作家がペンで殴らず拳で殴ってどうする、馬鹿め! 作:はちみー
他に書いてるのがエタりそうなので気分転換に初投稿です。
「アンデルセン、そろそろ雄英に向かう時間ですよ。アンデルセン?」
「もうそんな時間か、わかった。今筆が乗っていたというのに、やはり時間はクソだな!」
「自分で行くと決めたのですから、文句をたれないで下さい。まぁ私は貴方が落ちてもよろしいのですが」
「お前はそうだろうな性悪女め、だがそうなれば貴様の楽しみにしているオレの新作が遠のくだけだがな!」
「性悪男に言われたくありません、こんなのがあの人気作家だなんて知られたらたちまちファンも離れるのに」
「バカめ、鏡を見てみろ。性根を知っても尚離れない大ファンが、目の前にいるだろう」
「……さっさと出ていってくれます?作家先生?」
「言われずともそうする、全く特別推薦枠を勝ち取ったと言うのに試験に参加しなくてはならないとはな!」
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個性という未知の力がこの世に生まれ、個性がなければ社会的に不利とまで言われる世界になった。
個性があれば優遇され、無個性ならば何も得られない。そんな歪な社会が当然ともなれば、悪役が産まれるのも当たり前の事。
更に個性が善をなせそうな物でなければ、それはそれで差別が生まれ悪も産まれる。
どちらも天性の悪ではなく、人が生み出した悪である。
こんな世の中だからか、アンデルセンが執筆した「みにくいアヒルの子」や「マッチ売りの少女」が世界的大ヒット作となった。
アヒルの子のあらすじとして、周りや家族に迫害されながらも本来の自分に気づき幸せを掴むという物。
これは個性社会に置いて、異形型やヴィランの様な個性に生まれた者達への救いの様な物語だった。当の本人は自身の事を書いた迄で、そんな風な狙いはほんのちょっぴりしかなかったが。
「マッチ売りの少女」は貧困に生きるマッチ売りの少女が、凍える雪の夜の中でマッチを売ろうとするも見向きもされなかった。
食べるものも身を守る物も家族もない、何とか暖を取ろうとマッチを何度も擦った末に見えた暖かい料理と祖母の姿。
不思議と空腹感も無くなる空間に、少女は祖母の腕に抱かれ現実の少女は燃え殻と共に燃え尽きる。
翌日その死んだ少女は発見され、人々に「可哀想に」と祈られるメリーバッドエンド。
貧しい少女に救いの手は無く、死を持って救済されるというアンデルセンの世界が存分に発揮された物語だ。
この物語も無個性のまま育ち、虐げられてきた者や敵の様な個性に生まれた者達にも刺さった。
更にヒーローにも少なからず……
さて、そんなアンデルセンだが今年で16となり高校生だ。
ともすれば個性を自由に扱う事が出来るようになるヒーロー免許を目的に雄英に行くのは当然であり、アンデルセンにとって面倒でありながらネタにもなりそうという理由で雄英の門を叩く。
アンデルセンの個性は"
書く物さえあれば思い描く物を具現化し、世に出すものである。
一見最強に見えなくもない個性だが、本人のやる気と脱稿していなければ長く世に止まれないという。
そして多大なデメリットも存在する。
アンデルセンの力の源は自身の創作力に加え、作品のファンからの様々な思いである。
それ故にファンがアンデルセンに対し、ありとあらゆる思いの中には良くない物が混ざる。
顕著に現れるのが手足で腕には火傷と凍傷の跡と幻痛、足は魚の鱗が生えてしまっている。
それ故にアンデルセン自身は戦えず、サポートしか出来ない生粋のサイドキックなのだ。
その事を棚に上げ、アンデルセンは雄英に赴き実技試験の免除を申し出た。
雄英からは実技試験にて他受験生のサポートを行い、その実力を見るという形で特別推薦というものに落ち着いた。
それでも尚ぶー垂れるのがこの男、アンデルセンである。
「さて、筆記試験は全て問題ない。国語は多少減点はされるだろうがな、作者はどう思って書いたのかだと?はやく脱稿したいとかの類に決まってるだろう!」
こうして時は進み、実技試験。アンデルセンは話しかけられた少女を自分の手足とすべく、話題をもちかける。
「オレは訳あって直接の戦闘は出来ん、オレがお前をサポートしてやる。だから精々馬車馬の如く働け!ファンならばひとつくらい作者の願いを聞いてくれるだろう?」
とんでもない男である。