あかねみたいなプロファイリング能力あるわけじゃないから理論とかはガバガバだけど感情論だけでアクアに復讐じゃなくて殺人を起こさない真っ当な仇討ちレベルまでしそうというお話なのでそれでも良かったらどうぞ。
思えば奇妙な縁だと言わざるを得ないとアクアは再認識する。
切欠は初めての映画での共演シーンで生意気だった少女である有馬に分からせをして泣かせた後に互いの連絡先を交換した事だろう。
そこから雑談から愚痴を互いに遠慮なく言い合う仲になり、アイが死んだ時に落ち込んでいた自分を慰めてくれた。
アイが死んだ直後に、生きる意味がないとすら思い死ぬことすら考えていた自分が思い留まったのは復讐の他に有馬の存在も心の拠り所になってたと思う。
そして再会した直後に自分が復讐を考えてたを即座に見抜いて洗いざらい吐かされた。
しかし見抜いた理由が『アンタの瞳の星が真っ黒だったから』と誤魔化す辺り素直じゃないのは相変わらずだった。
まあ面倒見が良い奴なのは今までのやり取りで知ってたから恐らく自分も放っておけなかったのだろうと思う。
そうして有馬は復讐に協力すると言い出し、巻き込みたくないから断ろうとしたが、強情で引かないから根負けして手伝ってもらうことになった。
まあ確かに有馬は現在も天才子役として芸能界で活躍している。
あの共演以来、俺にリベンジするという名目で泣き演技以外の感情表現の演技にも磨きが掛かって子役のトップを突き抜けているから、芸能界での情報収集と言う点では大事な協力者ではあるのは事実だ。
そうして互いの休みの日に落ち合い、復讐計画について話し合うことになった。
そしてこの日、有馬は俺の復讐の根幹に関わる部分について核心を突いてきたのである。
「まずハッキリさせなきゃいけないことがあるわ」
「何をだよ」
「この復讐はアイの仇なのか、自己満足なのかをよ」
「んなっ!?」
かなの言葉にアクアは驚愕する。
そしてその発言に怒りが込み上げる。
「アイの仇に決まってるだろう!俺達からアイを奪った父親を必ず見つけ出して殺して……」
「もしアンタの父親が警察に捕まれば、無期懲役か死刑のどちらかになるわよ」
「!?どういう事だ!」
「考えてもみなさいよ。態々別れて数年以上経った女、しかも世間で最も注目度の高い相手にストーカーを焚き付けてまで人殺しをしてる奴よ。振られた直後ならともかく時間が経ってるなら熱も冷めて私怨の線は薄くなる。となるとサイコパスな可能性が高いしそんなサイコパスな奴ならこれからも常習的に人殺しをしていてもおかしくない」
かなの言葉にアクアは同意する。
一度殺人を犯した者が再度追い詰められた際に人殺しを行う可能性は高いとアクアも思ってたからである。
「何人も殺してる奴なら現行犯で捕まえれば余罪が暴かれて何人も殺してるのが明らかになれば罪は重くなる。だから仇を取りたいだけなら警察に逮捕させるだけで終わるわ」
「だけど……それじゃあアイと同じ苦しみを与えることは……」
「それが自己満足だって言ってんのよ。ただの私怨じゃない」
「何だと!?」
アクアはかなの胸倉を掴んで怒る。憎しみの籠もった目で睨み付けているのにも関わらずかなはアクアから目線を逸らさない。
「お前に何が分かる!目の前で大事な母親が殺されたんだぞ!その元凶を苦しめて殺したいと思って何が悪い!」
「分からないから言ってんのよ!殺したいだけなら警察に捕まえさせて終わり。どっちも死ぬなら、苦しめたい理由は何?」
「それは!……っ!?」
アクアのかなを掴んでいた力が弱まる。捕まえても死刑、直接殺人をしても死ぬ。
じゃあ苦しめたいという理由はと聞かれた時にアイが望んでいる筈がないと冷静な自分の頭で思い至ってしまったからである。
「アイの、人生を奪った報いを受けさせる為に……」
「……っ!?ふざけんじゃないわよ!」
バチン!
かなはアクアの頬を叩いた。
暴力を振るわれアクアは思わずカッとなってかなを見た途端に怒りが霧散する。
何故ならかなはその両目から涙を流していたからだ。
「自分が仇を苦しめる時もアイのせいにするつもり!」
「!?」
「アイに守られて生きてる。態々捕まえるだけで済むのに苦しめる為だけに殺人を考えてる。それじゃあ呪いと変わらないじゃない!」
「好きだったんでしょうアイが!だったら大好きなアイを自分で汚すんじゃないわよ!」
心の何処かで思っていたのだ。
きっとアイはアクアが復讐をすることを望んだりしないことは……
でも許せなかった。
アイの人生を奪った父親が憎くて復讐したいと過去の自分に追い詰められる悪夢を見る位に強く願った。
けれど自分が復讐をする理由を正当化するのにアイを使っていた事実から目を背けていた。
だってそうでもなければ自分は私怨だけで復讐をする程に強くないから……
自分の弱さとアイを言い訳に使っていた罪悪感から力が抜けてしまったアクアはそれでもと有馬に縋るように思いを伝える。
「アイの仇を取りたい…」
「うん」
「アイを殺して平然と生きてる奴が許せない」
「うん」
「でも一番許せないのは……アイが息絶える中で何も出来なかった自分が幸せになるのが許せないんだ……」
「うん」
「だから……犯人を捕まえるだけだなんて……そんな真っ当な道を歩む資格は……」
「馬鹿ね……アイを捕まえるからって自分が幸せになっちゃいけないわけないじゃない」
アクアの顔を胸元に抱きしめながらかなは言う。
「アイの仇を捕まえるのと自分が幸せになるのを両方選べば良いじゃない。それ位欲張りなさいよ」
「!?」
アクアはかつて前世の雨宮吾郎の時にアイが言った言葉を思い出す。
『母としての幸せとアイドルとしての幸せ、普通は片方かもしれないけど、どっちも欲しい。星野アイは欲張りなんだ』
その時、自分は星野アイを一番星の様に眩しかった。
「……ハハッ」
アクアは思わず笑みが溢れてしまう。
星野アイと全然似てない筈の有馬かなが重なって見えた。
恐らく性格や見た目は違っても根っこの部分で本質が似ていると思える位の輝きを秘めているからだと思ったからである。
「全然似てない筈なのにアイみたいに眩しいな有馬は……」
アクアは思わず呟く。
アクアは本当は復讐をしようと思いながらも心の何処かで間違ってるんじゃないかと自問自答していた。
そんな揺らいでいた自分を有馬は叱って正して真っ当な道を歩もうと引っ張り上げてくれたのだ。
「言っておくけど、復讐が間違ってるとか私怨が悪いとは言わないわよ。けどアンタは復讐には向いてる性格じゃない。だから復讐よりも真っ当な方法の方が取れる手段は多いし、アンタは苦しまないと思っただけよ」
「ありがとう。確かに父親は憎い……けど法で裁けるなら俺はそれでも良い」
アクアは有馬に向けて本心を言う。
「私怨じゃなくて仇討ちね。だったら任せなさい!アンタの父親を必ず表舞台に引きずり出してやるわ!」
「どうやってだよ」
「決まってるでしょう!」
有馬は自信満々にアクアに笑顔で答える。
「アンタがアイより推せる俳優になってやる!そうしたら向こうから来るわよ!」
アクアが見惚れる笑顔で有馬は告げるのであった。
有馬かな
…本編見る限りカミキヒカルが連続殺人犯確定してるので、幼少期からアクアの復讐計画に関わってたら私怨の復讐じゃなくて真っ当な逮捕で終わらせる仇討ちで光堕ちさせてくれそうという空想から産まれた通称『かな姐さん』。
事務所も両親も有名に目が眩んで有馬かなという個人を見なくなってしんどい時にアクアとの連絡で支えられたことで泣き演技以外の感情表現演技を身に着けてスランプに陥ることなく大成した。
原作だと不憫な重曹ちゃんだけど、同時に復讐とかの闇落ちどころか光堕ちさせて来そうなタイプなので改心させて来そうと思った。
星野アクア
…ご都合主義レベルで有馬かなに復讐がバレた場合に光堕ちさせられた原作主人公。
復讐ではなく真っ当な道でアイの仇討ちを行えることから、自罰的にはならず俳優として楽しむ才能も持ち合わせることになるので大成すると思われる。
因みに有馬の説得後の最初の悪夢で自分を追い詰める筈の『雨宮吾郎の幻影』『幼少期の星野アクアの幻影』がそんな真っ当な道を歩む資格はあるのかと攻め立てようとしたところ、『かな姐さん』がドロップキックで駆け付け、「亡霊が生きてる人の邪魔するんじゃないわよ」と追い払って助けられるギャグ展開に思わず吹き出し、亡霊と決別することが出来たらしい。