作家がペンで殴らず拳で殴ってどうする、馬鹿め! 作:はちみー
お待たせ、待った?(某まな板感)
「うん?」
「あぁ?」
「「…………」」
アンデルセンは来年度から雄英高校の生徒となる為、制服を店まで調達しにやってきた。
そこでバッタリと来年度雄英生であろう爆発頭の少年と出会い、アンデルセンが一方的に睨まれている。
「どうした少年、何をそんなに睨んでいる?」
「テメェもタメだろうが、雄英みてぇだがヒーロー科かァ?」
「成程よくわかった、お前は自尊心の塊で人の話もろくに聞きもしない天才かぶれだな。これは同じ組になったとしたら、退屈せずに済みそうだ」
「あぁ!?誰が天才かぶれだ!!」
「面白い事に人間というのはな、声色と見た目それから態度を見れば大体わかる。オレは見る目はあるのでな」
それはそれは面白いものを見る様に少年を見て、アンデルセンは愉快な顔つきで少年に向き直る。
爆発頭の少年は心底腹が立ったとばかりに、手のひらの火花がバチバチと音を立てている。
「おっと、オレを攻撃するなよ?死ぬ事になる」
「んだと、誰が死ぬってェ!?」
「オレだ」
「テメェかよ!!!」
「生憎オレはかなり弱い!まともにやり合えば真っ先に地面に叩きふせられる、この軟弱ぶりはいっそ自慢でもあるぞ!」
「そりゃ自慢にもならねぇだろうが雑魚が!!」
こんな言い合いを楽しんでいたら、奥にいた店長がおずおずと止めに来た。
騒ぎになるのも面倒なので、アンデルセンは財布から10万を取り出し店長に握らせる。
「これは迷惑料だ、何遠慮はいらんさぁ受け取れ。受け取ったな?なら文句は受け付けん仕事に戻るんだな」
「けっ、んだよボンボンか」
「ボンボン?違うな、オレがたった1本の筆と紙で稼いだ金だ」
「稼いだ……ッお前まさか童話作家のアンデルセンか?」
「ご名答、頭の回転は悪くない様だな」
「はっ、あのアンデルセンがこんなにも性格がクソだとは思わなかったがな」
「軽い気持ちで自殺教唆しそうな君に言われたくはないな」
「ッだとコラ!」
「勝己!アンタいつまで時間かかってるのよ!」
パァンッといい音が鳴り、爆発頭が破裂したかと思えば一人の女性が頭を叩いた音だった。
なるほど母親がぶっ叩いたのか、ざまあないな!!とアンデルセンは愉快に笑う。
「フッハハ、良い音なったな爆発頭」
「うっせぇ!いきなり叩くんじゃねぇよババア!」
「うん?アンタも来年度から雄英なのかな?」
「あぁ、そこの少年と同学年になるな」
「無視すんなゴラァ!」
「よかったね勝己、早速友達出来て」
「ダチじゃねぇよ」
友達が出来たと喜んで頭を乱暴に撫でられ、憤怒の顔をしながらも親だからか手を出せない辺りまだ可愛げがある。
そこでアンデルセンは下の名前が分かったが、苗字を知らない事に気づき咳払いをひとつして尋ねた。
「あー、ご婦人。私の名はアンデルセン、宜しければ名前をお聞きしても?」
「えっ!?あのアンデルセン先生!?勝己アンタ凄い人じゃない!私は爆豪光己っていいます、うちの勝己がお世話になります!」
「がっ!?」
「いやいや、私はてんで戦えないので
「この通りの跳ねっ返りですが、よろしくお願いします!」
爆豪母は兎も角として、アンデルセンの身の変わりように爆豪はそれはもう腹を立てた。態度が全然違うという事と、母親によって無理やり頭を下げられている事に。
「いつまで頭下げさせとんじゃババア!!」
「はいはい、それじゃあ私は旦那が待ってるのでこれで。勝己、仲良くするのよ」
「誰がこんな奴と!」
「それではアンデルセン先生、いつでもウチに訪ねてきてくださいね」
「招いてんじゃねぇよ!!」
「えぇ、機があれば……ごきげんよう」
_______
ところ変わってホシノバックスという喫茶店、先程から(一方的に)いがみ合っていた二人は同じ席にて座っていた。
制服を受け取った後早々に立ち去ろうとしていた爆豪に、アンデルセンは待ったをかけた。
少し喫茶店で飲みながら話をしようと持ちかけ、案の定爆豪はキレながら帰ろうとした所に一言。
「まぁ待て、お前にも得がある話だ。何せ自身の強化にも繋がる話だからな」
爆豪勝己の根底にあるのは勝利、オールマイトがもたらす圧倒的な力での勝利であり目標だ。
だから彼は強くなろうとする、強くあろうとする為に自己研鑽は怠らない。それ自体はまぁ中学生男子程度の研鑽であり、勝利もとい勝者というのも歪な物になってはいるが。
それはさておき、アンデルセンが提案する得に多少興味が出たので奢りという形で誘いに乗ったのだった。
「で、話ってのは何だ。つまんねぇ話なら速攻帰ったるからな」
「まずはアイスコーヒーでも飲んでリラックスするんだな、お前はキレやすいからな」
「んだと」
「そら見ろ、図星となったらキレるのはガキのする事だ。お前はガキじゃあないんだろう?」
「……チッ」
爆豪は乱暴にアイスコーヒーを半分まで飲むと、アンデルセンに向き直る。それをみたアンデルセンはフッと笑みを浮かべ、自身もアイスコーヒーを飲み話を切り出した。
「オレの個性の話をしよう、能力は書く物さえあれば思い描く物を具現化し世に出すものだ。ここまで聞いてどう思う?」
「どう……?」
「これを聞いた者は大抵の場合、とても強い個性だという。だが実際にはそんな強いものじゃあない」
「デメリットがあるって事か」
「その通り、書く物から始まり物語を書き終えねば効果も持続も大した事ない。やる気もなければ執筆などしたくも無いしな!」
「そんだけかよ」
「いいや、ここからだ。オレが作家なのは知っている通り、全世界において三大童話作家に名を連ねる程の知名度だ」
「ケッ、何が言いてぇんだ。自慢か」
「問題なのがその知名度だ、オレはメディア露出がほぼないと言っても過言ではない。それ故に読者間では様々な噂が飛び交う、アンデルセンはこんな人間かもあんな人間かも……と」
「……」
「そしてある時オレの身体は手足の激痛と共に大きな変化をした、腕に火傷と凍傷の痕が現れ足には魚の鱗が生えた」
「いやどういうことだ、噂程度のもんでそんな影響がある訳……っ!」
「察した様だな、オレの個性は自ら手掛けた物語を読んだ読者達の想いによっても強くなる物だ。それに伴い良くないものも混ざるのさ、マッチ売りの少女であれば寒さによる凍傷やマッチの火による火傷。人魚姫であれば人魚の鱗とかな」
「だからテメェは戦えないって事か」
「それ故に偶然出会ったお前に目をつけた。オレはお前にトップヒーローになる為の助言を、お前はオレの護衛を」
ここまで聞いて爆豪は頭の中でメリットデメリットを考え、一先ずの答えを出した。
「オレはテメェの助言なんて必要ねぇ、だが今ここで何かを得るんなら考えてやる」
「ふむ、なら作家らしくオレが創り出す世界に招待してやろう。お前が向き合い立ち向かわねばならん世界へな」
アンデルセンはひとつの本を取り出し、魔法のペンを振る。
ページがバラバラとめくられ、アンデルセンを中心に空間が作られていく。
「タイトルは……そう、肥え太ったヴィランもどき……だ」
爆豪くん、序盤で強化フラグ。
そして乞食するぞ、するぞ。
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