彼は冥冥とある特別な契約をしており、呪術高専を巻き込んだシリアスあり笑いありエロスありのドタバタラブコメディーへと発展していく!(いかない)
作者は呪術廻戦原作を3話で打ち切りだなと見限った人間なのでアニメしかしりません。原作も読んでいません。キャラクター崩壊や設定の解釈違いなどが会ってもスルーしていただけたら幸いです。MAPPAだからアニメはハマりました。二期一話の冥冥さんが可愛くって突発的に書きたくなっただけですので続きません。
ヒロインは冥冥、他
※『』内はメールのやりとりです。
呪術高専東京校の一室。
時代からは感じられづらい木造の香りが染み込んだ教室で教壇に立つ男、夜蛾正道は冷めた視線で簡潔に話していた。
視線の先、綺麗なストレートを左右対称に結い、前髪を揃えた、品行方正を感じられる巫女服をきた若い女性呪術師、庵歌姫。
その横に一定の距離をおいて足を組み座る、寒色を主とした黒と紫を基調とした衣服を着込んだ淑女、冥冥。
「今回は2人でいってもらう。」
「……。」
「なぜ2人なんですか?私だけでも十分倒せるレベルです!」
歌姫は椅子を鳴らして立ち、自信満々に伝えるが、夜蛾は一息入れて首を振った。
「資料だけで見れば確かにそうだが、被害人数を考えれば、万全を期した方がいい。それに冥冥はちょうど予定も開いているとのことだし、そろそろ歌姫も昇級の事を考えて上位の術師と組んでおくべきだと判断した。」
昇級という話題が出て歌姫は目を輝かせる。
「まぁ行っただけじゃあ昇級はできない。わかってると思うが、昇級には複数の1級呪術師以上からの推薦が必要だ。これはあくまでその前段階。縁を作るという目的しかない。」
「でも冥冥さんと私はそこそこ縁ありますよね?これまでも何回か一緒に行ってますし…。」
「そうだが、再度他人と行動するという事に対し客観的な自分の能力の分析を測って欲しいという狙いもある。…いずれにせよ、決定事項だ。」
「まぁ…別に私も嫌なわけではないですし、安心感が段違いですからねー。」
歌姫はふーっと息を吐くと、少し腰を据える。
歌姫自身の術式は直接戦闘向きではない術式。舐めてかかって痛い目を見るだけならいいがそのまま死ぬ可能性すらある呪術師界隈。
人数は多い方がいい。
冥冥が一緒ならなおさらだろう。
歌姫は安堵した。
だから、そう。
自分の目の端に入る光景が見間違えだと思った。二度見。
視線を向ける。
黒い衣服に包まれた冥冥の女性として象徴的な部位、遠回しな言い方をしたが、いわゆる乳房を下から慈愛ある優しい手付きで、かつ、しっかりと持ち上げるように揉みしだいていた。
見たこともない男が、堂々と。
「は?」
「…え?」
「……………ん…………ふ………ぅ……。」
どんな有事にもすぐに冷静な判断を下し、迅速な行動ができる夜蛾ですら唖然とし、当然術師としては新米も新米の歌姫もまた現実を受け入れられないでいた。
ただ一人、件の冥冥だけが、身体が揺れることでの呼吸の乱れのみを発し、しかし相変わらず携帯をいじり続ける形で享受している。
教室に入る前に聞いたが弟と連絡しているらしい。
「なっななななっなにっ何をしてんのよぉおおおおぉおっぉおおおっ!!!!??」
未熟だからこそ、反射的にそれはできた。
歌姫は、女性代表として、胸を張って、思い切り飛び上がると、尊敬すべき先輩が凌辱されることに憤慨し、右手を痛いくらいに握り込んで思いっきり男を殴り飛ばした。
興奮した歌姫は気づいていないのだが、拳の軌道は冥冥の顔にも触れるものだったが、冥冥はあっさりと顔をそらして避けていた。
ゴォッ!!!
「あべしっ!!!!?」
不審者はそのまま抵抗する素振りも見せないまま顔面を殴られ、結果、机をなぎ倒しながら錐揉み回転し教室後ろの壁に背中から激突。吐血しながら沈む。
巻き上がるホコリ、曇り空から一筋の光が差し込み、舞ったホコリに当たってキラキラと幻想的な光景を作り出す。
ぜーぜーと歌姫は殴ったままの姿勢で落ち着きを取り戻そうとする。
「ずいぶん手痛い折檻を受けてしまったね、聖餌。」
パタン、と携帯を閉じ、振り返る冥冥。
「はぁ……帰ってきていたのかお前。」
「えっえっ?…えっ!?」
夜蛾はやっと動き始めたと思ったら頭を抱え始めた。様子を見るにトラブルメーカーなのは間違いない。
その2人の「驚きのなさ」に対して歌姫は困惑し、慌てる。
「やぁ…ははは…痛たた…た。やー流石呪術高専関係者…強いねぇ。」
「えっあっごめ…ごめんなさいっ!」
ホコリが収まって、瓦礫の山と化した机や椅子をどかしながら、長身の男性はよたよたと起き上がる。
高い。でかい。
歌姫の知り合いには2人のよく知る男がいるが、彼らより明らかに身長が高い。細いようで、こちらに歩いてくることでゆっくりと肉体のアウトラインに気づく。
引き締まっているだけで、全身筋肉質な男。
服についた汚れを叩いて落としながら近づいてくる男は、強面の夜蛾より威圧感を感じる。だがそれはすぐに勘違いだと気づいた。
「やぁ、こんにちは。君が庵歌姫さんっ?冥から聞いているよ。優秀で優しい品行方正、温柔敦煌な良い子だってね。」
「えっええ?」
先程の行動とは打って変わって明るく挨拶してくるので歌姫は後ずさる。
続いてマシンガンのように飛び出る称賛の嵐。ついつい褒められ慣れてない歌姫は警戒心が緩む。
「僕は
「え…あ、ありがとうございま…す?」
手を差し出され、とっさに握手する歌姫。
どうやら悪い人ではないらしい。先程の行動をこの人がやったとはとても思えない歌姫だった。礼儀正しい挨拶に好感すら持てる。
といっても呪術界がひどすぎるだけなのだが。
「ところで、庵さんに一つ質問しても?」
「え…あ、はいどうぞ…。」
歌姫が持ち前の善良さから承諾すると、高田の後ろで冥冥がふっと笑い、夜蛾が再度ため息を付いて遠い目をする。
それを感じ取った歌姫はギギギと首を動かして、聖餌を見やる。冷や汗。
「君の身体、幾ら払えば触らせてもらえるかな?」
本日二度目の教室崩壊。
暗転。
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元々は地元で焼肉チェーン店を展開する運営会社の社長一家が住んでいた豪邸。
しかし昨年の7月。例のBSE問題で焼肉店が壊滅的な打撃を受けたことから、多額の借金を苦にして一家心中。以来社長宅は心霊スポットとして噂となり、地元の中高生や県外の大学生、フリーターなどが肝試しとして訪れ、相次いで行方不明。
「噂が噂を呼び被害が拡大していったんでしょうね…。」
雨の中走る車の中で歌姫が資料から確認できる現場の情報をまとめる。
車内にはカチカチと携帯電話のボタン音が小気味よく鳴っていた。
『いやぁ、申し訳ない。久々だからついつい恋しくなっちゃったもんでね?↲』
『私は構わないけれど…もうマレーシアの方はいいのかな?↲』
『ああ、粗方片付いてるよ。あとは現地戦力でどうにかなるレベル↲』
『それは重畳↲』
『ついてはこの礼ということで1回分チャラになったり…?↲』
『するわけないだろう?私の頼み事ではあるけれど、だからこそ金はちゃんと支払っているんだしね↲』
『…ですよねー↲』
深刻そうな顔をする歌姫に冥冥は共感する。
「心霊スポットの類はとかく噂が広まるのが早いからね…。」
「特に最近はインターネットによって信じられないスピードで広まっていく…。」
「結果、私達呪術師の出番も増加傾向にあるわけさ……なにかな?」
歌姫からの視線に携帯から目を話して問う冥冥。
歌姫は何かを聞きたそうにしつつも遠慮して口を開けたり目をそらしたりと挙動不審だった。
「…ああ、聖餌のことを聞きたいのかな?」
「えっ!……あーその顔にでてました?」
見抜かれたことを恥ずかしそうにする歌姫。
「よく聞かれるからね。それで…そうだね、別に歌姫が心配するような犯罪絡みでもなければ、脅されているとかいうわけでもないよ。もちろん、恋人でも愛人でもパートナーや配偶者ってわけでもない。」
「じゃ…じゃあなん…でっ…あんな!」
歌姫はあの光景を思い出す。自分がされたわけではないとはいえ、知り合いの胸部が異性のガッシリした手で弄ばれたことに顔を赤くする。
『そういえばあれが話に聞いてた庵歌姫ちゃんかぁ…。うーむ↲』
『…なにか?含みある返信だね↲』
『いやぁ、真っ当に良い子でなんだか気後れしちゃうね。悪いことをしたなぁと↲』
『じゃあ安易に初対面の相手にセクハラをするのは控えることだね↲』
『おや?めーめーちゃん、珍しく庇ってる?↲』
『バカも休み休み言うんだね。次の料金は倍だよ。…庇ってるわけじゃない、ただいつか刺される未来が見えるだけさ↲』
『ちょっ2倍!?ふた揉み分!?……まぁ、そん時はそん時よ…アハハ(汗)↲』
『骨は拾わないよ。君のは肥料にすらならなさそうだし金にならない事はしない主義だ↲』
異性に乳房を良いようにされる、というのは特別な間柄でない限り、いや特別な間柄であったとしてもあんな公共空間でしていいものではない。
歌姫の戸惑いは至極真っ当なものだ。
「まぁそのあたりは後にしようか。今は祓うことに意識を向けるべきだろう?それとも余計なことを考えて同格に近い呪霊を祓えるほど歌姫は優秀かな?」
「っ…!」
『それに…↲』
『なんだい…?↲』
『今のところ冥が一番気楽で、かつ効率が良くて、個人的に大好きだからね。お気に入りだし!↲』
『あれ?↲』
『おーい↲』
それはそうだ、と歌姫は冷静になる。
今回の想定呪霊は正直ギリギリ倒せるかという程度。夜蛾の前ではあんなことを言ったが、油断はできない。
歌姫もまた呪術師としてプロのスタート地点にいるわけで、そこの切り替えは早かった。
すぐに状況説明と相互確認に戻る。
「後は、学校帰りに行方不明になった小学生3人、その親族、警官、その同僚、友人と、行方不明者をたどると、あの洋館に行き着き被害にあっている可能性があります。」
「一刻も早く、元を断たなきゃ…ですね。」
『…私は君のそういう軽薄なところは悍ましいほど嫌いだがね。そもそもその物言いは、幾ら古臭い伝統が混ざりあった呪術界でも、見下げ果てた女性蔑視・女性差別的文言だよ?先程は君が痴情のもつれで刺されるという意味合いで伝えたけれど、普通に憎悪で刺される可能性もあるね。それに私だから何でも言っていいわけじゃない。そういう甘えが結果人間トラブルに発展するんだ。良いかい?あくまで私と君は提供者と消費者なんだ。底を履き違えてはいけないよ?そういう言葉は控えるべきだと何度も言っているだろう?何度言っても学ばないその脳みそに金を使ったほうが幾分か有益じゃないかな?さっきの2倍した料金を更に倍だよ↲』
『↲』
凄まじい速度のボタン操作にそろそろ歌姫が困惑し始めるが、ちょうどパチンッと携帯を閉じる冥冥。
その顔はいつもの不敵な笑みというよりは幾分か独特な笑顔に満ちていた。不覚にも歌姫は見惚れてしまう。
「総監部もそう判断したから私に調査を依頼したんだろう。むしろ歌姫のほうがついでだね。…決して安くないギャランティーを払ったよ。」
冥冥は窓から見える景色を遠目に目を細めて薄く笑った。その顔は懐が暖かくなったという実感と、いささか金払いの悪い上へのしてやったり感からくるものだった。
今しがたの臨時収入もあり、雨だが気分は良い。今ならどんな呪霊でも祓えそうだ。
「またふっかけたんですか…?」
えげつない、という反応を隠しもせず当惑する歌姫に冥冥は視線を向けずに答える。
「人聞きが悪いよ、交渉したと言ってくれ。」
車がゆっくりとスピードを落とし、やがて停車。
「着きました。」
「じゃ、行こうか。」
さっさと終わらせてATMに行かねば、そう思いながら傘を指し、車を出た。
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勢いよく走る歌姫の足元、廊下は崩れていく。
それが理論に基づいて呪霊の結界にほころびが生まれたからではないことに気づくのは、歌姫が空に放り投げられてすぐのことだった。
「うぁっえっ!?あっ!?きゃあぁあああああああああぁああああ!!!!!!」
目をつぶる。
戦闘であるならばそんなことはしない。しかし今は上下左右がわからないほどに混乱していて、とてもじゃないが平衡感覚は信頼できない状況にあり、ただどこかわからない方向へ落ちていることだけがわかった。
暗転。
「助けに来たよぉ~?歌姫っ♫……泣いてる?」
眼の前の軽薄な男。
知っている。
歌姫は睨みつける。全てはこの男が現況か、と気づいたからだ。「また」と。
「泣いてねぇ~よ!!!あとっ!敬語ぉ!」
五条悟。歌姫にとって頭の痛い後輩であり、常に不遜な態度で接してくる。その上実力は本物なので強く出れない。
「泣いたら慰めてくれるかな?ならぜひお願いしたいね。」
「冥さんは泣かないでしょ、だって強いもん。」
「んっふふふ、そう…?」
歌姫はそのやり取りに苛立つ。
つまりは弱いってことか、私が弱いってわざと煽るように言ってるのか、そうありありと伝わってくる会話に苛立った。
「五条ぉおおっ!私はねぇぇええ!!!助けなんていらなっ」
ゴガンッ!
背後から瓦礫を破壊して何かが飛び出す轟音。
それが何なのか、この状況において何を意味するのかは見なくても直感でわかった。気を抜いてしまった。
反応が遅れる。洒落にはならない。
視線がぎりぎり間に合う。ミミズのような、埴輪のような巨大な呪霊が、今すぐにでもこちらを叩き潰そうとするその瞬間、更にその巨大な呪霊の下からなおも巨大な幼虫のような呪霊が一飲みする。
グボォオオォウッ!!
「飲み込むなよぉ~?後で取り込む。」
呪術高専2年、夏油傑。呪霊躁術で召喚した呪霊により歌姫は助かった。
それだけなら素直に感謝もできるだろう。
「悟ぅ…弱い者いじめはよくないよぉ~?」
ただ、五条悟と同様に彼もまた無自覚を装って意図的に歌姫を煽る酷い後輩だった。
「強いやついじめる馬鹿がどこにいんだよっ?」
「んっふふ、君のほうがナチュラルに煽っているよ夏油くん…。」
「あ…。」
歌姫はもう限界だった。
殴る。
勝てないかもしれない。無下限呪術の使い手に正面から殴りかかったところで勝てるはずもなし、さらに呪霊躁術もだが近接戦闘にも長けた夏油に素手で勝てるはずもなし。
しかし、だからといって引けぬ戦いがここにある。
歌姫が拳を握った瞬間、一迅の清涼剤が投下された。
「歌姫せんぱーい、無事ですかぁ~?」
「心配したんですよぉ、2日も連絡なかったから。」
呪術高専2年、家入硝子。
彼女は唯一、歌姫にとってこの場で純粋に愛すべき後輩として確信できる存在。
「しょぉおおぉおおお~~~~こぉおおぉお~~~~っ!」
半狂乱に突撃する歌姫はまるで漫画のようにひしっと硝子に抱きつく。
まるで親に泣きつく子のようで、内心硝子は「そういうところだよね」と思ってしまった。
この場の空気が、弛緩する。2度あることは3度ある。
一同を包む空気が油断を誘った。
ウバァアアアアアァアアアアアアアアアグォオオオォオオオオオオ!!!!!
とっさに振り返った夏油は驚きを隠せなかった。
せいぜい2級の呪霊を食わせた、1級呪霊を、更に飲み込む形で巨大な呪霊が出現し、2匹もろとも捕食。
六眼を持たない夏油でさえわかるほど、2匹の呪霊を食ったことで呪力が取り込まれ増大したことがわかる。
遊んでいる場合ではないと、手加減せず呪霊躁術を発動する。出すは今出せる準最強の呪霊。出し惜しみはしない。
五条もまた、夏油より1秒早く、地中深くから上がってくる強力な呪霊を感知し、無下限呪術を発動する。単純に力で押せば勝てるはず。ただ一つの懸念点はここが街中であること。誤射はなるべく面倒だから避けたい。
呪霊はその出現余波だけで非戦闘員枠の硝子をよろめかせ、果ては卑怯にもある程度知性があるのか、固まった冥冥と歌姫を狙う。
パンッ
乾いた音がした。
轟音でも爆音でも高音でもない。手で拍手するような、それでいて透き通るような音。
超巨大な呪霊の消滅。
「やぁ、みんな無事かな?」
咄嗟に五条と夏油は距離を取り、臨戦態勢のまま敵を見据え、ゾッとする。
ブワッと汗が出る。
夏油はついつい危機を感じて五条の方を見やる。それは信頼ゆえの、普段の余裕からくる彼の頼りがいを期待しての視線だったが、その行為は、なおも夏油を戦慄させる結果となる。
あの傍若無人、傲岸不遜、唯我独尊、言い出せばきりがないほどの傲慢な五条悟が心底警戒している事実に驚愕した。
家入硝子はあの2人が、クズであれど最強と言って過言ではない実力を持つ2人が、たじろいでいるのをみて慌てた。脂汗が額ににじむ。
のだが、歌姫は固まったままなのはスルーするにしても、冥冥が動じていないことで正気に戻る。
どこ吹く風。気にする素振りもなく眺めるだけの彼女。普段とはまた違った笑顔すら感じ取れる。
当然1級呪術師なのだから強いことは承知しているが、それでもこんな景色を眺めるような佇まいのままなのはいささか違和感がある。
「……てめぇ…誰だ。」
「……呪詛師か…?」
絞り出すような声で五条と夏油は問いただす。いつでも動ける体勢で。
「え?いやいや僕はそこらにいるちょっと呪術が使えるだけのお兄さんだよ。」
軽快に、コミカルに、違う違うと手をふる大男。
「「は?」」
「あー…ほら、ね?庵さん?そうだよね?」
「はぇっ!?」
歌姫は突然自分に会話が回ってきて再起動。
見れば、つい数時間前に会った不審者。
歌姫はよく状況は分からないが、五条たちが初対面ならば、と説明する。
「えーっと、その高専関係者…ではある…かな。」
「…なにそれ、説明になってなくなーい?」
五条が苛立ちを隠さず告げる。
不審者、つまりは高田聖餌はゆっくりと五条と夏油との距離に気を使いながら回って、冥冥と歌姫側に近づいていく。
硝子は一周回って冷静になって、冥冥さんの知り合いっぽいしいいか、とすでに普段通りの心持ちに戻っていた。意外に胆力がある。
聖餌はそのまま冥冥の隣に行くと、冥冥の細い腰に手を回して、少し自身に寄せると、反対の手をあげて朗らかに敵ではないよとジャスチャーする。
「ほらっ、冥の同期なんだよ~…怖くないよぉ~?」
「ぷっ」
ついつい最強2人が舐められているという客観的事実に硝子が吹いてしまう。
「硝子…笑うな。」
「は?怖がってねぇけど?」
聖餌はとりあえず最低限呪力を抑えて、冥冥に視線を送る。
冥冥は無表情にその視線を受け取ると、ふっと軽く息を吐いて告げる。
「私と同期の3級呪術師、
「3級…?」
先程の呪霊、特級というほどではないが1級はくだらないはず。それがたかが3級術師に瞬殺されるなんてありえない。
「これは上層部にめちゃくちゃ嫌われていてね。かつ本人も怠け者だから、昇給しようという気概が一切ない。嫌がらせの意味も込めて、上は下級にしている。と言っても本人はあまり認めないが実力は本物で、危ない任務を任されて半ば死ねばいいと思われている。5万。」
唐突な不憫枠に2年ズと歌姫は「えぇ…」という顔をする。
「まっまぁだから、あまり警戒はしないでおくれよ。僕は決して君たちに危害を加えないさ今のところは。」
「うさんくせぇなぁ…つかいろいろ変なワードなかった?」
「セクハラ?」
五条と夏油はひとまず冥冥の知り合いということで納得し、術式をキャンセルして構えを解く。口ではそういうが、冥冥の信頼あってこその態度とも言える。
「彼は女性と触れている間呪力を増幅し蓄えられるという特異体質でね。それもあってよく女性に迫っては殴られたり通報されたり訴訟されたりしている。5万」
「えぇ…」
歌姫はやっと自分がなぜあんなことを聞かれたのか察して辟易した。だが実際問題呪術師にとって呪力とは馬鹿にできない要素なわけで、もちろんあんな触らせ方はさせないけれど、緊急事態とかなら腕くらいならいいかと割り切り始める思考が生まれた。
「敵であり味方っていうのは?」
なんとなく蚊帳の外感があった硝子が問う。
もちろん味方というところに打算的意味合いも含めての質問だ。戦闘という側面では自身が非力だと理解しているからこそ、味方になるなら心強い。
「閉鎖的で古臭い価値観が横行する呪術界に置いてこれは少し珍しい価値観を持ってる。女をモノ扱いする男は少なくないだろう?だが聖餌は女性に迫ると同時に女性の権利向上にも一役買っているんだ。5万」
「はいっはいもういいです冥っ!」
「さっきから冥さんが発言するたびに言ってる数字って…(察し)」
「あーいやいずれにせよ僕はセクハラ野郎って認識でいいよ。権利向上ってのも別に大層な活動してるんじゃなくて、一部の女性とWin-Winな関係であるというだけさ。」
聖餌はこめかみをかく。
そこには少し罪悪感が含まれた面持ちが混ざっていた。
「ともかく、これから暫くの間、呪術高専でお世話になるから、君が五条悟くんで、君が夏油傑くん、君が家入硝子さんかな?よろしく。」
「は?ねぇよ。」
「ま、様子見、かな。」
「しゃーす…。」
2年ズは最初のピリ付いた空気はなくなったものの排他的で少し冷たい対応だった。
「あの、じゃあ聞きたいんすけど。」
「はいはい?」
「なんでさっそく冥冥さんのお腹に顔埋めて、コアラみたいに引っ付いてるんすか?彼氏?」
「「!!!?」」
空を見上げてダルそうにする五条と首の凝りをほぐすようにダルそうにしてた夏油が驚愕する。それそのものの行為にも驚くが、相手が冥冥という部分で2人は冷や汗を隠せない。
2人も興味なさげにしているがいっぱしの男子高校生。
女体に興味があるのも当然で、他の男子も交えて、どの女が一番エロいかなどと議論を繰り広げたこともある。
そしてかなり近づきがたい女だがエロいランキング上位に位置する冥冥に対し、大男が、まるで子供が母親に抱きつくがごとく密着している。
これは大事だ…やばい。
「よく聞かれるけどそんな関係ではないよ。あくまで提供者と消費者というビジネスの関係に過ぎないからね。」
冷笑するように笑うと冥冥は胸下にある聖餌の頭頂部に手を置く。
「というと…?」
「聖餌は私に触れる場合1回につき100万支払う契約になっている。触れる時間が長ければ長いほど追加料金が発生する。そういう契約だ。」
「…マジかよ、じゃあ…」
五条はついつい予想される、「金積めば冥さんと本番できるの!?」という事実に震える。
自分がそうしたいわけでは決してないが、全く想像していなかったので驚くのだ。
「ああ、あくまで触れるまでだから実際の行為までは契約外だ。そもそも私は売りに出してない。私は痴女じゃない。あくまで冷静に、減るもんじゃないものは売れるなら売りに出している、というだよ。」
「へー…じゃあ私もおっぱい触らせたら聖餌先輩から金もらえるんすかぁ~?」
悪乗りするように硝子が、恥ずかしげもなく自身の胸を制服越しに強調するように持ち上げる。
「え?うーんまぁ?…痛っ…!」
聖餌が頭を突然抑える。
「硝子!?」
硝子のトンデモ発言に歌姫が正気か疑い肩を揺する。
そんな彼女らを尻目に、五条と夏油はニヤッと笑う。
彼らがその契約を悪用したいわけではない。しかし冥冥はとにかく人気が高い女性呪術師だ。それは同年代だけでなく、幅広い世代から狙われていると言ってもいいほど。
つまりはこの情報は高く売れる。
そういうクズ的思考を2人が持ち始めたことに歌姫は察しがついて「げぇ」っと顔を歪める。
「硝子っ!あんたはあの2人みたいになったらダメよっ!」
「あはは…なりませんよ、あんなクズ共…。」
やっと普段のノリに戻り、五条はあざ笑うように歌姫を馬鹿にし始める。
「歌姫も聖餌に身体触らせて金貰えば少しは良い呪具でも揃えられるんじゃねぇ~?」
「かもね。…いや、売れるところないかもよ?」
「ああ(笑)歌姫貧乳だもんねぇ~」
大爆笑する2人。
歌姫は再度拳を握り、許せぬ。と2人を暗殺する計画をブツブツとつぶやき始めた。
「ん?そういえば…2日?」
変態と2年ズの邂逅が終わって少し落ち着いたところで冥冥が聖餌の頭頂部に突き立てていたネイルを外して思案顔になる。
「あー…やっぱ呪霊の結界で時間ずれてた系…?珍しいけど偶にあるよねぇ…冥さんがいるのにおかしいと思ったんだ…。」
「うん、僕が帰ってきたのも一昨日だね。」
聖餌が先程の帰国のタイミングの情報を補足する。
「そのようだね…ん?」
「なにか?」
「いや…ということは実働2日というわけだ、その分のギャランティを上乗せしてもらわないといけないなと思ってね?」
「しかも想定されていた呪霊のレベルが違うし、特別手当ももらえるかもね。」
「うん、ナイスだ聖餌。」
冥冥は更に金がもらえるとわかってニヤリと笑った。
聖餌はつい呟いたものの、現在進行系で自分が支払う料金が振り込まれているはずなのにまだ集めるのか…と上層部に同情しつつ、そういうところもかわいいけど…と思った。
「まだ吹っ掛ける気なんだ…。」
歌姫も流石にドン引きである。
「それはそうと君たち…帳は?」
「「「「あ…」」」」
「聖餌、君もかい?」
空は青い。
続かない
高田聖餌(たかだせいじ)
術式:空間座標呪術
次元、時間を問わず、自由に座標を設定することができ、その座標間の質量を自由に移動、座標そのものの値の調整が可能。
異性との接触によって呪力量が増加し蓄えることができる特異体質。増加量は性的興奮度によって増減する。
財源は不明。株やFXなどで儲けているらしい。
高専に編入し、たまたま冥冥と任務に駆り出されて双方負傷。死ぬような状況でも金の心配をしている冥冥に肉体の接触を求めて、快諾されて金銭を要求されたので友人として好きになった。
(作者はオリ主最強があまり好きではないのだが、五条悟がどう考えても強すぎるので、彼のアンチテーゼとしての術式を作らざる負えなかった。
五条悟と戦う場合、彼が無下限術式を用いて、アキレスと亀を実行しても、五条悟自身の3次元空間における存在座標は確定してるので、そこにコンクリブロックを転移させるだけで同じ座標に複数の物体が存在できないように五条悟を対消滅させることができる。
容姿やら見た目は正直どうでも良かったのだが、あの冥冥さんがもし弟以外で結婚するなら身長の高い冥冥さん以上にデカく、彼女を子供のようにたやすく抱擁できる体格にしたかった。
性格も何でも良かったが、堅物かチャラ男家で悩み、結果見た目に似合わない子供っぽさと頼りがいのある感じにした。他意はない。)
冥冥
聖餌のことは他の男より信頼している。なぜなら金払いが良い上にただの一度も滞納がないから。また強いので利用価値があるので自身に依存させようと目論んでる…表向きは。
胸を揉まれようが尻を撫でられようが金さえ払ってくれるなら本番行為以外は何でも許可するつもりでいるが、あまり多く要求して枯らしてしまうよりは小出しにしてちゅーちゅーすってる。
プライベートでめーめーちゃんと度々言われるので最近は料金割増にしてる。
弟の憂憂とも仲がいいので困りもの。契約を伝えようか迷うときもあるが、伝えた結果何が起こるのか不明なので言ってない。
憂憂
過去、全く関係ないお互い知らない状況でたまたま本当に偶然聖餌が憂憂を助けたのでそこから仲良くなった。お互いのことを知っていく途中で冥冥と同期ということと弟であることが発覚し更に仲良くなった。なお、契約のことは知ってる。
『じゅじゅさんぽ』
A「なぁ!聞いたか!?」
B「どうした?ハイテンションだな?」
A「確かな情報筋からの情報なんだがっ冥冥さん、金を積めばヤれないけど色々触り放題らしい!ひと揉み100万なんだってよ!」
B「まじか!?高いっちゃ高いけど無理じゃない範囲…嘘じゃないだろうな!?」
A「本当なんだって!なんでもすでに1人(高田聖餌)成功してるんだってよ!」
B「まじかよ!」
A「俺……いくわ。」
B「ほっ本当か!?いくのか!?」
A「ああ、じいちゃんが残してくれた200万がある。最悪なんとかなるだろ…。」
B「勇者に敬礼!」
C「敬礼!」
後日
C「おっ…おいお前!生きてたのか!?」
A「……」
B「てっきり死んだものと…でもその顔ガセだったんだな…わかっちゃいたけどよ」
A「…触れた」
B「は?」
A「触れたんだ…。」
B「じゃあなんでそんな暗いんだよ。」
A「……ひと触り1000万だってさ。触る前に確認しなかった俺が馬鹿だった。」
BC「」
時間がないので99%続かないですが、仮に続くならちょっぴりエッチな呪術廻戦みたいなの書きたいですね。直接的なシーンは無しにして、感覚遮断穴のような結界を持つ呪霊とか書いてみたい…
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