推しのキミしか愛さない   作:伽花夏折

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推しが引退する件

 天体観測から帰宅後、時計の針は丑三つ時を指していた。

 流石にもう眠気が限界だ。肌にまとわりつく気持ち悪い汗を洗い流す気力もなく、ごろん、とベットに転がりベットに鉛のような身体を預けた。

 はあ、今日はほんと疲れた。足もくたくただ。

 明日は一限目に講義を入れている。八時頃には起床したい。このまま寝てしまおう。

 電灯をつけたまま目蓋を閉じる。眠気が強すぎて皮膚に透きとおる微かな光すら、もはや入眠の妨げにならない。ふわふわと空を飛ぶように、意識が夢の世界に誘われる。そんなときだった。――ぴろりん。

 

 

「……んっ?」

 

 

 眠る直前の最悪な瞬間に、耳元に置いていたスマホの通知音が鳴った。

 だれだ、こんな夜中に。マナーがなっとらんな。

 まあスリープモードの設定を忘れた俺が悪いんだが。

 眠い目蓋をこすり、スリープモードに変更するためスマホの画面を開いた。今来た通知が目に入る。そこに書かれた名前を見て、俺は眠気が吹き飛ぶほど吃驚した。

 

 

「る、ルナちゃん?」

 

 

 愛しの最推し、微忘ルナからDMが来ていた。

 久々のDMだ。以前は配信後【来てくれてありがとうございました!】みたいなDM をよく送られていたけど、中の人たる胡桃沢との交友がはじまって以降、そういうのはめっきり来なくなっていた。

 

 

「俺、なにか忘れ物したのかな……」

 

 

 いやしかし、そうなら微忘ルナとしてDMを送信してくる理由がない。普段通り【ここね】名義でメッセージ送ればいい。

 まあいい。要件を確認するか。

 無意識に落ちる目蓋にぐっと力を入れて眠気を誤魔化した。それと、相手はあくまで微忘ルナ。念の為瞑想で意識を切り替えて、頭の片隅に居座る胡桃沢のことを一時的に忘却した。よし、これで準備完了だ。

 微忘ルナと話すためDMの画面を開く――。

 

 

【夜分遅くに申し訳ありません。起きてますか?】

【ああ。大丈夫だよ。どうしたの、ルナちゃん】

【いいえ。とくに理由はないんですけど……すこしお話できませんか?】

【えっ。べつにいいけど、こんな夜中に?】

【ごめんなさい。ご迷惑でしたよね】

【いやいやそんなことは!】

【クロバナ様ありがとう。でも眠かったら無理しないでくださいね?】

【りょ!】

 

 

 仮にこれが胡桃沢相手だったら眠気を優先して今度にしてくれと返信していた。しかし不思議な事に、微忘ルナ相手ならどんな頼みも脳死でうなずいてしまう。全肯定してしまう。

 何気ないやりとりを暫く交わした。ゲームやアニメの話、近々行う一周年配信の話など。元気溌剌な文体を心掛けて返信を送り続ける。眠い目をこする。

 一時間経過した。時計の短針は右真横をを向く。

 流石にもう眠気が限界だ。心苦しいけど、終わりを切り出そう。

 しかしその直前。

 

 

【あの。ひとつ、お伝えしたことがあって】

 

 

 また微忘ルナからメッセージを送られた。

 しかたない。

 欠伸を噛み殺して、直前に打ってた文章を消して【なに?】と返した。

 

 

【実は、その……】

 

 

 伝えづらそうに、じれったく一拍置かれる。やけに神妙な雰囲気だ。なにかを察して、俺は無意識に生唾を呑み込んだ。

 そして、やがて決意を固めたように、

 

 

【ルナ、Vtuber引退しようと思ってるんです】

「――えっ?」

 

 

 誤解の余地ないほど端的に、その事を伝えられた。

 わけがわからない。

 ルナちゃんが引退する?

 眠気を吹き飛ばすような衝撃を伴うその言葉に、俺はうえっと拒絶反応を起こして嘔吐するような、苦々しい顔を浮かべた。もしや夢かと期待したが、掌からするりと滑り落ちたスマホが足の小指に痛烈な打撃を与えたことで、その淡い可能性は否定された。

 

 

「ど、どうして? いきなり、そんなこと」

 

 

 返信する余裕もなく、わなわなと震えていた。

 そうしている間に、新たなメッセージが来た。

 

 

【急にごめんなさい。きっと、すごく驚きましたよね。でもSNSで正式に発表するまえに、どうしてもクロバナ様には、先にお伝えしたくて】

 

 

 ようやく俺はメッセージを返す。

 

 

【引退ってガチなやつ? もしかして冗談だったり……】

【冗談で言いませんよ、こんなこと】

【だろうけど。でも】

【引退理由、知りたいですか?】

【うん。知りたい】

 

 

 俺が知る微忘ルナは、それこそ月のような存在だ。

 毎日必ず太陽が沈み、昏い夜空に月の影が現れるように。微忘ルナはその時間帯になると毎日必ず配信をはじめる。――だからこそ認めがたい。彼女がVtuber引退するとか。夜空から月が消失するくらいにありえない異常事態だ。

 きっと、なにか余程の理由があるはず。

 

 

【長くなりますが……実は】

 

 

 一拍置かれる。

 微忘ルナは宣言通り長々と、引退理由を述べはじめる。

 

 

【――今月ピークを迎えたみずがめ座流星群。その流星とともに放たれる電波の影響で、本日、ルナの住む月面の基地にある電波塔にとある障害が起こりました。そのせいで、地球に向けて配信を提供することが、困難な状態になりまして。今は対症療法的にこうして回線を繋げていますが、おそらく、それでも以って『来週の二周年配信まで』でしょう。なので、ルナとしても誠に遺憾ではありますが……そのタイミングで、活動引退することを決定して――】

「……」

 

 

 目が滑る意味不明な文章。

 事務的とさえ感じるそれを読み、俺は呆れかえっていた。

 そして俺は逸る気持ちのまま、

 

 

【……もういい】

【はい?】

【もういいんだ、胡桃沢。そんな設定のことは】

「――あっ。やばっ」

 

 

 がつがつとフリック入力していたら、つい名前を間違えてしまった。一度送ったメッセージはシステム上取り消せない。

 慌てて前言撤回する文章を入力するが、

 

 

【……びっくりした。まさか貴方から、その『禁忌』に触れるなんて】

【ごめん。失言だった】

 

 先に反応された。文面上であるが、目を丸くさせた彼女の姿が見えてきた。

 続けてメッセージを送られる。

 

 

【かまいませんよ。どうせもう引退するんだし……】

【ほんとに、指が滑って間違えただけだから。今のは忘れて】

【だからいいですって。この際ですし、もうやめにしませんか?】

【……なにを】

【言わなくてもわかるでしょう、真守くん】

 

 

 彼女が俺を、そう呼んだ途端。

 俺の脳内に映るルナの姿が変貌した。

 人形の塗装がまるで泡沫の夢のようにぽろぽろと剥がれて、姿を変えていくように――微忘ルナとその中の人の要素が入り混じった、歪な姿形に変貌していく。

 硝子が割れたような音が、痛いほど頭に響いた。

 それは多分、俺の一番大事なものが壊れる音。

 

 

【今までは、貴方の信念とやらに付き合ってあげてました。微忘ルナのときはぜったいに、貴方のことを真守くん呼びしないように。バーチャルとリアルを、クロバナ様と真守くんを区別するように……。でも、もうその気遣いも必要ないですよね? だって、もうやめるんだし】

【……本当にやめるのか? Vtuberを】

【やめます。来週の、二周年配信のタイミングで】

 

 来週か。

 俺の記憶が確かなら、微忘ルナは六月一日にデビューしていた。

 今日は五月二三日だから……あと五日だ。

 

 

【どうしてなんだ? 毎日あんな楽しそうに配信してたのに】

 

 

 やっぱり何度考えてもわからない。彼女がVtuber引退を決める理由なんて。

 直接尋ねると彼女は、

 

 

【それは……あまり言いたくない】

【べつに、いいじゃないですか。理由なんてなんでも】

 

 

 苦々しい表情が伝わるような文章とともに拒否した。

 理由を伏せたまま引退とか、納得できない。

 命に限りあるVtuberである以上最期はいつかくるけど、せめて納得のつく終幕を求めたい。そりゃあ言えないような理由もあるだろう。プライバシーに関わる理由だからと設定で飾り付けてぼかすことは、べつに悪い事とはいえない。でも、それでも……。

 仮にも微忘ルナの話だ。

 手持ち無沙汰の指先を液晶の手前で浮かせた。あくまでリスナーとして、どこまで踏み込んで返信すべきか悩んでいた。やがて迷える指先で、

 

 

【……ルナちゃん、言ってたじゃないか】

 

 

 心に投影される彼女の姿はいまや、微忘ルナと中の人が混じった歪なもの。しかし割れた硝子の破片をぎゅっと抱きしめるように、痛々しい気分で、今一度彼女をそう呼んだ。

 まるで退路を選ぶその足に追い縋るように、

 

 

【推してくれるリスナーがいるかぎり、星を目指してがんばる、って。――あの言葉は、約束はウソだったの】

 

 

 ――いつか交わしたその約束を掘り返した。

 微忘ルナの推し事を最優先するその信念の礎となった、大事なその言葉。だから俺はなにがあろうと彼女のリスナーであり続けようと徹したのに。

 

 

【……ええ。かつて言いましたね。限界だった己を奮起させるために吐いた『張りぼて』みたいなそんな言葉を】

 

 

 は、張りぼてって。そんなこと言わないでほしい。

 キミに似合う言葉は、きらきらと輝く星に手を伸ばすような前向きなものだ。そう在ろうと頑張り続けた自分を裏切るようなこと言わないとでほしいと、逸る感情に従い、頭に浮かんだ言葉をそのまま文字にした。しかしメッセージを送る直前に、

 

 

【ごめんなさい。最低なこと言ってるって自覚してます】

【でも、もう限界なんです】

【クロバナ様】

 

 

 それを見てしまい、指がぴたりと停止した。

 まるで最後に書かれたその言葉がスイッチのように。

 

 

「……ルナちゃん」

 

 

 剥がれかけていたメッキがふたたび彼女に張り付いた。メッセージ越しに大好きな推しの気配がまた香り、ふと泣きたくなるような悲しい気持ちになった。

 そうして。

 彼女はまるで我慢していた感情を一気に放出するように――。

 

 

【ほんとうに申し訳ないと思います。ルナのこと、唯一応援してくれたのは貴方だから……裏切りたくなかった。がんばりたかった。でも、もう無理なんです。自分が醜い偽物だと自覚して、キャラクターのふりを続けるのは】

【ルナは、お星様になりたかった。お空のうえできらきらと輝いて、いろんな人の関心を集める、素敵なVtuberに……。でもやっぱり、遥か彼方にある星はどうがんばっても掴めませんでした。ルナの腕は短くて、才能がなくて……いろいろ頑張ったけど、結局、成果はなにひとつもでなかった。たぶん……ルナは星どころか、Vtuberにもなれなかった】

【でもだからこそ。ルナのことを『Vtuberとして』見上げてくれる貴方のことは裏切っちゃダメだって。たとえ張りぼてのような虚勢でも、Vtuberのフリをしないとダメだって。ずっとそう思ってましたけど……でも……それも限界で】

【ごめんなさい。クロバナ様】

 

 

 悲痛が滲む感情を薄氷の理性で抑え込むような痛ましい文章。それをまるで自傷するように、殴り書きするように、続々と書き込んだ。その緊迫感に呑まれた俺はもはや返信をする指を動かせず、彼女の名前をぽつり呟きながら、呆然と文章を目で追っていた。

 涙が枯れたみたいにメッセージが止まった。

 今のうちになにか優しい言葉をかけてあげたい。だが、どう返信すればいいかわからない。下手な慰めはたぶん、今の彼女には届かないと思った。

 悩んでいるうちに彼女は、

 

 

【だけど、大丈夫ですよ。クロバナ様】

 

 

 感情を出し切ったせいかすこし落ち着いたような雰囲気で、また続々と、メッセージを送ってくる。

 

 

【ルナはもうじき消えるけど……クロバナ様のことはぜったいに一人にしません。貴方のことを思って『代わり』をちゃんと用意したんです】

【代わり? なんのこと】

 

 

 その言葉につい反応してしまう。

 大好きの推しの代わりとか、この世に存在するわけない。

 そう思っていたが。

 

 

「……あっ」

 

 

 ふと嫌な予感がよぎり頭の中でいろいろ繋がった。

 もしこの予感が的中しているなら、澱みのように蓄積していた数々の疑問……胡桃沢に感じていた『行動の不可解さ』にも説明がつく。つまり、まるでなにかに慌てるように急に俺に告白してきた理由――。

 答え合わせように彼女は書き込む。

 

 

【最初リアルで貴方と出会った頃は、正直心配でした。貴方は思ったより面倒臭い人で、わたしが微忘ルナだと言っても、まったく聞き入れてくれなかったから……。でも、今はもう、大丈夫だと思うんです】

【だって真守くん……わたしのこと、好きになりはじめてますよね?】

 

 

 言われてドキリとした。心拍があがり震える指先で、否定する文章を送ろうとした。しかし送信する直前。まるで嘘の鎖が絡まりついたように、指が重くなる。

 

 

【反応が露骨なんですよ。いつも】

 

 

 返信に戸惑っている間に、続々とメッセージを送られる。

 

 

【さっきもそう。わたしが告白したときわかりやすく動揺して、ごちょごちょと、何か呟きだしたり……。しかも。暗がりだから顔色なんて見えないくせに、まるで赤らんだ頬を隠すように、掌で顔を覆っちゃって……。ほんと、かわいい反応だった。腹立つほどきっぱりと拒絶されたこの前とは大違い】

 

 

 意趣返しのような意地悪い言い方。なにも反論を返せなくなる。

 彼女の言う通り、俺は嘘が苦手な性格である。心にもない事を言うと、汗がだらだらと流れて無言になったり、逆にしつこいほど言い訳を重ねたりする。

 この一ヶ月間。彼女とはタメの大学生として一緒に勉強したりたまに遊んだりと、共に時間を過ごすことが多かった。最初こそ推しの中の人として警戒心を向けていたが、時間経過につれて緊張は緩むもの。感情が態度に出やすい俺の悪癖は、たぶん、すでに見透かされているものと思ってはいたが……。

 

 

【わたし、それを見て、察したんです】

【たぶん、まだ貴方のなかだと、ルナの存在のほうが大きいけど……。わたしのことも、もう無視できない存在になってるんだろうな、って】

 

 

 やはりバレていた。胡桃沢と出会って以降すこしづつ膨れ上がっている、この熱い気持ちを。

 誤魔化すように【はぁ? そんなことないんだが?】と焦り返信したが、送った後、それが逆効果だと気づいた。ふと、打てば響くような露骨なその反応をからかうように、にやりと微笑む胡桃沢の顔が見えてきた。そして、はいはいそうですね、と軽くあしらうようにその返信は無視された。続きとなるメッセージを送られる。

 

 

【だから……もう大丈夫、と思ったんです。今のわたしなら、きっと】

 

 

 抽象的な発言。俺は【どういうこと?】と反応した。我ながら白々しい。彼女がなにを言わんとしているか、もう気づいているのに。

 画面の向こう側で、胡桃沢が生唾を呑み込む音が聞こえてきた。

 数刻、時間を置く。

 やがて告げる決心をつけたように、微忘ルナは、いや胡桃沢は――

 

 

【『わたし』がルナの代わりになります】

 

 

 と言ってきた。

 想像していた言葉。しかし実際言われると想像以上に衝撃が強く、頭が真っ白になるほど面食らった。

 動揺が残る思考のなか――とりあえず【それは違う】と否定する文章を入力しはじめる。微忘ルナが引退するからその中の人に鞍替えしてほしい、なんて……そんな論外な話、聞き受けられるはずがない。

 息を荒げて反感を示す文章を入力していると、その最中に、

 

 

【べつに、納得する必要ありません】

【どーせ貴方はいつか……わたしで妥協します】

 

 

 と、俺の返信を予測して釘を差すようなことを言ってきた。

 

 

【推しが引退したリスナーの行動は、いつもみな同じです。意識的に、あるいは無意識に、代替品となる『新たな推し』を求めてしまう。空いた穴は同じ形をしたものじゃないと塞がらないけど、同じものなんて、この世に存在しないから……。しかたなく似たような形のもので穴を埋めて、妥協して、寂しい気持ちをよしよしと慰める】

【そういうものでしょう? 貴方たちリスナーって】

 

 

 皮肉を感じる言葉にむっと反感を抱いた。

 

 

【そんなことない。俺は納得できないよ】

 

 

 バーチャルとリアルは違う。微忘ルナが引退したからって、似て異なる中の人を好きになるとかありえない論調だ。

 頑固たる態度で否定すると、彼女は呆れたように、

 

 

【貴方はいつもそうですね。自分の主張を押し付けてわたしの話は聞かない。面倒臭いというか、頑固というか……。でも貴方はきっと納得しますよ。だって貴方とわたしは、似た者同士だから。バーチャルとリアルを選びきれない『中途半端な人』だから】

 

 

 らしからぬ厳しい言動でそう言い切った。

 中途半端な人。俺と、彼女が。

 痛い事を突かれた。一瞬反論しようと指を動かしたが書くべき言葉が見当たらず、なくなく、勇み立つ指を置いた。――正直自覚していた。彼女の事はともかく、少なくとも俺はその通り中途半端な男だと。

 微忘ルナを一番愛する信念を掲げつつ、似て異なるその中の人に眩んでいる現状。それを中途半端だと言われたら否定できない。

 

 

【大丈夫ですよ。真守くん】

 

 

 厳しい語調から優しいものに変わり、彼女は言う。

 

 

【忌避感があるのは最初だけで、いつかぜったいに、貴方はわたしのこと『ルナの代わり』として見れます。この一ヶ月間、貴方のことをずっと見続けたわたしが保証します】

【だから……クロバナ様】

【ルナが消えても、貴方は大丈夫なんです】

 

 

 まるで最期の気力を振り絞り砕かれた硝子の仮面を今一度張り付けるように、彼女は俺をクロバナと呼び、自分をルナと呼んだ。普段の地声とは違う、微忘ルナの金平糖のような甘い声が脳裏に響いた。

 メッセージの流れがとまった。

 彼女から伝えたいことはぜんぶ言い終わったんだろう。俺はまだ消化不良だったが、しかし一斉に困惑する情報を伝えられたせいで頭のなかが纏まらなかった。

 やがて彼女は、良い頃合いだと踏んだのか、

 

 

【最後に一言、謝らせてください】

 

 

 終幕の凛とした雰囲気をまとい切り出した。謝るってなにを。理解追いつかぬまま、彼女はまるで残留した感情を絞り出すように、

 

 

【ごめんなさい。推しがこんなダメな子で】

【ルナはきっと、Vtuberじゃなかった】

 

 

 己を呪うようにそう書き込んだ。

 幻覚か、液晶の向こう側で水滴が落ちるような音が聞こえた。

 

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