拙い文章ですが、暇つぶしにどうぞ。
中学二年、十四才。
僕は神様だ。
他にももっと適切な呼び方があるかもしれないが、一番しっくりくるのがこれだ。
人々の願いを集めて、世界に反映させるのが僕の役割だ。
なんて大袈裟に言ったはみたが、実際のところ集める範囲と反映させる場所は僕の住んでいる周辺だけ。
それは決して人に言ってはいけない。
僕たちは人々の無意識の信仰で成り立っている。
自分は神様なのだと誰かに教えて、それをその人が信じなければ、僕たちは途端に力を失ってしまう。
どうして神様になったのかはわからない。
何が切っ掛けかもわからないけど、ある日なんとなく自覚してしまう。
代償はなく、自分の願いは人々の願いに含められないぐらい。
あぁ、でも。
きっと僕らは人間ではいられない何かを捨ててしまっている気がする。
初めて僕は、人を好きになった。
同じクラスの女子生徒だ。
異性として好きになった、と思う。
交際はしていないが、傍からみれば男女の仲を超えた友情のような関係だ。
告白をしたことがあるわけではない。
ただ意気投合して、仲良くなって、夜に通話をしながら勉強するような付き合いをしている。
ある日、授業中に彼女は教師に呼び出された。
彼女の父親が、仕事に向かう途中で事故にあったらしい。
教師に連れられて、彼女は病院に向かった。
僕は神様だ。
だから彼女の願いが何となく伝わってくる。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
僕は君の願いを叶えられない。
人々は平穏を望んでいる。
同時に変化も望んでいる。
人の数だけ願いがある。
だから相反する願いが同時に望まれることもある。
世界は一つだ。
だから全ての願いを叶えられない。
次の日、彼女は学校を休んだ。
次の日も、その次の日も。
父親の葬儀のために。
彼女は幸せだった。
幸せに生きてきた。
平穏を望んでた。
だから自分の父親の生存を願っていた。
彼女だけではない。
彼女の母親も、祖父母も。
同僚も、旧友も。
だけど、僕はその願いは叶えることはできない。
どれだけ多くの人がそれを望んでも、生死の願いの優先権は当人にある。
彼女の父親は事故死ではなかった。
僕は彼女が好きだ。
笑う顔も、世間への価値観も、悩みに唸るしぐさも、日々の鬱憤からでる愚痴も。
嫌いなところなんて無い。
それでも彼女を優先することはできない。
告白もできない。
自分の中に彼女に関心が持てない自分がいる。
僕は彼女が好きだ。
でも、僕は彼女と生きられない。
僕はこの土地を離れたいと思わない。
肩入れできない。
それを不都合だと思えない。
僕は神様だから。