二人の姫と出会った少年は英雄の道を歩む   作:Kkky

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不定期な更新になるかもしれませんがなるべく早く届けられるよう努力致します。
拙作ですがよろしくお願いします。


山奥の村の(かみ)

 揺れる馬車の中でリヴェリアはアストレアから受け取った紙を見ていた。

 

(内容は……アルフィアの所有していたものについてとそれの保管場所……そして子供の容姿か)

 

 一通り目を通して思わず顔を手で覆う。

 そこに書かれているものはどれもこれもとんでもないものばかりだからだ。

 

(容姿はひとまず置いておいて……総ヴァリスは四〇億を超えている。素材についてもどれもこれも深層以下で手に入る貴重なものを中心に様々な素材が……それどころか私が見たことのない素材まである。極め付けは最上位の魔宝石……そして魔導書(グリモア)…………なんだこれは」

 

 思わず声が漏れてしまうほどリヴェリアの内心は驚愕に満ちていた。

 書かれていたものについてもそうだが、あの気難しい女(アルフィア)が他者をこれほどまでに思い、様々な物を遺していたことが何よりも驚きだった。

 

 そうして馬車の中で思案しつつ、アイズと会話(勉強含む)をする日々が少し続いていると一つの村が見えてきた。

 そこがアルフィアがリヴェリアに託した子供が住んでいる、山奥の村であった。

 

「…………何もない……畑ばっかり」

 

「失礼だぞ、アイズ」

 

 馬車から降りたアイズが興味深そうに辺りを見渡しそんなことを言う。軽く小突き、涙目のアイズに睨まれながら二人で村人と話し、情報を集める。

 怪訝そうな目や好奇に満ちた目を向けられることもあったが基本的にはどの村人も好意的に接してくれた。

 

 しかし、アルフィアが言う子供の情報については思いの外、手に入ることはなかった。

 

「ふむ……ここではないのか? いや、そんなはずは───」

 

「あ……人いたよ、リヴェリア。行ってくるね」

 

「あ、待て! アイズ!」

 

 また新しい人を見つけたアイズがその人の元へと走って行く。慌てたようにリヴェリアが止めるがそんなものお構いなしに村人へ突撃していく。

 

「あの……」

 

「ん? どうしたんだい、嬢ちゃん」

 

「えっと……白い髪で赤い目をしてる男の子を探してるんだけど知らない?」

 

「こら、アイズ!!」

 

 追いつき、勝手な行動をとったアイズをまた止めるが、その村人の口から意外な言葉が飛び出てくる。

 

「白い髪で赤い目…………ああ、ベル坊か」

 

「え?」

 

「あんたらベル坊の知り合いか! この時間ならベル坊は家にいると思うぜ。爺さんと一緒に過ごしてっけどベル坊の知り合いなら教えても問題ねえだろ。ただ道順がちょっとあれだからちょっと待ってな」

 

 そんな言葉に戸惑っているとあれよこれよという間にベル坊と呼ばれた子供がいる家への道筋が紙に記されて行く。見るとまるで迷路のように道があっちこっちにあり、初見で辿り着くのはなかなか厳しいものがある。

 

「……感謝する。とりあえずこれに従い向かうとしよう。行くぞ、アイズ」

 

「うん」

 

「あー、待て待て。もう一個言っておかねえといけないことがあんだ」

 

 感謝を述べ進もうとするリヴェリアたちを制止し、少し言いづらそうに男が話す。

 

「……その……ジジイに気をつけろよ? あんたら美人なんだから……あとなんかあればこの村の1番大きい建物にいけば基本何とかなるからそこも頼ってくれ……とにかく何度でも言うが気をつけてくれ」

 

 そんな鬼気迫る男の表情を見て、軽く引きながらもリヴェリアとアイズはその山にある家へと向かうのであった。

 アイズは特になんとも思わなかったが、リヴェリアはその話された内容に少し嫌な予感がした。

 

 そしてその予感は当たることになる。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「……確かにこれを初めて来た人間が地図なしで行くのは難しいな……」

 

 村に着いたのは昼頃、そこから情報収集をして出発したのは少し日が落ちた辺りだった。

 道は確かに複雑で、地図がなければ迷子は必至だが思いの外楽に進むことができている。

 

「歩きっぱなしだがアイズ、大丈夫か?」

 

「…………これぐらい大丈夫」

 

 馬車から降り、すぐさま歩き詰めになるこの状況に冒険者といえどもまだ子供であるアイズには少し疲れが見える。

 地図によるともうそろそろなのだが───

 

「む……見えてきたぞ、アイズ。もう少し頑張れ」

 

「……うん」

 

 ようやく建物がはっきりと見えてくる。

 少し早足になりながらようやく辿り着く。

 

 そこには質素ながらも畑に囲まれたごく普通の小屋が建っていた。

 扉を叩き、尋ねようとしたその時、その扉からものすごい速さで農具を背負った老人が飛び出てきた。

 

「うおおおお!!! どこだ!! ベルーーーー!!!」

 

「おい! 待て!」

 

「ぬおおおおお! …………ん? 誰じゃお主…………ん!?」

 

 リヴェリアの顔を見た途端、焦燥感を漂わせた顔を驚愕に染め老人が飛び上がり、指を指す。

 リヴェリアもその老人の顔を見た瞬間、目を見開き先ほど村人がなぜあれほどまでに警戒しろと言っていたのかを理解する。

 

「お主はロキのところの!!」

 

「…………なぜ貴様がここにいるんだ……()()()()

 

 その老人の名はゼウス。

 かつてオラリオに君臨していた最強派閥……【ゼウス・ファミリア】の主神にして、【暴喰】のザルドの主神である。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「色々気になることはあるが今は置いておく……そんなに焦って何かあったのか?」

 

「はっ! そうじゃった! 今はお主たちに関わっている暇はないんじゃ!」

 

 そう言うと再び駆け出そうとするがリヴェリアの出した杖に行方を遮られる。

 

「焦りすぎだ。何があったのか簡潔にでいい、教えてくれ。私たちも何か手伝えることがあるかもしれん」

 

「むぅ……確かにそうじゃな。畑から帰ってきたらベル……あー、儂の孫がいなくなっていたんじゃ。あの子は一人で遠くまで出歩くような子ではない……きっと何かあったんじゃ……!」

 

「なるほど……事情は理解した。神ゼウス、私たちにも協力させてくれ」

 

「それは助かるが……いいんじゃな?」

 

「ああ、元々私たちはそのベルという子に会いにきたのだ。その子がいないのであれば話にならない」

 

 ぴくりとゼウスが眉を動かす。

 そのままじっとリヴェリアを見つめ、何かを言おうと口を開こうとするが結局何も言うことはなかった。

 

「……儂はあっちから探す。お主達は別の方角を探してくれ」

 

「ああ、わかった」

 

 そう言うとゼウスは走りだし、ベルを探しに向かう。

 その横顔がなぜか少し悲しそうな寂しそうな表情に見えたがおそらくは気のせいだろうと胸の中で留めておく。

 

「アイズ、お前はどっちを探しに行く?」

 

「……んと…………あっちがいい……」

 

「わかった、頼むぞアイズ」

 

 とてとてと走り去るアイズを見送り、リヴェリアも走り出す。

 齢はまだ七つ。そしてアイズより二つも年下の恩恵を持たない子供だ。何かあってもおかしくない。

 内心に僅かに焦燥感を抱えながらもまずは村人たちに話を聞くことにするリヴェリアであった。




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