純白の惑星   作:東側Production

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☆用語の説明

*ウストルム
銀河の辺境にある氷型惑星が多く集まる地域“ウストルム氷雪惑星宙域“に存在する最も大きな惑星の一つ。この宙域で唯一の知的生命体が生息する惑星で、銀河で唯一、氷型惑星に生息する知的生命体が住む惑星でもあった。主人公が住んでいる惑星。政治形態は皇帝と議会の権力が均衡な立憲君主制を採用している。

*ウストルム人
惑星ウストルムに住む知的生命体の名称。我慢強くも独立志向の強い彼らは、人間に比較的近い身体構造をしているものの、2m近くにもなる身長、平均的な人間よりも立派な身体、美しい純白の肌を持つ彼らは人間たちから“ウストルム(純白の者)“と呼ばれた。平和を愛する彼らは銀河に真の平和が訪れると信じて人間たちに協力し、戦い散っていった… しかし、その“平和“とは彼らが望むものとは違った。人間達に反抗した彼らは、淘汰された種族と同じく人間達の支配下に置かれた。

*人間
この銀河を支配する種族。様々な惑星に居住しており、この銀河で最も繁栄している種族。170cm程度の身長を持ち、ある程度の筋肉を持ち、高い知能と“協調性“を持っていた。しかし、それと同時に“偏見“という気質も持っており、自分達と異なる意見や特徴を持っている者を徹底的に淘汰しようとする思考を持っていた。数100年に渡って続いた種族間の戦争“銀河統一戦争“に勝利すると惑星“ワールシュゲット“に首都を置き“ワールシュゲット・テレイオーシス銀河帝国“の建国を宣言、その後徹底した民族浄化政策を進め、多くの種族を淘汰して銀河の権威を握った。

☆主人公

*ヒュルス・オブ
ウストルムの農村“パトロク村“に住む18歳の農家の青年(この惑星の種族は25歳で生物学的に成熟する)身長は178cmと平均より少し高く、村でも好かれていた好青年だった。彼には昔、思いを寄せていた幼馴染がいた。その名はオーグル、幼い頃から仲が良く両者とも心が成長するにつれてお互い好意を寄せていくのは必然だった。だがある日、彼らの関係は引き離されることとなる…

*オーグル・アンルル
ウストルム人の少女。出身はヒュルスと同じ農村で、彼とは恋心を通わせる幼馴染であった。ただ、帝国による統治を受けるようになると、銀河各地で行われた奴隷となる人々の回収政策によって誘拐され、行方不明となった。


_____




永遠の氷雪に包まれし辺境の惑星“ウストルム“ この銀河の最初の統一政府である“ワールシュゲット銀河帝国“による支配を受けている惑星の一つで、人間に近い種族でありながら迫害を受けていた彼らは、人間達の玩具として弄ばれていた。帝国による徹底的な恐怖支配によって、かつては栄華を誇った首都も今は殺伐とした雰囲気に包まれていた…
そんな、今は不毛の地とかしたこの惑星の農村に、後の解放の英雄となる1人の青年がいた…


第1話

「ねぇオーグル、その、えっと……ぼくのおよめさんになって」

「……」

「…嫌だった?」

「…ううん、いいよ!」

「やったぁ! これで“はなむこ“と“はなよめ“だね!」

「うん!」

 

幼い頃に交わしたあんな約束…あんな約束は、もう二度と果たせなかったかもしれない……

ごめん、オーグル… 俺のことは、忘れて欲しい……

 

_____

 

「今年は少し暖かいから、よく実ったな」

 

地面から突き出た茎を引き抜くと、根っこには大量の白い球状の実が引っ付いていた。この植物は“タタール“と言って、この惑星でしか育っていないイモのような作物。今、俺が住んでいる農村でも数多く栽培されていて、とても寒さに強い植物。この惑星の夏は氷点下を下回ることもあるが、そんな環境にも耐えうる強さを持っている。

今は丁度、一部の地域で雪解けが始まる季節。このパトロク村は赤道付近に位置していて恒星に対する角度が上がると気温が上がる。そして、この村の岩盤の下はマグマが流れていて、気温が上がると同時に様々な植物が花を開く。勿論、作物も生産できるからこうやって寒さに強い作物がこのように野外で栽培されているのだ。

 

「おーい、ヒュルス! 大変だ!」

 

後ろから声が聞こえる。立ち上がって後ろを振り向くと、そこには2歳年下の友人“ヒュメネイア“が居た。

ヒュメネイアは俺のすぐ近くまで辿り着くと、息を切らしながら膝に手をつき腰を曲げた。

 

「一体なんなんだ? また帝国の連中がやってきたとでも?」

 

俺は尋ねた、最近も帝国の連中がよくやってくる、それを疑って質問した。

しかし、その答えは予想外なものだった。

 

「違うんだ、違うんだよ! 良い知らせ!」

「良い知らせ?」

「あぁ! どうやらアンタの幼馴染のオーグルから手紙が届いたらしい!」

「は?」

 

一瞬信じられなかった。

彼女、“オーグル“は昔から付き合いの長い幼馴染の友人で、そして恋人でもあった。でも、ある日から行方知れずの状態だった…

しかし、たった今彼女からの連絡が来たというのだ…

 

「な、なんて書いてあるんだ?」

「役所に届いたんだ! 取り敢えずついて来い!」

「ちょ、おい待て!」

 

ヒュメネイアは俺の服の袖を掴み、引っ張るようにして走り始めた…

 

 

4分ほど走ってようやく村役所まで辿り着いた。村役所の玄関周辺には数人の大人がいて、周りを見回している。その中には、俺の両親や親戚も居た。

皆俺のことを見ると、そのうちの数人と両親が駆け寄ってきた。

 

「ヒュルス! やっと来た!」

「大変なんだ…大変なんだよ! オーグルから!」

「知ってる。早く手紙の内容を見せてくれ」

「それなら話は早い! こっちについてきてくれ!」

 

玄関を潜って中に入ると、そこにも数人の大人が立っていた。その奥には電子通信装置があって、何やら表示されていた。

この星では、殆どの通信手段が電子化されていて、特に重要な書類の送受信には信頼性の高い公共用電子通信装置を使用している。

 

「やっと来たな、これを見てくれ」

「分かった」

 

恐る恐る画面を見ると、そこには優しい口調の伝言文が記されていた。

 

『こんばんは、ヒュルス。いえ、“お久しぶり“と言った方が良いですか?

 恐らくですが、貴方は私のことを心配しているでしょう。でも大丈夫です。

 私は今、首都にある宮殿の給仕をしております。

 もし、私のことを覚えてくださっていたら、宮殿の衛兵に、私と交わした約束について、話してください。

 会えることを楽しみにしています…』

 

読みながら、目に熱い感覚を覚えた…

生きていたんだ… 無事だったんだ… それだけの一心で、ただただ熱い水を目から垂れ流すしかなかった…

懐かしく、そして嬉しい気持ちに包まれていると、役所の中にいた人のうち1人が口を開いた。

 

「…懐かしい思いに耽っているところ悪いが、すぐに首都に向かうぞ。オーグルの奴に会いたいんだろう?」

「……」

 

俺は沈黙しながら、頷いて返事を返した。すると、彼は手招きで合図して役所の近くにある地下鉄に案内した。そこで首都へ向かえるだけの交通費を受け取って、切符を購入して出発した…

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