翳し望むはウマ娘   作:色龍一刻

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まだ一回もレース描写をしていないのである。これマジ?

中央に挑むにあたって、二人の意志の描写が増えがちになってます。徒人があそこに至るには中々の理由付けが必要と感じているからです。くどいと感じると思います。
なるべく耐えてくださいね。( | )

アストンマーチャンの固有演出の一番初め、上からピョコって出てくるところが好きすぎてやばい。青空との色のギャップで脳が焼けr焼けた。




3・精神的摩耗、そして夏バテ。

 

季節が廻り、夏が来る。

 

勉強! 妹と競走! 勉強! 走法模索! 妹と競走! 勉強!

 

と、怠け癖のついている私には辛い毎日が続いている。

 

母と妹のペース配分は大変上手く、滅多に倒れることは無いが流石に精神にクる。日課だったレース観賞も、自然と走者としての角度から見てしまうこと多数。頭が更に疲れるので一時まで封印することにした。またいつか会いましょう、汚れなき初出走の娘達よ.....。

 

まあ、そんなことを思いながら、私は夏を走っている。

 

みんみんみんみんみん。

 

頭蓋を反響する求愛コールの横をすり抜け、前を往く妹の影を追う。憎き太陽は衰えを見せない午前10時、滲む汗は風に交じる消えていき、また滲んでは消えていく。

 

ああ、ほんと、ガチでキツイ。

 

更にスピードを上げた妹に追い縋るため体を倒す。

一歩目の音は遠く、二歩目の音は響かせて。

息を吐き出して、吸い込んだ夏を更に熱して。

スパートをかけた私の鼻先を胴体近くに残して、ゆうゆうとゴールする妹に、セミに負けないように叫ぶ。

 

「流石にキツイっすわ!! あ、つ、い!!!」

 

「......プール行く?」

 

「もう溺れるほど泳いだわ! 塩素の匂いはノーセンキュー!」

 

夏に入る前から、ジムセンターのプールは常連入りとなっている。どうせ体力作りで泳がせられるのだから、それまでプールなぞ見たくないのが心情だった。

 

テンションがぶっ壊れている。仕方がないね、暑いんだし。

 

「流石にこの暑さは、私でもキツイな....もう切り上げよう。これ以上危ないから。」

 

「ヨッシャ!」

 

「その代わりジム寄るよ。あそこめっちゃ涼しいしちょうどいいし。」

 

「えー....」

 

「ほら、行こう。こんなところにいたら焼き死んじゃうよ。」

 

そういって駆け出す、真っ白な妹を、

疲れた頭でぼんやり追いかける。

 

みんみんみんみんみん。

 

_______霞む街道。

気が滅入るような()の声。

立ち昇る入道雲。

モザイクのように散らばった影。

朝の日差しに白む旗布。

焼け焦げたコンクリート。

 

みんみんみんみんみん。

 

眠くて、煩くて、眠くて、暑い。

寝不足かー? いやまああの夢の中でも走ってるけど一応寝てる判定....いや夢見てる時は実質起きてるんだっけ?

 

_____先を走る旗布が散らばる。

淡く滲んだ首肌が目を射す。

 

あー、髪バンド...いやカチューシャか? まあ名前はどうでもいい。あれがとれかかってるな。汗で髪が肌にくっつくし髪も傷むから必需品とか言ってたし早く直してやろう。ちょっと加速して.....。

 

前を走る白色に近づく。

多くの影を通り過ぎ、その度に白む世界を抜けていく。

車窓から眺める、木々の隙間の空のように。

蝉の声に、足音が消える。

飛び散った汗が、後ろへと消えていく。

黒い私は、少しずつ少しずつ(いつの間にか)側に近づいて手を伸ばす。

そっと、カチューシャを直してやれば______

 

「ひゅっあぁ!?」

 

「おっっっっとぉ!?」

 

唐突に硬直して前にバランスを崩した妹を、

そのままお腹辺りに手を当てて支える。

歩幅も崩れるが、無理矢理踏み込んで押す形で速度を維持、体勢を確保する。

むぎゅっと妹のお腹が凹む。

形容し難い擬音が脳内で補完される。

?????

そんなお腹柔らかかったっけ。

ああいや、今はそんなことは二の次。混乱したかのようにバタつく脚を両方の腕と跳ね上げた太ももで腰ごと掬い上げ、そうそうこれは疑似お姫様抱っこというものである。

 

「へっ!? へっ、へっ!?」

 

むぎゅむぎゅ。

 

「ごめんごー、カチューシャ直す前に声かけるべきだった。」

 

頭がボーっとして勢いのまま実行してしまった。

そりゃあ驚かれるわ。マジ反省。

 

「あ、えっと、わかったけど...それ以上はちょっと恥ずかしいかなお姉ちゃん.....」

 

むぎゅ......むぎゅっ!?

 

認識完了。情報更新完了。()()を支えていた手を下にずらし、お腹を持ってゆっくり地面に下ろす。このまま改めてカチューシャと髪も修正。妹の綺麗な白髪は私のお気に入りである。お手入れとかはいつの間にか妹だけでもやるようになったのでノータッチとなったが、多分私のお手入れしていた時より綺麗で匂いも良い。やはり高いシャンプーは正義だな。ちなみに私はそこら辺のドラッグストアのシャンプーである。今の時代安くての性能や相性が良いシャンプーで溢れててお財布にも優しい。まあ兎も角第二声は。

 

「まさか私より大きくなりました?」

 

「お姉ちゃんのバカッ!」

 

反射的に繰り出されたショートパンチ右フックが夏の空に消えていく。

例え同性でもデリカシーが無かったかぁ。

 

かち上げられた体が、美しい弧を描き、あわや地面に落下する前にぐいっと引き寄せられ抱えられる。まさかのお姫様抱っこ返しとは.....テクニカルである。サスガダァ....

 

「さっさと涼みに行くよ。お姉ちゃん、調子悪そうだし。」

 

ふにふに。

 

「そう? ただの夏バテじゃない?」

 

「自覚無しが一番怖いね。氷枕残ってるといいけど。」

 

ふにふにふに。

 

「......。」

 

これはツッコんだ方が良いのだろうか。不慮の私とは違い、完全に狙って触りにきてるよねこれ。まあ痛くも痒くも無いから良いのだけど.....。

 

ふにふにふにふに。

 

「うーん60点。もうちょっとご飯食わないと本格化の負荷がキツイだろうし、おっきくもなれないし、夏バテするよ。」

 

「辛辣....かと思ったけど中々現実的評価だ....。」

 

「じゃ、ちょっと走るよ。気持ち悪くなったら言ってね。」

 

そう言って、私を抱えた妹が走り出す。

同積量な重りを持っているにも関わらず、感覚をすませば、その走行リズムがいつもと変わらないことがわかる。

揺れも少ない。足運びや関節の駆動角度、重心軸すら調整してそうだ。

 

「敵わないなぁ....」

 

意図せず漏れた本音。

絶対に聴こえている筈の妹は何も言わない。

心地よい揺れ具合。茹で上がった頭が眠気を誘う。

()()()()()()を抱いて、私は素直に意識を手放した。

 

 

 

 

「敵わないのは、こっちもだよ。お姉ちゃん。」

 

規則正しい、されど少し浅い寝息をたてる姉を撫でる。

この春から夏にかけて、私は第一次本格化の影響を受けて、姉の身長と体重を大きく突き放した。元々姉は小さくて、鍛えていた私より体重も軽かった。これでは外見的にどちらが姉か勘違いされそうだ。妹扱いされて憤慨する姉を幻覚して、口元が笑む。

 

本格化は第三次まであり、そこが一番肉体に与える影響力が大きい。つまりウマ娘として最も花開く時期である。第一次、第二次共に肉体の準備段階、本格化の予行練習などと呼ばれており、第三次本格化は桁違いに肉体が活性化する。しかしながら第一次、第二次の活性化具合も馬鹿にはならない。いつもは中途半端な着順だった子が第一次、第二次を迎えて一着を掻っ攫う話は暇がない。

 

つまりは、だ。

まだ本格化を迎えていないお姉ちゃんが、本格化の兆しを迎えた私を追いかけてる時点で、お姉ちゃんは凄い天才で、猛烈な成長幅で、大変無理をしている。

 

「本当に、本当にお姉ちゃんは凄いんだよ。」

 

諦め(甘え)癖というか、自虐(切捨)癖というか、いつの間にかそんな悪い癖を作ってしまったのは、私達______家庭環境の責任でもあるのだろう。

仕事人の父の代わりを担い、一時は臥せた母の役割を背負い、弱かった私の為に"姉"で在り続けた。

代償として捧げられたのは、時間という取り返せないもの。

 

作り上げられた土壌は流れ、

埋められた種に光は当たらなかった。

積み上げられた砂山は風化し、

熱された金属は叩かれることなく捨て置かれた。

 

その瞬間から、姉は、姉の才能を、もう腐ったものだと諦めた。

諦めることで、私達を呪う自分を切り捨てた。

甘えることで、この生き方が合っていると自分を固定した。

 

届くはずだった星を、眺めることしか出来なくなった姉。

わあすごいと、わあ綺麗だと、"そこに自分がいたかもしれない"とは一切考えられなくなった姉。

ただただ走る姿に固執するのはそういうことだろう。

姉は、G1の名誉とか、本当にどうでも良くなったと思い込んでいるのだ。

 

 

私は、どうしても、どうしようもないほどに_______そんな姉を、蹴り飛ばしたくなったんだ。

 

 

 

一つ、言うなれば。

退院した時の昔の私は、少し前の姉と、同等......いや凄い下の実力だった。

ならば、そうならば。

姉ぐらいの天才ならば、私の数年分の努力に、この一年ちょっとぐらいで迫れると思いたい。頼みの綱は、本格化だ。実のところ本格化は、肉体を急速発達させると同時に、その成長力を跳ね上げる。本格化前に行った練習と、本格化の後に行った練習、その効果差は数倍だ。だから、間に合うと私達は考えた。

姉の青春を無駄にするリスクを、無断で負う真似を仕出かした。

 

ああそうだ、これは馬鹿げた話だ。

盲目的信頼と笑えばいい。救済を騙るただの押し付けと罵ればいい。

 

()()()()()()()()()()()

 

いつかの星が墜ちたならば、再びソラへ打ち上げよう。

 

これは、私の願い(オリジン)にして、人生を懸けた我儘なんだ。

 

 

 

 

 

 

みんみんみんみんみん。

 

 

夢の中でも響く、蝉の歌に。

嫌気がさして、私はようやく立ち上がる。

木もないというのに、どこから聴こえてるんだか。

 

改めて目の焦点を合わせれば、

ここはいつものチェックポイント。

晴れた青空と、望遠鏡が佇む砂海。

 

数分、いや数時間は経ったのだろうか。

酷く曖昧な時間の感覚。

唯一頼りになるのは、この砂海でも燦々と輝く太陽だけ。

 

ホント何なんでしょうねコレ。

眠れば出てくる謎空間。

始めて夢として現れて数ヶ月、色々情報を漁って見たもののこれといった収穫は無し。殆どがオカルト的、残りは脳の異常とか障害とか薬物とか...多分違うと思いたいものばかり。

 

オカルトの中では、走者の中の上澄みの上澄みが、修練の果てに"領域"と呼ばれる謎能力に覚醒する話が最も該当点が多かったが.....レース中、こんなの出している様子は無かったぞ? 皆眠りながら走ってんのかい? 夢遊病かな? って具合で信憑性ゼロ。

まあオカルト掲示板での話だし、珍しく否定派より肯定派の多い話だけど信じるには値しないだろう。

 

 

「.....よし。」

 

いつものように体を解し、砂場を走り始める。

夢の中でも走るとか意味あんのかな?って感じだけど、狙いは意識改革の方である。夢は潜在意識の表れとも言うし、ここにちゃんと基礎を刻んでおけば良いこともあるだろう。普通に疲れるし意味があると思いたい。このところオカルト関係を調べ回って意識がそっち方向に染まったらしく、自然とこんなことを始めてしまった。藁にも縋るとはこういうことなのだろうか。

 

景色の変わらない、気の滅入るような地平を駆ける。

意識するのは姿勢、呼吸、歩幅、テンポ、足の入射角、重心、地面との設置面積、蹴りだしなど。

いつものように、積み重ねた本と、お母さんの知識と、電子の海の集合知の全てを片っ端から試していく。

未だ全体の2割も試せていないのだ、更にペースを上げねば肉体への定着と更新が間に合わなくなる。

そんなにコロコロ走り方を変えて大丈夫かと最初は不安だったが、ここは夢。影響するのは感覚ぐらいだろう。そのくらいなら修正も早い。

 

先行、差し、追い込み。

マイル、中距離、長距離。

 

夢の中なら幾らでも走れる。

スタミナなぞ無限に等しい。

試せるだけ試して、試して、試して、試して、試して。

走るための技能の下地を探す。

金型を幾つも構築する。

制限時間のなかで、現実の私が取得可能な"もの"を片っ端から記録していく。

紙やペンが無いお陰で本当に面倒だ。

だから砂海に文字を書きなぐる羽目になった。

 

これはダメ。これは保留。これは論外。これも微妙。これは良いかも。後で区分けして組み合わせを試そう。これも保留。これもダメ......

 

そうして。

 

 

「はーーーー、あほらし。」

 

疲れた。もう動きたくない。

今日のノルマ分の試行を終わらせ、

バフンと砂を巻き上げて、大の字で倒れ込む。

 

何焦ってんだろ。

クラシック3冠を取る約束。

夢は夢。理想は理想。実現性ゼロ。

こんなに頑張って、それでやっと0.00何%だけ上がるような無駄な歩み。

叶うはずのないものを掲げて、

 

私は、何をこんなに頑張ってるんだろうか。

 

 

みんみんみんみん。

 

 

氾濫するかのような蝉の歌。

叩きつけるような陽の雨。

砂まみれの体と心。

 

砂を握る/息を吐く

 

瞼を閉じる/闇を揺蕩う

 

言葉を紡ぐ/それでも。

 

それでも。

 

「約束、したもんなぁ。」

 

ああもう、馬鹿になれ、私よ。

無駄でもいいじゃん。辛くてもいいじゃん。

誰かが笑ってくれるじゃん。お金がもしかしたら手に入るじゃん。

誰かに誉められるじゃん。尊敬されるかもじゃん。

ハッピーじゃん。ウィンウィンじゃん。

 

今さら、とか、思ってしまうのだけど。

そんなもんいらない、とか、やさぐれた自分も沢山いるけれど。

 

()()()()()()()()()()

 

 

 

彼女は、振りきれたようにくすくすと笑い出した。

自嘲ではなく、自虐でもなく、自罰に程遠く、自責は疾うに尽きていて。

残ったものは、どこまでも無垢に飾られた、朗らかな笑い。

手を開いて、焼けたソラに真っ直ぐ伸ばす。

 

 

多くの理想、限られた時間。

 

捨て去ったものは、数えきれない程だけど。

 

今もなお、星はソラに挿頭(かざ)されて。

 

これは、君と結んだ夢の誓い。

 

羨ましいほどに、紛れもない、美しいもの。

 

 

祈るように。願うように。

託すように。捧ぐように。

虚空の胸に、衝動を課して、

彼女は(おも)う。

 

どうか、どうか、走りきれますようにと。

 

 

 

 

「よーし、リフレッシュ終わり!」

 

脚を跳ね上げ、飛び上がるよう起き上がる。

 

今は夏。秋が過ぎ、冬となれば、もう中央はすぐそこだ。

止まっている時間は無い。止まってはいられない。

 

予感がして首を回せば、そこにはいつもの望遠鏡(チェックポイント)。出たわね。

 

パンパンと砂を払い、傍に寄る。

さ、起きますか。妹も待ってるだろうし。夏バテも治まっている頃合いだろうし。

 

私の意思に反応したのか、

くるりくるりとレバーやら筒の角度が勝手に躍動し、固定される。

いつの日の夕方の空を、真っ直ぐ捉える星の鏡。

 

"まるで、妹みたいだな" なんて思いつつ、

膝立ちになり、望遠鏡を覗き込めば。

 

観測 開始

 

 

 

 

映るモノを認識する間もなく、私はリビングで目を覚ました。

隣には妹の寝顔。酸っぱい汗の匂い。

 

「あら、起きたの? 汗が凄いし、風呂に入ってらっしゃい。」

 

「ごめん、ソファー、汗やばいかも。」

 

「大丈夫、その為の多重シーツだし。ちょうどいいし、そのままスーちゃんもお風呂に入れてやって。」

 

「あーい。」

 

昔のようにグッと持ち上げ.....持ちっ上げってっ.....おっっっっも。筋肉の塊か? なのに体はぷにぷに。ウマ娘は神秘だよまじで。よいしょっと持ち替えて、ではお風呂場へごー。

 

「......私は米俵じゃないよ、お姉ちゃん。」

 

「おきてんのかーい! なら歩けや!」

 

「やだ。疲れた。」

 

「しょうがないなぁ.....」

 

しっかりものな妹の、稀な我儘ぐらい聞いてやるのも吝かではない。もっかい持ち替えて....風呂場へごー。

 

「結局御姫抱っこ...」

 

「これでも前より筋力ついたしね。よゆーよゆー。」

 

「そういうことでは無いんだけど....まあいいか。」

 

 

この後久しぶりに洗いっこした。

垢がボロボロ出てドン引きされました。

しかたねーじゃん。背中洗いにくいし今夏だから代謝凄いし。

あー、わざわざそんな高いシャンプーいらねーってそうそういつもいつもの.....おい投げるなーっ!!

 

 

 

 




・体型特徴

・スターシーカー
(脚が)太いね♥
スプリンターかな?
(腰も)太いね♥
もっちりしてます。
お尻も凄い。この尻あって脚がある感じ。
妹いわく抱え心地が良いらしい。

・スターゲイザー
ボン・キュッ・ボン。
まだ中学生だよね?
胸はみんなが満足するサイズ。
(すごく)揺れます。
お尻は姉よりは小さい。
ビジュアルが北欧系美少女。

母親のモデル馬がBNW、1993世代なのですが、その娘達(姉クラシック路線予定、妹ティアラ路線予定)はどの世代と走らせるべきでしょうか?

  • 1997年世代 スズカドーベル
  • 1998年世代 黄金世代ファレノプシス
  • 1999年世代 覇王世代ハルウララ
  • その他
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