深夜に1人、翔は歩く。新年の代名詞である初日の出まではまだ時間がある。
「新年ねぇ……」
例の如く彼は暇である。彼は弓を持って空を眺めている。不意に『物質創造』で矢を作ったかと思えば、それを弓に装填し、空の星々に向かって放った。放たれた矢は真っ直ぐに加速しながらポラリスへと向かい続け、数秒程でポラリスに着弾した。ポラリスは中心から崩壊、爆裂してしまった。
「綺麗な花火だ。『着色』」
地球からでも見える爆発模様は色とりどりに着色され、新年を祝う花火のようであった。
翔はそんな爆発を見た後、携帯を何処からか取り出し、SNSを開いた。
『超新星!?』
『なんか色変わった』
『なんかの祭り?』
反応は様々とあった。翔は携帯を何処かに投げ捨てて、空の花火を見つめる。
「『時間停止』」
瞬間、爆破の進行が完全に止まり、絵画のように空に残り続ける。それに満足したのか、翔は歩き始める。しかし、彼にまた暇が生まれてしまった。彼と暇は切っても切り離せない存在だ。
目的もなく事情聴取を受けながら徘徊をしていると、いつの間にか太陽が昇り始めていた。何万、何億と見てきた初日の出だが、やはり感慨深いものを翔は感じていた。しばし眺めて、満足すると、翔はつぶやいた。
「『屈折』」
翔は上手い事光を屈折させて、空に昇りつつあった太陽とは反対の位置にもう一つの太陽を出現させた。元の太陽ともう一つの太陽から降ってくる日光の強さは合わせて一つ分で、さほど影響は少ない。しかし、太陽の分裂というインパクトが強い出来事は瞬く間に全国、全世界へと広がっていき、『宇宙人技術説』や『政府の秘密研究説』といった陰謀論が騒がれるのも時間の問題だった。
「久しぶりってのもいいもんだねぇ」
およそ600年前、鎌倉時代日本での年始で翔は今回みたいな騒動を起こした。その時も人々は様々な驚きようを見せ、「妖術」や「西欧技術」と称されていた。それが現代では宇宙人や政府だ。そんなに昔も今も、未知のものへの疑心と期待は変わらないものだ。
ただ日を見るだけではつまらない。翔はそう思い、『物質創造』で日本中に水蒸気を発生させ、『気象』によって気温を−20℃にした。そうした瞬間、日本各所に光の欠片、ダイヤモンドダストが発生した。それと同時に一部地域で雪が降り始め、沖縄にも降雪が発生した。翔によって作られた異常気象に、世界滅亡論も唱えられ始めていた。流石に翔は反省し、全てを元に戻し、夜の中に歩き始めた。
今年もよろしくお願いします
初登場能力
着色
対象を任意な色にする能力
時間停止
対象の時を止める能力
屈折
光を屈折させる能力
気象
起床条件を変更する能力