手を捕まえるか、ダメそうなら核兵器に手を出したり時間稼ぎをすればいい。
耐えていれば勝てるという意味では、ちょっとだけ
「コンビ及び対戦相手は全てクジだ!それと、ここのクラスは21人だからどこかのチームは3人になるな! ただし、3人チームでも2人捕まればその時点で負けだぞ! 数の有利はそこまで無いはずだ!公平さには欠けるが、ヒーローってのは逆境を跳ね除けるものだ! 数的不利は頭を捻って跳ねのけるんだ!」
終わった。別に3人チームがどうこうはどうだっていい。自惚れかもしれないけど、1人の差ならまだ覆せる。それよりも、最悪実くんと戦わないといけない事が重要。私はちゃんと実くんに手を出せるのだろうか……いや…まだ、まだ焦る時じゃない。実くんと一緒の可能性だってあるんだし、希望を持つべきだよね。うん。
Aチーム:緑谷 出久・麗日 お茶子
Bチーム:轟 焦凍・障子 目蔵・尾白 猿尾
Cチーム:八百万 百・峰田 実
Dチーム:飯田 天哉・爆豪 勝己
Eチーム:芦戸 三奈・青山 優雅
Fチーム:砂藤 力道・口田 甲司
Gチーム:耳郎 響香・上鳴 電気
Hチーム:蛙吹 梅雨・常闇 踏陰
Iチーム:葉隠 透・江渡船 命波
Jチーム:切島 鋭児郎・瀬呂 範太
「あ、葉隠ちゃんとか。よろしくね」
「よろしくね命波ちゃん!」
どうやら私は葉隠ちゃんと組むみたい。残念なことに実くんと一緒ではないけど、話した事がある葉隠ちゃんとなら、そこまで気まずさはない。
「続いて最初の対戦相手は、コイツらだ!!」
続いてオールマイトは、色違いの箱からボールを一個ずつ取り出した。
「Aチームが『ヒーロー』!Dチームが『ヴィラン』だ!」
──────────
────────
1試合目は……色々と凄かった。
爆豪くんの的確すぎる攻撃の殆どを、緑谷くんがなんと個性を一切使わずに防いでいた。その後個性を使って大怪我もしたけど、麗日ちゃんが核兵器のハリボテに触れて、一応は緑谷くん達の勝ちだった。
「…………」
グランに出会う前まで無個性だった私は、個性と無個性の間にある決定的な差を朧げながらも知っている。
私は1度だけ、無個性だからと虐められそうになった。その時は、友達が庇って助けてくれた。
でも……その友達も、今の私に怯えて離れてしまった。
「────波、命波!」
「わっ!? あ、どうしたの? 実くん」
私が物思いにふけっていると、実くんに足を軽く叩かれた。随分と長い間考え事をしていたみたい。
「次、お前の番だぞ! ヴィランチームだからビルに行った方がいいぜ!」
「そ、そうだね……実くん。私、勝ってくる!」
「命波ちゃーーん! こっちだよーー!!」
私は実くんに一言だけ言って、手を振ってる葉隠ちゃんの方へ走ってビルに向かう。
私達は
核兵器のハリボテを最上階に置いて、互いの個性を説明する。もっとも…本当は私、無個性なんだけどね。
「それじゃ命波ちゃん、改めてよろしくね! 私の個性は『透明化』! 見ての通りスケスケで、熱探知とかにも引っかからないんだ! すごいでしょ!」
「うん。すごくいい個性だと思うよ。……私の個性は『火山龍』で、体液を熱くしたり、この重翼から火山弾を飛ばしたりできるよ。……だいたいこんなものかな」
再生能力については伏せた。ここ数日で少し分かったけど、葉隠ちゃんに限らずクラスのみんなは優しいから、再生能力の高さを知った上で私の無茶を止めようとすると思う。
今のところ雄英で私の再生能力について知っているのは、実くんと教師の人達だけ。
いずれはバレてしまうと思うけど……その間に私への理解は深まってるのを祈りたい。
「……そろそろ時間だね」
「うん! よーし、私本気出す!」
私は体液を活性化させて熱を出し、葉隠ちゃんは手袋とブーツを脱いで完全に見えない状態になる。
訓練開始を告げるブザーが鳴った瞬間──────
と、言うことで鎧系が採用されました。
没案となったスーツ系とキグルミ系の大まかなイメージを供養しておきます。
スーツ系:ダイバースーツのようなピッチリスーツで、スーツ全体に体液を巡らせ、腕に取り付けられた装置で体液を高圧で噴射する。
キグルミ:殆ど縮小されたグラン・ミラオス。めちゃくちゃ重たい。