煉黒宿す少女 作:光炎の大龍玉
3月某日土曜日
少し眩しい朝日でオイラは目が覚めた。
休日特有の余裕のある心地よい目覚めと共に、オイラは柔らかなオッパイを無意識のうちに揉みしだいて……ん?
「……」
「あ…実くん、おはよぉ……」
オッパイ?んんん?……!?!?!?
オイラが窓際の方を向くと、命波が寝転がったまま目をこすってこっちを見ていた。パジャマもちょっとはだけていて……その、かなり色っぽい。
……って命波ィ!? なんでオイラの手にオッパイ押し付けてんだよぉぉぉ!!!
「ちょちょちょおい! なんで命波がオイラのベッドで寝てるんだよ!!」
「んぅ……その、眠れなくて…来ちゃった…♡」
ヤバい、寝ぼけ気味あまあまボイスがオイラの耳元で囁いてくる……! 無自覚攻撃やめろぉ!!何かに目覚めちまいそうだよぉ……!!
正しい意味で完全に目覚めたわ。こんなビックリドッキリエッッッな事があったら眠気なんて刹那のうちに吹っ飛ぶわ。この世はエロゲじゃねぇんだぞオイ!つーかエロゲでもこんなの滅多にないわ!!
いやツッコミなんて入れてる暇ねぇ! さっさとオッパイから手を離……離してくんねぇ! むしろ抱きついてきた!? しかも硬そうな鱗や甲殻があるのにめっっっちゃくちゃやわらけぇ!!??
「んむぅ……もう少し寝たい……実くん抱き枕堪能したい…♡」
オッパイ押し付けながら色っぽく言うなぁぁぁ!! オイラはまだ犯罪者にはなりたくないぞぉぉぉ!?
「んぅ……あぁん……実くん…好き……」
喘ぐな! 名前を呼びながら愛を囁いて喘ぐな命波ィィィィ!! それちょっと意図的なの混じってるだろぉぉぉ!? オイラは捕まりたくなぁぁぁぁい!!
くそう……命波のふにゃりとした笑顔が眩しいよぉ……めちゃくちゃ可愛いし、何ならドがつくほどオイラのストライクゾーンに刺さってるし……! 密着してるからダイレクトにいい匂いするし!! 目瞑ったらそれはそれで他の部分を意識しちまうし! 新手の拷問かよぉ!!??
五感のうち四つで命波を感じさせられるぅぅぅぅ! やぁぁばぁぁぁい!!!
何とか命波のハグ(過小表現)からの脱出に成功したオイラは、朝からブラックコーヒーを3杯飲む羽目になった……なんでだろう、いつもより苦い気がする。
完っ全に予想外だった。命波が眠る時に限ってあんな大胆になるなんて……!
あぁ、想像しただけで砂糖吐きそう。もう一杯飲むか…………うん、やっぱり苦い。
「み、実くん……」
「……命波、もう大丈夫だから入っていいぞ」
オイラの言葉を聞いて、命波はそっとドアを開ける。 顔が真っ赤なままだし、恥ずかしそうに服を抑えて……なんかボディライン見えてるぅぅぅ!? オッパイの上の方見えてるぅぅぅ!? オッパイ寄せられてるぅぅぅ!!!
なんでそんなパツパツのパジャマ着てるんだよ色っぽすぎるぞ! 締め付けがキツいのか上のボタンも空いてるから胸元見えてるし! 更に天使の小窓が出来てるだと……!? そんなスケベな格好とポーズを無自覚にしてるのはタチ悪いだろぉぉぉ!?
顔赤くするほど恥ずかしいならそのポーズを辞めてもっと大きなパジャマを着るとこから始めた方がいいぞ!? マジで!襲われても何も言えねぇからな!?
「……その、軽蔑するよね。部屋に忍び込んで勝手に寝るような…ス、スケベな女の子なんて……」
「そそそ、そんな事ないぞ! うん……そ、そのー、うん! 命波は可愛いから許されるんだ! うん! オイラも嫌ではないしな! うん!」
シュンとしてる命波にオイラは精一杯のフォローをする。断じて嘘は言っていない。
……何やってんだオイラはぁぁぁ!? どもりに支離滅裂な話し方とか嘘ついてる雰囲気だらけじゃねぇか! それにもっとかけるべき言葉があるだろお前ぇ!!
あ゙ あ゙ あ゙ あ゙ ぁ゙ ぁ゙ ! !
「……い、嫌じゃない?」
「おう! 嫌じゃないぞ?」
「ホ、ホントに?」
「ホントのホントだ!」
オイラが嫌では無いことを伝えると、命波は顔をトマトみたいに真っ赤にして急にモジモジし始めた。……なんか雲行き怪しいぞ?
「……えへへ、実くんは私の添い寝、嫌じゃないんだね……♡ ふふっ、じゃあ…これから毎日一緒に寝ようね……♡」
瞳がハートに見えてしまいそうな状態の命波がオイラをねっとりと見つめてウットリしてる……やばい薮蛇ったぁぁぁ! 何墓穴掘ってるんだオイラはぁぁ!!??
「うん……そうだな……これから一緒に寝ような……」
こうなったらもう命波は止まらないしオイラには止められない。あと断っても無理だ。いざ撤回しようものなら捨てられた子犬みたいな目で見てくるんだ。オイラにはそれを無視するなんて無理だ!
オイラの紳士修行はまだ続くみたいだ。それも、より過酷になって……
その日の夜、全てを知った母さんに赤飯を炊かれた。早いって……!
実くんと添い寝の約束をした次の日の夕方。
私がどのパジャマを着ていくか悩んでいると、郵便の人がやってきた。
宛先を見てみると、何と雄英からだった。
急いで私は実くんの家に走って向かい、二階にある実くんの部屋に入る。
「実くん実くん! 雄英から来たよ!」
「お、命波も雄英から郵便来たあっ!?」
私は嬉しさのあまり実くんに思いっきり抱きついた。……おっと、お胸に埋めさせたら実くんが苦しいよね。
ハグから実くんを解放させた私は、先程受け取った封筒を実くんに見せる。お顔真っ赤……かわいい。
実くんも机から封筒を取り出して封を開ける。
「プロジェクター?」
封の中にあったのはとても小さなプロジェクターで、底の方にスイッチがあった。
私の封も開けると同じようなものが入っていた。私は実くんと顔を見合せ……ううん、まだ確定した訳じゃないからね。はしゃぐのは早い。
私のプロジェクターを封に入れ直して、実くんの方のプロジェクターを起動させる。実くんを抱っこするのも忘れない。ちょっと実くんが暴れたけど、観念して受け入れてくれた。
『私が投影されたぁ!!!』
「「オールマイト!?」」
『HAーHAっHAっHA! 驚いているかな? そう! この私オールマイトも今年から雄英で教師をする事になったのさ! ちょっと収録時間も押してるから巻きでいこう!』
「マジかよ……あのオールマイトに教えて貰えるのか!?」
「……まだ、分からないから」
興奮冷めやらぬ実くんにそう言った私は抱きしめる力を強めてしまう。バクバク鳴ってる心臓の音を聞かれていそうで、余計ドキドキしてしまう。
『さぁ、峰田少年の出した結果を見ていこう! 筆記! こちらは文句なしの合格点だ! 君素質あるよ! 漢検とか受けたらどうかな!?』
「さすがは実くんだね」
筆記の結果はおおむね予想通り。実くんはすごく勉強できるから、私は何度も分からない所を教えてもらった。
問題は実技。もし実くんがこれで不合格だったら、私は雄英を火山弾で吹き飛ばして焼け野原にしなきゃいけない。
『さぁ、お楽しみの実技結果だぞ! 峰田少年の実技試験、獲得した敵ポイント数は……30Ptだ!よく頑張ったね! ギリギリとはいえ合格だ!』
私は嬉しさのあまり実くんを離してガッツポーズをする。これで私さえ合格すれば雄英を吹き飛ばさなくて良さそう。というか腕があと2本欲しい。実くんを抱きしめながらガッツポーズしたい。
『これだけならギリギリ合格だ!』
「ころす」
「命波! ステイ!ステーイ! 早まるな! まだ言い終わってないから!」
よしやっぱ消す。グズグズに溶かして雄英をマグマの海にしてやる……と思ったけど、実くんがダメって言うなら仕方ないよね。
『だがしかし! ヒーローってのはただ敵をぶっ飛ばせばいいってもんじゃない! 根底にあるのは人を助ける事なんだ! 実は教師が採点する隠しポイント! その名もレスキューポイントだ! 峰田少年の得たレスキューポイントは20! 0Ptの動きを個性で止めて被害を食い止めた! 実にいい判断だったぞ! そして先程の30Ptと合わせて合計50で余裕もって合格だ!』
『では来月、雄英で会おう! バイバーイ!』
映像が途切れると、プロジェクターは煙を少し吹いて壊れてしまった。
この後私の結果を見たら、首席だって言われた。実くんが興奮気味に褒めてくれたから嬉しい。やっぱり実くん、私が好きなんだよね……♡