昏く儚い復讐譚   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

それなりに構成が出来つつあるのと、執筆の余裕が出来つつあるので、投稿を(不定期ながら)再開します。

では、どうぞ。



4章 魔王に冒険譚は無い
楔を打てば


 

「っと……。これでいいのか?こんなチンケな目印で、ホントにどうにかなるのか……?」

 

 

どうやら、ミレニアムで騒動が起こり始めたらしい。先生とやらが潜影に意識がいかないうちに、こうした作業は済ませる必要があるとか何とか。

 

全く……このワシを顎で使おうとはな。第一、彼奴がやればいい物を。ワシが途中でくたばる事は懸念しとらんのか。後で愚痴でも垂れてやろうか。

 

潜影から、ある楔を特定の場所に打つよう指示された。現在ミレニアムで起きている騒動が収まる前に終える必要があるらしく、別作業がある潜影からワシに依頼された。契約主をこんなに早くこき使い始めるとは、露も思わなかったが。

 

楔自体は、特殊な電波等を用いない限り検知される事は無いとは聞いた。何でも、神秘を遮断しているのだとか。だから、神秘を持つキヴォトス生徒にも見つかる……いや、そもそも視認される心配すらないときた。

 

一介の子どもがこんなモノを作り上げるとは。彼奴について知る度に、感心と驚きを覚えるばかりだ。

 

 

「……にしても、のう。」

 

 

契約後、彼奴から様々な事を聞いた。

 

キヴォトスの生徒の情報を知っているだとか、色彩についてだとか、()()()()()()()()だとか。少しだけ聞いたが、ワシですら腰を抜かしかねないモノばかりだった。

 

 

─色彩は、来ない。が、策を講じなければ、キヴォトスは滅ぶ。

 

 

色彩は来ない。一番ワシを驚愕させた内容。

 

それは、ベアトリーチェの儀式の失敗を意味する。あの馬鹿は自身を高位の存在に昇格させ、"崇高"に至る為の儀式をした。その結果、色彩がこの世界を感知し、招来するとベアトリーチェは述べておった。

 

が、潜影はそう言わなかった。

 

何でも、「……色彩は既にこの世界を認知している。が、アレは此処をどうでもいいと思っている。意図して回避する事もないが、意図して来る事も無い。」との事。

 

この曖昧な言い方をしておいて、来ないと断言するのにも、ワシは疑問を抱くのだが。

 

 

「……これ、どうにかして解析出来んものか?」

 

 

持ち運ぶ最中、何度も解析を試みた。が、必ず何処かで躓く。全くの意味不明構造では無いのが、また腹立たしい。しかも不思議なのが、楔一つ一つで躓く箇所が異なる。見てくれは同じな楔だが、中身はまるで違う事が、解析から解った唯一のマトモな収穫だろうか。

 

「……解析するのは良いが、得られるものは…殆ど無いぞ。」とは言われていたが、本当に大したものも得られないとは。

 

 

「……足元を掬われないようにせんとな。」

 

 

いつ寝首を搔かれるか、分かったものではないだろう。

 

 

────────

 

 

 

「……急ぐ必要があるか。」

 

 

私の研究室。シャーレやミレニアム、果てにはゲマトリアすらここの存在を知らない。余程の偶然でも重ならない限り、ここを知られる恐れもあるまい。

 

ファルストに頼んだモノも、恐らく問題ないだろう。楔が打たれた時、打たれた位置がこちらのパソコンに届く様に仕込んだ。パソコンには、六個のメッセージ。これで、楔は心配無い。

 

後は、来たる時に作動させるだけ。そうすれば……。

 

が、他にもやるべき事はある。

 

 

「色彩が来ないとなれば……()()はどうなる?」

 

 

色彩は来ない。ファルストには先に(濁しながら)説明したが、これは確定事項。そうなると、問題が一つ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

アレは確か、無名の司祭とか何とかに交渉を持ち込まれ、別世界に来る算段のはず。しかし、色彩はこの世界に興味を無くした。勿論、司祭らが暴走してこちらに寄越す可能性もあるが、不確定分子を計算には入れたくない。

 

どうしたものか。アレが来る前に楔を起動させる訳にはいかない。……いや、寧ろ起動して混乱してるうちに来させるか?

 

考える事が、あまりに多過ぎる。頭が熱を帯びそうだ。いつもの軽い仕事の方が、幾分も楽だ。

 

 

「…………そうか、今の私なら。」

 

 

失念していた、今の私ならば出来るではないか。当たり前過ぎて、見落としていた。

 

そうと決まれば、準備せねば。アレを行うなら、確立思念体分離装置(ヒュ=プノ)の起動が必要だ。安全がほぼ確立されたここで無ければ、出来ないだろう。

 

…………よし、稼働させたのは久方振りであったが故に、動くか不安であったが、杞憂だった。

 

 

「……歯車は、動き出しそうだ。」

 

 

そんな確信を得て、私の意識は落ちていく。

 

 

 

────────

 

 

 

─……おい、司祭共。

 

 

─なんだ、貴様は。不敬である。

 

 

我らは、司祭。色彩様を崇拝する者である。そんな我らの前に、仮面を付けた不審な者が来た。不敬である。そもそも、ここにどのようにして来たのか。疑問である。

 

……待て、この気配は。

 

知っている。我らは、ソレを知っている。

 

 

─…いや、貴女は……!

 

 

─御託は良い。それよりも、だ。色彩から伝言だ。

 

 

何と!色彩様からの神託か!我らですら賜る事など殆ど無いというのに。

 

 

─伝えよ。神託を、伝えよ。

 

 

─「死んだ世界の生徒と先生を利用し、かの世界を救え。」との事だ。

 

 

何と!我らの考えを、色彩様も承認して下さったとは!

 

そうと決まれば、準備をせねば。

 

 

─神託の伝言、感謝する。

 

 

─……成功する事を、祈っておく。

 

 

そうとだけ述べ、かの者は去る。

 

かの者は、選ばれし者である。嚮導者などとは違う役割を賜った、選ばれし者。色彩様の声を聞ける者(代弁者)。我らが色彩様の命を知るには、かの者が必要である。

 

急がねば。急がねば。救済を、与えねば。

 

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