期待に添えるものと言えるかはわかりませんがそれでもよければどうぞ。
自分がなぜこんな気持ちになっているのかが分からない。
あの少年に対して申し訳ないという気持ちは当然ある。
ミノタウロスを逃がしたのは私達【ロキ・ファミリア】。巻き込んでしまったことを謝罪したいという気持ちもある。
だが言ってしまえばそれだけ。
申し訳ないという気持ちになっても、私自身が悲しい、辛いなどという気持ちになるような要因とはならないはずだ。
目の前でベートさんがあの日に起きた出来事の話を続ける。話が続くたびに、みんなの笑い声が響くたびに胸の中がズキズキと痛み、それがどんどん大きくなる。
「それでよ! ここからが本題なんだよ! そのガキ、「逃げるな」って威勢よく言った後に何したと思う!?」
口々に色んな予想が私たちの間を飛び交う。
でもどの予想も近いものはあっても正解に至るほどのものではなかった。
思い出す。あの時、私の腕の中で傷が広がるほどに叫んだ少年は─────
「くくく……勢い良くそのまま逃げ出しやがったんだ! わけわからねえ叫び声上げてよ! ほんっとうに無様だったぜ!」
─────そうだ、逃げ出したんだ。
傷口が開くのも気にせずに脇目も振らず私から。
「もしかしてアイズにビビっちまったんじゃねえか!?」
その言葉にヒュッ、と喉が鳴る。
それと同時に今までで一番強い痛みが襲ってくる。
「っ! そんな、こと……」
ない、と言い切れなかった。
そんなことない、と言いたかったのに言葉が出なかった。
言い返せなかったことで調子に乗らせてしまったのか嘲笑は止まらない。
「うちのお姫様助けようとした奴に逃げられてやんのっ! まあ仕方ねえよ! お前とミノタウロスじゃあ格が違うんだからよおっ!」
……ぽっかりと心に大きな穴が開いたような気分だ。
どうしてそんなに笑うのかがわからない。私たちのミスで巻き込んでしまったのに……私たちのせいで死者が出ていたかもしれないのに……私のせいであの懐かしい気配がした少年が─────
(ああ……そっか…………そういうことだったんだ……)
ようやくなぜこんなに悲しいのか、辛いのか、心が乱されているのかがわかった。
それはミノタウロスに襲われていた少年が─────
(あの子が……ベルに似てたからだ…………)
必死にミノタウロスを止めようとしている姿が、自分に食らいついてきたベルに重なったんだ。
大切な人と重なり、ベルも一緒に嗤われてるような感じがするから、だからこんなに辛いんだ。
理由が分かってしまったからか胸の痛みがさらに増す。気づかなければ良かったと心底思う。
気づいてしまった途端、あの思い出が汚されていくような、そんな感覚に襲われたからだ。
あの傷だらけの少年の姿に思い出の中のベルがどんどん重なっていく。
そして思い出に現れたのは……約束を交わした星夜の下でピクリとも動かない傷だらけのベル。
それを認識した瞬間、喉の奥から何かがこみ上げてくる。
それが溢れないように口を手でバレないように抑える。
(これはただの悪い想像……あの日、ベルはちゃんと生きてた……! 私に約束してくれた!)
必死に自分に言い聞かせても思い出のベルの姿が思い出すたびにあの姿に変わっていく。
酒場のお客さんの、ベートさんの、【ロキ・ファミリア】の笑い声が聞こえてくるたびにベルの姿がどんどん上書きされていく。
…………やめて
「アッハハハハハッ! そりゃ傑作やぁ! 冒険者怖がらせてまうアイズたんマジ萌えー!!」
必死になってそれを防ごうとしても嘲笑うかのように思い出が上書きされる。そしてついに初めての出会いが汚された。
思い出に現れるのは……私を怯えたような目で、怪物を見るような目で見る……ベルの姿。
………………やめて
「ふ、ふふ……ご……ごめんなさい、アイズっ、流石に我慢できない……!」
「…………や、めて……」
……もう…………私の思い出を…………壊さないで……
「ほらほら! そんな怖い顔しないの! 可愛い顔が台無しだぞ? 大丈夫だよ! アイズが怖いだなんて私たちは誰も思ってないからさ!」
ティオナが明るく話しかけてくるけど顔を見ることができない。
今の私がどんな顔をしているのかはわからなかった。けどきっととても酷い顔をしていると思う。
まだベートさんが話を続けているがぼんやりとしか聞こえなくなっていた。
視界の端でリヴェリアが止めに入るけど止まる気配はない。
もうみんなのことがよくわからない。
酔っているからこの話で笑っているのかもしれないけどそんなの納得できない。
人が死にかけたのに、私たちのせいで多くの人が殺されてたかもしれないのに、その被害を自分が犠牲になる覚悟で止めてくれた人がいるのに……どうして笑うの?
誰も死んでいないから笑っているのかもしれない。
誰かが死んでいれば笑うことはなかったのかもしれない。
だけど被害は出ているんだ。みんなに悪意があろうともなかろうとも被害が出ているのだ。
それを馬鹿にしたり笑う権利なんて、私達には絶対にない。
あふれる疑問と嫌悪感。先ほどまであれだけこの時間が続いてほしいと思っていたのに、今はすぐにでも終わってほしいという気持ちになってしまっている。
自分一人を残して、世界が遠くなる感覚に襲われる。
まるでこの世界には味方がいない……そんな気分だ。
そんな一人の世界で、何故かこの言葉だけは妙に鮮明に耳の中に入り込んできた。
「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ!」
一人の世界から引き戻される。瞬間、汚された思い出についに罅が入る。
その罅からあの出会い以前の私が顔を出す。
強さへの貪欲さが薄まった私を貶すように、救われるのを待ってしまった私を戒めるように、
過去の弱い自分に戻りかけている私を嘲笑うかのように。
(……そうだ…………私は強くならなくちゃいけない。取り戻さなきゃいけないもののためにも、ヤツラを滅ぼすためにも私は止まれない……止まっちゃいけないんだ)
だから…………こんな思い出は……思い、で……は……
思い出の罅が広がる。心の奥で思い出が砕け散るその瞬間、一筋の涙が私の頬を伝う─────
「大丈夫ですか?」
─────誰かが私に話しかけてくる。
その人が纏う雰囲気はとても懐かしいものだった。
その人の優しい声は少し成長しているが聞いたことがある声だった。
その人が私に向ける優しい眼差しもどこかで見たことがあった。
その人はまるで絵物語の
優しい微笑みを浮かべて、まるで安心させるかのように私の手を取ってくれている。
その姿をはっきりと認識したとき、思い出の罅が塞がり始める。その手の温もりが上書きされてしまった少年の姿を在るべき姿に戻してくれる。
胸の奥からとめどなく溢れてくる衝動のままに、私は目の前の人に抱き着いていた。
「わわ……!」
跪いていたからかその人が倒れそうになったけど私のことをしっかりと優しく受け止めてくれた。ただそれだけのことがどうしようもなく嬉しかった。
「…………ベル……? …………ベルだよね……?」
「はい……そうですよ。本当に久しぶりですね、アイズさん」
─────やっぱり、忘れるなんてことはできない。忘れたくない。
だって……ベルに会えただけでこんなにも胸が高鳴るのだから。
この思い出は、誰にも……私にだって壊させない。
想いを新たにもう一度ぎゅっと抱きしめようとすると、そっとベルが私から離れる。
抗議の意を込めて目を視ると変わらず、優しい眼差しを私に向けてくれていた。しかし、その視線が私から逸れる瞬間に目の色が変わるのを私は見逃さない。
ベルが怒りの眼差しを向けたのは……【ロキ・ファミリア】だった。
「大丈夫ですか?」
そんな言葉しかかけられなかったけど今はそれでいい。安心させるように手を取り、微笑む。
アイズさんが僕を見て目を見開く。大方、どうしてここに僕がいるのか驚いているのだろう。
「わわ……!」
今度は僕が驚く番だった。
アイズさんは一瞬固まったのちに椅子を蹴飛ばして僕に勢いよく抱き着いてきた。
跪いた態勢だったからあまり踏ん張りがきかなかったけれどかっこ悪いところを見せたくない一心で全力で踏ん張る。
…………見間違いじゃなかった。やっぱりアイズさんは泣いていた。
落ち着かせるように背中を優しくポンポンと叩く。
「…………ベル……? …………ベルだよね……?」
「はい……そうですよ。本当に久しぶりですね、アイズさん」
まだ涙声のアイズさんが本当に僕なのか確認してくる。
それを肯定するとさらに強く抱きしめてきた。ちょっと苦しい。
…………本当はもっと抱きしめていたい。せめてその涙が落ち着くまでは。
だけどそれはできそうにない。アイズさんと抱き合う僕を【ロキ・ファミリア】の人たちがじっと見つめる……いや、睨んでくる。
一部の人は興味深そうに、驚いたように見ているけど大半の人が僕を睨む。
それに臆したというわけではないけどそっとアイズさんから離れる。
離れるときに抗議するような視線を向けていたのがとても可愛らしかったけど、再び抱きしめるのは何とか我慢する。
立ち上がり、【ロキ・ファミリア】を見つめる。
多分怒りは隠しきれてない。というか隠すつもりもない。
それでも冷静に行かなければ。どこかを間違えれば僕なんか簡単に叩き潰される。実力でも弁論でも。
「こんばんは、【ロキ・ファミリア】のみなさん」
「ああ、こんばんは。早速で悪いが君は一体誰だい? 随分とアイズと仲が良さそうだったけど」
纏う雰囲気が他の人とは一線を画している。恐らく団長かそれに近い人。
この人はダメだ。勝ち目が一切ない。
それを悟られないように努めるが分かっていると言わんばかりの笑みを向けてくる。
「僕はベル。ベル・クラネルって言います。アイズさんとは数年前に出会ってよく一緒に遊ばせてもらったんです。それと─────」
「すまない、フィン。先に私に話させてくれ」
言葉を遮ってお母さんが僕に近づいてくる。
……お母さんは変わらないなあ……。
一気に色んなことが起きて動揺しているのか表情を色々変えて僕の肩を掴んでくる。
「ベル、いつこっちに来ていたんだ!? どうして私にいの一番に教えてくれなかったんだ!」
「ちょっと色々ありすぎて……ちゃんと話すので後にしてもらってもいいですか? その色々におか……リヴェリアさんの【ファミリア】が関わってくるので」
思わず『お母さん』と呼びそうになってしまってけど咄嗟に言い換える。
周囲には結構な数のエルフの人が見える。
ここでそんな呼び方をしてしまえば話どころではなくなってしまう。
「…………ああ、わかった。フィン、話の腰を折ってすまないな」
お母さんは一瞬悲しそうな表情をしたけど、察してくれたのかすぐに微笑んでくれる。
「リヴェリア、もしかしてこの少年が?」
「その通りだ。数年前、
フィンと呼ばれた
あの村の出来事を聞かれそうな雰囲気だったけど、ベートと呼ばれていた獣人の人が拳をテーブルに叩きつけたことで空気が変わる。
「んな話はどうでもいいんだよ……おいテメエ、何のつもりだ? こちとら気分よく酒飲んで楽しんでた所なのによ!」
明らかに頭に血が上った様子でこちらを強く睨みつけてくる。
酒と怒りでまともな判断なんてできないだろう。
…………この人なら扱いやすいかも。個人的な感情もあるけど。
「どうもこうもありませんよ。流石に目の前であれだけ言われたら不愉快にもなります」
「あぁん?」
怪訝そうな顔を浮かべるベートさん。まさか馬鹿にしていた張本人が居合わせていたなんて思ってもいなかったのだろう。
怪訝そうな顔をしたのも束の間、すぐにこちらを見下すような表情に切り替わる。
「なんだ、テメエがあのガキだったのかよ!? 全く気付かなかったぜ! まあこれっぽっちも興味はなかったんだけどな! そんなガキが俺たちに何の用だよ!」
心底バカにしたようにずっと笑い続けている。
今のこの人に興味を持たれようとも思わないからどうでもいいけど。
するとアイズさんがくいくいっと僕の服の裾を引っ張る。
「あれ……ベルだったの……?」
「はい」
「……そっか……気づけなかった」
どうやらアイズさんはあの時、僕だと気づいていなかったらしい。
気づけなかったことを悔やんでいるのかまた暗い表情を浮かべる。
「気にしないでくださいアイズさん。あの時は血塗れでしたし……それに僕も成長してましたから気づけなかったのも無理はないですよ」
「…………ん……ありがとう……ごめんね」
「おい! 無視してんじゃねえよ身の程知らずの雑魚が!」
アイズさんと話しているとベートさんが怒鳴ってくる。
もう少しアイズさんと話していたかったけど、この人との話を終わらせないと邪魔が入ってしまう。
「すいません、何でしたっけ」
「俺たちに何の用かって聞いてんだよクソ野郎。その耳は飾りか?」
相当酒が進んだのか、単純に僕がアイズさんと話しているのが気に食わないのか嘲笑を隠しもせずに僕を問い詰める。
「用って言われても……当事者である僕が現れたことで察せないんですか?」
煽るようにベートさんに投げかける。
少し眉を潜めたようだがこの程度じゃあ流石に効かないみたいだ。
すぐに悪辣な笑みを浮かべて嘲笑を再開する。
「ああ、なるほど……自分が笑われてるのが耐えられなくなって、不愉快すぎて思わず飛び出してきちまったわけだ! くっくっくっく……黙って尻尾巻いて逃げればよかったのによ……あの時みたいになあ!」
耐えられなくなったのか大口を開けて腹を抱えて笑い出す。
いくらなんでも悪酔いしすぎなんじゃないかとちょっと心配になる。
この人の言った通り、流石に愉快な気分にはなれていなかったし悔しいと思っている僕は確かにいた。
あの時出せる全力で戦ったんだ。それを馬鹿にされればきっと誰だってそうなる。でもその程度だったら僕は耐えられた。
だから─────
「
「…………あぁ?」
「僕を馬鹿にしようが酒の肴にしようが好きにしたらいい。ミノタウロスに負けたのも事実ですし情けない姿を見せたのも事実ですから」
ああ、そうだ。あのことに比べれば本当にその程度のことはどうだっていいんだ。
「でも同じ【ファミリア】なら……家族ならアイズさんの様子がおかしいことぐらい気づいてください」
周囲の【ロキ・ファミリア】の人たちがアイズさんに視線を移す。
アイズさんは不安そうに話しの行く末を見守っている。その顔には涙を流した跡が残っていた。
「アイズ……泣いて……」
「……嘘……」
動揺が伝播していく。
お酒を飲んでいたとはいえやっぱりほとんどの人がアイズさんの様子に気づいていなかったらしい…………僕よりそばにいたくせに。
本当はこれ以上話す必要はなかったのかもしれない。なぜなら周囲の人と同様にベートさんもアイズさんの涙の跡にかなりの動揺を隠せていなかったからだ。
この隙にお母さんかフィンさんが上手くまとめてくれたらそれで平和的に終わったのかもしれない。
だけど、口が勝手に動いていた。
僕は僕が思っている以上にアイズさんが傷つけられたこととそれに今更気づいて呆けた顔をしていることが許せなかったらしい。
「どういう気分ですか?」
「………………ああ?」
「ベル……?」
お母さんが見つめてくるけど口は止まらない。止めない。
「自分の言葉がきっかけで惚れた女が泣いているのにそんなことにも気づかないで呑気に話していた気分は」
先ほどまでの顔はどこへやら、僕を射殺さんばかりの視線を投げかけてくる。
手を出してこないのは最後の理性が働いているからだろうか。
それを壊す気で僕は続く言葉を紡いだ。
「ああ……本当に─────無様ですね」
─────ごめんなさいお母さん。僕はまだまだ子供みたいです。
内心母に謝りながら意趣返しにベートさんが僕にかけた言葉をそのまま返す。
子供じみた仕返しだけど思いの外、効いたようだ。
「ッッッざけんじゃねえっ!!!!!!」
怒りに顔を真っ赤に染めたベートさんが殴りかかってくる。
酔って、怒りで我を忘れてくれるなら躱せる……と思ったけど、純粋に速すぎる。
反射的に横に倒れこみ、体を転がして間一髪でそれを回避する。
拳圧だけで頬の皮膚が裂け、直線状にあったテーブルやイスが吹き飛び、酒場のカウンターに罅が入る。
速さと力は子供の頃のアイズさん以上。それどころか纏う雰囲気はお母さんに近い。
頬の血を拭い、ベートさんの一挙手一投足に注目する。
まともにやったところで勝ち目なんてない。なら狙うのはカウンターだ。
相手の力を利用して限界以上の攻撃を叩きこむ以外に勝ち目はない。
溢れる客の悲鳴など無視し、次は外さないと言わんばかりにベートさんが構える。
動き出しを見逃さないように全感覚を用いて集中する。
そんなベートさんと僕を止めようと【ロキ・ファミリア】の人たちが動き出すのが見えたが何故かピタッと動きが止まる。僕も思わず視界に広がるその光景に身体が固まってしまった。
僕含めた全員の視線がベートさん……いや、ベートさんの後ろに集まる。
そこにいたのは…………鬼だった。
「人の店で暴れてんじゃないよっ!! このアホンダラァ!!!!」
凄まじく速く、重い一撃がベートさんの顔を打ち抜く。
店のカウンター近くから入り口側の壁まで吹き飛ばされたベートさんはピクリとも動かなくなった。
そしてその一撃を放った張本人……女将さんはいつの間にか僕の目の前まで移動して、僕のことを見下ろしていた。
「アンタもだよこのバカタレ」
「イッ!?」
鈍い音と共にとんでもない痛みが頭を襲う。
蹲りそうになるけどそんなのお構いなしに女将さんは僕の胸ぐらを掴み上げ、無理矢理視線を合わせてくる。
「今回はアンタは初めてだ。それに被害者だからね……最後のはあまりいただけないがこのぐらいで勘弁してやるよ。ただし次があったら……」
女将さんがチラリと吹き飛んだベートさんの方を見る。
ベートさんは倒れたまま【ファミリア】の人の介抱を受けていた。相変わらず身体はピクリとも動かない。
「……わかってるね?」
「は、はい!」
ポンっと僕の肩を叩いて厨房へと戻っていく。
僕はお母さんに話しかけられるまで呆然とその場に座り込んでいた。
「まずはこの場に残ってくれて話し合いに応じてくれたことに感謝を」
「僕も皆さんと話しておきたかったので必要ないですよ。それに話をややこしくさせたのは僕なので」
「ベートを気絶させてでも止めなかった僕達にも責任はある……これ以上はよそうか、話が進まない」
「そうですね、それに賛成です」
現在、僕は【ロキ・ファミリア】の所謂幹部たちと向かい合うような形で席についている。
正面には団長のフィンさん、ガレスさん、お母さん、そして主神であるロキ様。僕の隣にはアイズさんが僕に寄り添う形で座っている。
他の団員の人たちは周りにいるものの特に何も言わずに見守っている。
「うーんと、まず何から話したらいいんでしょうか……どうしましょう」
「それじゃあ君の視点であの日起きたことを話してくれないかい?」
「わかりました─────」
普段は第三階層まで潜っていたけどその日は第五階層まで降りたこと。
第五階層を少し探索したところで違和感を感じて引き戻ろうとしたこと。
上に続く階段の前でミノタウロスに遭遇し、隙を伺っているとLv.1の冒険者のパーティが現れたこと。
逃がすために、上の階層に行かせないためにミノタウロスに挑み敗北したこと。
あの日起きたことを魔法を省いてフィンさんたちに話す。
途中お母さんの方からとんでもない視線を浴びせられていたような気がするけど見なければ問題ない。
「念のため言っておきますけど嘘は言ってませんよ。そうでしょう? ロキ様」
「ん、そやね。嘘ついとる反応はないでフィン」
「……ふぅ、本当に合わせる顔がない。僕達の失態に巻き込んだだけで飽き足らず、被害の拡大を防いでくれた人を酒の肴にするなんてね」
フィンさんは何とも言えない表情を浮かべている。
そんなフィンさんを見て周りの人たち……特にあの話で笑っていた人たちは気まずそうな顔を浮かべている。
「今は口だけの謝罪しか行うことはできない。後日、正式な形で謝罪を行いたいのだが、受け入れてもらえるだろうか」
「もちろんです」
「ありがとう……本当に申し訳なかった」
深々とフィンさんが頭を下げる。それに続くようにロキ様もガレスさんもお母さんまでもが頭を下げる。
正直とても畏れ多いけどこれはちゃんと受け入れなければダメだ。
「顔を上げてください。もう十分ですから。それよりもフィンさんたちに何が起きていたのか教えてくれませんか?」
「……ああ、わかった。リヴェリア、君から話してくれ」
「リヴェリアさんが?」
「実を言うと二つの隊に分かれていたから僕はその場面に出くわしていないんだ。資料で確認しただけの僕より直接その目で見たリヴェリアのほうが詳しく説明できると思うよ」
「そうだったんですね……リヴェリアさん、お願いします」
「ああ─────」
17階層でミノタウロスの大群が産まれたが、こちらに恐れをなすように逃げ出すという予想外の行動に出たこと。
その予想外の異常事態で対応に遅れてしまい、上層までミノタウロスが登って行ってしまったこと。
僕以外に巻き込まれてしまった人はいないこと。
巻き込まれた人が他にいないことにほっとする。
手の届く範囲の人しか助けられないとはいえ死人が出ていたら流石に寝覚めが悪い。
「なるほど……そんなことが……」
「あとはベルが経験したことにつながり、そして今に至る。本当にすまなかった、ベル」
「もういいですよリヴェリアさん。フィンさんたちからも謝罪はしてもらいましたし……これ以上この話をしてもお互いの利になりませんよ」
最後に僕が言ったこともちょっとあれだったし……
この話を続けるよりもせっかく再会できたんだしお母さんたちと色々な話をしたい。
そんな僕の思いを察してくれたのか、
「君がそう言うならそうさせてもらおう……とはいえこのまま帰すのもさすがに忍びない。君さえよければもう少しここで一緒に食事でもどうかな?」
「いいんですか? それなら色々とお話を聞かせてもらっても大丈夫ですか?」
「もちろんだよ。それと食事も終えてたようだけど何か注文したいものがあったら料金は僕達が出すから何でも頼んでくれ。先ほどの食事の代金も僕が支払おう」
そこからはさっきまでの気分は一新され、楽しい時間を過ごせた。
【ロキ・ファミリア】の人たちはやっぱり気まずそうにしている人が多かったけど。
お酒で酔ってたとはいえ当事者が居合わせてそんな顔をするくらいなら最初から笑わなければいいのに。
「ねえベル……ちょっと聞いてもいい?」
「? はい、どうしたんですかアイズさん」
フィンさんにダンジョン探索についての話を聞いていると隣で静かにご飯を食べていたアイズさんが不思議そうな顔で話しかけてくる。
「ミノタウロスのことなんだけど……あの腕と胸、どうやって傷つけたの?」
「ん? どういうことだアイズ」
「ベルを襲ったミノタウロス……左腕が切り落とされてたの。それに魔石を狙ったような傷跡もあって……ベートさんは私がやったって勘違いしてたけど……あれ、ベルがやったんだよね」
周囲にざわめきが広がる。
返事を待つように僕に視線が集まる。
「ええっと……そうなりますね」
さらにざわめきが大きくなる。
「どうやって……? ベル、Lv.1だよね……」
「スキルとアイズさんたちが僕に贈ってくれた剣のおかげです。あの剣が無ければ時間を稼ぐこともできませんでした」
納得のいっていない顔をしてる人が多いが事実だ。
嘘を言っていればロキ様に見抜かれている。
「数年前に贈った物なのに今まで現役で使えていたのか。大事に使ってくれたんだな」
「……腕を落とした時に無茶な使い方をして結局折れてしまったんですけどね」
折れた剣は
ただ中央から真っ二つにへし折れた刀身の一部はダンジョンに置き去りにしてしまったのが心残りだけど。
「お前を守って折れたのならその剣も本望だっただろう。大事に使ってくれてありがとう、ベル」
クシャっとお母さんに頭を撫でられる。久々の感触だけどやっぱりすごい落ち着く。
エルフの人達の殺意交じりの視線を除けば。
「なー、少年。そういや聞いてへんかったんやけど自分、どこの神に【恩恵】もらったんや?」
「あれ、言ってませんでしたっけ」
うんうん、とロキ様が頷く。
確かに思い返してみれば他の話に夢中になっていて話していなかったかもしれない。
「僕の主神になってくれた人はヘスティア様という神様です。色んな【ファミリア】に─────」
「はぁぁああああ!? なんや自分ドチビんとこの子供やったんか!?」
「は、はい!」
目を見開きテーブルの上に身を乗り出してくる。
ドチビというのは話の文脈的に神様のことか。
「神様と知り合いなんですか? ロキ様」
「まあ知り合いっちゃ知り合いやけど……仲はあんま良くないわ。それにしてもドチビのくせにちゃんと眷属作れたんやなあ……大変やろ、ドチビの世話は。大変な神に捕まったなあ」
同情するような視線をロキ様が向けてくるが正直心外だ。
それにニヤニヤとした顔を向けてくるのも少し腹が立つ。
「そんなことないですよ、一緒に生活のためのお金を稼ごうとしてくれますしとてもいい神様です。それに……僕を見つけてくれた人ですから」
あの日、神様が僕を見つけてくれなければ冒険者になることもお母さんたちと再会することも出来なかった。
誰が何と言おうとこの出会いは僕の最高の幸運の一つだ。
「そっか、すまんかった。いくらウチとそりが合わんからってヘスティアの子に言うべきことじゃなかったわ」
表情を一変させてロキ様が頭を下げてくる。
今日は謝られてばっかりだ。
「いえ、大丈夫です」
「……ベル、見つけてくれたと言っていたが、他の【ファミリア】に入ることはしなかったのか? こっちに来ても色々な選択肢を選べるように教えてきたつもりだったのだが……」
「ベル、なんで私たちの【ファミリア】に入らなかったの?」
お母さんの言葉に少し動揺する。続くアイズさんの少し悲しそうな声音の言葉にぐっと言葉に詰まる。
神様の……ヘスティア様の眷属になったことを後悔なんてしていない。それでも当初は……いや、今でもお母さん達と一緒の【ファミリア】に入れるのなら入りたかったと思っている。他の人がいっぱいいるとはいえまた一緒に暮らしたかったという気持ちがどこかにあったのは事実だ。
あの日に起きた出来事を今この場で話すべきか一瞬迷う。
そしてその迷いを看破するかのようにお母さんの目つきが変わる。
お母さんに対する時の僕は隠し事が下手すぎるかも……。
「ベル、何があったのか言いなさい。誰かを気遣っているのならその人のためにならないぞ」
「なんか本当にママみたいやなー」
ギロリとロキ様が睨まれるがそれは一瞬のこと。
すぐに僕の方をじっと見つめてくる。
……子供の頃から隠し事をしててもなんでかこの目で見られたらすぐに話しちゃうんだよな。
「……【ロキ・ファミリア】には行くには行ったんです。オラリオに来てから真っ先に。一番入りたかった【ファミリア】でしたから」
「……いつのことや?」
「えっと……大体二週間前ぐらいだったはず……です」
「フィンたちが遠征に行ってた辺りの日やな……おかしいな。そこら辺の日は一回も
ロキ様が視線のみをある二人の冒険者に向ける。
その二人の冒険者は顔を真っ青にして話の行く末を見守っている。
「……ベル、何があった」
「…………門前払いを受けました。流石に結構堪えましたね」
空気が変わる。
ロキ様は細めている目を少し開き、そっと立ち上がり女将さんのところに向かう。
何かを話したかと思うと女将さんの号令で僕達以外のお客さんが去っていった。
これ以降はこのお店を僕達の貸し切りにしてくれたようだ。
「ベル・クラネル。もう少し詳しく話を聞かせてもらってもいいかい?」
改めてフィンさんが僕の向かい側に座る。
先ほどまで流れていた和やかな雰囲気はどこかへと行ってしまった。
長い夜になりそうだ。
「何たる失態だ……」
少し位置を変え、僕からあの日に起きた出来事を全て聞いたお母さんは顔を片手で覆い隠し、呆れたような様相を見せている。ロキ様やガレスさんも似たような様相を見せている中、フィンさんだけは手を口元で組み、何も言わずにいる。
「入団希望者は誰であれ必ず通せと言っておいたはずだ。それなのにロキに会わせないどころか他の団員に相談もせずに追い返しただと……? ふざけるのも大概にしろ!」
お母さんの顔が怒りに染まる。怒号が酒場内に響き渡る。
あの村での生活で何度か怒らせてしまうことはあったけどここまで怒っているお母さんを見るのは初めてかもしれない。
「【ロキ・ファミリア】の門を守る者としての自覚はないのか!! 貴様らは─────」
「一回落ち着き、リヴェリア。そうやってドヤしても話は進まないで」
「私は落ち着いて…………チッ」
まだ全然言い足りなさそうな表情でロキ様を睨みつけるも意外とあっさりとお母さんは引き下がった。とても珍しく舌打ちなんかをしていたが。
不思議に思っていたが、ロキ様の薄く開かれた怒りが込められた目を見てその理由を察する。
「さて、俯いてばっかいないでちゃんと目を見て話をしよか? 少年から話は聞いたんやから自分らからも話は聞かんとな。一応言っとくけど嘘は見破れるからちゃんと本当のことを言うんやで?」
その目とは裏腹に静かに安心させるような声で二人の言葉を促す。
ロキ様の言葉に少しだが二人の表情が和らいだような気がした。
すぐに地獄に叩き落されるとも知らずに。
二人の視点から語られるあの日の出来事。しかし、この期に及んでかなりの脚色が入っていることを見逃さない。
随分と丁寧な言葉で僕を追い返したかのように言っているが目の前に当事者がいることを忘れているのだろうか。
それともただただ必死なだけなのだろうか。
「気になるとこはあるけど大体嘘は言っとらんようやから今はええわ。で、確認なんやけど少年が言ってたように本当に見た目だけで判断したことを認めるんやな?」
「……はい」
見た目について言われたことははっきりと覚えている。
忘れようがない。正直今でも腹立たしい。
そんなことを考えているとロキ様が続く言葉を口にする。
瞬間、二人の顔色が青を超えて真っ白になる。
「なーるほどなぁ…………少年に言った言葉、フィンを見て言えるか?」
ロキ様の底冷えするような声が静かな空間に広がっていく。
その中でフィンさんに視線が集中する。
フィンさんはニコリと笑みを浮かべるだけで何も言わない。ただその笑みが無性に怖かった。
【ロキ・ファミリア】団長、フィン・ディムナ。
その種族は……
「フィンの目の前で言うのはあれやけど見た目だけで言ったらフィンのほうが遥かに弱そうに見えるやん。実際それで苦労した部分もあるしな。なあフィン」
「まあそうだね。小人族という関係上、仕方がないのかもしれないけど色々な目で見られたり結構苦労はしたかな。ねえティオネ?」
「いやあああああ! やめてください団長! 私の暗黒歴史!」
「ティオネうるさーい」
あの人……フィンさんに何をして何をされたんだろ……
視線がそちらに向いた僕とは違いロキ様は視線を外すことなくただ二人を見つめている。
「そんなフィンが団長の【ファミリア】に入っといてそれはないやろ……舐めとんのかジブンら」
怒りが迸り、身体から神威が漏れ出している。
怒りを向けられていない僕でも思わず気圧されるほどの圧。
向けられている二人はどんな感情だろう。
「それを差し引いたとしても見た目で判断するなんて【学区】の子もしないことやぞ。『神の恩恵』の性質上、どんなに貧弱そうな子でも化ける可能性は大いにあるって口酸っぱく言われんかったか? ……ジブンら、ウチの【ファミリア】で花開くかもしれなかった芽を潰したんやで?」
額どころか顔中に大粒の汗を浮かばせながら魂が抜けたような表情を浮かべる二人。
ロキ様はさらに続けようと口を開くがフィンさんがそれを止める。
「ロキ、もう夜も遅いし今日はそこまでにしよう」
「……少年はそれでええんか? ウチらが盛り上がりすぎて言えんかったこともあるやろ」
そんなことを言われるが正直もう十分すぎるほど他の人に言われてしまった。
僕の個人的な意見で私刑にかけるのも寝覚めが悪いし僕が言ったところで大して効果はないだろう。それに出来ればもうあの人たちの顔は見たくもない。
「もう十分です。それにさっきみたいに余計なことも言ってしまいそうですし……あとは皆さんにお任せします」
「そうか……じゃあ今日はこの辺にしておこか。ジブンら、まず謝罪を─────」
「結構です。その二人の謝罪は受け取る気はありませんから。時間の無駄です」
驚いたような顔をお母さんがしているがこれぐらいは許してほしい。
この二人は大切な家族からもらった贈り物を侮辱したんだ。
謝って許してもらった気になんてさせてたまるか。満足なんてさせてたまるか。
「……とのことだ。君たちは先に戻れ。処遇は追って伝える。ただまあ、覚悟はしておいてくれ」
フィンさんが二人の肩をポンと叩き、店の出口へと誘導する。
最後に見えた二人の表情は初めて会った時のこちらを見下していた顔からは考えられないほどひどい顔だった。
二人を見送ったのち、フィンさんが再びぼくの前に座る。
「ベル・クラネル」
「は、はい」
一度落ち着くように息をついたかと思うと僕を見つめながら口を開く。
「ダンジョンの件だけで飽き足らず、このようなことまで……本当に申し訳なかった」
フィンさんが先ほど以上に深々と頭を下げる。
今日だけで自分が率いる【ファミリア】で二つもの失態が発覚してしまったフィンさんの心情は計り知れない。
「顔を上げてくださいフィンさん。フィンさんたちからはもう十分謝罪はいただきましたから」
「しかし……」
「当事者の僕がいいって言ってるんです。ですから顔を上げてください」
「……寛大な心遣い、誠に感謝する」
大所帯の団長というのも大変なんだと今のフィンさんの顔を見てそう思う。
ただあの二人が普段どんな生活をしているのかはわからないけど門番においたのは失敗としか言えないだろう。
上から目線になってしまうけど【ファミリア】の門を任せられている者があんなことを仕出かしたら【ファミリア】自体の評判も下がってしまうだろう。これは他の【ファミリア】もそうだ。
(そういえばアイズさんはどうしてるんだろう。ずっと静かだったような…………)
話もようやくまとまったところでふとアイズさんが随分と静かだったことに気づく。
泣いていたし疲れて眠ってしまったのかと思い、辺りを見回してみる。
アイズさんは普通に起きていた……いやこれは普通と言えるのかな……。
「ガレス……離して…………」
「何度も言うがダメじゃ。離せばお主はすぐに飛び出していくじゃろう」
「そんなこと………………ない」
「その間は信用できん」
「…………また……一緒に暮らせると思ったのに…………」
最後に聞こえた悲しそうな声に僕まで悲しくなってくる。
アイズさんは椅子に縛り付けられガレスさんと何人かに見張られていた。
よく見ると二人の周辺には争ったような跡が残っている。
「気にするな、あれは私の指示だ。かなり危険な状態だったからな。あのまま放置していたらあの二人を殺しかねん」
「えっ」
「【ロキ・ファミリア】の幹部として私怨でそのようなことをさせるわけにはいかない。たとえ私とアイズが内心どのようなことを思っていたとしてもな……無力な私たちを許してくれ、ベル」
見上げる位置からお母さんの目は見えない。
でも雰囲気から僕のために怒っていてくれるというのが伝わってくる。
もし幹部という縛りがなかったらどうなっていたのだろうか。
「ベル・クラネル、今日はもうお開きにしようと思っている。後日、今回の二つの件に関する正式な謝罪を行わせてもらいたい。都合の良い日や何か条件などはないだろうか」
「それじゃあ、僕から出向いてもいいですか? 僕たちの
ダンジョンに潜る時に余計な心配事は持ち込みたくない。
それにこういうことは早いうちにやっておいた方がいい。
「わかった。それで行かせてもらおう。明日は僕もロキも一日中本拠で待っているから君の好きな時間帯で訪れてくれ」
「はい、よろしくお願いします。リヴェリアさん、ロキ様、失礼します」
「おう、気ぃ付けてな」
「またな、ベル」
明日朝一番にでも行くとしよう。そうすれば終わった後にすぐにダンジョンに潜れる。
そんなことを考えながら席を立つ。辺りを見てももう店員の人たちが後片付けを始めている。
今日の朝からは考えられないほど濃い一日になってしまったけどミノタウロスの件だけでなく、あの件まで解決できたのは僥倖だ。
あとは明日もう一度フィンさんたちと話して色々まとまれば心に残ったしこりはほとんど取り除かれる。
「アイズさん、今日は夜も遅いですし帰りますね」
「えっ……うん…………」
寂しそうな顔をアイズさんが浮かべる。
落ち着いたのかすでに椅子からは解放されている。
「……大丈夫です。明日また会えますから。それに僕もオラリオに来たんでいつでも会えますよ」
その顔に耐えられずアイズさんの頬に優しく触れる。
すると寂しそうな顔から一転、穏やかな笑みを浮かべる。
僕自身も自然と笑みを浮かべてしまう、そんな笑み。
「…………ん、わかった。じゃあね、ベル」
「はい、また明日」
名残惜しそうにアイズさんが僕の手をそっと離す。
手を小さく振る彼女に見送られながら僕は酒場を後にした。
こうして僕の長い夜が終わった。
いつも感想、評価、お気に入り登録、誤字脱字報告ありがとうございます。
今回の話は正直かなり難しいものでした。
力不足ゆえにあまり期待に応えられるような出来ではなかったかもしれません。
全力は尽くさせてもらいましたが期待外れだと思う方もいらっしゃるかもしれません。申し訳ありませんでした。
それでも精一杯皆様が楽しめるような作品を目指していくのでどうか今後ともよろしくお願いします。