昏く儚い復讐譚   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

「そろそろ頻度戻るのかな?」と期待して下さっている皆様には、大変申し訳なく思います。まだしばらく、頻度を上げられる見込みが少なく、今以上に頻度が下がる可能性もあります。
出来るだけ早い頻度回復を目指しておりますので、ご理解の程宜しくお願いいたします。

では、どうぞ。



3章 縁が導く夢物語
たった一筆を巡って


 

「エデン条約……ですか。」

 

 

先生が先日から言っていたエデン条約。何でも、ゲヘナとトリニティの停戦条約なのだとか。あの二学園の険悪さを知っている私からすれば、本当に可能なのかが疑問に残るところではある。

 

何せ、”二学園の生徒が道で出会えば、何かしら起こる”等という根も葉もない噂が独り立ちする程の仲。頭がこの状況に霹靂していると言われれば説得力がありそうだが、およそ条約の一つで解決する問題かと問われれば、首を縦に振るのは躊躇われる。

 

多分、「エイプリルフールでした!」とかいうネタバレでも無ければ信用出来ない。少なくとも、私は。

 

 

「…心配ですね。」

 

 

先生は、調印の場に行っている。勿論、生徒の護衛付きで。

 

不安でしかない。いくら強力な生徒がいたとしても、爆破テロにでも遭えば無事ではない。そんな可能性が有りうるのが、このキヴォトス。ましてや、トリニティとゲヘナ。言わば、水と油。

 

何も起こらないという方が、信用出来ない。

 

 

「……私も、向かいますか。」

 

 

先生は皆が何がなんでも守るだろう。が、何が起こるかは分からない。幸い、仕事も終えている事だ。

 

……嗚呼、面倒な予感がする。

 

 

─な、何でしょう!?突如調印の場が爆破しました!!

 

 

……チッ。

 

 

 

──────

 

 

 

「何が…起こった……?」

 

 

トリニティとの調印の場で。もうすぐで調印が行われると思っていた数瞬後には、私の周りは焼け落ちていた。……痛い。

 

 

「…!先生は!?」

 

 

先生の事を思い出し、辺りを見渡す。目の届く所にはいない。

 

奔る。何処だ。

 

 

「ヒナ!無事……じゃないよね。」

 

 

「先生!」

 

 

見つけた先生は、無傷だった。恐らく、あのアロナ?っていうシステムが守ったのだろう。よかった。

 

先生の周りには、他の生徒がいた。風紀委員会もいれば、トリニティの面々も。その表情は、「こんな事は知らない」とでも言いたげであった。

 

 

「……貴女達がやった事ですか?そうだとすれば、こちらも手を打たねばなりませんが。」

 

 

「…私はそんな計画を知らない。やったとしても、私の知らない所での筈。」

 

 

「……表情は、本当に見えますね。」

 

 

こんな所でやり合っても仕方ないだろう。恐らく、あちらもそう考えている筈。

 

そう思っていた時だった。

 

 

「…………いくらなんでも、か。」

 

 

『潜影!?』

 

 

火の中から、潜影が姿を現した。意味深な言葉を零しながら、こちらを見ている。

 

何故ここに?……まさか。

 

 

「貴方が、やったの?」

 

 

「流石に私ではない。」

 

 

即答だった。正直、容疑者としては第一候補レベルだと思ったのだが。

 

それに、トリニティのあの反応。私の事を犯人として疑っていた。自分らがやって私達に濡れ衣を着せるとかでない限りは、あちらも犯人じゃないのだろう。

 

そうなると、いよいよ分からない。私の予想以外で、これをするだけのメリットを持つ人物は誰だ?

 

 

「……これだけで、済めばいいな。」

 

 

「っ!待ちなさい!」

 

 

ナギサが、潜影を止めようとする。しかし、それに応える事は無く、再び炎の中に消えていった。……あの方向に行って大丈夫なのか、敵ながら心配になる。

 

─潜影の一言が、嫌に重くのしかかって離れない。

 

 

 

──────

 

 

 

「随分、派手にやったな。」

 

 

「結果的に死んではいないのだから、問題ないでしょう?」

 

 

「結果だけ見れば、な。」

 

 

あの爆破からそこまで経たないうちに、私の下へやってきた潜影。私はどうにか彼をのらりくらりでやり過ごす。どうやら、そこまで怒気を向けている訳では無いらしい。

 

今回のは、いわば実験でもあった。あの破壊力を試したかったという意味では勿論の事、コイツの琴線がどのラインなのか。

 

回数を重ねれば分からないが、一度や二度は問題ないとみていいだろう。あの黒服曰く、「仕方ない場合は認める事があるらしいですよ。」とか何とか。

 

全く……思っていたよりずっと面倒なものを抱えたものです。

 

 

「……この後は?」

 

 

「そうね。アリウスで叩くわ。丁度いい余興になるでしょう?」

 

 

ここからは、あの駒らの出番。アレらには、潜影の存在は伝えていない。「伝える必要は無い。」と潜影から言われたのもあるけれど、切り札は隠しておくものだ。

 

あの駒らが絆される可能性を、考えていない訳では無い。寧ろ、不安分子として私は見ている。だからこそ、コイツまで引き込まれる事態は避けないといけない。

 

 

「……私はどうすればいい。」

 

 

「どこかのタイミングで一回暴れてもらいましょう。タイミングは任せます。」

 

 

「…そうか。」

 

 

それだけ言うと、既にソコには誰もいなかった。

 

 

「フフフ……もうすぐ。もうすぐで……!」

 

 

誰もいないこの場所で、私は笑みを隠せずにいた。

 

 

 

──────

 

 

 

「…こんな時に命令を下すとは……マダムは何を考えている?」

 

 

元々の作戦は、体力の温存の後に大規模な襲撃だった。が、突然マダムから作戦の変更がなされた。「今はあちらも疲弊している事でしょう。出来る限り戦力を潰しなさい。」と。とどのつまり、奇襲。

 

入念なマダムがこうして作戦を変えるのは、滅多にない。せいぜい、消失が惜しい戦力を失う時くらいだろう。そんなマダムの言動に、僅かな違和感を抱く。

 

 

「…やる事は変わらないでしょ?なら、やるだけ。」

 

 

淡々と、ミサキがそう言う。……確かに、その通りだ。

 

命令通り、ただ倒すだけ。こちら側の疲弊はあってないようなもの。違和感さえ除けば、正論そのもの。

 

 

「行こう。」

 

 

姫の一言を機に、気持ちを切り替える。

 

私達は、やるだけ。選択肢など、最早ない。

 

 

─キャァァァ!!

 

 

「…?」

 

 

何だ、今の悲鳴は。建物に火が立っている訳でもない。

 

そう思っていると、段々と明瞭になるある音。

 

 

「……爆発音?」

 

 

銃声も聞こえる。もしかして、中で戦闘中なのか?あの悲鳴が聞こえた辺り、演習といった類いではないはず。だとすると……。

 

 

「…誰かが、攻め込んでる?」

 

 

……丁度いい。それに乗じさせてもらおう。

 

 

「行くぞ。この混乱に乗じて、敵を倒す。」

 

 

私の掛け声に合わせて、爆発音や銃声は音量を増していく。

 





原作とは違う流れになっている箇所がありますが、この作品オリジナルのストーリー進行だと思っていただければと思います。
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