ほぼ全知全能者の日常   作:架空柿

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 のーこめ


枯れ尾花

 翔はありとあらゆる可能性を考え,そして、ある一つの考えに辿り着く。しかし、その考えは現状有り得る可能性は低く、現実的でない。

「……母親……」

 能力にはある特性がある。親の能力は子の能力よりも最優先で発動すると言うもの。数少ない、『全知全能』に対抗できる手段である。

 話を変えるが、翔は正確な誕生日を知らない。しかし、年だけ大雑把に判明している。それは少なくとも500年後、目の前の少女はいない世界の、なんなら誰も彼女のことを知らない世界に彼は生まれているのだ。つまり、彼女は翔を出産することはできない。ただ現に、目の前の少女に翔の『能力無効』が通用していない。

「お前……何もんだ……」

「こっちのセリフなんですけど……」

 引き気味に言う少女に、翔は何もすることができない。

「……………………そうだ」

 時に、能力というのは万能でない。わかりやすく言うならば機械のようなもの。つまり、許容量がある。ただその許容量に達することはそうそうない。あるとしても、某先生から与えられる無限の情報を全て無効にした場合位だ。何が言いたいか、それは……

「『時間鈍化』『能力複製付与:全知全能』」

 1秒を1年と同程度に拡張子、何度も翔は自信が持つ能力全てを少女に与えるが、当然の如くそれは無効になる。諦めずに、何度も何度も与え続けるうちに、ついに、一つの能力が壁を突破した。

「『情報開示』」

 そして、その能力は少女に通用した。

「……解除」

 時間の流れが元に戻る。それと共に、翔は呟く。

「はぁ……伊藤奈美恵……天ヶ原高校2年生出席番号3番。学籍番号」

「待て待て待て待て待て! なんでそんなこと知ってんの!」

「はは……今知った」

 少女、元い奈美恵は110番の準備をする。

「意味ねえよ」

 翔は『水生成』で携帯内部を水没させ、破壊する。奈美恵は恐怖に慄き、頬に涙も流れている。

「おっと……少し怖がらせすぎたか? スマねぇな。『物質創造』」

 翔の手の中に黄金が生成され始め、そして奈美恵の前に投げ落とす。

「じゃあな。『瞬間移動』」

 翔は奈美恵の前から消え失せる。彼女は目の前にある金に手を伸ばす。

 

「……さて…………困った」

 翔は一つ、懸念があった。与えてしまった1つの能力だ。『情報開示』によって彼女の凡その情報、ましてやスリーサイズや黒子の数も分かったが、与えた能力を見る前に彼女の『能力無効』の修復が間に合ってしまった。そのため、与えた能力が不明なのである。

「ま、いいや」

 翔はどこかへと向かった。




 幽霊の 正体見たり 枯れ尾花
初登場能力
時間鈍化
時間を遅くする能力

能力複製付与
自身に能力を残しながら相手に与えられる能力

水生成
無から水を作り出す能力
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