呪術縁起   作:生乾きの服

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引き続きダイジェスト、の割にちょっと長め


25.甘さの果て

 

 

 「しつこいぞ直久!天元様にお会いしたいなどとまたしても世迷い言を!」

 

 「あーあーわかってますって学長。だからどうすれば会えるかってまずは相談をですね…」

 

 「あの御方は俗世には関わりになられないと何度言えばわかる!そもそも天元様はこちらの事を常に見ておられるのだから、もしお許しがあるのなら使者を通じて知らせてくださるはず、無いということはダメだということだ!足りない頭を使って少しは考えろ!」

 

 「いや神様じゃないんだし流石に常にってことは無いんじゃないですかね。一応人間を自称してるんなら少しは休んだりするだろうし」

 

 「い、いちおう、じしょう…!?夜蛾ァア!!」

 

 「はい…」

 

 

 直久は学長の側で控えていた担任の夜蛾によって部屋からつまみ出された。

 

 東京校に入学してから2年半。半年毎のダメ元交渉(通算6度目)はこうしてまともな会話にもならず失敗に終わった。

 

 

 

 

 

 学長室から退出後、恒例行事を済ませた直久と夜蛾は3年教室へ続く道をとぼとぼと歩いていた。

 

 

 「全く困りますね厄介ファンは。アンタが天元の何を知ってるんだっつーの」

 

 「お前の方こそ何を知ってるんだ馬鹿者。あと様を付けろと何度…」

 

 もはや夜蛾には大声で叱りつける気力もなかった。

 労力の無駄だということが分かり切っているからだ。

 

 

 直久が高専に入学してから最初にしたことが学長への直談判。学長は先のように烈火の如く激昂し、あわや入学後即退学となるところを収めたのが夜蛾だった。

 その後も繰り返し交渉に赴こうとする彼を宥めすかし、せめて半年毎にしてくれ、術師としての実力如何で向こうの考えも変わるかもしれない、と説得するなど相当な苦労を負っていた。お陰で学年が変わっても変わらず直久の担任となることが運命づけられている。

 

 ただ、夜蛾がそんな無茶なお願いでも無碍にしないのは、それが呪術師としての学びを得たいという学生の本分に基づく欲求だったからだ。

 そして彼は実際に呪術師として成果を出している。与えられた任務をコンスタントに熟し、交流会でも戦果を上げ、おまけに普段の成績も頗る優秀。3年生に学年が上がってからとうとう1級呪術師にまで昇格してしまった。その際禪院家からの嫌がらせもちょくちょくありつつ、逆にシン・陰流からの支持が大きく働いていたりもした。

 

 

 「なぁ。天元様に教えを請わずともお前はもう既に優秀な呪術師だ。そこまで拘る必要はないんじゃないか?」

 

 「ふぅ…。ただの等級に何の意味があるんすか。今の実力じゃ禪院をぶっ潰すなんて出来ませんよ」

 

 「…まさか本当に襲撃を仕掛けるつもりじゃないよな?」

 

 「やだな先生。冗談、言葉の綾ですよ。潰した方がいいと思ってるのは確かですけど」

 

 「お前の冗談は冗談じゃないから嫌なんだ」

 

 

 夜蛾のこめかみに一筋冷や汗が流れる。

 しかし流石に禪院本家に喧嘩を売るのはやり過ぎだ。そこまで分別がつかないような子供でもないだろう、と一先ず自分を納得させた。

 

 

 一方の直久は、内心ではあまり冗談を言ったつもりはなかった。

 

 理屈ではないのだ。虐げたられた側にしかわからない感情がある。過去の恨みはそう簡単には消えない。

 呪術師となったのはただ力を付けて禪院に思い知らせるためだ。奴らが信奉している才能(術式)至上主義を踏み潰してやれたらさぞかし気持ちがいいことだろう。

 

 いずれにせよ呪術師が考えることではない。もしかしたら天元はそういった考えを嫌って呼びかけにこちらの応えないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 だがその翌日、直久の予想とは裏腹に、天元の側近から通達があった。

 

 天元様が禪院直久にお会いになる、と。

 

 

 

 

 

 

 高専の地下、天元の居住まう薨星宮と呪具や呪物が保管される忌庫の間。

 薨星宮を目指す侵入者を惑わすための迷宮(結界)。そこが天元が指示した待ち合わせの場所だった。

 

 同行者はいない。これも天元の指示によるものだ。

 学長などは例の如く憤死しそうな勢いで怒りを顕にしたが、彼の怒声は夜蛾が引き受けることとなった。

 

 忌庫から地下へと続く昇降機に乗り、直久は一人思い巡らした。

 

 

 「…まさか本当に会えることになるとは」

 

 

 正直に言えばほとんど期待しておらず、宝くじを買うような感覚だった。高専に来たのは宝くじを買うためと言っていい。ただ自分に出来ることは全てしておきたいと思っていただけ。だからこんなに唐突に機会が回ってくるとは全く思っていなかった。

 

 少し嫌な予感もしている。

 天元が地上の様子を観察していることは確定。だがこれまでも同じように面会を希望していたにも関わらず、何故今なのか。少なくとも自分に対する何かしらの要求があることは確かだろう。

 

 

 昇降機が止まり、石畳の先に見えるトンネルを目指す。

 この先が迷宮。天元の意思一つで本殿への道を閉ざすことができる。

 

 

 暗い隧道を進むと、途中これ見よがしに扉が備えてあった。

 横開きで、まるで学校の教室に備えてあるような。

 直久は訝しむように片眉を吊り上げ、全く恐れること無く扉を開けた。

 

 

 

 そこは見知った高専の教室のような空間だった。教室のような、というのは、窓から覗く外が空も何もない真っ白な空間だったからだ。

 開けたのは教壇から離れた方の扉。部屋の中心には机と椅子が一つずつ。直久の学年は彼一人だからほとんど地上の教室と変わらない。ただ一つを除いて。

 

 教壇に立っている何者かの人影があった。

 

 

 「アンタが、天元サマ…」

 

 

 それは辛うじて人、といえるような体を為している老人。

 背は曲がり倒し、毛髪は全て抜け落ち、落ちくぼんだ眼窩にギョロ付いた目玉がはめ込まれている。

 骸骨、あるいは宇宙人のような様相と言ったほうが適切かもしれない。

 

 肉体が老化で崩壊しかかっているのか。

 

 

 「…立ってたら辛くないか?取り敢えず座ったら?」

 

 「それは君のための椅子だよ。心配せずとも、ここにある私は実体ではない」

 

 

 見た目通りの嗄れた声だ。

 しかし発声器官が残っているというよりはそれを再現しているのだろう。

 この学校の教室のような風景も机も椅子も黒板も、全部結界術による物体投影、謂わば幻だ。

 全てが現実離れしていて、どこか無意識に畏敬の念を持ってしまう。

 

 直久が次に何と切り出そうかと迷っていると、天元の方から語りかけてきた。

 

 

 「禪院の家出少年。君が私の結界術の知識を求めていることは知っている」

 

 「なんすかその呼び方…」

 

 「君のような発想をする人間は最近では珍しい、…というよりもそこまで結界術の才がある人間が少ないと言った方が正しいか。君の望み通り、結界術の講義をしてあげてもいい」

 

 

 呼び出したということはそういうことだろうが、改めて言われると不可解さが勝る。

 現には不干渉なのではなかったのか。

 

 

 「知っての通り、私は基本的に現には干渉しないことにしている。だが例外もある。今回は君に幾つか要求したい条件がある。これは交渉だ」

 

 「交渉…」

 

 「そう。先日、とある赤子がこの世に生まれ落ちた。その子を探して欲しい」

 

 「は??」

 

 

 全く話が読めない。

 人を探して欲しいということは、何処にいるのかわからないということ。しかし目の前の存在は国内の事象を全て網羅している、或いは網羅することができる筈なのだ。

 

 

 「その子の居場所は私にも見えない。辛うじて分かるのは、その子が誕生したということ。そして、その子の行き着く先が私と同じだということ」

 

 「…色々わからないことだらけなんだけど、まずアンタに見つけられないものが俺に見つけられるわけなくない?常識的に考えて」

 

 「思うに、その子は術式を用いて自分についての情報を改竄しているのだろう。結界術を用いれば常人でも不可能ではない。結界を通しては拾えないが、実体は何処かに存在しているから人の身であれば見つけられる筈だ」

 

 「えぇ…なんだそりゃ。つまりどんな奴かもわからない奴を何となく探し回れと…?」

 

 

 以前予想していたように常に全てが見えているというわけではないのか。

 そして家も名前も顔もわからない『何となくピンと来る子供を見つける』なんて最低最悪の無理難題を押し付けられようとしていることに、直久は流石にげんなりした気分を隠せなかった。

 対価はあるものと思っていたが自分にはこなせそうもない。そもそも何で自分なのだろうか。

 

 

 「心配せずとも、必ず見つけろというわけではない。いつかそれと分かるような子に出会ったら教えて欲しい。わかったことがあったら随時伝える。それと、君を選んだ理由は丁度いい塩梅に縛りが結べて都合がいい存在だったというだけだよ」

 

 「…なるほど、つまりそこまで重要視しているわけではないし表沙汰にはしたくないと。じゃ、気楽にやればいいな。考えてみりゃそんなとんでもねぇガキがいたらすぐわかるだろうし」

 

 「そうだね。そして他の条件というのは授業の期限についてだ。あと数年で私の肉体の檻は解き放たれ、不死の術式により新たな次元の存在へと作り変えられる。その前に星漿体との同化を果たさなければならない。準備も必要になるから、君に教えを授けられるのはひとまずそこまでだ」

 

 「了解っす。それじゃこれからヨロシクお願いしますよ、先生」

 

 「…先生、か。どこか懐かしい響きだ」

 

 

 直久が思っていたよりも天元は人間臭かった。 

 もしかしたら誰かに何かを教えていたことがあるのかもしれない。

 

 それにしても、俗世には関与しないはずの天元が気にかける謎の赤子。生まれた瞬間から術式を発動させて天元の結界から隠れることが出来るなんて全く想像の埒外だ。いずれ自分と同等の存在になり得るから、それを阻止したいのだろうか。仮に見つけたとしてどうするつもりなのか。

 

 考えてみてもわかるわけがない。興味もない。まあ気にせずともいずれ分かる時が来るのだろう、と頭の片隅に入れておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天元による結界術の授業は秘密裏に行われることとなった。

 上層部を刺激しないようにするため、そして今回の件が天元の意思による特例であったためだ。天元が何かに興味を示しているということ、それ自体が世の混乱の種になり得る。彼を現人神として崇める宗教団体などというものも存在するのだ。

 

 ただ天元は自分の知識を広めることを忌避しなかった。

 知識は知識。力は力。それ自体に罪はなく、飽くまでそれを担うものの責任があるだけだと、そう言った。

 

 そして直久にその教えを活用できるだけの才覚があったのも確かだった。

 類稀な空間と呪力に対する理解、記憶力、頭の回転の速さ。生得術式を持たないというハンデを補うかのような結界術の才能は、或いはもしかしたら本当に天与呪縛によるものだったのかもしれない。

 

 彼はその才を見事に引き出し、国内随一の結界術師として成長していった。

 呪術師として呪霊や呪詛師を狩る傍ら、天元の側近の一人として結界術の運用にも一枚噛むほどにその能力は高かった。

 そして以前彼自身が抱いていた構想通り、天元の手が行き届きにくい各地方の結界の補強のために行脚に行かされたりもした。

 

 瞬く間に時間が過ぎていき、いつの間にか学生と名乗ることが出来る期間は通り過ぎてしまっていた。

 

 

 

 「センパーイ!五条のアホなんてさっさとやっちゃってくだせぇ!ガーッと!ガーッと!」

 

 「なんで1年の授業なのにお前がいるんだよ、庵」

 

 「そりゃあこの馬鹿が殴られてるところを見物したいからでしょう!」

 

 

 高専の運動場で屯している数人の学生。直久は呪術の臨時講師として授業を担当していた。

 彼の専門分野は、当然結界術。

 

 

 「歌姫さぁ。そういうのって虎の威を借るなんちゃらっていうの知らない?みっともねーよぶっちゃけ。てか暇人?仕事は?あっ、ごっめーん!弱すぎて回ってこねーのかぁ!」

 

 「呼び捨てすんな敬語使えや!誰が暇人だ、この生意気一年坊がッ!」

 

 「馬鹿五条、歌姫センパイは今就活中なんだよ」

 

 「悟、虎の威を借る狐だ。まあこの先生が虎たりうるのかどうかはわからないが」

 

 「一々うっせぇ!知ってんだよこの頭でっかちが!せんせーやるなら早くしてもらえませんかー!マジ時間の無駄なんすけどー。外野共がマジウザいんすけどー!」

 

 

 「全員うるせぇよ。俺が学生の頃はもっと静かに思慮深く振る舞っていたもんだが」

 

 

 全く騒々し過ぎる。もう少し落ち着けないものか。数年前まで自分も問題児筆頭だったことを棚に上げ、直久は呆れてため息をついた。

 

 歳と苦労を重ねることで人は落ち着いてくるものなのだ。ここ数年は本当に休む暇もないほど働き詰めだった。学生は元気が有り余っていて少しだけ羨ましくもある。

 

 

 「…まあいい、ちょっと構えろ五条」

 

 「いいもん見せてやるっていうから何かと思えば、ただの組手?相手が先公でも容赦しねぇよ俺」

 

 「結界術の授業だっつってんだろ。掌だけ出せ。そして無下限の壁張れ」

 

 「…?いいけど」

 

 

 五条が片手の掌を前に出し、もう片手で手印を結ぶ。

 彼の身の回りに無限の壁が瞬時に発生した。外界からの接触を阻む絶対の不可侵。

 

 術式が発生したことを見て取り、直久は呪力と術式を練り上げた。

 そして五条の掌目掛けて拳を放った。

 

 

 ゴリゴリゴリゴリ…

 

 パンッ!

 

 

 「マジかよ」

 

 

 見えない無限の壁が削り取られ、拳が掌に届いた。

 自分の不可侵を貫いて来たことに五条が驚きの声を上げる。

 

 外野の面々も驚愕していた。一体どうやっているのか。

 

 

 「…簡易領域の発展形か?確かシン・陰って言ってたな、アンタ」

 

 「流石六眼。まあコイツはシン・陰の技術とはちょっと違うがな。お陰で門外にも教えられる。じゃあいい感じに解説するから、五条のこと殴れるようになりたい奴は俺の前にならべー」

 

 「はい!」「ハイ!」「ハイハイハイ!!」

 

 「キレるぞオイ、マジで」

 

 

 

 それは領域展延と呼ばれる技術に近いものだった。

 

 シン・陰流の簡易領域は門外不出の縛りの元に術式構築までの手順を幾つか省略している。その手順を故意に外部へと伝授することは縛りによって禁じられている。 

 ただそのベースとなる容量の空いた結界、多少煩雑さは増すが、それであればシン・陰の縛りの範疇外となる。

 一度その土台に立ち戻り、手順を更に加えることで基礎となる容量を増やし練り上げたものが領域展延。効果は空間に作用する術式効果の中和、および高密度の呪力を纏うことによる肉弾戦における基礎攻撃力、防御力の上昇。

 

 直久は天元からの教えを元に、戦闘用に昇華させた結界術を次々と開発していった。

 

 その中でも彼の戦闘スタイルにおける核となる技術が、結界内の空間情報を術者の脳に入力する感知結界術。謂わば呪術による五感の拡張だ。

 この技術は領域展延と同じく、生得術式が刻まれている脳の領域を使うことが必須となるもの。つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()、更に範囲を広げたり長時間使うことで情報の過負荷により脳が焼き切れる危険性があるため、縛りを抜きにしても制限が必要になるほど負担が大きい技術であった。

 

 

 彼は既に結界術師として円熟の域に達していた。

 

 

 

 

 

 

 薨星宮直上、空性結界の迷宮。

 

 

 「…今日で授業は終了だ。そろそろ同化の準備に入らなければならない」

 

 「もうそんな時期なのか」

 

 

 季節は冬。狭い和室を模した空間で、二人して炬燵で暖を取りながら積み重ねられたミカンを貪っていた。

 

 突然の授業の打ち切り宣言にも直久は動じなかった。

 めぼしい結界術の理論は粗方頭に詰め込んだ。あとは自分の実力に合わせて実践を積むのみ。

 存外天元の教え方は上手だった。

 

 

 「世話になったな、()()。アンタの探してるガキについては全く見当もついてないが、まあ一応忘れてはないからな。旅でもしながら適当に探す」

 

 「…そのことについてだが、別に忘れてもらっても構わない。平穏な人生を送っているのならば何も問題はないんだ」

 

 「んだよ、ハッキリしねぇな。マジでどっちでもいいなら何で俺の面倒なんか見たんだよ」

 

 「君がそれを望み、私にはそうするだけの理由があった。それだけだよ」

 

 「その理由を聞いてるんだが…って、ああ、成る程。俺とアンタ両方に理由があること自体が重要だったってことか」

 

 「……」

 

 

 天元は世界一の度し難い引き籠もりだ。引き籠もりというのは動くための気力がないからか、何か確固たる理由がなければ行動を起こせないらしい。

 どちらでもいいことなら極力やらない。幾つか相応の理由や動機が重なることでようやく重い腰を上げることができるのだ。

 

 

 「マジで枯れてんな…」

 

 「…君も永劫とも思える刻を過ごせばこうなるさ。その点、あの子はどうしてあそこまで気力に満ち溢れているのだろう」

 

 「誰のことだよ」

 

 

 天元はその問いには答えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌年、同化予定だった星漿体が暗殺され、また同時にその下手人たる術師殺し、禪院甚爾が五条悟に屠られる。

 

 これにより一つの因果が断ち切られ、もう一つの因果は収束に向かうこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 2007年の夏。

 

 直久はとある公共の霊園にいた。禪院甚爾の遺骨がここには眠っている。

 自分の預かり知らないところでいつの間にか死んでいた、自分の人生を大きく変えた男の墓。とはいえ、ここには彼以外の人間も大勢一緒くたにして合祀されている。

 

 

 禪院家は彼の遺体を引き取らず、無縁仏として処理された。大暴れして出ていった身分だから当然といえば当然だが、一番大きな理由は甚爾が術師ではなかったからだ。

 術師の肉体には利用価値がある。未だ多くが謎に包まれている呪力や術式の研究のために有用であることは勿論、呪詛師勢力にとっても各々の術式や呪術的儀式の用途のために需要がある。そのため術師の遺体は各々の家や高専が責任を持って処理、管理するというのが基本だ。

 

 彼は非術師として埋葬された。禪院家どころか呪術界からも追放されたというわけだ。

 生前何を思って術師殺しなどやっていたのかはもう誰にもわからない。ただ直久は、機会があれば一度話してみたいと思っていた。

 

 

 そういう事情もあり、血縁として一度くらい墓参りしてやっても罰は当たらないだろう、と安酒を持参して来たわけだが。

 

 

 「荒らされてやがる…」

 

 

 掘り起こされ、雑に埋め立てられた形跡がある。それも比較的最近のものだ。

 時期からしても禪院甚爾の遺骨目的と考えていい。恐らく、というかまず間違いなく呪詛師の仕業だ。何に使うのかまでは分からないが。

 

 義務ではないが、一応報告を上げておかなければならないだろう。いつの間にか社畜のような思考回路になっている自分にうんざりしつつ、直久は酒を墓石の上にぶちまけた。

 

 

 結果としてこの行為は故人にとってただの嫌がらせになってしまっていた。彼が生前酒を好まなかったことなど直久は知らなかったのだ。

 

 

 

 

 高専に立ち寄った直久は、報告ついでに”最強”となった特級術師を一目見ておこうかと思っていたが、生憎と彼は不在だった。

 すぐに去ろうかとも思ったが、天元の状態が少し気になった。星漿体との同化に失敗したのか、或いは代わりの星漿体と同化できたのか。こうして世間が何事もなく日常を送っているのだから後者なのだろう。

 

 確かめるために久しぶりに一度顔を見せておくのもいいかもしれない、と薨星宮に向かう道すがら。 

 

 

 

 「初めましていい男。君はどんな女が好みかな?」

 

 

 ブロンド長髪の女に出会い、そんなことを尋ねられた。

 

 

 「気立てがいい女。面が良ければ尚良し」

 

 「いいね、即答。それじゃ私は合格かな。いや困っちゃうなー美女過ぎて」

 

 

 美人なのは否定しないが気立てがいいかどうかは限りなく怪しい。どちらかといえば厚かましさが先に来るのだが、直久は面倒だから口に出さなかった。 

 

 

 「アンタ、九十九由基か」

 

 「おっ、よくわかったね。もしかして私のファンだったり?」

 

 「女の術師でアンタほどゴリ…いや鍛え上げてる奴は冥冥か噂の特級術師しか思いつかん」

 

 「ねぇ、今何か言いかけて止めたよね?こんなに美人なお姉さんに向かって酷いことを」

 

 

 九十九はにこやかに額に青筋を浮かべている。

 割りと本気の殺気とプレッシャーを感じ、直久は冷や汗をかいた。

 

 

 「ま、いいや。それより天元に何か用事かい?残念だけど薨星宮への道は閉ざされているよ。今は誰も近づけないらしい」

 

 「…まさか同化に失敗したのか」

 

 「さぁね。ただ天元は今のところ安定している、それは確かだ」

 

 「何でわかる?会ってないんだろ?」

 

 「ひ・み・つ。美女に秘密はつきものだよ」

 

 

 どうやら彼女は枕詞として美女とか美人を付けないと気が済まないらしい。中々鬱陶しい性格をしている。

 天元に会えないと分かればここに用はない。最近特級に指定されたという夏油傑に会ってみても良かったが、何となく気勢を削がれてしまった。

 

 

 

 しかし直久はここで夏油傑に会っておかなかったことを後々になって後悔することになる

 

 

 その翌月、夏油傑はとある村落の非術師112名を殺戮し、呪術規定に基づいて呪詛師と認定。処刑対象となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 星漿体、天内理子の暗殺以降、天元は何人も薨星宮に近づかせなかった。それはある事実による人間社会への影響を最小限に留めるためだった。

 しかしここに来て約4年振りに、彼は動いた。

 

 

 高専からの任務の依頼が直久の携帯に届いた。夜蛾学長からの直接依頼。

 とある遊園地で突然現れた呪霊が非術師たちを襲っているという。 

 

 

 『天元様からのご指名だ。直ちに現場に急行し、敵性存在の殲滅および生存者の救出を遂行しろ』

 

 「了解」

 

 

 教え子の身とはいえ天元からの指名であることは勿論、事件自体も不可解だった。

 呪霊が本領を発揮するのは夜と相場が決まっている。白昼堂々人混みの中に現れることなど殆どない。

 

 だがどんなに不可解であろうとも振られた仕事はただ熟すだけだ。

 

 

 

 

 

 彼がその現場に到着した時には、既に全てが終わっていた。

 

 

 むせ返るような鉄の臭い。

 散乱する肉片が夏の日差しで焼かれている。血の海が噴水を染め上げ、視界の全てを赫で埋める。

 老若男女関係なく屍が塵のように散らかっている、この世の地獄。だが残念なことにこの世界では割りとよくあることだ。

 

 その中心に一人の少年が立ち尽くしていた。

 

 こちらに背を向けている、真っ白な髪の少年。

 彼を見てすぐ、直久は天元との契約を思い出した。

 

 

 (…コイツだ)

 

 

 何故そう思ったのかはわからない。ただ彼はその空虚で小さな後ろ姿に運命染みた何かを感じていた。それにこれまで音沙汰のなかった天元が自分を指名したということは、つまりそういうことだろう。

 

 どうするべきかと思っていたら、すぐに糸が切れたかのようにその場に倒れる。

 直久は少年の元に駆け寄った。

 

 

 (体に異常はない。気を失っているだけだ)

 

 

 彼は辺りの惨状を改めて見回した。

 飛散している死体の山、そして複数の残穢。その中には少年が発しているものと一致する呪力がある。

 

 

 「まさか…。いや」

 

 

 引き裂かれ、食い荒らされ、無駄に汚されている。まるで内なる悪意を無理矢理ばらまこうとしているかのように。

 そんな被害者たちの遺骸の惨状は人の手によるものというよりやはり呪霊に特徴的なものだった。

 

 唯一生き残っていることから考えると、この少年が祓ったのか。今ある証拠だけでは断言できないが、そんな気がする。

 それにしても残穢が多すぎる。やはり自然発生によるものだとは考えにくい。裏で誰かが糸を引いているのか。

 

 種々雑多な残穢を眺めていると、ふと違和感を覚えた。

 呪霊達のモノと思われる残穢の中に、何か。

 ほんの僅かな呪力の残り香だったため、暫く考えている内に霧散してしまった。

 

 

 「…まあいい。それにしても事後処理が大変だな…って、そんなこと言う状況でもねぇか」

 

 

 目の前の屍山血河に対してそんな感想が出てくる辺り人間性が終わっていると自分で思う。

 憐れみや同情を覚えなくもないが、本当は見ず知らずの他人がどうなろうと知ったことではないと思っているのだ。

 

 

 

 天元のもとで学び、術師として力を高めるにつれて逆に思い知った。己の存在、禪院という家の小ささ。

 そしてかつて禪院家を蹂躙した天与の暴君は、最強の六眼によってあっけなく屠られた。少年時代の憧れは既にすり潰されて粉と化していた。

 

 禪院への拘りも、力への羨望も何もかも、何か大きな流れによって全て押しつぶされていく。

 執着するべきものが次第になくなっていき、自分も他人も、全部がどうでもよくなった。

 

 

 (もしかしたら奴も同じような気持ちを味わっていたのかもしれねぇな)

 

 

 結局自分は弱者側の存在なのだ。幾ら強くなろうとしたところで絶対強固な自分なんてものは得られない。上には上がいるのが世の常。だから力に基づく価値基準など無意味、強さを求める事自体に意味など無かった。

 いつの間にか自分がそんな諦めの境地に立っていることに気付く。それは一種の挫折だった。

 

 だが、そんな自分にも一つだけ残っているものがある。

 

 

 

 抱えている少年の小さなうめき声で我に返る。

 

 いつまでもくだらないことばかり考えている場合ではない。携帯で事後処理のための応援を呼ぶ。

 程なくして数人の補助監督が到着し手早く引き継ぎを済ませると、直久は気を失ったままの少年を背負ってその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 「久々に呼び出したかと思ったら、随分見た目が変わったな。イメチェンか?」

 

 

 少年を医務室に預け、直久は天元からの召集に応える為に本殿へ至る迷宮を訪れていた。

 以前のような教室ではない、天地が真っ白で地平線も存在しない、そんな何もない空間。そこに進化した天元の投影(ビジョン)が佇んでいた。

 

 以前の腰の曲がった宇宙人ではなく、背筋が伸び、親指のような頭部に四つ目が付いた宇宙人へと変わっている。

 

 

 「これが星漿体と同化しなかった私の末路だ。肉体から解き放たれた魂と自我は天地と一体と化してしまったが、今は結界術で自我の拡散による理性の消失を防いでいる」

 

 「分かり辛ぇよ。あーつまり、本来肉体によって形作られる領域のラインを自分の意思で制限してるってわけか?その状態だと能力的には前とあんまし変わんなそうだな」

 

 「そう。今まで通り、何でも知り得るけれど、何でも知っているわけじゃない」

 

 

 天元は既に肉体という軛から解き放たれている。恐らく彼が望めば何でもできる。対価として人を捨て去ることで。

 だが天元の意思は飽くまで人として現世に留まっている。

 

 全てを変える力を持ちながら何もしない。天元には自発的に何かをする理由がないのだ。彼以外の全ては時の流れの中に消えていく。何かをしたところで繋がりは絶たれてしまう。だから最初から外界に関わろうとしない。

 それでも他者の意思を尊重し、害することは望まないから、こうして人として留まろうとしている。結界術は彼に残された最後の(よすが)なのだ。

 

 これが不死の道を人生と定められた者の行き着く先、諦観の極地。不死なのに死人のような生き方。

 きっと彼と同じ時間を刻んだ者にしか本当の気持ちは理解出来ないのだろう。

 

 

 「…わかりたくもねぇがな。それで、あのガキもアンタと同じだと?」

 

 「彼は遊園地での事件直後、結界を逆探知して私に接触してきた。その時に確信できた。肉体に縛られていながらも彼の意思は肉体と別のところにあった。やはり彼は今の私と同質なんだよ」

 

 「ああ、なるほどね。アンタと同じね、はいはい」

 

 

 直久は理解することを諦め、天元の独り言だと思うことにした。

 そもそも言っていることが矛盾している。彼がこういう言い方をする時は他人に理解を求めていないのだ。

 

 

 「……平安時代、ある一人の強力な術師がいた。彼は力をひた隠しにし表に出すことはほとんどなかったが、それでも彼の働きによって呪霊や呪詛師の蔓延る魔都に一時の平穏が築かれた。定命の者でありながら結界術の腕は私をも凌いでいたと言えば程度が理解できるだろう。恐らく彼と同じ術式が現在あの少年の中に封じられている。見た目もかつての彼と瓜二つだった」

 

 「あーつまり、マジでやべぇ術式持ちだけど、なんか自分で使わないように縛りプレイしてたってことでいいか?」

 

 「まあそういうことだ。だが私とは違い、彼には選択肢があった。人として生き、死に、人の身には余ると言って自ら力を砕いた。そうして拡散した因果が君たち禪院の血筋だ」

 

 

 相変わらず抽象的な言葉だったが今度は一度で理解できた。何故あんな呪われた家が生まれてしまったのかとずっと考えていたから。

 

 

 「禪院家……まさか先祖返り、初代か!」

 

 

 然り、と天元が頷く。

 

 時代を降ることで血と力は受け継がれ、収束と発散を繰り返しながら流れていく。

 そこに指向性や人の意思の介在は本来あり得ない。ただし天元と星漿体、そして六眼に繋がりがあるように、世界には何かと何かの繋がり、一見して無軌道な法則が存在している。

 

 その一つ、血に潜む因果の流れに手を加えた者がいた。自らの力を畏れ忌み嫌い、二度と発現しないようにしながらも、その欠片が子々孫々の助けとなるように。それなのに何故今になって再び現れたのか。

 

 

 「一つ分かるのは、何らかの意思が少年の力の表出を抑え込んでいるということ。そうでなければ今日の惨劇はそもそも起きていない筈、あの場には彼の肉親もいた。そして恐らく彼の内には幾つか意思が存在し、私が結界術で自我を保っているのと同じく生得領域に境を作ることで成り立っている。在り方が私と近いからわかるんだ」 

 

 「多重人格に近いってことか。…それで、俺を呼んだのは何でだ。そんな危ない力を持ったあのガキを今のうちに始末しろと?」

 

 「以前も言ったけれど、力それ自体に罪はない。私が人の所業の善悪を問うこともない。私にそんな資格はないからね。…だが人の世が終わるかもしれないとなれば話は別だ」

 

 

 いきなりスケールの大きい話になったが、万年引きこもりの天元が重い腰を上げるというのならそれなりなのは当然だろう。

 直久は妙に納得していた。

 

 

 「彼の内にある彼以外の意思が問題なんだ。私に接触してきたという事実自体がある種の危険性を孕んでいる。彼が何らかの形で私を利用するつもりだとしたら、それは成る。私の身に課せられた責任としてその可能性は排除しておきたい」

 

 

 要約すると、もしもあの少年が天元を狙ってきたら世界が終わるから、それだけは阻止したいということだった。

 

 直久も天元が危惧していることの内容は大体理解したが、未だにイマイチピンときていなかった。

 今や高専は最強の守り手たる六眼、五条悟を抱えている。実力如何も天元自身が一番良く知っているだろう。

 彼が現代最強として目覚めて以降、天元の身に危害が及ぶことは万に一つも無くなったのに、一体何を恐れているというのか。

 

 まさかあの少年に五条悟を超越し得る可能性が秘められているとでも?そんなことがあり得るのか。禪院筋ということは六眼の持ち主でもないはず。

 

 

 「まあでも色々言ったところで、あのガキを始末すれば全部解決ってことだな。天元サマのお墨付きとあらば否という者はいねぇだろ」

 

 「…待て。今言ったことは飽くまで可能性の話に過ぎない。現段階で彼に何らかの処分を与える必要はない」

 

 「はぁ?」

 

 

 天元の制止を聞き、直久は少しだけ呆れたような顔になった。だったらどうするつもりなのか、ただ監視するだけで良しとするのか。

 過ぎた力を個人が持つべきではないというのが大衆の合意、特級に分類される人間は増やすべきではない。それが人類にとっての危険性や悪意を秘めている者であるというなら尚更、そのリスクがあると言ったのは天元自身ではないか。

 

 

 天元と縁を持つことになり、人となりを知り、ずっと思っていたことがある。

 彼は()()。色々な意味で。

 

 

 「何で今更庇う?今まで散々大の為と嘯いて小を殺してきたのが人間、呪術界って奴だ。アンタも自分の肉体の進化が人類にとって有害だと判断して星漿体を犠牲にしてきた。同化に失敗しても何とかなったっていうのはただの結果論であって、アンタの今までの判断は決して間違っちゃいない。犠牲にされた側からしたらたまったもんじゃないだろうがな」

 

 「……」

 

 「別に糾弾してるわけじゃない。ぶっちゃけて言うが、俺はあのガキや世界のことなんて、どっちも等しくどうでもいい。だが自分が選んだことを最後までやり遂げる覚悟はある。俺は呪術師だから、何が正しいかは俺が決める。アンタが確たる理由や覚悟もなくて何も決められないっていうなら…俺が代わりに決めてやってもいい」

 

 

 まさかあの少年の内に何か前向きな可能性を見出したというわけではあるまい。不確定で不明瞭なものに漠然と期待するような気力はこの枯れ木には残っていない。であれば、彼の内にあるのは、やはりただの甘さでしかないのだ。

 

 

 きっと天元は長く生き過ぎて何かを選ぶことに疲れたのだろう。失敗に終わった星漿体護衛任務の報告書を読んでそう思った。

 

 あの件は本来天元の意思一つでどうとでもなった筈だった。星漿体の意思など尊重しなければ良かった。そして究極的に言えば、端っから星漿体に自由を許したのが悪い。

 

 それはあの任務以前の問題だ。生まれた瞬間親元から引き離し、隔離された空間で軟禁生活でも送らせておけばよかった。いずれ天元と同化して自我が殺されるのだから、そちらの方がある意味人道的であるようにさえ思える。最初から幸せを知らなければ苦しむこともないのだから。

 

 結局、天元が人であることに拘り、情に絆されたから失敗した。

 

 

 

 …だが彼がそんな()()を是とするようなただの人でなしだったら、そもそも今の世界が成り立っていないことも事実。我欲に任せて神様気取りで世界を思い通りに支配する悪党にでもなっていたことだろう。

 

 今自分は、その甘さの結果望まぬ人外と化してしまった目の前の存在の無様な姿を、人として正しいものだと感じている。

 

 そしてこの価値観と感覚こそが自分に残った、自分を形作っている全て。これまでの人生で出会った幾人かの善人達によって培われてきたもの。

 そんな非合理極まりない愚かな甘さを許容する呪術師としての自分のことが、存外嫌いではないのだ。

 

 

 

 天元は無言で直久のことを見つめていた。全ての選択を委ねようとしているかのように。

 

 無責任なようにも見えるが、本来彼が責任を負う理由など何処にもありはしない。

 人生に疲れて枯れ果ててしまった老人は、やはり静かに隠居しているのがお似合いだろう。

 

 

 「…ふぅ。それじゃ、あのガキは俺が面倒を見る。アンタみたいな末路は辿らせねぇ。それで文句ないな」

 

 

 理由はわからないが、天元があの少年に自分自身やかつての知人を重ねて拘っているのは明らかだった。だから自ずと彼の望みもわかっていた。この枯れ木にも、意外とまだ人間性や執着というものが残っているのだ。

 

 

 「…君はそれでいいのか?」

 

 「どの口で言ってんだ、そうなることを望んで俺をここに呼んだ癖に。…アンタには世話になった。一応尊敬もしてる。否とは言わねぇよ」

 

 

 本当は五条悟にでも任せておけと思わなくもなかったが、現在何故か教師をやっているあの人格破綻者の人外は、”人”を育てるのには向いていない。

 

 別に自分が向いているとも思わない。だが自分には手本がある。素晴らしき師匠達のお陰で、無価値な碌でなしだった自分が曲がりなりにも呪術師になれた。だからただ彼らの真似をすればいい。

 

 不死である必要など無い。人はそうやって意志を受け継いでいく。

 あの少年のこともきっと立派な呪術師にしてやろう。彼がそれを望めばの話だが。

 

 

 

 

 

 「…ありがとう」 

 

 天元は小さく呟き、早足で去っていく弟子の後ろ姿を見守った。

 

 

 




なんか天元の内面がかなり普通の人間みたいになってしまった。でも23巻巻末のダウナー系美女のイメージが頭から離れないから仕方ないんだ。そして”彼女”と表記すると親指ヘッドのせいで違和感が凄いので”彼”と表記するのも仕方ないんだ。
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