みずしの様作の『ナイトメア』
https://booth.pm/ja/items/4301198
野原しげる様作の『聖園ミカ 取り調べ』
https://www.pixiv.net/artworks/99840718
水篠様の『ミカとパテル派モブとエデン条約編』
https://www.pixiv.net/user/33506980/series/236365
をもとに作っています
───裏切り者!
───この魔女め!
───人殺し!
───極悪人!
───罪人め!
またこの夢。いつもいつもこの言葉の繰り返し。私が犯した罪の重さと、癒えない傷を再び認識してしまう。許されないことをした。先生は、許すと言ってくれたけれど、他のみんなはそうじゃない。─────私は魔女だ。
「はぁ。朝から疲れるなぁ…もう」
何事もなかったかのように学園に行って、授業を受けて、放課後は花壇の花に水をやる。これが、最近の私の日課。許されないことをした私への、生ぬるい罰。
許してもらえるなんて思っていない。そんな贅沢は言うつもりもない。ただ、良くも悪くも変わらず接してくれるのはこの花たちばかりだ。
バァン!
鳴り響く銃声と、背中の衝撃。───ああ、いつものやつだ。
「ちょっ…!な、何してるの!?ミカ様は───」
聞き覚えのある慌てた声と、コッキング音。そんなとき、私は。
「もう!痛いなぁ。不意打ちなんて良くないよ?」
反射的に開く口からは、憎まれ口ばかりが溢れてくる。言いたくもない言葉の羅列。
「正々堂々と正面から来てよー。『楽しい楽しい魔女狩りの始まり』ってね☆」
「!」
ギリッと食いしばった口元。憎悪の顔。彼女はサンクトゥス分派のティーパーティーの補佐官だ───。
「もうやめてよ!!ミカ様は、ミカ様はそんな人じゃない!!」
その大きな声に驚いて、もう一人の包帯を頭に巻いている少女を見る。─────思い出した、彼女はパテル分派の一人で、私の補佐を務めていた子の一人だ。あの事件で前線に立ち、怪我をしたと聞いた。…………なんで……。何で庇うの……?
「そいつは化け物だ!!魔女だ!!伝統あるトリニティに必要はない!!」
「違う!ミカ様は魔女なんかじゃない!!ミカ様は必要なお方だよ!!」
ミカ様を見つけた。聴聞会で決まった奉仕活動の最中みたい。あの時、牢屋に入れられたミカ様は、とても寂しそうだった。見ていられなかった。ずっとずっと慕ってきた相手だ。ミカ様が本心からこんな事件を引き起こすはずがない。
ミカ様……無理しないといいけど…。
バァン!
思わず目を疑った。友人が、ミカ様を撃った。そんな事するはずない。そう思っていたのに……。
「ちょっ…!な、何してるの!?ミカ様は───」
私は、必死に友人の腕を引き照準をずらす。少しでもミカ様に銃弾が当たらないようにしないと!
「もう!痛いなぁ。不意打ちなんて良くないよ?」
不意に聞こえてくるのはミカ様の声。私にはわかる、少し諦めを含んだ声色。立ち上がって振り返ったミカ様は、………穏やかに笑っていた。
「正々堂々と正面から来てよー。『楽しい楽しい魔女狩りの始まり』ってね☆」
「!」
ギリッと友人が歯を食いしばる音がする。憎悪に満ちた顔が見え、少し怖くなる。でも、ミカ様は悪い人じゃない!私だけでも、守らないと!……もう、見ないふりは、したくないから!
「もうやめてよ!!ミカ様は、ミカ様はそんな人じゃない!!」
私が大声で叫ぶと、友人もミカ様も驚いたようにこちらを向いた。友人はすごい剣幕で言い放つ。
「そいつは化け物だ!!魔女だ!!伝統あるトリニティには必要はない!!」
「違う!ミカ様は魔女なんかじゃない!!ミカ様は必要なお方だよ!!」
ミカ様が魔女なはずない。あれほど私達のためにいろんなことをしてくれた、純粋で優しいお方なんだ。そんな言い方は、されたくない。
「黙れ!!この、魔女の手先め!!」
友人の銃が向けられる。怖い…。アリウスとの戦いでの恐怖が蘇る。あの時、多勢に無勢で、私は…。恐怖で思わず目を閉じる。
バァン!
鳴り響く銃声。何かに包まれる感覚。いつまで経っても来ない衝撃。恐る恐る目を開けると、ミカ様が私を守るように立っている。なぜ、どうして?
「み、ミカ様!?わ、わたしは大丈夫ですから!」
「ダメだよ。私を守ろうとしてくれた。それだけで、すっごく嬉しかったよ、ナセちゃん」
「ミカ様…」
「チッ!」
しばらくミカ様は私を守ってくださった。私なんかを。守ろうとして、守られて。本当に自分が情けなくなる。……ああ、それでも、覚えていてくださったんですね、ミカ様。私の名前を。やっぱり貴女様は優しいお方。
『…………あなた、誰だっけ?』
あのときの言葉は、私達を守るためだったんだ。あなたを擁護しようとする私達に、被害が及ばないようにわざと突き放した。ミカ様はやっぱり優しい。ミカ様は魔女なんかではなく、天使様なんだ。
しばらくして、正義実現委員会がやってきた。私達はしばらく抱き合ったままだった。