明智とアイが付き合って居ない
明智が前に進めず、アイが燻っている状態
女の子は負けず嫌い
年月は人を変えるというけれど、あいつはなんにも変わってなくていつも通りまるであの時あった見たいな顔で私のことを見つめてくる、私を見てくれる
私を、しっかり見てくれる…
私を…
「あんた…アイさんとどんな関係なのよ?」
ソファに寝転がってのんびりと読書をしているあいつに聞いてみる、マネジメントをしながら役者をやっていると聞いた時には何を言っているのか分からなかったけど、こいつの作業スピードを見ていたら納得だった、ミヤコさんがパソコンの前で作業している間にさっさと自分の仕事を終わらせてのんびりソファに座って自宅のように寛いでいるのを眺めて
「僕とあいつの関係?あぁ〜あれだよあれ、腐れ縁ってやつかな?僕とあいつは昔ちょっとした縁で知り合ってね?そこからたまに話すようになったってだけ」
「へぇ〜あっそ…座るから場所空けなさいよ」
そっちから聞いてきたのに冷たい反応…とうじうじ文句を言いながらもしっかりと私が座る場所を開けてページをめくる、
こいつは普段私の全部を見透かしてくるけど、ここ最近はそれが減った気がする
なんでなのかアクアに聞いたら
「あぁ、明智に心開かれてるからだと思うぞ」
なんて言われて少し舞い上がってしまったのは内緒
そして
「こ、恋人…とかじゃないの?」
「ん〜?違うよ、僕とあいつは腐れ縁、それ以上って訳でもないしそれ以下でもないかな」
なんでそんなこと聞いてくるの?みたいな顔で見つめてくるのはやめなさい、
人がどれだけ勇気をだして聞いたと思ってるのよ
というか、なんでこういう時は察してくれないのよあんた!
「へぇ〜ふ〜ん…」
ニヤニヤした笑を抑えられてるのな自信が無い…でも役者としてのプライドで何とか普通の顔を貼り付ける
「いきなりなんでそんなこと聞いてきたの先輩?」
「別に?私の後輩の恋愛事情に少し興味が出ただけよ」
「へぇ〜先輩こそどうなのよ?年頃の女の子なんだしそういうキャピキャピした話に対して興味津々なんじゃないの?」
「あのねぇ?私はこれでもアイドルよ?まだまだこれからだとしてもわざわざ自分からスキャンダルの火種になりそうなことするわけないじゃない」
こうやってまた嘘をつく、興味津々に決まってる…そもそも興味がなきゃあんたにこんな話振らないでしょ普通!
いつもみたいになんでも当てて私の内心見透かしなさいよ!
なんて、見透かされたらされたで困ってしまう、気づいて欲しいけど気づいて欲しくないそんな矛盾した考えがこいつと話す時はいつも心の片隅に湧き出てくる
「そういうもんかね?僕が前見たアイドルグループの内、半数以上は隠れて恋人居る感じだったな」
「まぁ…隠れて付き合ってバレないようにしてるんでしょ?人間所詮獣よ獣」
そうやって興味のないフリをしていると明智が突然立ち上がり、毛布を持ってきて有馬にかけてくる
「冷房ちょっと弱めようか?」
「べ、別に大丈夫よ…まったく、あんたは余計なお世話が好きよねほんとに」
「まぁ後輩ですからね、可愛い先輩のためになることなら何でもしますよ」
そのままソファに座ってまたペラペラとページを捲り始める
本当に…こいつは…人の気も知らないで、全然私の顔なんて見ないで話すくせに私をちょっと見るだけで飲み物を差し出してきたり、冷房弱めたり、体調の変化にすぐ気づく…
それが全部当たってるから余計にタチが悪い
一体何人の女の子がこいつに垂らしこまれて来たのかと考えるとだんだんムカムカしてきた…
「本当にこういうの気付くわよね、はぁ〜どうせほかの女の子にもしてるんでしょ?す〜ぐにそうやってポイント稼いで、な〜に?なんか交換してくれたりするの?景品とか出るの〜?」
またこうやって口から嫌味が出てしまう、本当は嬉しいのに、でも他の子に対してもどうせこいつは優しくて、これは特別扱いなんかじゃないって思ったら少し胸がチクッとして
でもこいつならこんな私でも許してくれるって分かってるからつい言葉が出てしまう
「?他の子に対してもこういう対応はするけど、先輩のことは大体わかるかなぁ?先輩のこといつも見てるし」
「はいはい分かってますよ、お得意の僕は君だけを見てるキリッ!ってやつでしょ?モテる男って罪よねぇ〜」
ぁ〜もぉ…すぐこういうことを言う、欲しい時に欲しい言葉を簡単に投げてきて、そんなことで簡単に舞い上がって頬の熱を抑えるのに必死になってしまう
私は特別扱いされてるって心の奥底に染み込ませるみたいにしてくる…
ほんっと…
「あんたは昔からずるいのよ…」
「別にズルくないですよ、先輩が好きですからね〜僕は、好きな人なら見たくなるのは人として当然では?」
「そういうセリフをサラッと出てくるのが本当に女たらしって感じがするわよねぇ〜女の敵?」
やめて欲しい勘違いしそうになってしまう
幼い頃にも言われた言葉、あの時は純粋に嬉しかった、子役として落ち目な私を見て好きだと純粋に好意を伝えてくれる人間が居るんだって思えた、役者としての有馬かなを見てくれる人間は居るんだって
意地悪ででも優しい…兄が居たらこういう人なんじゃ無いかなって考えたことは1度や2度じゃない…
でも…
今は違う、こいつから好きって言葉が出てくる度に胸の奥に届いて、心臓の鼓動が早くなって、まるで有馬かなに対して好意を抱いてるように勘違いしてしまいそうになる
あの時と違って私は…もう大人だ
年齢差が離れてて色恋に対して無知で好意は一種類しかないと思っていたあの頃の私じゃない
物事を冷静に俯瞰でみれるし、あんたが言った通り恋愛にも興味津々の女の子…恋に恋しちゃうぐらい考え無しなただの乙女
「たっだいま〜」
帰ってきちゃった、自然とそう思ってしまう
こいつはただの腐れ縁だって言ってるけど明らかにアイさんはこいつに対して好意を抱いてる、何となく…それがわかる
多分だけどアイさんもあいつに心の奥底まで見透かされて欲しい言葉を投げかけられて、無責任に、不躾に、無遠慮に、デリカシーの欠けらも無い言葉で心を振るわされたんだと思う
「先輩〜可愛い後輩が帰ってきましたよ〜お、かなちゃんもいる〜」
「こんな小生意気な後輩を可愛いと思ったことは僕実は1度もないんだよなぁ」
「またまた〜先輩は何時もそういうことばっかり言って〜照れ隠しかな?」
本当に照れ隠しだと思う、こいつはアイさんに対してだけ態度が明らかに違う
あけすけで、表裏もなくて、冷たくて、でもなんだかんだ言ってワガママを全部聞く
羨ましい…アイさんは特別なのかな?
私はどうだろう?私はこいつにとって推し
特別扱いだとは思うけど、それは役者…アイドルとしての有馬かなに対する特別
でもアイさんに対しては違う…アイドルとしでも女優としてでもなくて、アイさん個人に対していつも接してる…
「ほらほらー可愛い後輩がお腹空かせてますよ〜ご飯奢ってご飯」
「はぁ?お前連れてくってなったら個室しかないんですけど?どうせ僕が奢るんだったらせめて自分で食べたいもの選ばせてくれ」
「明智!」
「うっぉ!?どしたの先輩?」
立ち上がり思わず名前を呼んでしまう、何か考えがあったわけじゃない、2人の会話を中断させる体のいい言い訳があるわけじゃないのに天才子役子供みたいに駄々を捏ねて、また明智を困らせて…甘え始めてしまう
「この後私の買い物に付き合うって言ってたでしょ!行くわよ、ということでアイさん明智借りますね」
そう言って困惑している明智を無理やり引っ張って立たせる
こういう手段しか取れない、スマートなやり方なんて知らない
10年前から思うところもあってそれでやっと見えてきたチャンス…どんなにカッコ悪くても
私は負けたくない
「へぇ…2人っきりでお買い物?はぁ〜しょうがないな〜じゃあ先輩約束忘れないでね?」
「え?あぁ…分かったよじゃあ行きますか先輩」
一瞬通り過ぎる時2人だけの何かをして、ニコッと笑うアイさん
その余裕にムカッときて、まるでお子様を見るような目で見てくる
何よ!ちょっと私より長く明智と一緒に居て、年上で!大人の余裕があって、顔がめちゃくちゃ綺麗で!スタイルが良いだけじゃない!
ぐっ…
外に出て歩く、特に予定もないのに連れ出してどこかに行く用事なんてあるわけないからただ歩く
「私には将来性がある!」
「今日の先輩は変だね、突然1人でどうしたの?悩み事?話聞こか?てかL○NEやってる?」
誰のせいよ誰の!あんたが色んな女にモテまくるのがいけないんでしょ!
「なんでもないしいつも通り、LI○Eは交換してるでしょ」
「まぁそれは別にいいけどさ、でも先輩?なんの予定もないのになんで連れ出したの?」
「そ、それは…あれよ!あれ、たまたま外の空気を吸いたくなって〜それでやっぱ先輩が出掛けるとなると後輩をパシリに使いたいじゃない」
「なんて嫌な思いつきなんだよ、完全に発想がヤンキーだよヤンキー」
そう言いながらもじっとこちらを見つめてる…この目…苦手だけどこの目で見られるのは嫌いじゃない、いや…ぶっちゃけるとだいぶ好きだ
自分の中身を全部見られてる感じ、どうしようもなさとか、やるせなさとかが全部見られてて、私が本当にどうしたいのか分かってくれる、そんな感じがする
少ししたら納得したのか意地の悪い笑みを浮かべて
「安心してくださいよ、僕はいつまでたっても先輩の後輩ですから」
そう笑顔で言われて、なんでいつも分かるのにこういう時だけ理解してくれないの!とか
変なところばっかり気が回るくせに!とか
考えが浮かんでくるけど、私の傍に居るってだけでこんなにも笑顔になってくれる、ただそれだけで許してしまいそうになってるから私は本当にダメかもしれない
「それじゃ嫌だから言ってるのよ」
「ぇ?うっそ…せ、先輩?」
「な、なんでもない!早く行くわよバカ!!」
驚いた顔で少し顔を赤らめた明智にこの顔を見せたくなくて早歩きで先に行く、
明智の顔の数倍…いや耳まで真っ赤に染まっているこの顔を見られたくなかったからだ
太陽が沈んだのに外はジメジメと暑くて、
セミの鳴き声がうるさくて、私のさっきの言葉も全部聞こえてなければとさえ思ってしまうけど
後ろから足音が早いペースで近づいてくる度に
私の思いが伝わってて欲しいと、近づく度に胸が高鳴っていく
うだるような夏の私の恋の話