ミカ様は魔女なんかじゃない!   作:ラインズベルト

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わたし達は、ミカ様を

あれから、2日が過ぎた。ナセちゃんはずっと一緒にいてくれる。寮こそ違うから、朝晩は会えないけど、モモトークでやり取りはしている。ナセちゃんだけじゃない。パテルで、よく私と一緒にいたみんなは一緒にいてくれている。

 

すっごく嬉しかった。本当は巻き込みたくなかったけど、私のせいでパテルは失墜している。そんな中、私と一緒にいてくれる彼女達は、とっても優しい子たちだった。この2日間、とてもゆっくり眠れた気がする。

 

『ミカ様!私、ミカ様とずっと一緒にいたいです!ミカ様は、私の憧れなんです!』

 

『いつも私達に気を遣ってくれて、無理してたら止めてくれる、そんな優しいミカ様を、見捨てるなんて出来ません!』

 

こんな言葉をかけてくれるあの子達。今日も、私はみんなに会いに行く。先生やコハルちゃんは忙しいみたいで、なかなか会えない。けど、私にはナセちゃんやみんながいる。もう何も怖くない。全部怖くないと言ったら嘘になるけど、みんなといれば、耐えることが出来るんだ。

 

「んー!今日もいい天気だね☆」

 

私は支度をして、学校へと向かった。

 


 

相変わらず、学校では私に対する陰口はなくならない。ナセちゃん達も同じく。でも、もう苦しくない。私一人じゃないから。

 

「おはようございます!ミカ様!」

 

「あはは☆おはよう、ナセちゃん。皆もおはよう!」

 

『おはようございます!!』

 

決して少なくないパテルの主戦派。主戦派の子達からは、敵視されているけど、もう怖くない。私が、ナセちゃんたちを守らないとね。味方でいてくれる分、そのお返し。これは私の自己満足だ。皆は遠慮するかもしれないけど、私に出来る精一杯を返したい。

 

時間は過ぎて、お昼休みのこと。

 

「あの、ミカ様! 今日の購買の新作、もうチェックしましたか?」

 

ナセちゃんが、少しだけ息を切らしながら私の元へ駆け寄ってくる。その後ろには、パテルのいつものメンバーの子たち。

 

「新作? うーん、今日はまだかな。……あはは☆ ナセちゃん、そんなに慌ててどうしたの?」

 

「これです、これ! 『トリニティ特製・いちごクリームたっぷりのロールケーキ』! 争奪戦だったんですけど、みんなで協力して死守しました!」

 

差し出されたのは、少し形が崩れてしまった、けれどずっしりと重みのあるビニール袋。

 

以前の私なら、きっと見向きもしなかった。ティーパーティーの庭園で出される最高級の茶菓子と比べれば、それはあまりに庶民的で、安っぽいものだったから。

でも。

 

「……えっ、これ、私のために?」

 

「もちろんです! ミカ様と一緒に食べたくて」

 

みんなでレジャーシートを広げたのは、いつもの花壇のすぐそば。格式高い椅子も、銀の食器もない。あるのは、ビニール袋を破る音と、賑やかな笑い声だけ。

 

「わあ……! クリーム、はみ出してるよ。あはは、すごい量!」

 

一口食べると、驚くほど甘くて、どこか懐かしい味がした。

 

「おいしい……。ねぇ、これ、すっごくおいしいよ」

 

「本当ですか!? よかったぁ……!」

 

ナセちゃんが、自分のことのように顔をほころばせる。その隣で、他の子たちが「次は焼きそばパンにも挑戦しましょう!」「ミカ様、実は裏技があるんですよ」なんて、どうでもいい、けれど最高に楽しい作戦会議を始めている。

 

「……ふふっ」

 

思わず声が漏れた。かつての孤独な夢の中で、私はいつも独りだった。魔女と呼ばれ、石を投げられ、暗闇の中で膝を抱えていた。

 

でも、今は違う。隣には、私の名前を呼んでくれる子がいて。私のために必死に走って、お菓子を届けてくれる子がいて。一緒に笑い合える、温かな体温がある。

 

「ミカ様? どうかしましたか? 口の横にクリーム、ついてますよ?」

 

ナセちゃんがハンカチを取り出そうとするのを、私は手で制して、ぺろりと指で掬った。

 

「ううん、なんでもないよ☆ ……幸せだなぁ、って思って」

 

青い空、花の香り。そして、大好きなみんなの声。

かつて「魔女」と呼ばれた少女は、今、ただの「ミカ」として、この眩しい光の中に溶けていく。

 

「明日も、またみんなでここに来ようね。約束だよ?」

 

私の言葉に、みんなが力強く頷いてくれる。それだけで、もう十分だった。私が守りたいものは、この優しい日常の中に、全部詰まっているのだから。

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