現場にオナホ落ちてたからムシャクシャして書きました。
 マジで誰だよ。

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オナホが落ちていた

 落ち葉掃きをしていたら、草むらにオナホが落ちていた。

 

「えぇ……」

 

 思わず出た困惑の声。

 朝も早くから幻覚でも見たのかと思い目を擦り、もう一度確認する。

 

 どう見てもオナホである。

 何度見てもオナホでしかない。

 

 袋に入っているとか、箱に入っているとかではない。

 むき出しでデロンと草むらの中に転がっているピンク色で卑猥な形をした"それ"は、誰がどう見てもオナホであった。

 

 

 

 俺は、どこにでもいるマンションの管理人。時給1200円の週6日8時間勤務だ。

 30前半という若い身空でこんな職業に就いているのには、深い訳がない。

 

 「楽な仕事ないかな~」の精神でハローワークに行ったらこの仕事を紹介されたので、ほのぼのと働いている。

 この管理人と職業。ある程度ご年配の人が就くことを想定している仕事内容なので、めちゃくちゃ楽な仕事である。

 これだけ楽な仕事もそうはない。

 賃金もまあ、贅沢せずに生きていけるくらいにはもらえるので悪くはない。

 

 そんなマンションの管理人。

 もとい俺の仕事は、毎朝マンションのゴミ置場から車道沿いの歩道にゴミを出すことから始まる。

 その後、マンション外周をグルリと掃き掃除していた訳だが、ここで冒頭のオナホを見つけた。

 

 

 

 さて、このオナホ。

 無造作に捨てられているコレは、明らかにマンションの敷地内である草むらに落ちているわけでして。

 管理人である俺は、この不審物を回収する義務があるんだが。

 

 ………………触りたくない。

 

 だってこれ、使用前だったらまだいいよ?

 でも開封されて本体だけ落ちてるってことは、明らかに使用済みオナホだってことになる。

 

 ということはこのピンク色の中に、誰かが排泄した白濁の液体が残ってるって訳で────

 

 オエェッ!

 

 想像しただけで吐き気を催す。

 何が悲しくて自分以外の野郎がイタした自慰行為の残骸を処分しなくてはならないのか。

 これだったら飲食店キッチンのグリストラップ清掃してた方がいくらかマシだろう。

 いやまあ、アレもアレで臭いし気持ち悪いし吐き気を催す作業ではあるんだが。

 

 まあ見つけてしまった以上は仕方ない。

 早いとこ処分してしまわないと、後々マンションの住人からクレームが入るだろうし、やらざるを得ないだろう。

 

 ………………でも、さすがに手で触るのは嫌だな。

 ためしに、ほうきの先端でオナホをつついてみる。

 そーれ、ツンツン。

 

 ビクンッ♡ プシッ♡ プシャァァァ♡

 

 おわぁぁぁぁぁぁ!!

 

 きったねえ! なんか中から液が噴き出してきた!

 やっぱり使い捨てられてたんじゃねえか! ここに捨てた奴マジでふざけんなよ!

 

 おもわずその場から10mくらい走って逃げてしまったが、恐る恐るオナホの元に戻る。

 突いた衝撃からか、未だにプルンップルンッと震えるピンク色のオナホからは依然として透明な液体が少量だが噴き出ている。

 

 ………………うん? 透明?

 

 おかしいな。てっきり白く濁ったドロッとしたモノが出てくると思ってたんだけど。

 オナホから噴き出て周りの草を濡らしている液体は透明なモノで間違いなさそうだ。

 

 ……ローションか?

 

 いや、でもローションほどドロドロ粘りがあるわけではないな。

 なんだコレ? 水でも入れて潤滑液代わりにしてたのか?

 

 念のため、もう数回ほどつついてみる。

 

 ビクンッ♡ ビクビクッ♡ プシィィィィィィィッ♡

 

 ……うん。やっぱり透明だ。

 匂いは……少なくともイカ臭くはないな。

 でもなんか、独特な刺激臭がする。

 水を飲みすぎて透明になった小便みたいな刺激臭だ。

 

 ということは、中身は小便か?

 ……それはそれで嫌だなぁ。

 

 まあ、精液よりはいくらかマシだろう。

 なんでオナホに小便して捨てたのかはよく分からないが、別に犯人探しをするわけでもない。

 

 ということで、ほうきで引き寄せたオナホをチリトリで回収する。

 ずっと液体を噴き出し続けてるな。どんだけ入ってんだよ。

 

 そしてゴミ置き場の方へ行くと、ちょうどゴミ収集業者のトラックが停まっているのが見えた。

 

「おーい、ちょっとこれも頼むわ」

 

 すっかり顔なじみになった収集業者のおじさんに声をかけ、コンビニのレジ袋に入れ替えたオナホを渡す。

 透けて見えた中身の正体に気付いて嫌な顔をされたが、これ落ちてたのは俺のせいじゃないから勘弁してほしい。

 押し付けるような形でオナホを渡す。

 

 さて、落ち葉掃きの続きでもやるかな。

 そこから数分。黙々とほうきを振り回して落ち葉を集めていると、

 

「あ、あのぅ……」

 

 後ろから声をかけられた。

 何だろうかと振り向くと、全身ピンク色に染まった女の子がいた。

 

「お、おぉう?」

 

 やべ、動揺が声に出ちまった。

 いやちょっと待ってくれよ。

 明らか目に悪い蛍光色を身体に纏った女の子がいたら、そりゃ驚きもするだろ。

 

 咳払いで動揺を誤魔化しつつ、女の子に向き合う。

 

 歳は中学生くらいだろうか。

 なんか妙にフリフリして、胸元に大きいリボンとかあしらってあるドレスみたいな服を着ている。

 

 魔法少女のアニメとかのコスプレか?

 ピンクと白色が入り混じった色調のドレスは、見ていて目がチカチカする。

 

 そんでもって髪色もピンクだ。毛先から根元までピンク。

 染めてるのかと思ったけど、ここまで綺麗なピンク色に染まる事はそうないだろうから、たぶんウィッグだろうな。

 腰くらいまで伸びてるし。

 もしもこれが地毛なら中学校の頭髪検査で確実にアウトだろうしな。

 

 あと、目もピンク色なんだけどどうなってんの?

 カラーコンタクトってこんなピンクに染まるもんなの?

 三十路すぎた立派なオジサンである俺に、昨今のコスプレ事情はよく分からないけども。

 

 まあそんな感じで、ピンク色の魔法少女風のコスプレした中学生くらいの女の子が俺に声をかけてきたのだった。

 よくそんな恥ずかしい格好してるな、とか親御さんどこいるんだよ、とかは言わない。

 不安そうに身体を震わせながら声をかけてきたので、何か困ってるんだろうか。

 とにかく話を聞いてあげないと。

 

「どうした?」

 

 しゃがんで目線を合わせて声をかける。

 ……ちょっとビクッてしたな。

 そんなに怖かったか? さすがに凹むぞ。

 

「お、落とし物を探してまして……」

「落とし物? なにを落としたんだ?」

 

 聞き返すと、妙に落ち着きなくソワソワと身体を震わせる少女。

 目があっちこっちにウロウロ、口は酸素を求める魚のようにパクパク。

 明らかに挙動不審で、見ているこっちが心配になってくる。

 

「お、おい。大丈夫か?」

「ひゃいっ!? あっ。だ、大丈夫です……!」

 

 ワタワタと慌てた様子の少女はどこかから出した狸のヌイグルミと顔を合わせて、小声でゴニョゴニョ喋り始めた。

 

(や、やっぱりこんなこと聞けないよ……!)

(しっかりするポン! 早くしないと取り返しがつかなくなるポン!)

 

 ………………あぁ、うん。

 いやバッチリ聞こえてるんですけどね。

 一人二役でヌイグルミと会話してる。

 ちょっと、イタい子なのかな~?

 

 でも困ってることに違いはないだろうし、とりあえず何を落としたのか聞いてみないことには始まらない。

 

「あにょっ!」

「はいはい、何だい?」

 

 ようやく決心がついたのか、ボソボソと小声ながらも落とし物の詳細について教えてくれる気になったみたいだ。

 

「ピ、ピンク色をしてましてね……」

 

 はいはい、ピンク色ね。アクセサリーとか落としたのかな。

 

「プルプルして、柔らかくてですね……」

 

 柔らかい? ゼリーとかか?

 

「え、エッチ……いえっ、円柱状なんですけど、ちょっと変わった形をしていて……」

 

 円柱状で変わった形、そんでもってエッチなもの?

 ………………まさか、ね。

 いやいやそんな、女の子があんなのを落とす訳がない。

 

「男の人が使うというか、そんな感じのモノなんですけど………………」

 

 顔を真っ赤に染めて俯いてしまった女の子。

 ピンク色で柔らかくて、エッチな形をしていてで男が使うモノ?

 

 いやオナホやないかい。

 

 その特徴は完全にオナホなのよ。

 えっ? なに? この子オナホ落としたの?

 というかさっき拾ったアレ、この子のだったの?

 

 どうして?

 どうしてそんな事態になってしまったん?

 

 いや、深くは聞くまい。

 この女の子にも何かしらの事情があったんだろう。

 ………………オナホ持ち歩く事情ってなんだよ。

 いや、気にしない気にしない。

 

 そりゃあ恥ずかしくもなるわ。

 あんなの男が持ってても恥ずかしいもん。

 誰にも見つからないようにコソコソ隠し持つようなモノを落としちゃったとか、不憫すぎるだろ。

 

 まあ幸い、あのオナホがどこにあるか俺は知っている。

 ということで、ゴミ置き場まで戻ってゴミ収集のおじさんに声をかける。

 

「おーい、おっちゃん。さっきのオナホあったろ? アレ返してくれや」

「あぁん? なんだよ、せっかく後で使おうと思ってたのによぉ」

 

 オイコラ。

 

 オナホを返してもらった俺は女の子の元まで戻る。

 

「ほら、これでいいか?」

「ありがとうございます! ありがとうございます!」

 

 いや、そんなに感謝しなくても……。

 何度も頭を下げてお礼を言ってくる女の子に、周りの目が気になる。

 ………………よし、誰もいないな。よかった。

 もうこういう卑猥なモノを落とさないように気を付けてくれよ。

 

 オナホの入った袋を女の子に渡す。

 あっ、やべ。地面に落としちまった。

 

 トスッ

 

「ひぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!?♡♡♡」

 

 うぉぉぉぉ!? どうしたぁ!?

 

 急に女の子の身体がビクビク震えた。

 全身を強張らせたかと思うと、力が抜けたのか倒れそうになっているところを支える。

 これ、セクハラとか言われないよな?

 

「大丈夫か?」

「は、はやくソレを……」

 

 地面に落ちたオナホに必死で手を伸ばす。

 え、なに?

 俺がオナホを落としたから悲鳴を上げたの? どれだけショックだったんだよ。

 

 ごめんって。

 次から気を付けるから許してくれよ。

 

 オナホの入った袋を拾って女の子に渡す。

 もちろん今度は落とさなかった。

 

「ありがとうございましたこのご恩は忘れませんそれでは失礼します!」

 

 袋を受け取った女の子は、早口でまくし立てるとすごいスピードで走り去っていった。

 

 いったい何だったんだ……?

 

 束の間の非日常を経験した俺はしばらく首を傾げた後、まあそんなこともあるかと仕事に戻ることにした。

 というか、あんなピンク色の子うちのマンションにいたか?

 

 

 

---

 

 

 

「フーッハッハッハ! この程度か【魔法少女スミュルナ】!」

「いいえ、まだよ【エレボス】! 今日こそあなたを倒してみせる!」

 

 私、魔法少女スミュルナは強大な敵であるエレボスと対峙していた。

 

 異世界にある愛の国から来たと言うヌイグルミの【タヌ吉】と契約を交わしてから数ヶ月。

 私たちはいよいよ、世界を闇と混沌に染めようとしている悪の組織【カオス】の首領エレボスとの最終決戦に臨んでいた。

 

 ここまで私とエレボスの力比べは互角。

 いや、少しだけど私の方が有利な気もする。

 このまま押し切ればきっと私が勝てる……!

 

「スミュルナ、がんばるポン! エレボスは単純な力ではそこまで強くないはずポン!」

「うん! いくよタヌ吉!」

 

 これまでの強敵たちとの戦いで自信と実力をつけた私たちは、きっとこの戦いでも勝利できる! してみせる!

 そうやって魔法の出力を徐々に上げていった私は、この時点でエレボスの策略にハマっていることに気付くことが出来なかった。

 

「ハァッ……、ハァッ……、ハァッ……」

「そんなものかね、スミュルナ! 私はまだまだ余裕があるぞ?」

 

 ど、どうして!?

 かれこれ数十分は魔法を撃ち続けているのに、全部あっさり防がれて疲れも見せないだなんて。

 

「組織の首領ともあろう者が部下よりも弱いだのと、本当に思っていたのかね!」

 

 実に愚かだ。そう言って嘲笑うエレボスに私は絶望した。

 言われてみればそうだ。

 世界を手中に収めようと企む悪の組織のボスが弱いはずなんてなかったのに!

 

 自分の間違いに気付くけど、もう遅い。

 後先考えずに魔法を撃ち続けた私の魔力は、もう尽きかけている。

 

「諦めちゃ駄目ポン! きっと活路はあるはずポン!」

「………………! そうよ、こんなところじゃ終われない!」

 

 タヌ吉の言葉に奮い立つ。

 疲れで息が整わないけど、それでも世界を救うために諦めるわけにはいかない!

 でも、そんな私の勇気を嘲笑うかのように、エレボスは高台から悠然と私たちを見下ろしている。

 

「ふむ、余興はこんなところかね。それでは準備も整ったことだし、本番といこうか!」

 

 本番? ここまではお遊びだったとでも言うの?

 

「ふ、ふざけないで!」

「ふざけてなどいないさ。ほら、キミを取り囲む機械を見たまえ!」

 

 言われて周囲を見ると、いつのまにか私を取り囲むように柱状の機械が配置されているのに気付いた。いつのまに……?

 

「この機械、マジカル抽出錨は魔法少女の魔力を奪うことを目的に開発されたものだ」

 

 エレボスが指をパチンと鳴らす。

 その瞬間、私の身体からすべての魔力が抜き取られたような感覚が襲う。

 

 立っていられず地面にへたり込む私をニヤニヤ笑いながら、エレボスはさらに続ける。

 

「魔力さえ奪ってしまえば、キミはただの奇天烈な格好をした少女。そうだろう?」

「ふ、ざけないで……! 魔力なんてなくても、私はあなたを倒してみせる!」

 

 そうよ、魔力なんかなくたって私の中の使命に燃えるこの熱い炎は消えてなんかいない!

 そうやってすごむ私を見て、オー怖い怖いとおどけるエレボスの手には、ピンク色の謎の物体が握られていた。

 

「これが何だか分かるか? スミュルナ」

「……私の魔力、だとでも言うの?」

「あぁそうだ。だがそれだけではない」

 

 いやらしい笑みを浮かべたエレボスは、ピンク色の物体に開いた穴の中に指を入れた。

 その瞬間、私の下腹部に今まで感じたこともない快感が走った。

 

「~~~? な、何をしたの?」

「コレは男性器を挿入して自慰行為に使う、俗にオナホールと呼ばれている商品だ。

 オナニーという言葉くらい聞いたことはあるだろう?」

 

 もちろん、聞いたことはある。

 私だって中学生。そういった保険の授業は学校で習っている。

 でも自分でそういった行為をしたことはないし、イケないことだと思ってた。

 あくまで知識として、そういった行為がある事を知っていただけだ。

 

「このオナホールは、魔力を通じてキミと感覚共有している。だからこんな風に弄れば、ホレ」

 

 言いながら、オナホールの穴の中に指を入れ動かすエレボス。

 オナホールを通して伝わってくる、私の体内を犯す指の感触。

 私は初めて経験する快感に、身を悶えさせることしかできない。

 

「や、やめてぇ!」

「それが人に物を頼む態度かね? ……まあいい」

 

 やっと止まった感覚。だけどすっかり腰を抜かしてしまう。

 それでもキッとエレボスを睨みつけるけど、奴の嗜虐的な笑みは変わらない。

 

「コレを、この街のどこかに隠す」

「………………え?」

 

 エレボスの手からピンク色のモノが消える。

 この街のどこか? どこかって、どこ?

 

「早く探しに行かないと、誰かが拾って使ってしまうかもしれないなぁ?」

 

 使う。何を?

 オナホールを?

 だってそれは、男性のアソコを入れるってことで────

 

「なっ………………!?」

「やっと気付いたかね」

 

 そう。つまり私は一刻も早くアレを見つけないと、遠隔で男性に犯されてしまう。

 見ず知らずの男性に、初恋の人にあげようと思っていた私の初めてを奪われてしまう。

 

「そ、そんなのイヤ! 返してよ!」

「さてはて。街のどこに行ったやら、この私にも分かりかねるなぁ?」

 

 そんな……!

 じゃあ早く探しに行かないと、私の純潔が!

 でも、私にはエレボスを倒すって使命が……。

 

「しかたないポン、スミュルナ。ここはいったん撤退するポン!」

「あぁそうだ。その通りにしたまえ。私はこのままゆっくり帰らせてもらうのでね」

 

 悔しい。

 みすみす敵を見逃すなんて。

 でも、悔しいけど今の私じゃエレボスには勝てない。

 ここは退くしかないっていうの?

 

「つ、次は必ず貴方を倒してみせる!」

「また来ると良い。こんな惨めな様を晒したいのだったらな」

 

 高笑いするエレボスに背を向けて、私は街内を駆けだした。


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