前回にお知らせした事につきまして、近日中に活動報告を投稿しようと思います。今後の活動にとって重要ですので、一読の程よろしくお願いします。
では、どうぞ。
「ベアトリーチェ、まさか貴様が本当にトリニティと共闘しているとは。」
「何です?黒服辺りから聞いていたでしょう?…煽っているだけならば、帰って下さる?」
「馬鹿言うな。私もこちらの援軍を任されているのだ。」
あの化け物と激戦を繰り広げている最中、もう一人のゲマトリアである、マエストロが来た。それも、援軍という形で。この空間を見たら、普段であれば何事かと騒ぎ立てる所なのですが。
……余計事を言い合う辺り、余裕があると解釈してもいいのでしょうか。だとすれば、もっと仕事をしてもらいたいのですが。
「それに……貴様達と対峙しているソレよりも、遥かに厄介な存在が宙にいるだろう。アレをどうにかするには、その化け物をどうにかする他あるまい。」
「あら?あの浮遊してるモノについて、何か知ってるので?」
「そんな訳あるか。何も分からん。」
あのゲマトリアですら、アレの全貌を掴みきれていない。それ程埒外な存在なのか、或いは特異なモノなのか。どちらにせよ、警戒を解くという選択は取れないでしょう。
「おい、そこの。アレの特徴は把握しているか?」
「…………強いて言うのであれば、多彩な攻撃手段に範囲、取り扱う
貴様でもお前でもなく、そこの。十中八九私の事だろうと分かって、皮肉と悪口の雨でも降らせてやろうかと思った自分を、どうか褒めてあげたい。
…それにしても。こうして口に出して思うのだが、辟易する程の敵ですね。攻撃手段の多さとリーチはさて置くとしても、
強化は、まだいい。恐らく火力を上げているのだろうけれど、同時に動きが単純になり、寧ろ相手取り易くなる。
問題は、弱体化の方。行動が遅くなるだけでなく、
まず、そちらをどうにかしたいものです。
「ならば、ヘイト管理は私に任せたまえ。ベアトリーチェ、裏技で貴様に力を付与してやる。雑魚はどうにかしたまえ。」
「随分、貴方の信条に合わない戦いをしますね?頭でも打ちました?」
「そんな事をほざく暇などないだろう。私も、限界なのだ。」
険しい雰囲気をまといながらそう言い放つマエストロを見る辺り、本当に限界なのでしょう。それだけの事態が、キヴォトスを襲っている事を理解すると、身震いする。
「貴様達は、兎に角アレを殺す事だけに注力したまえ。ほんの微力ではあるが、援護はしてやろう。」
「その上から目線、どうにかしてもらえません?」
「はっ!これは無理だとも!何ぶん、これが私であるからな!」
意気揚々と語る場面ではありませんでしょう。
このような者に預ける背中は、大層不安で仕方ありませんね。この不安を取り払う為に、いち早くアレを倒してしまいましょう。
────────
「皆!これから、対ヘイムダル戦の最後の作戦を説明する!」
皆の士気を上げるために、私は疲れきった心に喝を入れるように声を張り上げる。
「第一作戦は、ホシノ達の前衛陽動部隊とヒナ達の後衛陽動部隊で構成!この二部隊には、ヘイムダルの妨害と力の消耗をメインとして動いて欲しい!私の合図で、戦線離脱かアリスの銃の射線から避けるように!」
『はいっ!』
私の声と同じくらいに張り詰めた声が、辺りに響く。それを聞いた私は、また続けた。
「第二作戦は、第一作戦で消耗の少なかった生徒と現在時点で安全に戦闘可能な生徒とで、大規模殲滅部隊を緊急構成!私やサポーターから指示はあるけど、時には自身の勘を信じて動いてもらって構わない!」
…そして、最後の作戦内容を伝える。
「そして!これが何より重要な事項だ!」
─皆、無事で帰ってきて!
さぁ、ヘイムダル。今度こそ終わりにしよう。私達は、ここで止まれないんだ。
────────
「作戦開始!」
ヘイムダルと対峙した瞬間、私は声をこれでもかと張り上げた。私の言葉と同時に、ホシノ達とヒナ達が戦闘を開始。同時に、アリスは
黒服とゴルコンダはというと、第一作戦と第二作戦でそれぞれ援護をすると言っていた。第一作戦ではゴルコンダ、第二作戦では黒服がといった感じ。
決戦に相応しい、豪華な動員と言える。
「こっちだよ〜……!」
ホシノ達前衛部隊は、私が思っている以上の働きをしてくれている。攻撃や意識を自分達に向けさせるだけに留まらず、アリス達や私に流れ弾等が来ないように立ち回っている。さしずめ、盤面の支配という言葉が似合うだろう。
それに合わせるように、ヒナ達が意識の操作と行動の誘発、ホシノ達のアシストに徹している。その練度は並大抵ではなく、ほぼ完璧な連携と言って差し支えないくらい。様々な学園所属の生徒が入り交じっているというのに、その垣根やしがらみを感じさせない。
こうした光景を目にすると、”もしかしたら、皆で手を取り合えるのでは”と思ってしまう。しかし、こうした緊急時でもない限り、生徒達……いや、学園同士のしがらみを取り払うのは困難なのだろう。そう思うと、悔しい限りだ。
休息を挟めたおかげか、動きのキレもよくなっている。相手について知識が深くなったのか、最初の戦闘よりも数段良い動きだ。翻弄するという目的が、少し勿体なく感じてしまう。どうせならこのまま倒せてしまうのではないか、そんな希望を抱いてしまう。
しかし、私達が相手にしているのは、そんなか細い希望は通用しない程の相手。確実な勝機を手繰り寄せて、確実にミスを消していく事で、ようやく勝利を勝ち取れる相手。目の前の宝に目が眩んでは、命の保障は無い。
「っ!」
それでも。それでも尚、ヘイムダルの動きは大きな衰えを感じさせない。先程より動きが秀逸なものに、などという絶望的展開こそないものの、あれでは、アリスの一撃を当てられるであろう確実な保障が取れない。
ならば、それならば。今ではないか。今こそ、私が切り札を構える時ではないか。
「……やるしかない…ッ!」
私は、
「私にだって、出来る事はあるッ!」
私の手の中のソレは、煌々と輝き出す。やがてヘイムダルに意識を向けると、動きはなかった。
『先生!ヘイムダル、活動を一時的に停止です!』
アロナからの一言に、思わず身体の力が抜けそうになる。しかし、それは今ではない。何せ……。
「先生!アリス、いつでも撃てます!!」
待っていた、その言葉を。
「……よし、アリス!やっちゃえ!!」
「はい!アリスの……会心の一撃です!!」
耳を塞がずにいられない程の、大轟音。それが、アリスの
そして、もう一つの大轟音。それは、確かにアリスの一撃が直撃した事を表していた。
────────
「先生、少し休むべきかと。」
第二作戦の最中、私の傍でそう提案してきたのは、ゴルコンダだった。
「…そう言われても、私が生徒を見ていないと……。」
「いえ。いいえ。貴方は休まなければなりません。何せ、切り札を消費したのですから。」
私の言葉を遮らんとばかりの勢いで、否定の意を示すゴルコンダ。黒服がコレについて理解しているのならば、恐らくゴルコンダもソレについて理解しているのだろう。だからこその否定だった。
「ソレを使わなければ、ここまでの強要は致しません。ですが、それはあまりにも代償が大きい。それについては、貴方が一番の理解者でしょう?」
ぐうの音も出ない正論、とはこの事を指すのだろう。返せる言葉が、数瞬経っても出てこない。
ゴルコンダの言う通り、私の今の状態はお世辞にも良好とは言い難い。肩で息をして、視界も若干朦朧としている。叶うのであれば、今すぐにでも横になって意識を手放してしまいたい。
……考えれば考える程に、周りに隠せれていないのではないかと思う。隠せていたのなら、それはそれで問題な気もしなくも無い。
「貴方の罪悪感や後ろめたさも、理解出来ます。が、貴方が休息を摂る事を、果たして生徒達は責め立てるでしょうか?」
私はおよそ、そのような事になるとは思えませんが。そう最後に付け足して、ゴルコンダは言葉を終える。
この場に生徒が入れば、恐らく休めと言うだろう。黒服も、恐らく。ただ、”お前が休んでしまって良いのか?”という
「……貴方が倒れたら、後の決戦はどうするのです。貴方に代わって我々が指揮を執るなんて、そちらの方が気が休まらないでしょう。」
……何故だろう、それを言われると休んだ方がいいのではと思い始めてしまう。後にあの要塞をどうにかしないといけないのに、その時の指揮をゲマトリアに任せるなんて、不安で仕方ない。
うん、休もう。
「…………休むよ。ゲマトリアに後の決戦を任せるのは不安だから。」
それでいいのです。と、そんな言葉を聞いたという意識の後は、しばらく記憶が無かった。