【完結】ロキ・ファミリアを数年離れていた外面の良いHENTAI女が俺に向かって「貴方の子供よ」と嬉しそうに言ってきた。 作:SUN'S
私はロキ・ファミリアの冒険者だ。
尤も人間としての固有名称は
まあ、自分語りはここまでとしよう。
私の目的はオラリオの中心部に立つバベル塔と地下に続いているダンジョンの探索だ。私個人で攻略するのは簡単だろうが、この世界の住人はファミリアに所属してダンジョンへと潜るため私もそれに倣っている。
「おはよう、イース!!ねえねえ、今日も赤ちゃん抱っこさせて!」
勿論、良いとも。
私はそうティオナ・ヒリュテに告げると彼女は嬉しそうに私とベート・ローガの間に造られた赤ちゃんを抱き締める。壊さないように、慎重に優しく私とベートの赤ちゃんを抱き上げ、小さな生命を愛しそうに見つめている。
ティオナはアマゾネスという戦闘を好む種族の出身であり攻守共に優れた戦士と言える少女だ。だが、彼女の天真爛漫な性格はアマゾネスにとって度しがたいほど異常であると私は認識している。
「ねえ、いつベートと結婚するの?」
彼女のごく当たり前の質問にファミリアの食堂で朝食を取っていたベート・ローガは恐ろしいほど素早く振り向き、なにか言いたそうにしているが気持ち良さそうに眠っている赤ちゃんを見て、がっくりと項垂れた。
彼の尻尾も同様に力なく項垂れた。
「ベートもいい加減認めたら?こんなに顔も臭いも似てるのに、どうしてそんなに嫌がるのさ。イースだって、ひとりで赤ちゃん産んだんだよ?」
「……うるせぇ…」
その「一人で産んだ」というのがベートにとって苦痛なのだろう。いくら彼が暴言や理不尽な立ち振舞いをしていようと彼もみんなと同じ人間だ。
自分の子供を孕んでいた女が忽然と消えたかと思えば、いきなり帰ってきて「認知しろ」と言われても自分が父親だという実感を持てない。………そう私は思っていたけれど。どうやら少し違うようだ。
彼なりに私と赤ちゃんについて。
しっかりと彼は私達の事を考えている。今までの粗悪な態度を父親として改めるべきか。それとも誇り高き狼人族としての矜持を貫き、このままファミリアのために悪役をやり続けるべきなのか。
「イース、これどうや!!ウチとリヴェリアで繕うてみたんやけど!!ベートの赤ちゃんやし、こんくらいの着ぐるみでどう?」
ロキとリヴェリア・アールヴの登場によって「認知しろ」「さっさと認めろや、クソ狼が」など殺伐とした感情のひしめき合っていた食堂に平穏が戻ると同時に赤ちゃんのために作られた着ぐるみが掲げられる。
かわいらしい水色の着ぐるみ。
私は耳と尻尾を取り出せる穴もある赤ちゃんに優しいものを持ってきてくれたロキとリヴェリアに「ありがとう、助かるよ」と感謝の言葉を伝える。すると、リヴェリアも赤ちゃんを抱っこしたいのか。チラチラとティオナと赤ちゃんを見ている。
うんうん、そうなるよね。
〈イスの偉大なる種族〉
時間旅行種族。
本当の肉体を持っておらず、ロキ・ファミリアに所属するために辺境の都市で餓死する寸前の少女の肉体を乗っ取り、固有名称として「イース」と名乗り始める。あらゆる神話の神々と似た固有名称を持つ存在と神話の怪物の闊歩する世界に興味を持ち、彼女は世界の常識に倣ってダンジョンの最深部を目指す。ちなみに赤ちゃんを造った理由は知り合いの邪神の影響とベート・ローガに対する精神汚染(恋愛感情)の所為だ。