僕と猫。   作:大野 紫咲

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あとがき

 こんにちは、作者のマルメロです。

 文披31題『僕と猫。』の連載をここまでお楽しみ頂き、誠にありがとうございました。

 途中で著しく体調を崩し休止に追い込まれた事もありましたが、その後何とか完結まで書き切ることができました。

 

 猫を飼ったことがない身でありながら、物語の中で程よい猫ちゃんの登場と戯れのシーンを入れなければならない事に地味に苦労しておりましたが、ふとした癒しを感じていただければ嬉しく思います。

 生き物を飼うって、本だけではどうしてもわかりませんよね。

 実はこの物語の初期段階では、「愛理は本当は猫なんか飼っておらず、自分の中の妄想及び物語の中の猫と暮らしていた」「猫が本物ではなく虚構の存在であるというオチが、物語の最後で明かされる」という構想に基づいてお話を練っておりました。

 が、猫飼いハンドブックを見ていると、当然猫にはご飯もおもちゃも要るし病院に連れて行く必要もあるので、そのあたりの描写により、そこに係る人々との会話や物語の広がりというものが出てきてしまいます。そうなると愛理は猫も飼ってないのに動物病院へお邪魔したりキャットタワーを買ったりする危ない人になってしまうので、早々の段階でこの構成はボツになりました。

 真夏のホラーになるところだったね。

 

 そして、どんなに短編にしようと決意しても最終的に字数が増えてしまうのがマルメロマジックなのですが、今回の連載でも、懐かしいあの人もこの人もと欲張った結果、後半が恐ろしい字数になり、自分で自分の首を絞める事になりました。

 1話5000字以内が目標だったんですけど、無理でした←

 でも、その分麗や美沙や誠にも、狭い紙面でありながら想像以上の深みが出たと思うので、よかったかなと思っています。

 私の作品を読んだ事ある方向けに更に恐ろしい話をすると、初期構想ではここに直生くん達や結衣ちゃん達も出てくる予定でした。ただでさえ心身をギリギリまで削って書いてたので、これ以上キャラ足してたら終わりだったというか、一ヶ月なんかで足りてないような気がします。あなおそろしや。

 

 今回の物語のテーマは、ざっくり言うと「生きるって楽しいね」に全振りしているつもりです。

 わかる。別に希望もないし楽しくもない人にとってはどうでもいい話じゃないかと思います。

 多分過去の私が一番聞きたくなかったであろう綺麗事を、なぜこの物語を通して書こうとしていたのかは、正直よくわかりません。

 ただこの物語は、私がここ何年も自身の体調に悩み、微熱が何ヶ月も何年も続き、その状況下でも病院ではまともに取り合ってもらえず何も解決しない、そんな絶望的な感情と暮らしを経てきた上での「答え」だと思っています。

 哀れまれ、心配され、救いようの無い生活だと思われても仕方がありません。

 それでも、私自身が「楽しい」と思わなければ、どうにかこの人生に「幸せ」を見出さなければ、きっと永遠に辛いままです。「気の持ちよう」という言葉は他人を苦しめもしますが、少なくとも私自身に関しては、私の気の持ちように全て掛かっているのです。

 辛くても楽しくても人生が続いていくのなら、私はせめて楽しいことや嬉しいことをまっすぐに見つめていたい。愛おしい日々を見落とさないようにしたい。

 そんな気持ちの中から、私の伸ばした手に応えてくれたのが、美沙という新たなキャラクターでした。

 彼女が高校生でありながらあそこまで大人びていて、光溢れるキャラクターになったのは、美沙が自分自身も辛い思いを乗り越えながら、「生きたい」という強い気持ちを持って、私や愛理に応えてくれたからだと思っています。

 

 そして、Twitterでも言及しましたが、最初から過ちを犯さない人なんていない、取り返しのつかない失敗をした人でも今を生きていいし、人は変わることができる、というのも伝えたいテーマであったかと思います。

 愛理も、麗香も、誠も、満月も、そして美沙の母親だって、みんな恥ずかしいくらいの失敗をしています。誰かを傷付けてしまったり、愛する我が子を突き放してしまったり。

 でも、失敗が人生の終わりではなく、人はそこから何度もやり直す事ができる。失敗したからって何も終わったりしない。

 そんなん失敗の程度によるじゃん……て感じですけども、少なくとも今回の物語に出てくる人は全員が全員、各々の形で失敗を克服しているのだと思います。

 それが励ましになるかどうかはわかりませんが、少しでも誰かの背を押す力になれたらいいと思います。

 

 美沙と愛理と皆の思いが、音楽に乗って伝わることを願って。

 ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!


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