どうも、Cross Alcannaです。
「そろそろ頻度戻るのかな?」と期待して下さっている皆様には、大変申し訳なく思います。まだしばらく、頻度を上げられる見込みが少なく、今以上に頻度が下がる可能性もあります。
出来るだけ早い頻度回復を目指しておりますので、ご理解の程宜しくお願いいたします。
では、どうぞ。
たった一筆を巡って
「エデン条約……ですか。」
先生が先日から言っていたエデン条約。何でも、ゲヘナとトリニティの停戦条約なのだとか。あの二学園の険悪さを知っている私からすれば、本当に可能なのかが疑問に残るところではある。
何せ、”二学園の生徒が道で出会えば、何かしら起こる”等という根も葉もない噂が独り立ちする程の仲。頭がこの状況に霹靂していると言われれば説得力がありそうだが、およそ条約の一つで解決する問題かと問われれば、首を縦に振るのは躊躇われる。
多分、「エイプリルフールでした!」とかいうネタバレでも無ければ信用出来ない。少なくとも、私は。
「…心配ですね。」
先生は、調印の場に行っている。勿論、生徒の護衛付きで。
不安でしかない。いくら強力な生徒がいたとしても、爆破テロにでも遭えば無事ではない。そんな可能性が有りうるのが、このキヴォトス。ましてや、トリニティとゲヘナ。言わば、水と油。
何も起こらないという方が、信用出来ない。
「……私も、向かいますか。」
先生は皆が何がなんでも守るだろう。が、何が起こるかは分からない。幸い、仕事も終えている事だ。
……嗚呼、面倒な予感がする。
─な、何でしょう!?突如調印の場が爆破しました!!
……チッ。
──────
「何が…起こった……?」
トリニティとの調印の場で。もうすぐで調印が行われると思っていた数瞬後には、私の周りは焼け落ちていた。……痛い。
「…!先生は!?」
先生の事を思い出し、辺りを見渡す。目の届く所にはいない。
奔る。何処だ。
「ヒナ!無事……じゃないよね。」
「先生!」
見つけた先生は、無傷だった。恐らく、あのアロナ?っていうシステムが守ったのだろう。よかった。
先生の周りには、他の生徒がいた。風紀委員会もいれば、トリニティの面々も。その表情は、「こんな事は知らない」とでも言いたげであった。
「……貴女達がやった事ですか?そうだとすれば、こちらも手を打たねばなりませんが。」
「…私はそんな計画を知らない。やったとしても、私の知らない所での筈。」
「……表情は、本当に見えますね。」
こんな所でやり合っても仕方ないだろう。恐らく、あちらもそう考えている筈。
そう思っていた時だった。
「…………いくらなんでも、か。」
『潜影!?』
火の中から、潜影が姿を現した。意味深な言葉を零しながら、こちらを見ている。
何故ここに?……まさか。
「貴方が、やったの?」
「流石に私ではない。」
即答だった。正直、容疑者としては第一候補レベルだと思ったのだが。
それに、トリニティのあの反応。私の事を犯人として疑っていた。自分らがやって私達に濡れ衣を着せるとかでない限りは、あちらも犯人じゃないのだろう。
そうなると、いよいよ分からない。私の予想以外で、これをするだけのメリットを持つ人物は誰だ?
「……これだけで、済めばいいな。」
「っ!待ちなさい!」
ナギサが、潜影を止めようとする。しかし、それに応える事は無く、再び炎の中に消えていった。……あの方向に行って大丈夫なのか、敵ながら心配になる。
─潜影の一言が、嫌に重くのしかかって離れない。
──────
「随分、派手にやったな。」
「結果的に死んではいないのだから、問題ないでしょう?」
「結果だけ見れば、な。」
あの爆破からそこまで経たないうちに、私の下へやってきた潜影。私はどうにか彼をのらりくらりでやり過ごす。どうやら、そこまで怒気を向けている訳では無いらしい。
今回のは、いわば実験でもあった。あの破壊力を試したかったという意味では勿論の事、コイツの琴線がどのラインなのか。
回数を重ねれば分からないが、一度や二度は問題ないとみていいだろう。あの黒服曰く、「仕方ない場合は認める事があるらしいですよ。」とか何とか。
全く……思っていたよりずっと面倒なものを抱えたものです。
「……この後は?」
「そうね。アリウスで叩くわ。丁度いい余興になるでしょう?」
ここからは、あの駒らの出番。アレらには、潜影の存在は伝えていない。「伝える必要は無い。」と潜影から言われたのもあるけれど、切り札は隠しておくものだ。
あの駒らが絆される可能性を、考えていない訳では無い。寧ろ、不安分子として私は見ている。だからこそ、コイツまで引き込まれる事態は避けないといけない。
「……私はどうすればいい。」
「どこかのタイミングで一回暴れてもらいましょう。タイミングは任せます。」
「…そうか。」
それだけ言うと、既にソコには誰もいなかった。
「フフフ……もうすぐ。もうすぐで……!」
誰もいないこの場所で、私は笑みを隠せずにいた。
──────
「…こんな時に命令を下すとは……マダムは何を考えている?」
元々の作戦は、体力の温存の後に大規模な襲撃だった。が、突然マダムから作戦の変更がなされた。「今はあちらも疲弊している事でしょう。出来る限り戦力を潰しなさい。」と。とどのつまり、奇襲。
入念なマダムがこうして作戦を変えるのは、滅多にない。せいぜい、消失が惜しい戦力を失う時くらいだろう。そんなマダムの言動に、僅かな違和感を抱く。
「…やる事は変わらないでしょ?なら、やるだけ。」
淡々と、ミサキがそう言う。……確かに、その通りだ。
命令通り、ただ倒すだけ。こちら側の疲弊はあってないようなもの。違和感さえ除けば、正論そのもの。
「行こう。」
姫の一言を機に、気持ちを切り替える。
私達は、やるだけ。選択肢など、最早ない。
─キャァァァ!!
「…?」
何だ、今の悲鳴は。建物に火が立っている訳でもない。
そう思っていると、段々と明瞭になるある音。
「……爆発音?」
銃声も聞こえる。もしかして、中で戦闘中なのか?あの悲鳴が聞こえた辺り、演習といった類いではないはず。だとすると……。
「…誰かが、攻め込んでる?」
……丁度いい。それに乗じさせてもらおう。
「行くぞ。この混乱に乗じて、敵を倒す。」
私の掛け声に合わせて、爆発音や銃声は音量を増していく。
原作とは違う流れになっている箇所がありますが、この作品オリジナルのストーリー進行だと思っていただければと思います。