誰か続き書いてクレメンス。
……いやほら、男だったら誰にだってあるじゃないですか。『ヒーロー』になりたい時期がさ。
かくいう俺もそんな時期がありましてね? テレビやデパートのショーでドッカンドッカン敵をなぎ倒すヒーローの姿を見て、そりゃもう目をキラキラ輝かせたもんですよ。
俺はそのヒーローに対する憧れが、他の人よりちょっと強かっただけなんですよ。
「俺もこんな風に、誰かのために戦うヒーローになりたい」
誰だって思うでしょ? そんな憧憬が、高校生になっても胸の内で燻り続けていた、夢と現実の区別がつかない情けない人間だったんですよ、俺は。
ということで、高校3年生の正月に近所の神社へ初詣に行った際に神様へコッソリ祈ってみたんですよ。
「どうか俺もヒーローにしてください」
神様なんて本気で信じてるわけでもあるまいし、まさか本当に叶うと思ってお願いしてるわけでもない。ただ、来年には大学生になるんだからこの想いにも区切りをつけるべきだろう。そんな決意で手をパンパンと叩いたわけです。もしかしたら、なんて期待は1ミリくらいしかしてませんでしたよ、えぇはい。
いや本当、その翌週に赤紙が届くなんて思ってもみなかったんですよ。
「瑞江 鶴兵衛。貴殿を航空母艦『瑞鶴』に任ずる」
神様、これヒーロー違う。ヒロインや。
まあね、私は大人ですからね? ちゃんと国政選挙にも投票したピッチピチの18歳ですからね? 召集令状にも文句言わず従いますよ。「夢のキャンパスライフがー!!」なんて3回しかさけんでませんよ。
でもね海軍。それでも海軍。これにはちょっと文句を言わせてほしい。
服 が ど う 見 て も 女 物 。
いやこれ瑞鶴の制服じゃん。艦娘紹介パンフレットに載ってたやつと丸々一緒じゃん。家で1人の時にはたいへんお世話になりました。私の右手とムスコも大層喜んでおりました。
ご丁寧に髪をツインテールにするための白い紐まで付けちゃってまぁ。
俺、短髪よ? どうやって結ぶのよコレ。
髪は勝手に伸びる? 何それ育毛剤でもくれるの?
髪、伸びたわ。
いやいや、怪しげな機械に寝転んだら上から蓋が被さって中が光るとまぁこれなんて日焼けサロン? 体験を2時間させられて鏡の前まで連れてこられまして。
鏡の中にはまぁなんてことでしょうナイトディナーショー。パンフレットで見た瑞鶴そっくりさん。髪をツインテールに結べば完全に艦娘の瑞鶴──
股間から生えてますけど?
そりゃ生えてるよね。我が愛しいムスコがそりゃもう自らの存在を主張するようにブルンブルンとフル回転。忙しないからやめろや反抗期か。
というか俺の裸見てないで服着せてくれません? 白衣のおっさんに見られて興奮する趣味はないんですよ。は? 何?
普通は生えない? 消える?
………………生えてますけど? おかしい? ありえない? えぇ……(困惑)。なに俺、女の子にされるところだったの? TSとメス堕ちはフィクションの中だけで結構です。
いや、というかどうするのこれ。失敗? お家帰っていい? えっ、このまま配属してもらうって? 条件がある?
男 だ っ て バ レ た ら ダ メ ?
それなんてエロ同人? いやフィクションだったら大歓迎だけど、ここ現実ね。
……いやさ、風紀どうこうは分かるよ? 俺が可愛い女の子に手を出すかもー、なんて仮定も分かるさ。俺の理性がサル以下の扱い受けてるけど、まあ100万歩ほど譲って納得してやるよ。
でも、風呂とかトイレとかどうするのさ。そもそも寮生活、複数人で1部屋でしょ? バレないとか無理じゃん。着替えでアウトよ。俺の自慢のキングコングが白い炎をフライアウェイよ。
「とにかく頑張れ」?
……何それぇ?
まあやるけどさぁ。出来るだけ頑張るけど期待はしないでね? 罰とかやめてよ?
「来たわね五抗戦。いえ、七面鳥と呼んだ方が良かったかしら?」
パ、パワハラ上司だぁ!!!