ほぼ全知全能者の日常   作:架空柿

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 のーこめ


潜入

 翔は『透明化』を使い、ある場所にいた。『県立天ヶ原高校』、奈美恵が通っているという高校である。翔がここに来た目的はただ一つ。奈美恵に与えてしまった能力を特定するためである。

 能力というものは強力なものが多い。しかし、強力であるが故に、暴発や悪用、事故というものが起こる。実際、能力が身近となっている遥か未来でも一日に十件程は発生している。しかも、能力の扱いは強力であればある程難しい。例えば『水沸』は触れた水を温めるだけで特に危険はないが、『物質創造』は欲しい物を想像するだけでその物質が創れてしまう。つまり、核や銃火器をも簡単に創れてしまうのだ。

 奈美恵に与えた能力が不明のため何とも言えないのだが、『核融合』や『調合』とかの場合、かなりまずいことになる。最悪奈美恵が死亡する恐れすらある。それ程、所持能力不明は恐ろしいのだ。

「……ここか」

 暫く廊下を歩いていた翔はとある教室の扉の前に辿り着く。扉窓から覗いてみると、教室では奈美恵が真面目に授業を聞いていた。今は古典で、竹取物語をやっているようである。

「ではこの蓬莱の薬は……」

 先生が出した問に、奈美恵は素早く手を挙げ、答えた。どうやらその答えは正解だったらしく、先生が褒めている。

「蓬莱の薬ねぇ……『物質創造』」

 翔は手の上に一つのピンを造り出した。ビンの中は様々な色に変わり続ける液体で満たされ、不思議と重みは感じない。翔は偶々近くを飛んでいたハエの羽を掴むと、その液体の中に入れ直ぐに出した。

「『体銃』」

 そう呟くと、翔は濡れて地を這っているハエに人差し指を差す。すると、その人差し指から煙と小さな音が放出され、ハエに向けて金属が高速で射出、ハエに命中し、ハエは木っ端微塵になった。しかし、直ぐにハエは再生した。

「…………ま、どうでも良いか。『存在隠滅』」

 翔がまた呟くと、床に残っていた銃痕や銃弾は消え失せた。翔はもう一度教室に目を向けた。そして、その瞬間近くのスピーカーから終わりを示す鐘の音が大きく轟いた。そして、先生の「号令」という声の後に生徒の一人が「起立」と宣言し、姿勢を正させて全員一礼を先生に向けて行った。

「なんだ。終わりか。次は昼休みだったか」

 礼を終え、全員が着席すると各々弁当袋を机の上に置き、各自弁当を食べ始めた。中には一階に存在する売店に行く者や友の机で一緒に食べる者もいた。奈美恵も友と共に食べる者の一人であった。

 その後も翔は奈美恵を観察したが特に異変は無かった。




 翔……ストーカー?

初登場能力
水沸
触れた水を沸かす能力。沸騰からぬるま湯まで幅広い

核融合
原始核融合を操れる能力。核爆発もお手のもの

調合
身の回りのあらゆる物を素材にして薬を作れる能力。薬の効能は材料にしたものに依存する。(冷蔵庫であれば「冷え症、凍傷になる薬」、酒であれば「万能薬」)

体銃
体のあらゆる部位を銃にすることができる。「バン」と言ったり思うことで発射され、脳内に浮かべた部位から、脳内に浮かべた銃種で放つことができる。

存在隠滅
自身がそこにいた証拠を消し去る能力。消し去る対象となるのはぱっと見て誰かがいたことに気付ける痕跡かどうか。
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