全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。   作:雨糸雀

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61. 一切無我Ⅲ

「ふんだっ、アンゼのばかばか。自分は一番最後でいいですーみたいな顔して、ほんとは聖女全員でウォルカを狙ってるんでしょ。後援者(パトロン)になったからって調子に乗ってるんでしょ。私は絶対許さないからね」

「そ、そのようなことはありませんから……」

「ほらリゼルさん、行きますよー」

「ばかばかばかぁぁぁ」

 

 ぷっくりふくれ面のリゼルを引っ張って、ユリティアは〈アルナスの塔〉いずこかの回廊をみんなと進んでいく。

 

 アンゼ曰く、ここはちょうど塔の真ん中あたりに位置する階層らしい。窓がなくてよかった、とユリティアはこっそり安堵している。聖都のどの建物と比べても桁外れに背高のっぽな塔だから、たとえ真ん中でも相当な高さなのは想像に難くない。ユリティアはふと、ここに地上を一望できる巨大な窓があったらと考えて――あまりの高さにぶるりと背筋が寒くなったのでやめた。

 

「重ね重ね、大変申し訳ございませんでした。この老骨めの言葉が足りなかったばかりに……」

「たしかに言ったけど! ウォルカの行き先は聖処だって言ってたけどぉ!」

 

 いつまで経っても機嫌が直らないリゼルに、老執事ヴァインリッヒの謝罪も回数を増すばかりだった。転移した途端ウォルカと離れ離れにされたのだから、過保護なリゼルにとっては相当な一大事だったことだろう。ここが絶対的な安全を保証されている大聖堂だからこそ、こうしてぷんすかとヘソを曲げる程度で済んでいるのだ。

 

 もし〈アルナスの塔〉が大聖堂の聖域ではなく、魔物の蔓延(はびこ)る危険なダンジョンだったら――リゼルはもちろん、ユリティアもアトリも誰ひとりとして正気ではいられなかったはずだ。

 

 それで、今はどこに案内されているのかといえば。

 

「ねえ、ボクたちの相手って誰? 強いの?」

 

 ウォルカが戻ってくるまでの間、なにもお茶でも飲みながら待っていろと言われているわけではない。アトリが尋ねたとおり、今日はユリティアたちにも『特別な』鍛錬の相手を手配してもらえているのだ。

 

 アンゼが前を歩きながら頷き、

 

「はい。〈アルスヴァレムの民〉であるアトリさまにも、きっとご満足いただける相手です」

「ふーん……」

「ただ、今の騎士隊は様々な対処に追われていますから……申し訳ありません、お時間としては一時間程度になってしまうと思います」

 

 それはそうだろうな、とユリティアは思う。きっと〈ルーテル〉へ生存者捜索の部隊を派遣したり、他の街の防衛網を強化したり、高々十三歳のユリティアごときには想像もできない事態となっているはずだった。

 

 吸血鬼(ヴァンパイア)

 

「……」

 

 正直ユリティアは、今この国でなにが起こっているのかを未だによく理解できていない。情報として頭の中に入ってはいるものの、それを現実の出来事として捉え直せていない。街ひとつが魔物に滅ぼされるなど、ユリティアは歴史の本の中でしか聞いたことがなかったからだ。

 

 かつてお世話になった〈ルーテル〉の人々が、みんな魔物に殺されたかもしれない――到底実感など抱けるはずもない。いくらなんでも現実味がなさすぎて、どこか遠い異国の話に聞こえてしまう。無意識のうちに目を背け、きっとなにかの間違いだと強く思い込もうとしてしまう。

 

 ――だがおそらく、ウォルカだけは違う。

 

 ユリティアたちの中でウォルカだけは、それが紛れもない現実だと微塵も目を背けていなかった。〈ルーテル〉の人々が殺されたのだと、臓腑まで食い込むほどの苦痛とともに理解していた。

 

 否――目を背けることなど、できなかったのだろう。理解する以外になかったのだろう。

 

 怒りの言葉ひとつなく失意に沈む姿は、かつて同じ苦しみを現実として味わったかのようで。

 痛みで立てなくなるまで剣を振り続ける姿は、まるで過去の幻影を振り払おうとするかのようで。

 

 ――ウォルカは間違いなく、この世界で多くの命が奪われる瞬間を目にしている。

 

 それこそが、彼の心を蝕む失意と憎悪の根源。目の前で涙を流す誰かのために、自分の命すらなんの躊躇いもなく懸けてしまえる理由。

 

 ウォルカは決して、誰も彼も守りたいという高潔な志を掲げているのではない。

 もう二度と繰り返したくないと歯を食いしばり、傷だらけになりながら足掻いているだけなのだ。

 

 それがわかってしまうからこそ、ユリティアたちは途方もない想いで心も体も――

 

「こちらです」

 

 いつの間にか目的地に到着していた。ヴァインリッヒが開けた扉の先で待っていたのは、

 

「――む、来たか」

 

 色濃い金髪を力強くなびかせる、炎のように凛々しい後ろ姿の女性だった。

 予想外の人物だったせいで、名前が出てくるまで数秒かかった。

 

「えっと、たしか……ベルさん?」

「おや、覚えてもらえていたとは。光栄だよ、ユリティア殿」

 

 ウォルカがまだ大聖堂に入院していた頃、ロッシュの上官のようなものだと名乗っていたあの女騎士だ。ヴァインリッヒが銀の懐中時計で素早く時間を確認し、

 

「早かったですね」

「ああ。あれを助けてくれ、これも助けてくれと部下がうるさくてな。面倒だったからさっさと逃げてきた」

 

 大変な状況に右往左往する部下を見捨ててきた――としか聞こえなかったが、自分勝手で薄情な印象は不思議とまったく受けない。それどころか周囲に容易く流されず、堂々と己を貫く強者の風格すら漂わせている。

 

 最初会ったときにも感じていたが、

 

(はわぁ……やっぱりカッコよくて綺麗だなあ。わたしもこんな大人になりたい……)

 

 背が高くて凛々しくてカリスマがあって、しかし威圧的な空気は感じずちっとも怖くない。こうして正面に立っているだけで、じんわりとした熱気に守られるような安心感すら覚える。頭のてっぺんから足の先まで、すべてがユリティアの思い描く理想のオトナの具現化だった。

 

 そんなオトナな女傑が待っていたのは、やけに簡素な小部屋だった。物がほとんどなにも置かれておらず、どういった目的で使う部屋なのかまるで判然としない。応接室には見えないし、よしんば訓練場など以ての外だろう。この程度の広さでは、アトリがハルバードを振り回すだけであっという間に一面ズタボロになってしまう。

 

「今日は、お忙しいところありがとうございます」

「構わないさ。私の部下が相手だと、どいつもこいつも震え上がってまるで手応えがないからな」

 

 アンゼに一礼し、ベルは凛とした笑みでこちらを見据えた。

 

「半人の魔法使い、『抜刀術』の後継者、そして――〈アルスヴァレムの民〉」

 

 その戦闘民族の名を口にするや、瞳の奥にどこか人恋しげな追憶が混じった。

 

「懐かしいな……四十年くらい昔に、同じ出身の女戦士と戦ったことがある」

「……そうなんだ」

 

 アトリは少し驚いていた。故郷を離れて流浪の旅に出る者も多いというアルスヴァレムだが、そもそもが少数民族なので同胞の武勇を聞く機会は多くない。ユリティアも、アトリ以外のアルスヴァレムについて耳にするのははじめてだった。

 

「その人の名前、覚えてる?」

「ああ。強く、そして気高い女傑だった。名は『キリシャ』と」

「……!?」

 

 今度は『少し』どころではなかった。目を見開いたアトリは思わず一歩前に出て、

 

「おばばと戦ったの……!?」

「おばば?」

 

 それは〈アルスヴァレムの民〉の現族長であり、アトリにあらゆる戦いの術を教え込んだという女性の愛称だった。同時にユリティアとしては、押し倒してひん剥くだのなんだのと、アトリに変な知識まで植えつけてくれた元凶でもあるのだが――それはまあさておき。

 

 アトリから話を聞くときはいつも『おばば』だったので、キリシャという名前はユリティアも今はじめて知った。

 

「ボクたちの族長。今はもうおばばだから、故郷でのんびりしてるけど……」

「ほう――はっはっは、そうか! まさか彼女が人の上に立っているとは……当時は、魔物の屍の上に立つのがなによりも似合う御前だった」

 

 でまかせを言っているようには見えない。アトリは続けて尋ねる、

 

「……戦って、どっちが勝ったの?」

「私だ」

 

 絶句、

 

「……と言いたいところだが、実は丸一日戦い続けても決着がつかなくてな。周囲の地形が変わり果ててこれ以上はさすがにいかんとなって、しょうがないから最後はじゃんけんで決めた」

 

 じゃんけん。

 

「それで私が勝ったわけだな。無論私も、あれで本当にキリシャ殿を負かしたとは思っていないさ」

「……ほんとに、戦ったんだ」

 

 そこでふと、あれ? とユリティアは心の中で首を傾げる。さっきこの人、おばばと戦ったのが四十年前と言ったような。どこからどう見ても二十代の半ばで、三十とも見積もろうものなら失礼に当たりそうなくらいなのに。

 

 ちょうどリゼルも同じことを不思議に思い、

 

「四十年前って……まさかおぬし」

「ああ、貴殿と同じ半人だ。これでも、歳はそこのヴァインリッヒ殿と同じくらいだよ」

 

 つまり、この若さでもざっくりと六十代。四十年前は、ちょうど今の見た目通りのおねえさんだった頃というわけだ。

 

「わしと同じ半人で、わしより年下で……でもわしよりでっかい……背も、胸も、なにもかも…………」

 

 ああ、完全敗北を喫したリゼルがダークサイドに。

 しかしリゼルの背中から立ちのぼる黒いオーラも、ベルの爽涼とした笑顔を崩すには至らなかった。

 

「さて、早速始めようか。アンゼ」

「はい」

 

 アンゼが部屋の中央に移動し、両手を祈りの形に変える。小さな部屋に白く清らかな魔力が満ちていき、いったいなにをするのかとユリティアが疑問に思った直後、

 

 ――空間が、()()()()()()

 

「「「……!?」」」

 

 ユリティアたちは息を呑んだ。まるでパズルを組み換えるような波動が半球状に広がり、小さく簡素だった部屋がみるみる違う空間に変化していく。壁が消失し、霧でできた幻影を押しのけるように奥へ奥へと広がって、ここが塔の内部だとは到底信じられないほど広大なフロアが姿を現す。

 

 もちろん、まっさきに声をあげたのはリゼルだった。

 

「空間魔法……!」

 

 ユリティアたちが先ほど体験した転移魔法よりさらに高位――空間に干渉してありもしない場所を生み出したり、逆にあるはずの場所を覆い隠したりしてしまう技術。人間が扱える魔法としては最上位クラスに相当し、一部〈保管庫(ストレージ)〉などの例外を除いては、何十人という一流の魔法使いが何ヶ月もかけて膨大な術式を構築しなければならないといわれる。

 

 だが、魔法で部屋を広げるにしたって限度がある。広いなんてもんじゃない。広すぎて、こんなのはもはや『部屋』と呼べるような規模ですらない。いまユリティアたちの目の前に現れた空間は、塔本来の敷地面積をも明らかに上回っているとしか思えなかった。

 

「アンゼ……今の魔法はなんじゃ。神聖魔法なのか?」

 

 リゼルの表情に浮かんでいるのは、驚愕というよりも疑念に近かった。それはアンゼが今、魔法使いの常識から外れた魔法を行使したという証左でもあった。しかしアンゼもまた尋ね返すように、

 

「えっと……はい、そうだと思いますが……?」

「なんじゃそれ。自分でわかっておらんのか?」

「――この場所は、アンゼや私が生まれるよりずっと昔からあるものだよ」

 

 答えを引き継いだのはベルだった。あいかわらずなんの迷いもない口振りで、

 

「代々の聖女や聖騎士が、人目のある場所ではおいそれと使えない魔法を訓練するための空間だ。聖女の魔力を鍵にして起動するようだが、いわゆる教会の秘術というやつでな。全容を知るのは、おそらくアルカシエル様だけだろう」

 

 アンゼもこくりと頷き、

 

「わたくしも、あくまで起動方法を教わっているだけに過ぎません。なんでも遥か昔に、教会と縁のある方が協力してくださったそうですが……」

「……でも……それにしたって…………」

 

 リゼルが難しい顔で考え込んでしまう。ユリティアはただただ「すごい」と圧倒されるばかりだが、〈魔導律機構(マギステリカ)〉で学者を務めた経験も持つ大魔法使いは、この空間魔法になんらかの違和感を覚えているらしい。

 

 しかし、朗らかな雰囲気の中で会話できたのはそこまでだった。

 

「まあ、神の奇蹟とでも思っておいてくれ。すまないが、二時間後には任務が控えていてな」

 

 ベルが白いファーのついたマントを脱ぎ、アンゼに向けて軽く放って――極めて好戦的な笑みを剥いた。

 

「――なんでも、私のウォーミングアップに付き合ってくれるそうだな」

 

 空気が震えた。

 完全に脊髄反射だった。ユリティアもリゼルもアトリも、その瞬間即座に武器を構えて全身で緊張状態に入っていた。

 

 ただ、手合わせの意思表示として軽く闘気が放たれただけ。

 

 たったそれだけでユリティアは、煌めく無数の火の粉が空間の隅々まで走り抜けていくのを感じた。たとえるなら、炎が天地すべてを呑み込む寸前の臨界状態を目の当たりにしているような。あまりの熱気に肌が痺れ、全身から玉の汗が噴き出るほど圧倒的な力の奔流だった。

 

 やっと確信が持てた。あのロッシュに剣を教えたという女傑が、いったいどれほど名のある実力者なのか。

 

 そして、この場にいる騎士はもう一人。

 

「三人に一人では鍛錬の密度が分散してしまいますから、わたくしもお手伝いいたしましょう」

 

 老執事、ヴァインリッヒ。

 

 空気が悲鳴をあげるほどの闘気の中、彼はなにひとつ変わらない流麗な所作で一礼する。ベルとはまるで対照的だった。ベルがどこまでも天高く燃え盛る(ほむら)であるなら、この老人はどこまでも広大に佇む静かな湖面のよう――されど、年老いた分だけベルより見劣りするとは冗談でも考えられない。

 

 なぜなら湖面を覗き込めば、得体の知れない真っ暗な深淵だけが広がっているのだから。

 

「全力で来るといい。怪我はアンゼがすぐに癒してくれる」

 

 ベルはその燃える瞳にわずかな優しさをにじませ、

 

「これは私の勝手な見立てだが……ウォルカ殿は、今日を境にさらに数歩先へ行くだろう。彼とともに在りたいのなら、貴殿らもなりふり構ってはいられないぞ」

 

 ――ベルの推測は、おそらく正しい。この日全身全霊で剣と向き合ったウォルカは、十中八九、一切の迷いを捨てて己の行くべき道を見定めるだろう。剣とともに歩んできた彼が、これからも剣とともに進み続ける覚悟を完全に固めるだろう。

 

 だからユリティアたちも、進まなければならない。

 

 恐怖はある。進んだ先でウォルカの命がまた危険に晒されるかもしれないと思うと、体が震えて今にも涙がこぼれそうになる。本当は言ってあげたいのだ――もう無理しなくていいんです、先輩は休んでいいです、代わりにわたしたちが戦いますからと。

 

 けれどその言葉は、彼にとってなんの気休めにもならないはずだから。

 ただ背中に縋りついて涙を流すだけでは、あの人は決して救えないと思うから。

 

 剣を強く握り直し、構えた。

 

「本気で、行きます……!」

「ああ、来い」

 

 肌が焦げつくような熱気の中で、二人が名乗った。

 

 

「改めて名乗ろう。私はベルフレア――聖騎士ベルフレアだ」

「僭越ながらわたくしも。――聖騎士ヴァインリッヒ、お相手を務めさせていただきます」

 

 

 迷いを捨てるためにはどうすればよいか、単純明快な方法がひとつだけ存在する。

 考えている暇など一秒としてありはしない、極限の状況下に身を置くことだ。

 

 

 

 /

 

 用事を済ませたディアが一番奥の寝室を訪ねてみると、ウォルカとアルカが同じベッドの上で隣同士に眠っている。リビングに姿が見えない時点でおおむね予想はしていたが、

 

「あー、やっぱりこうなるのかぁ」

 

 ディアは苦笑する。アルカの寝室へウォルカをけしかけるに当たって、ディアは二つの異なる展開を予想していた。

 

 ひとつ。さすがのアルカも自分の寝室に異性を入れるのは恥ずかしくて、いそいそとリビングに場所を変える。

 ふたつ。寝室で男と二人きりだろうがまるでお構いなし、いつも通り眠そうな顔で事を進める。

 

 前者だったらおもしろいなーと思っていたのだが、残念ながら当てが外れたようだ。教会随一のぐうたらお姫様は、こんなときでものんびりだらだらと平常運転である。

 

「おーい、アルカー」

「んんぅ……なによぉ……」

 

 ベッドまで近づいて肩を揺すると、アルカはとても嫌々としながら重いまぶたを持ち上げた。ディアは横のウォルカを指差し、

 

「ウォルカ様、どんな感じ?」

「知らないわよ……好きにやらせてるわ」

「えー、もったいない。なあなあ、おれもちょっとだけ夢の中に……」

 

 物は試しにとそう尋ねてみたら、だいぶ冷ややかな眼差しが返ってきた。

 

「あのね……この人に思う存分集中させてあげたいって、アンゼですら身を引いてるのよ。あの子に恥ずかしくないの?」

「うぐ……だ、だって気になるじゃん。本気出したウォルカ様がどんくらい強いのか……」

「いや。今日はもう疲れた」

 

 もそもそ寝返りを打ち、取りつく島もなくディアに背を向けてしまう。ちぇー、とディアは頬を膨らませた。ウォルカとロッシュの本気の戦い、見てみたかったのに。

 

 ベッドに腰掛け、部屋の時計を見遣る。ウォルカがここにやってきてから、もうすぐ二時間ほどが経過しようとしている。

 

「二時間か……あの二人なら、まだまだ時間が経ったうちにも入らないって感じかな? まさかこのまま夜まで戦ってたりして」

「……ああ、もう半日以上経ってるわよ」

 

 は? とディアは斜め後ろを見下ろす。アルカはあいかわらず背を向けたまま、

 

「だから、向こうではもう半日以上経ってるの。夢の中だもの……わざわざ現実と同じ時間の流れにする必要、ないでしょ」

「ああ、そういうこと……え? じゃああの二人、もう半日ぶっ続けで戦ってるの?」

「ぶっ続けかは知らないけど……まあ、ほとんど休んでないんじゃない?」

「け、剣バカ……」

 

 ディアは呆れた。ウォルカの剣バカぶりはかねてより耳にしていたけれど、まさかこれほどとは。いくら夢の中だからって、本気の聖騎士相手に半日以上もぶっ続けで戦える一般人がどこにいるというのだろう。

 

 アルカはディアを追い払うように手のひらを振って、

 

「たぶん、まだしばらく戦ってるでしょ……ほら、あたしはもう少し休むから、」

 

 いきなりだった。

 

「――んっ」

「え」

 

 アルカの体がぴくりと震え、ちょっといかがわしい感じの変な声を出した。ディアは言うまでもなく、アルカ自身も自分のそんな声に驚いた様子だった。彼女にしては機敏な動きで起き上がり、

 

「……ちょっと待って」

 

 隣で眠るウォルカを覗き込む。ベッド中に散らばった髪が淡い光を帯びる。するとその表情にみるみる理解不能の感情が広がっていって、

 

「ちょっと……なにやってるの、あの人」

「ア、アルカ?」

 

 珍しく、想定外の事態に動揺する口振りだった。

 

「なに、これ。こんなのどうやって――ん、んんっ」

「アルカアルカー」

「ちょ、やめっ……! うそでしょ、あの人……()()()()()()()()()、」

「おーい」

「待って――じゃあ〈()()()()()()()()()()()()()――」

 

 どうにもさっぱりわからないが、ともかくウォルカがアルカも予想していなかった『なにか』をやらかしているらしい。

 

「ああもうっ」

 

 アルカの体からふっと力が抜け、ベッドに倒れる。夢の世界に入っていく。

 

 

 

 ――そして、アルカは()()を見た。

 

 金の光爆と、銀の雷光。天地を埋め尽くしながら絶えず閃き、斬り払い、炸裂し、両断し、形が保てなくなっていく世界の中を物ともせず、縦横無尽に肉薄し合う二つの光。

 

 聖剣を開放した全力の聖騎士相手に、なんの変哲もない剣一本で真っ向渡り合うその背中。

 

 一切無我。

 

 見る者の心まで焼き焦がすような、白い魂の煌めきを。

 

 

 

 /

 

 飛び起きた。

 

「ひゃあああああっ」

 

 飛び起きた瞬間、横から誰かの素っ頓狂な悲鳴と、どすんと椅子から転落したような鈍い物音が聞こえた。

 

「ッ!、……あ、あれ?」

 

 俺は前のめりになりながら周囲を見回す。部屋。ベッドの上。なにが起こったのか咄嗟に理解できず固まっていると、

 

「いったぁい……」

 

 横を――正確には、横を向いてからさらに下を見た。

 ディアが、ベッドから落ちて涙目で脇腹をさすっていた。

 

「……ディア、大丈夫か?」

「!」

 

 とりあえず声をかけてみると、ディアはバタバタと慌ただしく立ち上がって、

 

「いきなり飛び起きるな! か、顔ぶつかるとこだっただろ! ばかっ!」

「お、おぉ……ご、ごめん?」

 

 俺はともかく状況を理解しようとする。ついさっきまで夢の中でロッシュと戦っていたはずなのだが、どういうわけか現実世界に戻ってきてしまったようだ。記憶にあるとおりのアルカシエルの寝室であり、隣にはアルカシエル本人の姿もあり、

 

「……アルカシエル?」

「……なに?」

 

 様子がおかしい。

 

「その……大丈夫か?」

 

 なんだがアルカシエル……ちょっと呼吸が乱れてない? 顔も微妙に火照ってるような……。

 

「なんでもない」

「でも……」

「なんでもないってば」

「……、」

「なんでもないって言ってるでしょ」

 

 鮮やかな三段活用をいただいたのち、追及したらコロス、とでも言わんばかりに辛辣なジト目で睨まれてしまった。な、なんだなんだ。いったいなにが起こったんだ?

 

 ただひとつだけ確かなのは、夢の時間が終わってしまったということだろう。そこまで理解するなり俺の体から気が抜けていって、いささか不完全燃焼なため息がこぼれた。そうか……まだ勝負がついてなかったんだけどな。

 

 ディアがベッドの縁に座って、

 

「アルカの夢から自力で起きたやつなんて、はじめて見た。なにやってたんだ?」

「いや、俺も起きようと思って起きたわけでは……」

 

 なにも変なことなどしていない、俺はひたすら遮二無二戦っていただけだ。よって、これは十中八九ロッシュのせいだろう。振るった軌道に沿ってめちゃくちゃな光爆を発生させる剣って、なんだありゃ。教会から使用を制限されているのも納得というか……あんな反則同然の武器を振り回したら、そりゃあ夢の世界だって耐えきれずに崩壊するわけである。

 

「そっか……なあアルカ、もう一回やり直したりとか」

「いや」

 

 即答だった。アルカシエルはつっけんどんにそっぽを向いて、

 

「いやよ。今日はもう疲れたって言ったでしょ」

「あー……ごめんウォルカ様。アルカって、見ての通りほんっと体力なくてさ」

 

 うん……だろうな。彼女と会うのは今日が二回目だが、空飛ぶクッションなりベッドなりいつもなにかしらに寝そべっていて、歩いているところはおろか背筋を伸ばしている姿すら見たことがない。この聖女様、五十メートルを走らされたら半分も行かないうちに天へ召されるのではないか。俺が今まで出会ってきた人間の中で、間違いなくぶっちぎりの究極インドア少女であった。

 

「……はあ。()()()()何回もやられたら、こっちが変になっちゃうわよ……」

「……? ごめんアルカ、もう一回」

「なんでもない」

 

 ディアがこっちを見る。ごめん、俺もよく聞こえなかった。

 とはいえ、たぶん「もう付き合いきれない」みたいなことを言ったのだと思う。

 

「……大丈夫だよ。ありがとう、こんな忙しいときに」

 

 もちろん、聖都がいつ吸血鬼(ヴァンパイア)に襲撃されるかもわからないこの状況で、もっと俺のために時間を費やせなどと言うつもりはない。勝敗がつかなかったのは少し心残りだが、『思うがまま剣を振って余計な感情を断ち切る』という目的はちゃんと果たせたのだから。

 

「――……」

 

 右手を見つめながら思い出す。流れの妨げになるものが一切取り除かれ、剣と意識が完全にひとつとなっていくあの感覚。音もない真っ白な世界だけが広がって、あたかもふっと息を吸うように、己のすべてが剣へ自然と傾いていくあの境地。

 

 こういうのをもしかして、明鏡止水、無念無想などと人はカッコつけて呼ぶのだろうか。

 

「……な、なあ、ウォルカ様」

「ん?」

 

 ふと見れば、ディアがいつの間にやら挙動不審に陥っていた。そわそわ落ち着かない様子でしきりに視線を泳がせながら、

 

「今のその感じ、あんまり人前では出さない方がいいと思うなっ。なんかオーラが……圧倒されるっていうか、息がしづらいっていうかさ……」

 

 なんだと……それはいかん。圧倒されて息がしづらい――つまり威圧的で怖いってことじゃないか。ただでさえ眼帯の影響で見た目の厳つさが上昇しているのに、雰囲気までラムゼイみたいになってしまっては目も当てられない。

 

 これでユリティアやルエリィに怖がられて距離を置かれてみろ、俺は明日から部屋に引きこもるぞ。

 

「わかった、気をつけるよ」

 

 だが裏を返せば、与えてもらった時間をしっかり血肉にできたということでもあろう。

 

 うん……大丈夫だ。

 ちゃんと、腹を括れたと思う。

 

「――これ、アンゼ大丈夫かなあ。もし目の前で食らったら足腰立たなくなるんじゃ……」

「知らないわよ……あたしのせいじゃないからね」

 

 二人にひそひそ話をされて俺は泣いた。男ってそういうの結構傷つくんだからな!

 

 

 

 さて、その後は師匠たちと合流しようとしたのだが、どうやら一足先に鍛錬を終えて病棟エリアの方へ向かったらしい。かなり汗をかいて身嗜みも汚れてしまったため、着替えるついでにシャワーを借りに行ったのだとか。

 

 〈アルナスの塔〉をあとにし、大聖堂の中庭に出たところで俺はふと空を見上げる。

 

 今朝宿を出発したとき、俺の頭の中は様々な感情で雑音まみれだった。それが今は、裏表をひっくり返したような静寂で満ちているのがわかる。心の焦点がはっきりひとつに定まって、あちこちにブレてばかりだった視界がクリアに広がっていくのを感じる。

 

 ――結局なにをどう思い悩んだところで、俺にできるのは剣を振ることだけだ。

 

 原作のストーリーがどうとか、これからの未来がどうとかはまったく関係ない。この世界がとっくに原作の筋書きから外れているとわかったとして、だからどうしたという話でしかない。それがわかったところで未来を予知する超能力に目覚めるわけでもないし、過去を改変できるチート能力が手に入るわけでもない。「自分で足を動かすしかないんだ。そうしなきゃなにも守れない」――ラムゼイの前でそう偉そうな口を利いていたのは、いったいどこのどいつだっただろうか。

 

 悩むだけで強くなれるのなら誰も苦労しない。

 ないものねだりで前へ進めるのなら誰も悲しまない。

 ごちゃごちゃと足に絡みついてくる感情など、ひとつ残らず蹴り飛ばして火にくべてしまえばいい。

 

 ふと、グレンのことを思い出す。たぶん、俺とあいつは似ているのだと思う。俺たちに、クソッタレな現実をなにもかも覆せるほど都合のいい力なんてありはしない。どんなに血のにじむ研鑽を重ねたところで、どんなに悲劇が起こってほしくないと願ったところで、俺たちにできるのはただ、剣を振るって敵を倒すことのみ。

 

 たとえひとつの運命を変えた結果、巡り巡って別の運命が歪んでしまうとしても。

 

 今までもこれからも、そのとき目の前の現実がどれほど理不尽であろうとも――ふざけるなと歯を食いしばり、目を見開いて、最後まで力の限り足掻き続けていくだけなのだ。

 

 ……気づいてみれば、単純なことだったな。

 今ならグレンとも、一言二言よりは多く言葉を交わせる気がする。やっぱり、いつかはちゃんと礼を言いたいな――そう思いながら俺は再び歩き出し、

 

 ――ぞ、と冷たい気配。

 

「……!」

 

 振り向く。東の方角。殺気と呼べるほど物騒ではないが、くすくすと笑いながら人の喉元を指でなぞるような、友好的というにもいささか悪趣味すぎる視線だった。

 

 一瞬だった。振り向いて感覚を集中させようとしたときには、もう嫌な冷たさは霧散して陽射しの暖かさを感じるだけ。それらしい何者かの姿はどこにも見えず、シスターや人々が自由に行き交う普段通りの風景が広がっている。

 

「……?」

 

 ……気のせいだったか? 全力で戦ったときの感覚がまだ抜けきっていなくて、そのへんの気配を大袈裟に捉え違えてしまったのだろうか。

 

「――あ、ウォルカさんだ! おーい、ウォルカさーんっ!!」

 

 シアリィの声が聞こえた。

 

 こっちは気のせいではなかった。二人で散歩でもしていたのだろうか、病棟の方向から小走りで駆け寄ってくる姉妹の姿。シアリィは弾けんばかりの笑顔でぶんぶんと手を振っていて、ルエリィは「ねえさま、声が大きすぎるのですっ……!」とちょっと恥ずかしそうにしている。

 

 そんな二人の元気な様子に引っ張られて、俺は今しがたの視線についてこれ以上の考えを打ち切った。魔物ではなかったし、殺気や害意の類でもなかったから大丈夫だろう――そう思って。

 

「こんにちは、二人とも。実は師匠たちがこっちに――」

 

 のちに俺は、今さら原作の筋書きについてああだこうだと悩む無意味さを改めて思い知ることとなる。

 

 妙な気配を感じて振り向いた――たったそれだけのことで、俺の知るストーリーがまた大きく変わってしまったのだから。

 

 

 

 /

 

「――すごい、すごいわ! こんな距離から私の視線に気づくなんて! びっくりしちゃった!」

 

 ――ウォルカが感じた視線の正体は、吸血鬼(ヴァンパイア)ナスティーシャだった。

 

 そこは聖廷街(せいていがい)豊穣街(ほうじょうがい)の境界付近にある、観光客向けの緑豊かな展望台だった。丘の上から聖廷街(せいていがい)を広く一望できるこの場所で、ナスティーシャは本日の『殿方探し』に勤しんでいたのである。

 

 なぜ吸血鬼(ヴァンパイア)の彼女が易々と聖都に侵入できているのか、もちろんこれにはカラクリがある。彼女の左手で光る小さな指輪が、吸血鬼(ヴァンパイア)の気配を打ち消して人間に見せかけているのだ。あとは目の色とわずかに尖った耳の形だけ魔法で隠せば、見た目は完全な人間として振る舞うことが可能となる。

 

 そんじょそこらの指輪ではない。吸血鬼(ヴァンパイア)の現王である『ストラおじさま』が、ナスティーシャのために自らの力を封じて作ってくれた一品物だ。父と袂を分かつとき、この指輪を無理やり取り上げられなかったのは幸運だった。

 

 今は聖都の状況が状況だからか、展望台に他の観光客は一人もいない。それをいいことにナスティーシャは傘を弾ませ、挙句はその場でくるりと回ったりしながら大はしゃぎしている。

 

「私の姿には気づかなかった……そうよね、これだけ距離があるんだもの。なのに、ふふふ、いったいどうやって気づいたのかしら!」

 

 ウォルカが彼女を見つけられなかったのも無理はない。ナスティーシャが巧妙な身隠しの術を使っていた――のではなく、そもそも常人の視力で見つけるには遠すぎるのだ。なにせこの展望台からは、大聖堂の広大な敷地が拳くらいのサイズにすっぽり収まって見えるのだから。

 

 この場所から騎士や冒険者を次々と観察し、時には注視して実力を探ることおよそ百人。聖都に入り込んだ日からカウントすれば、すでに千人以上の人間を片っ端から品定めしていた。

 

 そしてナスティーシャは、ようやく見つけたのだ。

 

「ああっ、思い出しただけでもぞくぞくしちゃう……()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 正直、はじめはほとんど期待していなかった。右目の眼帯だけならまだしも、左足の義足は戦士として致命的な深手だ。仮にあの人間が名のある冒険者だったとしても、それはとうに終わった過去の話であり、現在は戦えなくなって魂が抜け落ちた状態なのだろうと決めつけていた。

 

 そして目が合った瞬間、その認識を根底からひっくり返された。

 

 ウォルカはナスティーシャに気づかなかった。ゆえに目が合ったというよりは、偶然視線の向き先が交差しただけというのが正しい。それだけだったはずなのに、ナスティーシャははっきりと幻視したのだ――どこか神聖な森の奥深くで、不思議な形の祠に納められた一振りの刀身を。

 

 それは、相手の力量が視覚的なイメージで具現化する感応現象。特に実力ある相手であればあるほど、ふとした瞬間がトリガーとなって強制的にイメージを()()()()()()場合もあるという。

 

 まったくの別世界だった。そよ風とともに肌を撫でていく新緑の香りや、苔を濡らす白露の質感すらありありと感じ取れるほどの。深い緑で覆われた空間の中央には古い祠があって、どこか異国の装飾だろうか、正面にかけられた縄からはギザギザした複数の紙が垂れ下がっていた。

 

 その剣は、見た目はなんてことのない質素な一振りだった。

 

 緩やかな反りのある片刃の剣。宝物を思わせるきらびやかな装飾や、聖剣や魔剣のような存在感はまるで感じなかった。岩に叩きつければへし折れてしまいそうな細い剣が、ただ静かに納められていただけ。

 

 だがその剣は、美しかった。

 

 斬るために不要なものをすべて削ぎ落とし、ひたすら『剣であること』だけを研ぎ澄ませたような白い静謐――まさしく純一無雑の輝きを心に食らわされて、ナスティーシャはすっかり夢中になってしまったのだ。

 

 頷く。

 

「うん、決めた。あの人にしましょう!」

 

 眼帯も義足も関係ない。あれが怪我で落ちぶれた剣士であるはずがない。自分が嫌いな父に従ってこの国へやってきたのは、きっとあの人と出会うためだったのだと強く確信した。

 

 あの剣と、戦いたい。

 あの剣を斬って、あの剣に斬られて、お互いの鮮血を交わしながら深く深く愛し合うような時を過ごしたい。

 

「待ってて。時が来たら、私から会いに行くから」

 

 本当は今すぐにでも飛んで行きたいくらいだったが、聖都の中で事を起こしては邪魔者が多すぎる。あちこちから騎士や冒険者が飛んでくるだろうし、場合によっては聖女様まで介入してくるかもしれない。興味のない連中がいちいち横槍を入れてくるのでは、あの人とかけがえのない思い出を作るなど夢のまた夢だろう。

 

 それに、いま騒ぎを起こせば父の怒りを買うことにもなる。だからまずは、誰にも邪魔されない最高の舞台を整えなければ。

 

 自分は父のようにつまらない策を弄したりしない。時が満ちたらこの身ひとつで会いに行って、この想いをちゃんと自分の言葉で熱烈にアプローチしよう。

 

 そう誓って、ナスティーシャはウォルカを見つめながら一心に微笑んだ。

 

 

「だからそのときは、たぁっくさん(あい)し合いましょうね?」

 

 

 ――誰もが、災いは外からやってくると思い込んでいた。

 

 それが当たり前だった。〈聖導騎士隊(クリスナイツ)〉はその前提で砦や防御壁の守りを強化していたし、周囲の街からは避難民がひっきりなしに駆け込んできていた。聖都に逃げ込みさえすれば、ひとまずは災いを遠ざけられる――そう考えない者は一人としていなかったのだ。

 

 騎士たちはよくやった。聖都の防衛網強化から避難民の護衛まで、誰もが休む間も惜しんで事に当たっていた。しかしただでさえ広大な聖都において、都市の内外を問わず絶え間ない任務に追われ続ければ、そこにはどうしても手の行き届かない空隙が生まれる。

 

 人知れず街へ入り込んでいたのは、ナスティーシャだけではない。

 

 〈ルーテル〉の壊滅からおよそ一週間。ひょっとしてこのままなにも起こらないのではないか、敵はすでに立ち去ってくれたのではないかと人々が淡い希望を抱き始めていた頃。

 

 災いは、()()()()()()()()()()()

 




Tips:『ウォルカ』
 剣を振るうたび強くなっている……というよりは、〈摘命者〉撃破時の自分をだんだん思い出していっている状態。剣のことを考えるだけでオーラ発生⇒周りの脳を焼きそうになる程度には、今回の鍛錬でかなり近いところまで行った模様。

Tips:『ナスティーシャ』
 殺し愛系吸血鬼。『原作』ではグレンを追いかけ回していたが、この世界では晴れてウォルカをロックオンした。もう逃げられないぞ。


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